大好きだった

大好きだった

彼の名前はユウジ、彼女の名前はマイ。二人は高校時代からの親友だった。

「マイ、今日も一緒に帰ろう！」ユウジが毎日のように彼女に言っていた。それほどまでに、彼は彼女との時間を楽しみにしていた。

二人は同じ大学に進学し、切っても切れない関係が続いていた。しかし、マイがある日、ユウジに告げた言葉で、彼の心は震えた。

「ユウジ、私、海外留学することになったの。」

彼は彼女の大きな決断を心から尊重したが、内心、寂しさと失落感でいっぱいだった。

留学前の日、ユウジはマイに会いに行った。「マイ、何かお守りでも渡したくて。」彼は彼女に手作りのブレスレットを差し出した。マイは涙をこらえながらそれを受け取り、「ありがとう、ユウジ。」と言った。

数年後、マイは日本に戻ってきた。ユウジとの再会を楽しみにしていたが、彼女の帰国を知ったのはユウジの葬儀からの知らせだった。

マイは涙を流しながら、ユウジの母から受け取った手紙を開けた。

「マイへ、

海外での留学が終わる前に、この手紙を読むことはないだろうと思って書いている。実は僕、病気で長くは生きられないことを知っていた。だから、お前に何も言わなかった。お前にとって、最高の未来を祈っていた。

お前が留学を決意した時、僕はその決断を尊重した。でも、心の中ではお前が帰ってくることを待っていた。

このブレスレットを作った日、僕は初めてお前に伝えたかった気持ちを隠していた。それは…お前のことが、本当に大好きだったこと。

ユウジより」
マイは涙で文字がにじんでしまった。彼女はユウジの墓の前で、彼のブレスレットを握りしめ、「私も、ユウジ。大好きだったよ。」とつぶやいた。