知らぬが兎

深海めだか

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高校ー宿題と答え合わせー

※十一話

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 あれから五日、時々ゲームをしたりお菓子を摘んだりと休憩を挟みながらも、朔のおかげで全ての課題を終わらせることができた。

 予定よりかなり早く進んだから、残った十日間は冬休みを満喫できる。もし朔が誘ってくれなければ、今頃は泣きながら課題を進めていたことだろう。

「朔~、マジでありがとな!! 何かして欲しいこととか、食べたいものとかないか? 手伝ってくれたお礼に、俺ができることならなんでもするぞ」
「そんなに気にしないで。俺も久しぶりに、こーちゃんとお泊まりできて楽しかったし」
「いーや、何もなしじゃ俺の気が治らん。何か一つくらいはあるだろ」
「………なんでもいいの?」
「男に二言はない!」
「わかった。じゃあお願いしたいことがあるんだけど、こっちに来てくれる?」

 こいこいと手招きされて、連れてこられたのは浴室だった。年末だし、大掃除でも頼むつもりなのだろうか。
 掃除はあんまり得意ではないけど、男に二言はないと言ってしまった手前、他のことにしてくれとは言い難かった。
 腕を捲りながら指示を待っていると、背後から両肩を掴まれる。

「俺のお願いはね。セックスだよ」
「え、いま……なんて言った?」
「こーちゃんと、セックスしたいって言った」
「は、」

 耳元で囁かれた言葉に息が詰まる。
 ……ちょっと待ってくれ。え、こいつ今なんて言った? 俺とセックスしたいって言ったよな? セックスって新作ゲームとかだっけ。
 口をぽかーんと開けたまま動かなくなった俺の顔は、側から見たら、かなりのマヌケ面だろう。

「……そうか! 冗談! じょ、冗談だよな?」
「本気も本気だよ。はい、まずは選ばせてあげる」

 そう言って差し出されたのは、いちじくのような形をした、手のひらより小さい何かだった。

「………? なにこれ」
「いちじく浣腸知らないんだ? 自分でやるか、俺がしてあげるか。どっちか好きな方を選ばせてあげようと思ってたんだけど……。とりあえず今日は、俺がしてあげるね」
「待てよ……! 俺はやるなんて一言も——」

 キャンキャンと吠える言葉を無視した朔は俺を引き摺って浴室に連れ込むと、慣れた手つきでズボンを脱がせた。   
 暴れる手足はいとも簡単に押さえつけられ、尻の穴にぬるい液体が入ってくる。気持ち悪いのは勿論だけど、時間が経つにつれ、まるで腹を下した時のように腸がうごめく。

「うゔ……腹痛い……マジでふざけんな」
「まずは五分我慢しようね」

 腹痛と戦っている間にも、朔は手早く上の服を脱がせ、温かいシャワーを当ててくる。妙なところで優しさを出すくらいなら、早くトイレに行かせてくれ。

「立てる?」
「…、……む、りに、きまってんだろ」

 顔には脂汗が浮かび、腹からはぎゅるぎゅるという音が聞こえている。傍目から見ても、限界だと分かるはずだ。場所的には浴室の真横とはいえ、トイレまで歩くのは無理がある。

 浴室で漏らしてしまうなんて死んでも嫌だ。どうしよう、便意を堪えるようにしゃがみ込んでいると、ふいに逞しい腕に抱き上げられた。

「しっかり掴まっててね」

 抵抗する間もなくお姫様抱っこで運ばれ、すんでのところで人権を失わずに済んだ。
 これを二回ほど繰り返し、息も絶え絶えになったところをまたシャワーで清められ、二階にある朔の自室に運び込まれてしまった。

 もう気が済んだだろう。寝かされたベッドの上でぐったりしていると、両手に鍵付きの手錠をつけられ、鎖のようなものでベッドヘッドに固定されてしまった。

 所詮はコスプレで使うようなオモチャだろうと簡単に考えていたのだが、ひんやりとした感触から察するに、プラスチック製ではないようだった。
 力の限り暴れてみても、ガチャガチャと音が鳴るばかりで、やはり壊れる気配はない。こんなものどこで手に入れたんだ。

「おい! これ外せよ」
「なんで? 外したら逃げちゃうじゃん」
「逃げたいから言ってんだよ、クソッ」

 唯一自由な足で蹴りあげようとしたら、あっさり手で掴まれて終わった。『あんまり暴れると足の骨折るよ』なんて真顔で言って、本当に関節と反対方向に力を入れようとするものだから心の方が先に折れてしまった。

 ぱきゅっ

 何かを開けるような音がして、下半身にぬるぬるとした液体がかけられる。…気持ち悪い。粘性をもった液体はゆっくりと垂れていき、未だひくついている後孔にも流れ込んだ。
 まるでお漏らしでもしたかのような感覚に、思わず肌が総毛立つ。

 ふざけるな、今すぐやめろ! 文句を言おうと口を開いたところで、後孔に長い指が押し入ってくる。ぬめっているせいでそれほど痛くはなかったけど、なにより異物感が酷かった。

「は、なんてとこ触ってんだよ! ヒッ……ぃ"、気持ち悪い——」

 普段は感じることのない異物感に、顔を顰めてひたすら耐えていると、朔の指が腹側のある一点に触れた。
 しこりのような場所を擦られると、途端に痺れるような快感が体中を駆け巡って、抑えきれない悲鳴が漏れる。
 今まで生きてきて、ついぞ感じたことのないほどの刺激だった。なんだ、なんだ、これ。

「……、ぁ"ッ? !」
「あ、見つけたかも」
「は……おい、やめろ! ! ま、って、ひィ、ぁう"ッ…そこ、さ、わるなぁ"!!」
「ここは前立腺っていってね。こーちゃんのいいところだよ。しっかり覚えとこうね」

 その反応を見逃さなかったこいつは、何度もシコリを擦ったり押し込んだりして、前立腺の快感をただひたすらに教え込んだ。
 敏感な神経をごりごりと押し潰される苦しさに、勝手に腰が浮き上がる。すると、逃げようとしたことを叱るように、さらに強く押しつぶされるのだ。

「ほらみて、もう三本も入ってるよ。ぐちゅぐちゅ言ってるの聞こえる? これだけ柔らかければ、そろそろ大丈夫そうかな」
「ふ、は、ァ、さんぼん……? ぅ、そっ…うそだ!」
「ふふっ、こーちゃんに嘘なんてつかないよ」

 カチャカチャとベルトを外す音がやけに響いて、その生々しさに耳を塞ぎたくなる。
 紺色のトランクスから取り出された性器が視界に入り、無意識に悲鳴が漏れた。なんだあれは、大きさからして自分のものとは全然違う。

 頭からサーッと血の気が引いて、なんとか距離を取ろうと力の入らない足でベッドをずり上がる。
 しかし、手錠で固定された体は当然すぐに捕らえられ、元の位置に引きずり戻された。
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