共に断罪される悪役宰相は私の最推しです！！

51.誕生パーティーと結婚式の華

誕生パーティーと結婚式当日、王宮はまさに夢のような光景で溢れていた。夜明け前から使用人たちが一丸となって準備を進め、廊下や大広間には美しい花々と煌びやかな装飾が施されていた。エヴァレーン王国の大広間は、豪華なシャンデリアの光で一層輝きを増し、訪れた来賓たちを魅了していた。



私のドレスは純白で、繊細な刺繍が施された美しいもので、まるで妖精のような衣装だった。リディアとセレナが手際よく私の髪を整え、丁寧にメイクを施してくれた。鏡に映る自分の姿を見つめながら、緊張と期待が入り混じった気持ちを抱いた。



――ルナティアナってやっぱり美人だ。いいのかな…この体もらってて…。



「ルナティアナ様、本当に美しいです。」

セレナが微笑みながら言った。



「ありがとう、セレナ。あなたのおかげです。」



リディアも頷きながら、「今日は素敵な一日になりますよ。」と励ましてくれた。



準備が整い、私は大広間へ向かった。そこには、見たことのない正装を身にまとったバルサザールの姿があった。シュエット王国の王子服を新郎用に仕立てたその姿は、まさに王子そのものだった。



――な、な、なんですかーーー！！その衣装！！す、スチルーーーー！！！



彼の立ち姿は凛々しく、何故か王族としての威厳と誇りが溢れていた。



――バルって最初っから気品溢れる感じだったけれど、今日は衣装のせいか一段と凄い！！



彼の姿に目を奪われ、心臓が高鳴るのを感じた。バルサザールは鋭い眼差しで私を見つめ、その瞳には温かさと愛情が込められていた。彼が手を差し出し、私を迎え入れる瞬間、私たちの目が合った。



――か、か、カッコ良すぎるーーー！！私の為に私の好きな方眼鏡をつけてくれてるし、長い髪の毛を三つ編みハーフアップにーーー！！原作者様…いえ、神よ…万歳！！



「ティアナ、そんなに見つめられていると、さすがに穴が開いてしまうかと思うほどです。あなたの視線が鋭すぎて、私の正装が焦げてしまわないか心配になりますよ。今日の私が特別な服を着ているからといって、いつものように冷静な眼差しを保ってくれないと、私まで照れてしまいます。どうか、お手柔らかにお願いしたいものです。」



彼の言葉に思わず吹き出してしまった。



「ぶふっ！もう、バル！！笑かさないでよー！」



バルサザールは軽く眉を上げて、微笑を浮かべた。



「私の言葉に吹き出すのは、あなたくらいなものです。普通の人なら、もう少し慎みを持って反応するものですが。」



「何を言っててもカッコイイんだもん。仕方ないじゃん。」



バルサザールは微笑みながら、手を差し出して言った。

「まあ、それも一つの魅力でしょうかね。さあ、行きましょう。今日はあなたが主役ですから。」



私は微笑みながら答え、彼の手を取り、共に誕生パーティーの会場へと進んだ。



誕生パーティーが始まると、大広間は華やかな装飾と祝福の声で満ちていた。来賓たちは私たちを祝福し、テーブルには贅沢な料理や美酒が並んでいた。バルサザールは誕生日パーティーの主賓として、優雅に立ち振る舞い、来賓たちに笑顔で応えていた。



「ティアナ、王女としての振る舞いを忘れてはいけませんよ。」



彼の声は優しくも、どこか厳しさを帯びていて、私の心にまっすぐ響いた。私は彼の言葉に微笑みを返し、姿勢を正した。



「えぇ、もちろんですわ。」



その瞬間、彼の手が私の背中にそっと触れ、支えてくれているのを感じた。私は気を引き締め、王女としての威厳を保ちつつ、来賓たちに一礼した。彼らの祝福の声が耳に届き、その一つ一つが心に沁みる。



――パーティーなんかより、ずっとバルを見つめていたいです！！



誕生パーティーの途中で、バルサザールが舞台に立ち、誕生日のスピーチを始めた。その姿は堂々としており、シュエット王国の王子としての正装が彼の威厳を一層引き立てていた。彼の鋭い眼差しが大広間を見渡し、静かな期待が満ちる中、彼の声が力強く響き渡った。



「本日は、我が妻となるルナティアナの16歳の誕生日を祝うためにお集まりいただき、誠にありがとうございます。この特別な日に、私たちの結婚式も同時に行われることを大変嬉しく思います。」



彼の言葉に、来賓たちは歓声を上げ、拍手で応えた。バルサザールの声は、喜びと感謝に満ちており、その誠実さが全ての人々に伝わった。



「ルナティアナは、私にとってかけがえのない存在です。彼女の純粋さ、強さ、そして優しさに日々心を奪われています。これからの人生を共に歩むことができることに、深い感謝と喜びを感じています。」



彼の言葉は真摯で、私に対する愛情が溢れていた。私は感動に胸が熱くなり、彼の言葉に引き込まれていった。



「私たちの結婚は、ただの個人的な幸福に留まりません。これは、エヴァレーン王国とシュエット王国の絆をより一層強固にするものです。私たちの愛が、両国の平和と繁栄に繋がることを願っています。」



バルサザールは私に手を差し出し、その瞳には深い愛情と決意が宿っていた。私は彼の手を取り、舞台の中央で手を取り合った。その瞬間、来賓たちの歓声が再び響き渡り、祝福の拍手が大広間を包み込んだ。



「ティアナ、16歳の成人と誕生日、おめでとうございます。この特別な日、あなたが一層輝く姿を見られることができて、私は心から感謝しています。これからの未来、あなたと共に歩むことを誓います。」



「ありがとう、バル。」



その瞬間、優雅な音楽が鳴り響き、私たちは自然とダンスフロアへと導かれた。バルサザールの手が私の腰に軽く触れ、その温もりが私に安心感をもたらした。彼のリードに従いながら、私は彼の瞳を見つめ、周囲の喧騒がまるで消え去ったかのように感じた。



彼の動きは滑らかで、まるで風のように軽やかだった。私たちのステップが音楽に合わせて調和し、一つのリズムとなって大広間に響いた。バルサザールは優雅に私を回転させ、その度に私のドレスが広がり、まるで舞い踊る花のようだった。



「アナタの姿は、まるで儚くも美しい妖精の如く、現実の範疇を超越しているようですね。あなたの存在は、この場を幻想的な夢の世界へと変えてしまう。」



――わぁ。妖精みたいで可愛いっていってくれてるのかな？



「ふふふ…バルもカッコイイよ。」



バルサザールは一瞬驚きの表情を浮かべ、微笑みながら言った。



「ほう、私の難解な言葉を即座に理解するとは、さすがです。ティアナ、あなたは本当に特別な存在ですね。」



誕生パーティーが終わると、華やかな雰囲気がそのまま結婚式のセレモニーへと引き継がれた。大広間に再び音楽が鳴り響き、厳粛な雰囲気が漂う中、私たちは中央の祭壇へと歩みを進めた。



バルサザールの手をしっかりと握りしめながら、その目を見つめると、彼の真摯な眼差しが私の心に深く響きわたった。



――推しがの幸せそうな顔って、本当に素敵。



祭壇の前に立ち、バルサザールが誓いの言葉を述べ始めた。彼の声は低く落ち着いており、言葉一つ一つが心に染み渡った。



「ルナティアナ、私はあなたを愛し、尊敬し、共に歩むことを誓います。困難な時も、喜びの時も、あなたと共にあり続けることを誓います。」



彼の言葉に涙が滲むのを感じながら、私は深く頷き、私も誓いの言葉を述べた。



「バルサザール、私はあなたを愛し、敬い、共に生きることを誓います。どんな時も、あなたの側に立ち続けることを誓います。」



バルサザールは私の手を優しく引き寄せ、その瞳に温かい笑みを浮かべた。



「そして、今ここで永遠の誓いを。」



彼が顔を近づけると、私の心臓は高鳴り、彼の息遣いを感じた。彼の唇が触れた瞬間、全ての音が消え去り、私たち二人だけの世界が広がった。優しいキスには確かな思いと愛情が込められていた。



私たちのキスが終わり、バルサザールは私を見つめながら微笑んだ。来賓たちの拍手と歓声が再び響き渡った。



「アナタが私の人生に現れた瞬間から、全てが変わりました。あなたの微笑み、あなたの強さ、そしてあなたの優しさが、私の心を完全に奪いました。これから先、何があろうと、私はあなたを守り、愛し続けます。」



彼の言葉に心が震え、目頭が熱くなるのを感じた。



「それは私もだよ、バル。」



私たちはお互いの目を見つめ合い、その瞬間、愛と絆の深さを感じた。