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第1章アクア王国
第1話 中立国アクア王国
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地球からはるかに離れたところに位置する星系の惑星に、元地球人の人類が治める1つの国があった
アクア王国
それが、その国の名前だった。
そのアクア王国は、今、ある特別な式典へ向けて準備を行っている。
アクア王国本島
それは、アクア王国を治める王が住まう王宮内も、例外では無い。
王宮には、アクア王国国旗と共に、アクア王国軍の軍旗が掲げられ、時折吹く風にその旗が揺るれている。
吹く風の波ではためき見え隠れする、アクア王国の軍旗には、ある紋章が施されている。
青と白の十字架の二重の十字が刺繍された紋章である。
白の十字架は中立国の紋章であり、
×に交差する二本の青は、自由と平和を表す、
世界に対し中立の名の下に、自国の自由と平和を維持し、国民の誇りを持て理念を貫き続ける。
アクア王国の理念の象徴である。
自由と平和を守る中立勢力としての紋章である。
王宮内を警護する軍人の服は通常は、アクア王国の軍服であるが、現在は、通常の軍服とは違う服を身に纏っている。
コレは、アクア王国軍の礼服である。
アクア王国軍の礼服には、複数の刺繍が施されている
腕章の紋章、玉座に左右に騎士、刺繍された絵柄の騎士の剱の位置で意味が変わる。
トップクラス上級士官クラスになると、腕から胸まで紋章の刺繍や装飾が施されている礼服を羽織る事となる。
抜刀されようとする剱・王国軍
頭上で交わる剱 ・王国守護隊
掲げられた剱 ・軍司機関
枝葉の数・階級
蕾み、花・功績、勲章
実や果実・称号
王冠・王室特務機関などが区別出来るように施されている。
先も言った通り、アクア王国は、現在ある式典の準備を行っている。
式典中はもちろんの事であるが、式典の準備期間も礼服を身に纏う事が、義務付けられている。
ふと上を見上げて
「今日はいい天気だな」
そう言われて、見上げた
「この所の雨が嘘のようですね。気候が安定して来ています。」
「雨季が終われば、式典だ忙しくなる」
見上げた先の天窓から、まばらに雲が浮かぶ青空が広がっていた。
青空には、地球ならば、あって当然のものがなかった
全ての生命に恩恵を耐える根源とも言える、太陽が無いのである。
太陽があるはずの位置には、無数の光の点で構成された光源があるのみである。
この星の昼を照らすのは本物の太陽では無い
偉大なる集合収束型光源システム"八咫の鏡"である。
この星系の恒星の太陽光を反射し収束させることで
この星に人為的に太陽光を照射し太陽の恩恵を受けている
「今回の式典は、特別ですからね。皆、意気込んでいますよ。」
その光源の側の空は、昼間だというのに薄く巨大な構造体の影が浮かぶ
「珍しくあの男が降りて来るそうだ」
「彼が式典に来るのは、いつ以来でしょうか?」
「……。」
目を閉じ、記憶の彼方を見るように沈黙したが
「…さあ、忘れてしまったよ」
思い出しても仕方が無いと言った風にため息をついた。
「それと、今回の式典には、例年以上のが参加を表明されています。」
執務室の大広間の大型スクリーンに参加を表明している国家とそののリストが表示された
「十年ぶりに参加するベルノ公国を始め、王族暗殺事件後事実上外交が断然していたサイナ王国などが参加を表明しています。」
その言葉を聞いた瞬間表情が暗くなる
「サイナとベルノか」
つぶやくようにそう言った。
「現時点から入国管理局の警戒レベルをLevel.3より、Level.6へのレベルアップをアクリスへ要請、国内でのテロへの警戒を強化する」
「一個師団の警備艦隊にアクア第2都市第二方面軍の一個艦艇を派遣して警戒レベルを増強、所属不明の艦艇及び旅客機のアクア王国境界線第三ラインで阻止せよ」
「それとカンパニーへ連絡、警戒体制の確認を要請してくれ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アクア王国のはるか彼方の上空に、その巨大な船体が浮かび
母星の周囲の宇宙空間に影を落とす
先ほどのアクアの空に薄く浮かび上がっていた物体
広域星間公益会社・ブルーウォーターズカンパニーの旗艦である。
青い船体の艦首の両脇と巨大な艦橋があるブリッジの前方の甲板に、艦名が白淵の黒でデカデカとBWCと書かれた脇に小さくブルーウォーターと、刻印ペイント型のホログラムを用いて、アクア王国の主要言語の日本語のカナ文字と英文字で表記されているが、時折、別の言語へ変換されて表示されている。
その巨大な船体の内部へ視野を移すと、巨大な構造体から突き出た、この箱舟のブリッジがある。
その内部は、展望室兼食堂街と言ってもいいだろう、その食堂街の店舗には、BWCの文字が刺繍されたワッペンが付いた調理帽と制服に身を包んだ売店員が同じく、ワッペンが付いた制服に身を包んだ船のクルーに、食事を提供している。
展望室兼食堂街の下には、この箱舟の心臓部と言える制御系統が集約される司令室がある。
分厚い装甲帯を抜けて、ブリッジの第一艦橋の内部を見ると、計器や船の航行に必要な機材で埋め尽くされた。
その中で、シートに座り作業をする数人のクルーの姿が見える。
停泊中とは言えど、巨大な船体のわりに、要員の数が圧倒的に少ない印象がある。
が、業務がこなされて行く所を見ると、そうでも無いらしい。
指揮するのは、艦長のシートを背に背を向けたまま立つ女性である。
彼女は、この箱舟の副長である、その彼女の指示に従いて業務をこなす艦橋要員が忙しなく動き続けている。
「今日から艦長たちは、首都に降りてて、居ないから、何かあったら直ぐに、動かせるようにするのよ」
その言葉を聞いて、絶句して、文句を垂らす。
「いくら何でも、私たちだけじゃ無理ですよ~」
「そうです、艦長とアオイさんが居ないのに」
それを聞いて、副長である彼女が、ビシッと言う。
「何言ってるの、現に今、ベガが、ここに居るでしょが」
BWCの刻印が入ったピンバッジの着いた制服に身を包んだ男を指差す
「自分の仕事サボるんじないの」
「は~い」
「副長アクア王国政府より電信が入っています」
「こっちのモニターに出して」
この巨大な船体を制御するのに、この時代においてもかなり高度な技術が使用されている
それは、択一されたシステムで、巨大かつ緻密な構造体
それを全て寸分の狂いもなく完全に制御出来る。
この舟の心臓と言える二つの人工頭脳
メインコンピュータ
二つのメインコンピュータをもちいた
ノアズ・アークシステム
高性能な次世代式の人工知能
"No.Zero-1ノア"と"No.Zero-2アーク''が統括し船の統制機能を管理している為である。
「ベガ、補給作業と補機チェック作業の進捗状況はどう?」
うなずき、モニターに目をやると途端に、作業の進捗状況などの情報が次々に、モニターに表示された。
「アクアの警備強化の影響を受けて、補給作業が式典中まで、ズレ込みそうです」
二つのタイムスケジュール表が予定と現行の状況
現行のタイムスケジュール表に、赤い表示が目立つようだ。
この事から、補給作業の進捗状況が予定よりも、遅れている事を示している
「そう」
「ですが、補機のチェック作業は、予定通りに進んでいます。」
このベガは、この箱舟のメインコンピュータ、ノアに直結されたバイオロイドである。
「先行している三基のチェック作業は、既に完了しています、現在最終動作確認中です」
「後行で進行予定の二基のチェックは、先行の補機の最終動作確認が終了を確認次第、順次開始します」
「よって、式典終了の翌日、明朝午前4時には、チェックが必要な補機のチェック作業は、全て完了します。」
ベガの使っていたモニターによる、作業の操作を停止した。
副長に顔を向けた。
「副長、艦長が予定通り無事に、ホーネット基地に、到着した。との護衛機より、報告を受信致しました。」
舟の時計がAM7:02になった。
「そう。」
舟の時間よりも少し時間を遡る
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アクア王国、本島の東島に極めて広大な施設がある。
ここは、アクア王国の王国軍の主力基地、ホーネット基地である。
腕時計を見た、時計の時刻が6:45になろうとしていた。
「間も無く、到着するはずです」
前方の空に煌めきを見つけて、目を凝らす。
後ろの集団に向かって叫ぶ
「見えました。」
そこに、グレー色の機体に白波とマーキングされ緑のラインされた機体が飛んで来ているのが見える。
「白波だ、昨年度に開発された最新鋭の戦闘機だな」
「攻守の守を担う戦闘機か~俺も乗りて~」
同じく、グレーの機体に浜風とマーキングされ赤のラインが入った機体も、みえる。
「浜風もか、でけえ~二連砲」
「これが攻守の攻の機体だな」
ロゴだけのマーキングされたラインが無い機体からなる編隊が護衛
「この機体がカンパニーの最新鋭の無人機・ドローン戦闘機か」
「この三種の機体で、連携をとるのか」
三種の護衛戦闘機に護衛された
青のワンポイントが入ったダークグレーから黒色へグラデーションが印象的なジェット機が滑るよう滑走路入り地上に優雅に降り立った。
「主役のご登場だな、カンパニーの代表が乗った機体だ」
「この機体は、アクアでも、専用機として採用されている機体だ」
「無駄話は、そこまでだ、車を回せ、出迎えるぞ」
ドアを開けて、車へ乗り込んだ
「了解」
一団が車に乗り込み、移動する。
先程のジェット機の機体の尾翼には、ブルーウォーターズカンパニーの紋章がマーキングされている。
「ジェットの着陸を確認、これより、着陸する」
上空を旋回していた戦闘機のパイロットがジェット機の着陸を確認した後に、機体を着陸態勢へと切り替えた
ジェット機が着陸して、数分もしない内に、護衛の戦闘機がゆっくりと、基地の滑走路に着陸した。
戦闘機のパイロットがキャビーから見つめる視線の先に、ジェット機が見える。
「現在も周囲に異常なし、監視を継続する」
ジェット機の後部のハッチが開き、同時に中から、タラップが降りて来る。
そのタラップを降りて来る人物が、この一団が出迎える為に待機していた理由である。
黒の上着を着た若い男がゆっくりと降りて来る。
この男こそ、ブルーウォーターズカンパニーの旗艦、ブルーウォーターの艦長である。
淡い青いドレスに身を包んだ、長髪の美しい女性を連れている。
彼女の立ち振る舞いは、まさに、完璧である。
仕草や作法などの全ての動作が優雅であり、全ての基本を完璧に行っている。
彼女は、ベガと同じく、ブルーウォーターのバイオロイドである。
二人がタラップが降り終わる前に、数台の車両がジェット機の周りに、横付けされた。
その中から、男が現れ
「ようこそ、天月艦長、お待ちしていました。」
数人の軍服を着た軍人を引き連れた若い男
「ユーナ・志乃政務官」
この若い男は、アクア王国政府の政務官である。
「王宮へ、お連れ致します。」
「直々に、お出迎えとは、毎度の事ながらご苦労」
「いえ、カンパニーの代表者を無下に扱っては、アクア王国政府の名が廃ります。」
案内されるままに、二人は、車に乗り込む
車に乗り込むなり、天月の表情が崩れた。
「王国はどうたった?」
「変わりはありません、式典の関係で、ごたついていますが」
顔を見るなり、ニヤつく
「相変わらず、人前とギャップが凄いですね。」
あ~っと言った感じに答える
「仕方ないだろ、ノアや国王がうるさいし」
そこで、ビシッりとアオイが告げる。
「当たり前です。我が社のトップがそんなのでは、困ります。」
ほら、きたと言わんばかりの表情でうなだれる
「だとさ、困ったもんさ」
どうよ、これ、っといた感じだ
「何で、トップになんてなったかな~」
何言ってるですか?っと言った感じに、即座に、口を開く
「あなた以外に、我が社のトップは、務まりませんし、認めるわけには参りません。」
その会話をやれやれ、と腕時計を見つめた後に、新しい話を切り出した
「それは、そうと、お聞きになられましたか?」
うん?って感じで
「何をだ?」
「今回の式典には、ベルノとサイナの二カ国が参加を表明したらしいですよ」
表明はまさに、まさか、と言った感じだ
「本当か、ノア」
瞬きをせずに、目を見開き、何かを覗き込むような視線を空中に送る
BWのノアのメインサーバーがユグドラシルネットワークを通じて、アクア王国政府にアクセスを申請している
「しばし、お待ちを」
時折り、髪飾りの珠が点滅する。
王国政府のサーバーから申請が許諾され
アクアのサーバーがロックが開かれる
アクアのデータの一覧が表示される、項目を素早く閲覧してチェックしていく
「現在、確認中です」
必要なページを見つけ出した
リストが現れる
しばしの沈黙後、口を開いた。
「ユグドラシルネットワークを通じて、我が社からアクア王国政府のメインバンクの記録を確認しました。事実で間違い無いようです。」
「…そうか」
そんな会話が行われている車は王宮へと続く主要道路を通り、アクア王国の王立の学園都市を通過した。
通学時間帯のため学生たちが寮から登校して行く
「学園か、いつの時代も若者は、変わらないな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おはようございます」
「朝のニュースの時間になりました」
「7月23日月曜日の朝の7時です」
「本日も先日に引き続き式典に関係するニュースを中心にお伝えします」
いつもの朝の給餌の最中の会話だが、今回は、ちょっと違うようだ。
「式典になんでも、カンパニーの偉い人がでるらしいのよ」
話し相手のオバちゃんが振り返る。
「そうなの?」
横目で見ながら、話をする。
「ほら、次のニュースで、出るんじゃないの?」
食堂に設置されたテレビの画面のニュースを見た
ニュースキャスターが次のニュースを紹介しようとしていた
『続いて次のニュースです。』
『先程、番組の冒頭でも紹介しましたが、』
『アクア王国で、開催される予定の慰霊式典に、カンパニーの旗艦の艦長とアクアの特使の代表を兼任する。天月代表が参加される方針を表明し、本日、アクア王国へ帰国されました。』
「珍しい事もあるもんだよ、カンパニーの代表は、式典にも、中々参加されない位忙しい方なのに」
「そうなの?」
「今回はどうしたんだろね?」
「それは、今回の式典が特別だからじゃない?」
『天月代表は、王都である青葉府のホーネット基地に専用機で到着され、式典に先立ち、本日中にも、アクア王国国王との会談を行われます。』
「それは、そうとあの子達は?」
「鋼は、大丈夫でしょうけど、ミクは、あの調子じゃまた遅刻でしょう」
布団の中の少年が布団を蹴飛ばした。
「またかい?毎度毎度そそっかしいね」
「またいつもの夢見が悪いんでしょう」
「まだ、あの頃の事を夢を見るのかね」
無言のまま、椅子に座った。
「おはよう鋼。」
無言のままパンを囓りながら、頷く。
「鋼くん相変わらず、寝起きが悪いね。」
カップを棚から、取り出してポットから注ぐ。
「けど、あいつよりマシでしょう」
カップを手にしたまま、歩きながら話す。
「鋼は、時間通りに起きと来るし」
カップを鋼の前に出す。
そのやりとりを見聞きしながら、作業していた
オバちゃんが、時計を見上げて、時刻を確認した。
「あっそろそろ、支度をした方がいいじゃないかい?」
エプロンを外しながら、時計を見るといつもの頃合いだった。
「そうですね。」
しばらくして、
「やべえ!!遅刻だ!!」
階段をドタバタと音を立てながら、降りてくる。
「また、遅刻かい?相変わらずだね。」
まったく呆れた、と言った表情で、朝の給餌の片付けをしているオバちゃんが牛乳の入れ物を投げる
「あの子達は先に行ったよ」
慌てて、牛乳を、飲み干し、容器をカウンターへ返した。
口の端しから牛乳が垂れている。のをオバちゃんが拭く
「オバちゃんごめん!!」
お礼を言って鏡を見ている
「あんたは、いくら起こしに行っても、無駄だからね~」
2、3人のオバちゃん達が、作業しながら笑っている
時計を見て、さらに焦りながら、支度をするが
「時間が無いから、このまま行くわ!!」
「ちょい待ち!!パンだけでも持って行きな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
場面が車列の中に再び戻り
車内から眺める。
一団の後数百メートル先の寮の入り口から口に咥えたまま、慌てて、走る少年がいる
「そうですね。私も学園生活を思い出します。」
目をつむり、思い出に浸る
「そうか、君もこの学園の出身か」
「ええ、もうかれこれ、20年以上前になります。」
何処か遠くを見つめる
今通り過ぎた、アクア王国王立学園都市は、自国だけではなく、他国の生徒が寮生活を送りながら、各学問の専門分野を学ぶ事が出来る有数な学園都市である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
再び、ジェット機が降り立った空港
走り去った後
戦闘機の前後のキャビーが開き中から
2人アクアの地に降り立った。
二人の少年で
一人は銀髪の150センチくらい
もう一人は、黒髪の165センチくらい
「艦長達は、予定通りに、既に王宮へ向かった」
パイロットの一方の一人は、既にヘルメットを外している
操縦席から2人の少年に向かって叫ぶ
「式典中の艦長達の警護頼むぞ」
片方が振り返り手を当てて叫ぶ
「分かってます」
最後に、女性が降り立った。
出で立ちが異様だ
服装も普通の服だ
ヘルメットはおろかスーツすら着ていない
そして、彼女の戦闘機には、パイロットが登場して居ない
「お二人は、機体の整備をお願いします。整備が終了後は、この基地で待機していて下さい。定期連絡で状況をお伝えします。」
「了解、では、お気を付けて」
アクア王国
それが、その国の名前だった。
そのアクア王国は、今、ある特別な式典へ向けて準備を行っている。
アクア王国本島
それは、アクア王国を治める王が住まう王宮内も、例外では無い。
王宮には、アクア王国国旗と共に、アクア王国軍の軍旗が掲げられ、時折吹く風にその旗が揺るれている。
吹く風の波ではためき見え隠れする、アクア王国の軍旗には、ある紋章が施されている。
青と白の十字架の二重の十字が刺繍された紋章である。
白の十字架は中立国の紋章であり、
×に交差する二本の青は、自由と平和を表す、
世界に対し中立の名の下に、自国の自由と平和を維持し、国民の誇りを持て理念を貫き続ける。
アクア王国の理念の象徴である。
自由と平和を守る中立勢力としての紋章である。
王宮内を警護する軍人の服は通常は、アクア王国の軍服であるが、現在は、通常の軍服とは違う服を身に纏っている。
コレは、アクア王国軍の礼服である。
アクア王国軍の礼服には、複数の刺繍が施されている
腕章の紋章、玉座に左右に騎士、刺繍された絵柄の騎士の剱の位置で意味が変わる。
トップクラス上級士官クラスになると、腕から胸まで紋章の刺繍や装飾が施されている礼服を羽織る事となる。
抜刀されようとする剱・王国軍
頭上で交わる剱 ・王国守護隊
掲げられた剱 ・軍司機関
枝葉の数・階級
蕾み、花・功績、勲章
実や果実・称号
王冠・王室特務機関などが区別出来るように施されている。
先も言った通り、アクア王国は、現在ある式典の準備を行っている。
式典中はもちろんの事であるが、式典の準備期間も礼服を身に纏う事が、義務付けられている。
ふと上を見上げて
「今日はいい天気だな」
そう言われて、見上げた
「この所の雨が嘘のようですね。気候が安定して来ています。」
「雨季が終われば、式典だ忙しくなる」
見上げた先の天窓から、まばらに雲が浮かぶ青空が広がっていた。
青空には、地球ならば、あって当然のものがなかった
全ての生命に恩恵を耐える根源とも言える、太陽が無いのである。
太陽があるはずの位置には、無数の光の点で構成された光源があるのみである。
この星の昼を照らすのは本物の太陽では無い
偉大なる集合収束型光源システム"八咫の鏡"である。
この星系の恒星の太陽光を反射し収束させることで
この星に人為的に太陽光を照射し太陽の恩恵を受けている
「今回の式典は、特別ですからね。皆、意気込んでいますよ。」
その光源の側の空は、昼間だというのに薄く巨大な構造体の影が浮かぶ
「珍しくあの男が降りて来るそうだ」
「彼が式典に来るのは、いつ以来でしょうか?」
「……。」
目を閉じ、記憶の彼方を見るように沈黙したが
「…さあ、忘れてしまったよ」
思い出しても仕方が無いと言った風にため息をついた。
「それと、今回の式典には、例年以上のが参加を表明されています。」
執務室の大広間の大型スクリーンに参加を表明している国家とそののリストが表示された
「十年ぶりに参加するベルノ公国を始め、王族暗殺事件後事実上外交が断然していたサイナ王国などが参加を表明しています。」
その言葉を聞いた瞬間表情が暗くなる
「サイナとベルノか」
つぶやくようにそう言った。
「現時点から入国管理局の警戒レベルをLevel.3より、Level.6へのレベルアップをアクリスへ要請、国内でのテロへの警戒を強化する」
「一個師団の警備艦隊にアクア第2都市第二方面軍の一個艦艇を派遣して警戒レベルを増強、所属不明の艦艇及び旅客機のアクア王国境界線第三ラインで阻止せよ」
「それとカンパニーへ連絡、警戒体制の確認を要請してくれ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
アクア王国のはるか彼方の上空に、その巨大な船体が浮かび
母星の周囲の宇宙空間に影を落とす
先ほどのアクアの空に薄く浮かび上がっていた物体
広域星間公益会社・ブルーウォーターズカンパニーの旗艦である。
青い船体の艦首の両脇と巨大な艦橋があるブリッジの前方の甲板に、艦名が白淵の黒でデカデカとBWCと書かれた脇に小さくブルーウォーターと、刻印ペイント型のホログラムを用いて、アクア王国の主要言語の日本語のカナ文字と英文字で表記されているが、時折、別の言語へ変換されて表示されている。
その巨大な船体の内部へ視野を移すと、巨大な構造体から突き出た、この箱舟のブリッジがある。
その内部は、展望室兼食堂街と言ってもいいだろう、その食堂街の店舗には、BWCの文字が刺繍されたワッペンが付いた調理帽と制服に身を包んだ売店員が同じく、ワッペンが付いた制服に身を包んだ船のクルーに、食事を提供している。
展望室兼食堂街の下には、この箱舟の心臓部と言える制御系統が集約される司令室がある。
分厚い装甲帯を抜けて、ブリッジの第一艦橋の内部を見ると、計器や船の航行に必要な機材で埋め尽くされた。
その中で、シートに座り作業をする数人のクルーの姿が見える。
停泊中とは言えど、巨大な船体のわりに、要員の数が圧倒的に少ない印象がある。
が、業務がこなされて行く所を見ると、そうでも無いらしい。
指揮するのは、艦長のシートを背に背を向けたまま立つ女性である。
彼女は、この箱舟の副長である、その彼女の指示に従いて業務をこなす艦橋要員が忙しなく動き続けている。
「今日から艦長たちは、首都に降りてて、居ないから、何かあったら直ぐに、動かせるようにするのよ」
その言葉を聞いて、絶句して、文句を垂らす。
「いくら何でも、私たちだけじゃ無理ですよ~」
「そうです、艦長とアオイさんが居ないのに」
それを聞いて、副長である彼女が、ビシッと言う。
「何言ってるの、現に今、ベガが、ここに居るでしょが」
BWCの刻印が入ったピンバッジの着いた制服に身を包んだ男を指差す
「自分の仕事サボるんじないの」
「は~い」
「副長アクア王国政府より電信が入っています」
「こっちのモニターに出して」
この巨大な船体を制御するのに、この時代においてもかなり高度な技術が使用されている
それは、択一されたシステムで、巨大かつ緻密な構造体
それを全て寸分の狂いもなく完全に制御出来る。
この舟の心臓と言える二つの人工頭脳
メインコンピュータ
二つのメインコンピュータをもちいた
ノアズ・アークシステム
高性能な次世代式の人工知能
"No.Zero-1ノア"と"No.Zero-2アーク''が統括し船の統制機能を管理している為である。
「ベガ、補給作業と補機チェック作業の進捗状況はどう?」
うなずき、モニターに目をやると途端に、作業の進捗状況などの情報が次々に、モニターに表示された。
「アクアの警備強化の影響を受けて、補給作業が式典中まで、ズレ込みそうです」
二つのタイムスケジュール表が予定と現行の状況
現行のタイムスケジュール表に、赤い表示が目立つようだ。
この事から、補給作業の進捗状況が予定よりも、遅れている事を示している
「そう」
「ですが、補機のチェック作業は、予定通りに進んでいます。」
このベガは、この箱舟のメインコンピュータ、ノアに直結されたバイオロイドである。
「先行している三基のチェック作業は、既に完了しています、現在最終動作確認中です」
「後行で進行予定の二基のチェックは、先行の補機の最終動作確認が終了を確認次第、順次開始します」
「よって、式典終了の翌日、明朝午前4時には、チェックが必要な補機のチェック作業は、全て完了します。」
ベガの使っていたモニターによる、作業の操作を停止した。
副長に顔を向けた。
「副長、艦長が予定通り無事に、ホーネット基地に、到着した。との護衛機より、報告を受信致しました。」
舟の時計がAM7:02になった。
「そう。」
舟の時間よりも少し時間を遡る
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アクア王国、本島の東島に極めて広大な施設がある。
ここは、アクア王国の王国軍の主力基地、ホーネット基地である。
腕時計を見た、時計の時刻が6:45になろうとしていた。
「間も無く、到着するはずです」
前方の空に煌めきを見つけて、目を凝らす。
後ろの集団に向かって叫ぶ
「見えました。」
そこに、グレー色の機体に白波とマーキングされ緑のラインされた機体が飛んで来ているのが見える。
「白波だ、昨年度に開発された最新鋭の戦闘機だな」
「攻守の守を担う戦闘機か~俺も乗りて~」
同じく、グレーの機体に浜風とマーキングされ赤のラインが入った機体も、みえる。
「浜風もか、でけえ~二連砲」
「これが攻守の攻の機体だな」
ロゴだけのマーキングされたラインが無い機体からなる編隊が護衛
「この機体がカンパニーの最新鋭の無人機・ドローン戦闘機か」
「この三種の機体で、連携をとるのか」
三種の護衛戦闘機に護衛された
青のワンポイントが入ったダークグレーから黒色へグラデーションが印象的なジェット機が滑るよう滑走路入り地上に優雅に降り立った。
「主役のご登場だな、カンパニーの代表が乗った機体だ」
「この機体は、アクアでも、専用機として採用されている機体だ」
「無駄話は、そこまでだ、車を回せ、出迎えるぞ」
ドアを開けて、車へ乗り込んだ
「了解」
一団が車に乗り込み、移動する。
先程のジェット機の機体の尾翼には、ブルーウォーターズカンパニーの紋章がマーキングされている。
「ジェットの着陸を確認、これより、着陸する」
上空を旋回していた戦闘機のパイロットがジェット機の着陸を確認した後に、機体を着陸態勢へと切り替えた
ジェット機が着陸して、数分もしない内に、護衛の戦闘機がゆっくりと、基地の滑走路に着陸した。
戦闘機のパイロットがキャビーから見つめる視線の先に、ジェット機が見える。
「現在も周囲に異常なし、監視を継続する」
ジェット機の後部のハッチが開き、同時に中から、タラップが降りて来る。
そのタラップを降りて来る人物が、この一団が出迎える為に待機していた理由である。
黒の上着を着た若い男がゆっくりと降りて来る。
この男こそ、ブルーウォーターズカンパニーの旗艦、ブルーウォーターの艦長である。
淡い青いドレスに身を包んだ、長髪の美しい女性を連れている。
彼女の立ち振る舞いは、まさに、完璧である。
仕草や作法などの全ての動作が優雅であり、全ての基本を完璧に行っている。
彼女は、ベガと同じく、ブルーウォーターのバイオロイドである。
二人がタラップが降り終わる前に、数台の車両がジェット機の周りに、横付けされた。
その中から、男が現れ
「ようこそ、天月艦長、お待ちしていました。」
数人の軍服を着た軍人を引き連れた若い男
「ユーナ・志乃政務官」
この若い男は、アクア王国政府の政務官である。
「王宮へ、お連れ致します。」
「直々に、お出迎えとは、毎度の事ながらご苦労」
「いえ、カンパニーの代表者を無下に扱っては、アクア王国政府の名が廃ります。」
案内されるままに、二人は、車に乗り込む
車に乗り込むなり、天月の表情が崩れた。
「王国はどうたった?」
「変わりはありません、式典の関係で、ごたついていますが」
顔を見るなり、ニヤつく
「相変わらず、人前とギャップが凄いですね。」
あ~っと言った感じに答える
「仕方ないだろ、ノアや国王がうるさいし」
そこで、ビシッりとアオイが告げる。
「当たり前です。我が社のトップがそんなのでは、困ります。」
ほら、きたと言わんばかりの表情でうなだれる
「だとさ、困ったもんさ」
どうよ、これ、っといた感じだ
「何で、トップになんてなったかな~」
何言ってるですか?っと言った感じに、即座に、口を開く
「あなた以外に、我が社のトップは、務まりませんし、認めるわけには参りません。」
その会話をやれやれ、と腕時計を見つめた後に、新しい話を切り出した
「それは、そうと、お聞きになられましたか?」
うん?って感じで
「何をだ?」
「今回の式典には、ベルノとサイナの二カ国が参加を表明したらしいですよ」
表明はまさに、まさか、と言った感じだ
「本当か、ノア」
瞬きをせずに、目を見開き、何かを覗き込むような視線を空中に送る
BWのノアのメインサーバーがユグドラシルネットワークを通じて、アクア王国政府にアクセスを申請している
「しばし、お待ちを」
時折り、髪飾りの珠が点滅する。
王国政府のサーバーから申請が許諾され
アクアのサーバーがロックが開かれる
アクアのデータの一覧が表示される、項目を素早く閲覧してチェックしていく
「現在、確認中です」
必要なページを見つけ出した
リストが現れる
しばしの沈黙後、口を開いた。
「ユグドラシルネットワークを通じて、我が社からアクア王国政府のメインバンクの記録を確認しました。事実で間違い無いようです。」
「…そうか」
そんな会話が行われている車は王宮へと続く主要道路を通り、アクア王国の王立の学園都市を通過した。
通学時間帯のため学生たちが寮から登校して行く
「学園か、いつの時代も若者は、変わらないな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「おはようございます」
「朝のニュースの時間になりました」
「7月23日月曜日の朝の7時です」
「本日も先日に引き続き式典に関係するニュースを中心にお伝えします」
いつもの朝の給餌の最中の会話だが、今回は、ちょっと違うようだ。
「式典になんでも、カンパニーの偉い人がでるらしいのよ」
話し相手のオバちゃんが振り返る。
「そうなの?」
横目で見ながら、話をする。
「ほら、次のニュースで、出るんじゃないの?」
食堂に設置されたテレビの画面のニュースを見た
ニュースキャスターが次のニュースを紹介しようとしていた
『続いて次のニュースです。』
『先程、番組の冒頭でも紹介しましたが、』
『アクア王国で、開催される予定の慰霊式典に、カンパニーの旗艦の艦長とアクアの特使の代表を兼任する。天月代表が参加される方針を表明し、本日、アクア王国へ帰国されました。』
「珍しい事もあるもんだよ、カンパニーの代表は、式典にも、中々参加されない位忙しい方なのに」
「そうなの?」
「今回はどうしたんだろね?」
「それは、今回の式典が特別だからじゃない?」
『天月代表は、王都である青葉府のホーネット基地に専用機で到着され、式典に先立ち、本日中にも、アクア王国国王との会談を行われます。』
「それは、そうとあの子達は?」
「鋼は、大丈夫でしょうけど、ミクは、あの調子じゃまた遅刻でしょう」
布団の中の少年が布団を蹴飛ばした。
「またかい?毎度毎度そそっかしいね」
「またいつもの夢見が悪いんでしょう」
「まだ、あの頃の事を夢を見るのかね」
無言のまま、椅子に座った。
「おはよう鋼。」
無言のままパンを囓りながら、頷く。
「鋼くん相変わらず、寝起きが悪いね。」
カップを棚から、取り出してポットから注ぐ。
「けど、あいつよりマシでしょう」
カップを手にしたまま、歩きながら話す。
「鋼は、時間通りに起きと来るし」
カップを鋼の前に出す。
そのやりとりを見聞きしながら、作業していた
オバちゃんが、時計を見上げて、時刻を確認した。
「あっそろそろ、支度をした方がいいじゃないかい?」
エプロンを外しながら、時計を見るといつもの頃合いだった。
「そうですね。」
しばらくして、
「やべえ!!遅刻だ!!」
階段をドタバタと音を立てながら、降りてくる。
「また、遅刻かい?相変わらずだね。」
まったく呆れた、と言った表情で、朝の給餌の片付けをしているオバちゃんが牛乳の入れ物を投げる
「あの子達は先に行ったよ」
慌てて、牛乳を、飲み干し、容器をカウンターへ返した。
口の端しから牛乳が垂れている。のをオバちゃんが拭く
「オバちゃんごめん!!」
お礼を言って鏡を見ている
「あんたは、いくら起こしに行っても、無駄だからね~」
2、3人のオバちゃん達が、作業しながら笑っている
時計を見て、さらに焦りながら、支度をするが
「時間が無いから、このまま行くわ!!」
「ちょい待ち!!パンだけでも持って行きな」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
場面が車列の中に再び戻り
車内から眺める。
一団の後数百メートル先の寮の入り口から口に咥えたまま、慌てて、走る少年がいる
「そうですね。私も学園生活を思い出します。」
目をつむり、思い出に浸る
「そうか、君もこの学園の出身か」
「ええ、もうかれこれ、20年以上前になります。」
何処か遠くを見つめる
今通り過ぎた、アクア王国王立学園都市は、自国だけではなく、他国の生徒が寮生活を送りながら、各学問の専門分野を学ぶ事が出来る有数な学園都市である。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
再び、ジェット機が降り立った空港
走り去った後
戦闘機の前後のキャビーが開き中から
2人アクアの地に降り立った。
二人の少年で
一人は銀髪の150センチくらい
もう一人は、黒髪の165センチくらい
「艦長達は、予定通りに、既に王宮へ向かった」
パイロットの一方の一人は、既にヘルメットを外している
操縦席から2人の少年に向かって叫ぶ
「式典中の艦長達の警護頼むぞ」
片方が振り返り手を当てて叫ぶ
「分かってます」
最後に、女性が降り立った。
出で立ちが異様だ
服装も普通の服だ
ヘルメットはおろかスーツすら着ていない
そして、彼女の戦闘機には、パイロットが登場して居ない
「お二人は、機体の整備をお願いします。整備が終了後は、この基地で待機していて下さい。定期連絡で状況をお伝えします。」
「了解、では、お気を付けて」
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