悪役令嬢のビッチ侍従

梅乃屋

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本編

25:ムラムラしたので

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 色々あったが取り敢えず離宮へ戻り、強引にリディも白百合宮へ帰した。

 俺も少々疲れたので帰らせてもらおうとしたがそうもいかず、リディの突飛な発言を尋ねられた。

「どう思う?」

 ルシャードにそう訊かれてもどう答えて良いか悩む。
 何せ彼女の頭の中は全てゲームの世界だ。
 俺もそれを説明するには自分が転生者であることから説明しないといけないし、そもそもそれを誰かに喋る気はない。
 俺の場合明かした処で意味がないからな。何せチートもスキルもないただの顔の良い性欲旺盛な平民だし。

「リディ様の発言ですよね。まるで見て来たかのような話でしたが、やはり夢見の力でもあるんでしょうかね?」
 この際夢話にシフトしてやろうと誘導してみた。

「私もそう考える方が混乱せずに済む。しかもかなり具体的な話の内容だったが密輸関係は私の管轄ではない」

 あ、そうなんだ?
 密輸組織は俺が弱体化させた事によって今はもうないし、あったとしてもボスの組織ではないので放置で良いだろう。

「リディ様の夢見は、当たり外れが大きいようですね」

 夢占い的な発想で答えると、ルシャードは少し考えヴィラードと視線を交わす。
 何かある時必ず彼はヴィラードに視線を送る。どういった経緯で彼を起用しているのかは知らんが、かなり信頼しているのだろうと感じた。

「そうかもしれん。それにリディ嬢に関してそこまで深く考える必要性もないような気がして来た…」

 そう!
 それが正解だ!

 彼女はスパイでも何でもない、ただのハピエン厨だからな。それだけは断言できる!

「それより今日は色々助かった。セブがいてくれたお蔭で討伐も円滑にできた」

 え?そう?んへへ。
 褒められて伸びる子、俺。
 顔が緩みそうになるのを堪え、侍従スマイルで謙遜した。

「お前がしっかりリディ嬢に防御魔法をかけ落ち着かせていたからな。興奮した味方を庇いながらの戦闘は流石に怪我を負っていたやもしれん」

 ルシャードの言葉に俺は気が付いた。

 もしかして、原作では軽い怪我を負ってしまう展開だったとか?
 リディは治癒が使える聖属性持ち。
 彼女の優しい癒しに絆され男爵邸に招かれ、更に二人の仲が進展すると。そういう流れだったのかもしれない。

 ま、今更だけどな。

 てことでオチが付いたようなので俺はお暇させて頂く。
 パトラ◯シュ、僕はもう疲れたよ。帰ってオナって寝たいよ。まだ夕方だけど本気寝がしたいよ。出来れば雄っぱいに挟まれてモミモミしなが………


「お帰りなさいセブ。全て喋って頂きますわよ?」

 目の前には本物のおっぱいが文字通り胸を張って待っていた。

「た、ただ今戻りました……フェリシテお嬢様」

 ある意味鳥竜種より怖い生き物かも知れん。



 ◆



「古代植物の観察?転移魔法で?」

 俺は自分で淹れたディグレロ茶に甘い蜂蜜を溶かしてグビリと飲む。
 お嬢様の尋問を慎重に言葉を選びながら答えた。

「そうです。馬車で何日も掛かる距離をお供連れてゾロゾロ行くのは面倒だと仰って、それでこの休息日にこっそりと行った訳です」

「それでセブを連れて行く理由がわからないわ」
 お嬢様も優雅な手つきでカップを傾け俺を見つめる。

「リディ様とご同行するにあたり潔白であったと証明するためだと思いますよ。実際ルシャード殿下はリディ様に指一本触れてませんでしたから」
 最初リディに抱きつかれてはいたけど、ルシャードは触っていない。うん。

「ま…ぁ♡」

 嬉しそうに頬を染めるお嬢様。
 その代わりヴィラードが姫抱っこまでしていたけどな。俺の方がモヤモヤしたわ。

 取り敢えずフェリシテお嬢様の機嫌を損なうことなく尋問は終わり、軽く夕食をとり俺の業務も終わる。
 それでも俺のモヤモヤは消え去らず、寧ろムラムラして来た。

 アレだ。
 疲れすぎて俺の本体が生存本能剥き出しになっている状態だ。

 これはもう発散するしかないと思い立ち、早速何処へ行こうかと悩むまでもなくイジドールの所へ行こうとせっせとシャワーを浴びて準備する。
 イジドールのねちっこいセックスを想像してご機嫌に赤薔薇宮を出て行く俺。

 奴のことだからまだ王城にいるかなー?なんて中庭を通り官吏棟の方へ足を運ぼうした時、ふと、背後を振り返った。
 何か感じたわけではなく、ただの勘だった。

「え、いるの?」

 恐る恐る声を出せば空間が歪み、現れたエロボディ。

 またか!またアンタか!
 危ねー!イジドールとの関係もバレる処だったじゃないか!

「またかよ!何でついて来てんだよ」

 なんの権限があって俺を付け回すんだ?そろそろ良い加減にしてくれないとキレるぞ?もうキレてるけど!

「また何かあるのかと」
 無表情で俺を見下ろすヴィラード。
 だが今回ばかりは我慢ならん!

「何もねーよ。俺のプライベートを覗くなよ」
「ではこんな遅い時間にどこへ行こうとしていたんだ?」
「どこへ行こうと俺の勝手だろ?俺だってたまには飲みに行ったり友達と遊んだりすんだよ」

 嘘じゃないよ?アンタにムラムラしたから発散したいだけだからな?そんな真っ直ぐな目で見んな。自分の穢れが虚しくなる。

「では俺も同行して良いか?」
「は?」
 何言ってんだコイツ?

 俺があからさまな不機嫌面になっても目の前の男は微動だにせず。
 あぁこれ何言っても動かないやつだ。それなら…

「あのさー。自分で言うのもなんだけど俺は性欲高いんだよ。ついて来ても良いけどそういう遊びだからな?それとも一緒に混じるか?」
 わざと誘う目つきで彼に近づく俺。前々から思ってたけどこの男、俺が急接近しても動じないのが癪に触る。……ナニがアレだからだろうか?

「宰相令息のことは、良いのか?」
 ヴィラードは遠慮気味に俺に尋ねた。
 宰相令息?何でそこでクロヴィスの名前が出てくるのか分からず、俺は首を傾げた。

「良いって、何が?」
「……………お互い想い合っている仲ではないのか?」
「いいや?全く」
「だが、クロヴィス殿は明らかにお前へ好意を抱いているじゃないか」
「好意は有難いけど俺の好みじゃないし、そもそも俺は誰とも付き合う気は無いよ」

 当然のように言い切ると、彼は緑色の目を見開き驚いているようだった。

 まぁ口淫もしたしクロヴィスがアルベールに激しい嫉妬をしていたのを見ていたからか。
 だけどそれは全くの見当違いだ。

「もう良いか?俺はこれから街に出て適当に相手見繕って遊ぶからついて来ないでくれよ」
 本当はイジドールの所だが、こればかりはバレるとまずいので嘘をつく。

「………どこの誰と接触しているのか、それを確認すればすぐに消える」

 もーヤダーこの男!
 何なの?俺のストーカーなの?やっぱり何か俺の出自とか疑ってんだろ。腹黒皇子の忠犬かよ。

 あ♡ 良いこと思いついたわ!
 もうこの際この男をおかずにしてやれば良いんじゃね?勃たなくてもその場で脱いで貰えば俺にとってはご褒美だ。
 なんて少々変態じみたプレイを思いつき、思考がエロへ全振りした俺。


 俺はついて来いとヴィラードに言って安宿へ連れ込み、遠慮なく襲った。

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