チョコの秘密

桜の花の妖精

文字の大きさ
上 下
1 / 1

チョコの秘密

しおりを挟む
冬の空気は冷たく、窓外を舞う雪の粒がキラキラと輝いていた。バレンタインデーの朝、紗矢は学校のカバンに手作りのチョコレートを慎重に入れた。このチョコレートは、彼女がずっと想いを寄せている彼、拓海に渡すためのものだった。

しかし、紗矢には一つの問題があった。拓海とはクラスが違い、彼との接点は少なかったのだ。そして、拓海は学年で人気のある男子で、彼にチョコレートを渡そうとする女子が多いことを知っていた。

学校に到着し、昼休み、女子たちは次々と拓海の教室へとチョコを渡しに行っていた。紗矢はその様子を遠くから眺めるだけで、なかなか勇気が出ずにいた。

「紗矢、そのチョコ、誰に渡すの?」突然、後ろから友達の美咲が声をかけてきた。紗矢は驚きながらも、正直に「拓海に渡したいんだ」と答えた。

美咲は紗矢の気持ちを知っていたが、実際にチョコを作って持ってきたことに驚いた。「でも、私、怖くて渡せないの」と紗矢はつぶやいた。

美咲は考え込み、ふと「じゃあ、私が代わりに渡してあげるよ!」と提案した。紗矢は驚き、「それ、本当にいいの?」と尋ねた。美咲は笑顔で「大丈夫だよ、私たち友達でしょ!」と答えた。

そうして、美咲は拓海の教室に向かった。紗矢はドキドキしながら、遠くからその様子を見ていた。美咲は拓海に近づき、チョコレートを手渡し、「これ、紗矢からだよ」と伝えた。

拓海は驚きの表情を浮かべ、紗矢の方をちらっと見た。紗矢は緊張していたが、拓海の優しい笑顔に安堵した。

放課後、紗矢は学校の門で拓海に呼び止められた。「ありがとう、美味しかったよ」と彼は言った。紗矢は照れくさい笑顔で「うれしい」と答えた。二人はそれからしばらく会話を楽しんだ。

バレンタインデーは、紗矢にとって忘れられない特別な日となった。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

徹夜でレポート間に合わせて寝落ちしたら……

紫藤百零
大衆娯楽
トイレに間に合いませんでしたorz 徹夜で書き上げたレポートを提出し、そのまま眠りについた澪理。目覚めた時には尿意が限界ギリギリに。少しでも動けば漏らしてしまう大ピンチ! 望む場所はすぐ側なのになかなか辿り着けないジレンマ。 刻一刻と高まる尿意と戦う澪理の結末はいかに。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

エロ・ファンタジー

フルーツパフェ
大衆娯楽
 物事は上手くいかない。  それは異世界でも同じこと。  夢と好奇心に溢れる異世界の少女達は、恥辱に塗れた現実を味わうことになる。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

処理中です...