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第五章 都市旅行の魔力

【生産都市】溢れ出す興奮と動き出す歯車4

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 今回は深夜に書いたので色々おかしいです。前のグールがクラウチングスタートするところや急にカードゲームし出すのも深夜に書いたからです。
 深夜の私よ、なんでこんなの書いたし……となること間違いなしなので皆さんも深夜に書くのはやめましょう。




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 さまざまな道具が並ぶ体育館並みの広さがある道具屋にて氷結爆弾買いに来たカルマとランは値段を見て驚愕する。

「一万……武器にしては安いけど消耗品にしては高いな」

「広範囲攻撃で属性付き、まぁ妥当ですね」

「そうか?」

 カルマはインベントリ内にある不要なものを売り払っていく。生産都市出発前に狩った狼素材だがたった3時間程度しか狩っていないために数万程度に収まる。
 元の手持ちと合わせて20万ほど、ユリから預かったものも合わせ、合計50万となる。

「50もあれば足りますかね?」

「仮に一回の戦闘で一個使っても50回はいけるだろうけどさ、あの洞窟って戦ってる時、かなり音が響いてたじゃん。きっとかなり広いと思うんだよね」

 ランの言葉を聞いて売却画面を見つめる。すると懐かしいものを発見してしまう。
 カルマにとっては正直とても、全くもっていらないため、売却の選択肢に入れた。
 そして売ると“それ”以外のものはしっかりと売却できた。

「それを売るなんてとんでもない!」

 そう言って店員は両手を伸ばしてそれはダメと首を振る。

「へ?」

 気のせいかと思って気を取り直してもう一回売却を選択する。

「それを売るなんてとんでもない!」


「……いつからここは竜殺しの依頼的な世界になったんですか?」

「いつもは普通の人間みたいに対応する住人が今は昔のRPGみたいだ」

 関心してるランを横に少しカルマの悪戯心がくすぐられ、カルマは目を輝かせながら売却ボタンを連打する。
 すると店員は壊れたラジオのように同じ言葉を繰り返し、同じ動作をする。

「そ、そ、そ、そ、そ、そ、sssssssssss」

「ぶふっ! やめ、やめてくれ兄貴。こ、これは卑怯くふふふ」

「ま、まさか本当に、こ、こうなるとはくふっ!」

 まるで音声付きのキャラを連打して遊んでいるかのようである。しかも目の前で普通の人が金魚のように口をパクパクさせ、首をガクガクさせながら手を伸び縮みさせるのだ、それが彼らのツボにはまったらしい。

「ひぃ、はぁはぁ……ふぅ、笑い疲れた」

「ッ~~~ふぅ、いやぁ笑い死ぬかと思いました」

「もう、兄貴やめてくれよ」

「ごめんごめん」

 和気藹々と笑い合っていると店員の方に視線が向いているカルマが異変に気がつく。

「ん?」

「どうした兄貴?」

「いえ、さっきまで営業スマイルを浮かべてた店員が無表情で直立してるのが気になりまして」

「……兄貴が遊んだから怒ったんじゃないの?」

「さすがにそれは……」

 突然、首筋にピリピリとした嫌な感覚がカルマに走る。ランの首を無理矢理下げて自分も伏せ、ランが突然なことに文句を言おうとした矢先、破裂するかのような大きな音と光が頭上から放たれる。
 驚いて上を見ると先程までカルマとランが喋っていた場所に煙の立つ拳銃を向けている店員がいた。
 その目はとても無機質で、人のするような目には見えなかった。

「な、なんで住人がこっちに向けて発砲を!?」

「わ、分かりませんよ」

「やっぱ兄貴の行動に怒ったのか!? 痛っ!」

 そんなことを言っているランの足を銃弾が貫く。一歩踏み出す体制だったランにとってそれは致命的なものでバランスを崩して転んでしまう。

「ランッ!」

 何も感情の浮かばない冷たい目で拳銃の引き金をまた引こうとする。その狙いは頭部、立ち上がろうとするランに向けていた。
 カルマは転んでいるランの腹をホールドし、回転しながら投げ飛ばす。

「どわっ!?」

「ぐっ!」

 カルマの太ももにランが受けるはずだった弾丸を受ける。転びそうになるところにむしろ勢いを加速させ、受け身を取りつつ商品棚のところまで転がる。
 ポーションを飲むカルマにやはりあの行動が原因だったのだろうかという考察が浮かぶもここは既に戦場、そんなことを考える暇はない。

「ありがとう、兄貴」

「ええ、それよりもッ!」

「ッ!」

 何かが落ちる音がする。
 それは手榴弾の形をしたもので──そのことを認識したランは急いでその場から逃げようとするが無慈悲にも爆発し、背中から打ち付けられる形となった。
 カルマこそ縮地でなんとか逃げ出せたが爆発ダメージを少し受けてしまったらしい。
 這うようにまた商品棚に隠れて手榴弾への警戒として“見えざる盾”でカルマ達と商品棚を膜のように覆う。

「な、なんなんですかあれ!?」

「んぐんぐ、ぷはぁ……もう少しで死ぬところだった」

 突如として起こった店員の暴挙に混乱するカルマと死ぬところだったと冷や汗をかくラン。束の間の休息だがないよりはマシだった。
 また手榴弾を投げてくる前に素早く作戦会議を行う。

「あれ、店員に攻撃していいと思う?」

「ダメでしょう。都市内では武器を抜くだけでもムショ入りですからね。ここも都市内の範囲内です。」

「攻撃はダメか、なら」

 ちらっと入り口を見る。どうやら逃げるということだと判断したカルマは頷くとランに見えるよう3本の指を立てて折っていく、0本になったところで──

「GO」

 ──と小さく合図を出して駆け出す。いくらなんでも動いている相手に銃を当てるのは難しいだろうとの判断だ。時折、発砲音が鳴るがカルマとランが当たることはない。
 どうやら目論見どうり、当てるのが難しいようだ。

「このまま突っ切ります!」

 入り口との距離、残り20メートル。このまま入り口に到着出来るかと思い始めた残り15メートルで発砲音が変化する。
 連続して鳴り響く発砲音とそれに伴うフラッシュ。
 突っ走りそうになるランの襟を掴み静止させてまた商品棚に隠れる。
 カルマが見ると店員はアサルトライフルを持っていた。あと少しというところでまさかの自動小銃だった。

「質がダメなら数で押せと……中々にキツいことをしてきますね。」

「実際、行先に弾を撃たれたら止まるしかないし、立ち止まった瞬間、蜂の巣だから有効すぎるな」

 おまけに“見えざる盾”も相性が悪く、カルマの持つ一度だけ攻撃を避けられる“陽炎”も数には相性が悪すぎる。
 どんな達人でも囲まれれば無力な通り、強力な一であったとしても打数には勝てない。多勢に無勢とは正にこのことだった。

「なぁ兄貴、前の館で縛りつけたことあるじゃん。」

「言い方が悪いですね。なんか悪いことしたみたいじゃないですか。」
 
「……んで、それ使えないかな?」

 つまりは店員を拘束して攻撃を出来なくさせることは出来ないか?ということだった。

「…………いえ、無理そうです。」

 そのことに関する掲示板を眺めたが無理との結論が出た。とあるプレイヤーが住人を攫ってみたらどうなるんだろうという知的好奇心からやってみたことなのだが結論から言ってしまえば無理だった。
 目隠しをつけることもできず、睡眠薬も効かず、挙げ句の果てに拘束も出来ないことから住人に干渉は出来ないということになった。
 ただ住人が了承したことならばできるとのことが後から分かったのだとか。

「……その犯罪者予備軍のおかげで無理って分かったのはいいけど、本気でどうする?」

「もう、“見えざる盾”にSP全てを注ぎ込んで走った方が楽な気がしてきました。」

「いやそれただのゴリ押しじゃん……とは言うものの他に案も思いつかないんだよなぁ」

「やりますか?」

「やるかぁ」

 一見馬鹿げた作戦だが実際、脳筋がやることなのでその通りである。“見えざる盾”には小さくすればするほどに耐久が上がるというものとSPを補給すれば耐久を増やせると言う特性を持っている。
 それを利用してランがカルマを背負い、カルマはSPポーションを飲みまくり耐久を回復させてランはそれまでに入り口へと辿り着くというもの。
 入り口までは商品棚がないため、かなり危険だがそれ以外に出来ないため、愚直に突き進むことになった。

「んぐんぐ、この味がキツい」

「頑張って……くれよ、盾が無かったら……数秒で死ぬから」

 ずっとアサルトライフルの発砲音とフラッシュが響き渡る。走る前に貯めておいた耐久は凄まじい勢いで溶けていき、カルマはポーションを飲みまくることになる。
 苦い丸薬も沢山口に含んでいて、とても甘いポーションが合わさり、とんでもない味の緩急を味わっている。

「うぅ、気持ち悪い」

 残り5メートルというところで手榴弾が投げられて一気に耐久が擦り減る。残り耐久は41というところ、そこにアサルトライフルでの追い討ちでさらに減っていく。
 カルマがポーションを飲んで耐久を増やすが確実に減っていっている。

「あ……ヤバいポーション切れた」

「はぁ!?」

 そしてポーションの在庫切れ。もはや絶体絶命かに思われるが……。

「クソッタレ! “身体強化”!!」

 温存していた“身体強化”を切り、一層速くなり扉はもう眼前に迫るがランの勢いは止まらずに──

「どぉりぁぁぁ!!!!」

 ドゴンッ!

 なんと頭突きをして扉をこじ開けると言う暴挙に出た。凄まじい音と共に扉は開き、けたたましい発砲音ではなく騒がしい喧騒が耳に入る。

「ひ、ひっさしぶりにこんな本気で走った……」

「本気で死ぬと思ったのは久しぶりですね……」

 なんとか二人とも店からは抜け出せたようだった。
 少し気になり、扉の開いている店内を恐る恐る覗くと不思議なことに銃で空いた穴などはなくなっており、手榴弾の爆発で床に空いてもいない。
 商品棚も倒れておらず、入店した時と同じ状態となっていた。
 店員も入ろうとしたカルマ達に「いらっしゃいませ」と普通に接客をしてくる。先程の無機質な目で銃を撃ってきた人とは思えないほど感情に溢れており、さっきまで夢を見ていたのではとまで思ってしまうほどだった。

 不思議に思いながらも帰ろうとするカルマとランだったが氷結爆弾を買い忘れていたことに気が付いて慌てて元の道を戻って行った。


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【スケジュール】
4月14日18時以降

【ニャルの語り】

 んー? 店員がバグるなんて……あれ、これってイレギュラーか。
 最近多いなぁ……っとやほやほニャル様だぞ?

 今日は質問来てるので返しとくよ。

@にゃるさん「にゃる様、タイプミスの神様と乱数の神様と計算ミスの神様をけして下さい、そしたら信者になるよ(いつとは言っていない)」

 タイピングミスと、乱数、計算ミスか……ボク、乱数の神なら知ってるよ。ダイスの女神て言うんだけどね。
 さっき作者が「お願いです。ダイスの女神様、クリティカルを出して下さい」と言ってダイスを振ったら97、つまりはファンブルが出たよ。悲しいね。

 神を消すのは中々に難しんだよ? 神って精神世界にある器的なのが本体なんだけどそれ壊すのがとてつもなく大変なんだよね。
 器の中に溜まっている力で抵抗してくるし、精神世界だから基本何でもありってことで面倒くさいんだよね。
 あとボクの信者になりたいなら前にも言った気がするけどどっかの宗教団体に入れば大抵がボクの信者だからね。気にせず入ってくれたまえ。

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