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本編
04:二人の距離感
しおりを挟む何度も言うようだけど、私はこの国のセルダ公爵家の娘、エヴァ……省略……セルダ。
王太子であるレオナルド殿下の婚約者よ。転生したと気付いたのはつい最近だけれども、何処へ行っても傅かれる割と高貴な身分よ?
それが何で。
「あぁエヴァ………気持ちいい♡」
何故この私がヌチヌチと卑猥な音を立てて、もうすぐ婚約解消する王太子のちんこ扱いているのかという疑問は尽きない。
「エヴァ………もっと強く握ってくれてもいいよ……」
荒い息を吐きかけ、最初の羞恥心は何処へやら。レオナルド殿下は私を抱きしめ首筋に埋まりながら淫らに喘ぐ。
……そう?気持ちいい?もっと強くね?
なんてうっかり調子に乗ってリクエストを聞きながら手コキマシーンと化している。
私自身も面白くなってせっせと捌きながら、彼の蕩ける顔を見るのが癖になりそうだ。
何しろ彼は王族だけに美形だ。
CGじゃ無いかってくらいの整った顔立ちに、シミひとつないきめ細かな肌。
手入れの行き届いた美しいダークブロンドの髪は緩やかなカーブを描いてふわりと耳に掛かる。
そんな王太子様が、こんな私の手管に顔を赤らめ興奮し喘ぐ。
垂涎ものの眺めに自分の性癖が歪みそうでちょっと怖い。
しかし何で私でしか勃たなくなっちゃったんだろう?何かのショックだろうか?
……(インポになっちまえ)
一瞬、自分が呟いた悪態を思い出し血の気が引いたが、速攻で記憶の蓋を閉じた。
いやいやいや!
そんな簡単に呪われるなんて有り得ないでしょう!
違う違う私のせいではない……はず。
だって私は魔力も持っていないただの公爵令嬢ですから。
……違うよね?
私は不安になり、それ系に効くお薬ってあったかどうか記憶を辿る。
この異世界、全ての事象は精霊の心ひとつだと言われている。
風も水も火も大地も、そして光も影も全ては精霊たちが操り、私達はその恩恵にあやかっていると。
なのでそれに背く行為を行うと、この世界から消されてしまうらしい。
昔は発熱一つとっても精霊にお祈りして治してもらっていたとか。
流石に今は解熱剤なるものがある。
前世のように科学技術が発達した世界ではないけれど、自然を敬う人々の暮らしはとても美しいと感じる。
でだ。
EDのお薬は流石にないよなぁって結論に達した。
「んっ……エヴァ、もうダメ…イキそう……!」
最後の追い込みを強請られ、擦る速さを増していく。
彼は片手で私を抱き込み、首筋に唇を這わしながら喘ぎ悶える。
呼吸が一際激しくなり、彼は眉根を寄せ恍惚とした表情で達した。
美形の艶めかしい姿は神々しさを感じる。
顔を赤らめて乱れる息を吐き、くったりと私に寄りかかるこの国の王太子殿下だ。
美しいレオナルド殿下の事をずっと好きでいた自分に胸の痛みを感じて、寄りかかる彼の頬に自分の顔を擦り付けた。
すると彼も嬉しそうに目を細めて首筋に吸い付き、さらに頬にも軽く触れるようなキスを落とした。
「侍医に診て頂いてはどうですか?」
落ち着いた頃、ソファで寛ぐ彼にそう提案してみた。
このままでは世継ぎにも影響する。王族のシモ事情はとても深刻な問題だ。
「ん。まぁもう少し様子を見てからだ。全く勃たない訳じゃないし」
そりゃまぁそうだけど。
あれ?
これもしかして新しい死亡フラグ?
世継ぎのためだけに私が呼ばれて、子を産んだら用無し案件?
まさか?
いやいやいや!そんな事はないでしょうよ。さすがに原作強制力が働いたとしても私は生き残ってやるわよ(震え声)
ブルリと悪寒が走ったが、深く考えないようにしておこう。
それから。
三日も開けずこの男はやって来て、私に奉仕を強請るようになった。
「こう頻繁に来られては困るのですが」
「そう言わないでくれよ。俺も困っているんだ。だがほら、お前がしてくれた仕事は少なくなっただろ?」
リビングに高く積み上げられた書類は来る度に処理してくれるようになったのだ。
そして昼間も以前のように仕事を投げ出す事なく従事してくれるお蔭で、やっと私の負担も減った。
この王太子、実は意外と優秀であるため、陛下の代わりにあらゆる仕事を任されてしまっている。
「そもそもが貴方のお仕事だったのですよ?」
「ご、ごめん」
しおらしく項垂れるレオナルド殿下が可愛く見えて、それ以上は何も言えなくなってしまった。
昔からその顔をすれば私が黙るのを知っている彼は、私が怒るといつも上目遣いで目を潤ませ謝る。
コイツ、あざと系女子か?
あと何故かご奉仕する際のスキンシップが増えてきた。
最初は首筋を唇で触れる程度のものだったのが、最近は舐め回して吸い付いてくる。
しかも片手は恋人繋ぎでしっかり握り込み、もう片方は不埒にも私の体を撫で回す。
体のラインに添って這わす彼の手が擽ったくて、思わず震えると嬉しそうに頬にキスを落とす。
「殿下?私の体を撫でないでください」
「あぁ……」
言った傍から背中を撫で付け、耳元に熱い吐息を漏らす。
全身が粟立ち体を捩ると、逃がさないとばかりに腕を回して密着させる。
「殿下?聞いてますか?」
「……エヴァ。昔のようにレオとは呼んでくれないのか?」
ご奉仕中のせいなのか、それとも感情の表れなのか、彼の声は微かに震えている。
「愛称で呼ぶと先生にお叱りを受けてたのです。王族としての品が下がるからと」
いつの間にか二人の関係が余所余所しくなったのは、多分これのせいだと思う。
けれども私は従わない訳にはいかなかった。何せ王妃教育を受けている身だし、将来本気でこの国の国母として責務を全うしようと考えていたから必死だったのだ。
「っぁあ、エヴァっ……イクっ♡……!」
コイツ聞いてねーな?
そして。
私の部屋へレオナルド殿下が訪問しているという噂が次第に広まる。
その噂は巫女様にも届いたらしく、その日の午後、巫女ミリナが私の部屋へ訪ねて来た。
当然だが、先触れもなくいきなりの訪問だった。
◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
次回より22時に投稿致しますので、よろしくお願い致します(●´ω`●)
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