49 / 60
49.新しい侍女
しおりを挟む
数日後、新しく侍女となったミッツェリー伯爵家の娘、セレナが王宮に到着した。セレナは上品で落ち着いた雰囲気を持つ美しい女性で、その立ち居振る舞いからも育ちの良さが伺えた。彼女は静かに私の部屋の扉をノックし、入室の許可を求めた。
「お入りなさい。」
扉が静かに開かれ、セレナが姿を現した。彼女は深く一礼し、柔らかな声で挨拶をした。
「王女殿下、ミッツェリー伯爵家のセレナでございます。本日より、侍女としてお仕えさせていただきます。」
私は彼女に微笑みかけ、手招きをして近くに来るよう促した。
「ようこそ、セレナ。あなたのことはバルサザールから聞いております。どうぞ、楽にしてください。」
セレナは再び深く一礼し、私の前に立った。その姿勢は控えめでありながらも、どこか誇り高いものを感じさせた。
「ありがとうございます、殿下。精一杯お仕えいたします。」
「期待しています、セレナ。さて、早速ですが、今日の予定について教えていただけますか?」
セレナは小さな手帳を開き、予定を確認しながら説明を始めた。その丁寧な姿勢に、私は改めて彼女を採用した理由を思い出していた。彼女はお茶会の時に出会い、その気遣いの行き届いた態度と誠実な性格に感心したのだ。
「本日は午前中に貴族とのお茶会が予定されています。その後、午後にはバルサザール様との打ち合わせがございます。また、夕方には王宮内の視察が予定されています。」
私は彼女の報告を聞きながら微笑みを浮かべた。
「ありがとう、セレナ。」
セレナは再び一礼し、控えめに微笑んだ。
「どういたしまして、殿下。何かご用がございましたら、いつでもお声がけください。」
私は彼女の姿勢に満足しながら、次の予定に向けて心を整えた。セレナのような有能な侍女がいることで、私の日常はより一層整然とし、心地よいものになりそうだった。
セレナが加わったことで、一見完璧な日々が始まったが、私にとっては別の問題が浮上していた。セレナは本物の伯爵令嬢であり、その上品で誠実な態度は私に緊張をもたらした。彼女の前で常に王女の演技を続けることが、次第に苦痛となっていった。
ずっと気を抜けない状態が続き、私の心は疲弊していった。セレナの目が私に向けられるたびに、完璧な王女を演じ続けなければならないというプレッシャーがのしかかる。そんな日々が続く中、私はふと内心で呟いた。
――本当に、このままで良いのだろうか。演技を続けることに疲れてしまった…。
その変化にいち早く気づいたのはバルサザールだった。夜、彼との甘い時間が始まりそうな前に、バルサザールは私に優しく声をかけてきた。
「王女殿下…いえ、ティアナ。疲れていらっしゃいますか?」
「え?ううん。どうして?」
「侍女が変わってから、アナタはどこか無理をしているように見えます。アナタのことは全てお見通しですから、どうか無理をせず、何でも正直に話してください。」
「バル…。お見通しなのに言わなくちゃいけないの?」
バルサザールは優しく微笑んでだ。
「ええ、アナタの口から聞きたいのです。私にとって、それが大切なのです。」
「私って元いた世界では平民じゃない?だから、本物の伯爵令嬢を前にすると緊張しちゃうっていうか…気軽に何でも話せたり、気を抜けないっていうか…。」
バルサザールは私の話を静かに聞きながら、しばらく黙って考え込んでいた。
「ティアナ、もう私たちの間で隠し事などないのですから、素直に私の部下を侍女にすればよろしいのでは?」
「え?」
私は驚いて顔を上げた。
「セレナが優秀なのは分かりますが、アナタの気持ちが一番大切です。気軽に話せて、気を抜ける相手でなければ、アナタが本当に休まることはできません。」
「でも、そんなことしたら、セレナが…。」
「セレナ嬢には別の役割を与えましょう。彼女の才能を無駄にすることはありません。ただ、アナタが楽に過ごせる環境を整えるのも私の役目です。」
「バル…ありがとう。今のバルとの距離なら、別にバルの部下でも良かったね。無駄なお茶会開いちゃったな。」
「無駄ではありませんよ。色々と状況が変わってしまったのですから、仕方ありません。では早速、手配しておきます。」
「うん。」
バルサザールは優しく微笑み、私の頬に手を添えた。その手の温もりが、心の底まで染み渡るように感じた。
「今日はお疲れのようですから、添い寝でとどめておくとしましょう。」
彼の言葉に私は微笑み返し、ベッドに横たわった。バルサザールもそっと隣に横になり、優しく私を抱き寄せた。彼の腕の中で、私は次第に心の緊張が解けていくのを感じた。彼の体温が心地よく、安心感に包まれながら、私は彼の胸に顔を埋めた。
「バル、大好き…。」
「もう眠りなさい。私の理性が働いているうちに。」
彼の言葉に、私は胸がいっぱいになった。彼の腕の中で、私はゆっくりと目を閉じ、心地よい眠りに落ちていった。
――――――――――
――――――
翌日から、新しい侍女が付き添ってくれるようになった。彼女の顔には見覚えがあり、どうやらバルサザールの部下の一人のようだった。バルサザールは、公務のある日にはセレナ嬢が、オフの時間が多い日やオフの時間帯には彼の部下の侍女が担当するというシフトを組んで、私が最も快適に過ごせるよう調整してくれているようだった。
新しく侍女として来たのは、バルサザールの信頼厚い部下のリディアだった。彼女は落ち着いた物腰と、的確な判断力を持つ女性だった。
「ルナティアナ様、本日はどうされますか?」
「うーん、晩餐の時間まで書類整理する。」
私は机の上の書類を見つめながら答えた。リディアは深く一礼し、すぐに動き出した。
「畏まりました。」
しばらく書類整理をしていると、リディアがそっとお茶をテーブルに置いた。その香りに気付き、私は顔を上げた。
「え…。どうしてお茶があるの?」
私は驚いてリディアを見つめた。
「宰相様が仕入れられました。」
それを聞いて、私は思わず微笑んでしまう。
――まさかお茶を飲めるなんて…。
「ルナティアナ様は、本当に宰相がお好きなのですね。」
「うん。大好き。」
リディアは少し首をかしげながら、私に尋ねた。
「宰相様のどこがそんなにお好きなのでしょうか?」
私はリディアの質問に少し考え込みながらも、口を開いた。
「バルの好きなところかー、まず見た目!すっごくカッコイイんだから!特に、あの片眼鏡!!って、最近眼鏡だったり、かけてなかったりなんだけど…。で、次に冷静で賢いところが好き。厳しいところも好きだし、嫌味をいってくる時もほんとは好き。意地悪に見えるのは、私を守るためにあえて厳しくしているからだし。」
リディアは驚いた表情を浮かべた。
「それを好きだとおっしゃるのは、少し意外です。ですが…なるほど。ルナティアナ様は宰相様の本質をしっかりと見ていらっしゃるのですね。」
「もう何年も好きだからね。」
リディアは少し困ったように微笑みながら頭を下げた。
「平民出身の私がぶしつけな質問ばかりしてしまい、ごめんなさい。でも、ルナティアナ様の本音を聞けて嬉しいです。」
私はリディアが平民出身だと聞いて安心した。
「ううん。その調子でお願い。私も、平民出身とかわりないから。」
リディアは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに理解したように頷いた。
「もしや、別の世界の記憶というやつですか?」
「うん、そう。だから、友達みたいな距離でいてくれると助かるかも。」
リディアは少し考え込んでから、微笑んだ。
「友達…いえ、宰相ラブな変わり者の友人をもつのは少々…。」
「あっはは!リディアとは長い付き合いができそう。」
「ふふっ。そうですね、ルナティアナ様。」
私は本当に安心感を覚え、リディアとの絆が少しずつ深まっていくのを感じた。
その時、ドアをノックする音が響いた。
「どうぞ。」とリディアが答えると、バルサザールが部屋に入ってきた。彼の鋭い眼差しが部屋を一瞬で包み込む。リディアが一礼し、「宰相様、お待ちしておりました。」と言った。バルサザールは軽く頷き、私に向かって歩み寄ってきた。
「おや?仲良く談笑でございますか?」
「今丁度惚気話をしてたところ。」
バルサザールは一瞬だけ眉をひそめ、そして微笑を浮かべて言った。
「惚気話ですか。私のことを語るほど、退屈な時間を過ごしていたとは、暇つぶしにも困ったものですね。」
彼の嫌味に対して、私は思わず微笑んでしまった。彼の言葉の裏には照れ隠しが含まれているのを感じたからだ。
「バル、そんなこと言わないでよ。バルの話をしてると、時間があっという間に過ぎるんだから。」
バルサザールの目が一瞬だけ優しく緩んだ。その瞬間、彼の手がそっと私の髪に触れ、優しく撫でるように動かす。
「あなたがそう言ってくれるなら、私も悪くないですね。」
彼の声は低く、甘く響いた。
リディアはその様子を見て、目を疑いながらも呆れた表情を浮かべていた。
「本当に、宰相様と王女様は特別な関係ですね。」
バルサザールは微笑みながらリディアに一瞥を送り、「リディア、これからもティアナを頼みますよ。」と言った。
リディアは深く一礼し、「もちろんです、宰相様。」と応えた。
「お入りなさい。」
扉が静かに開かれ、セレナが姿を現した。彼女は深く一礼し、柔らかな声で挨拶をした。
「王女殿下、ミッツェリー伯爵家のセレナでございます。本日より、侍女としてお仕えさせていただきます。」
私は彼女に微笑みかけ、手招きをして近くに来るよう促した。
「ようこそ、セレナ。あなたのことはバルサザールから聞いております。どうぞ、楽にしてください。」
セレナは再び深く一礼し、私の前に立った。その姿勢は控えめでありながらも、どこか誇り高いものを感じさせた。
「ありがとうございます、殿下。精一杯お仕えいたします。」
「期待しています、セレナ。さて、早速ですが、今日の予定について教えていただけますか?」
セレナは小さな手帳を開き、予定を確認しながら説明を始めた。その丁寧な姿勢に、私は改めて彼女を採用した理由を思い出していた。彼女はお茶会の時に出会い、その気遣いの行き届いた態度と誠実な性格に感心したのだ。
「本日は午前中に貴族とのお茶会が予定されています。その後、午後にはバルサザール様との打ち合わせがございます。また、夕方には王宮内の視察が予定されています。」
私は彼女の報告を聞きながら微笑みを浮かべた。
「ありがとう、セレナ。」
セレナは再び一礼し、控えめに微笑んだ。
「どういたしまして、殿下。何かご用がございましたら、いつでもお声がけください。」
私は彼女の姿勢に満足しながら、次の予定に向けて心を整えた。セレナのような有能な侍女がいることで、私の日常はより一層整然とし、心地よいものになりそうだった。
セレナが加わったことで、一見完璧な日々が始まったが、私にとっては別の問題が浮上していた。セレナは本物の伯爵令嬢であり、その上品で誠実な態度は私に緊張をもたらした。彼女の前で常に王女の演技を続けることが、次第に苦痛となっていった。
ずっと気を抜けない状態が続き、私の心は疲弊していった。セレナの目が私に向けられるたびに、完璧な王女を演じ続けなければならないというプレッシャーがのしかかる。そんな日々が続く中、私はふと内心で呟いた。
――本当に、このままで良いのだろうか。演技を続けることに疲れてしまった…。
その変化にいち早く気づいたのはバルサザールだった。夜、彼との甘い時間が始まりそうな前に、バルサザールは私に優しく声をかけてきた。
「王女殿下…いえ、ティアナ。疲れていらっしゃいますか?」
「え?ううん。どうして?」
「侍女が変わってから、アナタはどこか無理をしているように見えます。アナタのことは全てお見通しですから、どうか無理をせず、何でも正直に話してください。」
「バル…。お見通しなのに言わなくちゃいけないの?」
バルサザールは優しく微笑んでだ。
「ええ、アナタの口から聞きたいのです。私にとって、それが大切なのです。」
「私って元いた世界では平民じゃない?だから、本物の伯爵令嬢を前にすると緊張しちゃうっていうか…気軽に何でも話せたり、気を抜けないっていうか…。」
バルサザールは私の話を静かに聞きながら、しばらく黙って考え込んでいた。
「ティアナ、もう私たちの間で隠し事などないのですから、素直に私の部下を侍女にすればよろしいのでは?」
「え?」
私は驚いて顔を上げた。
「セレナが優秀なのは分かりますが、アナタの気持ちが一番大切です。気軽に話せて、気を抜ける相手でなければ、アナタが本当に休まることはできません。」
「でも、そんなことしたら、セレナが…。」
「セレナ嬢には別の役割を与えましょう。彼女の才能を無駄にすることはありません。ただ、アナタが楽に過ごせる環境を整えるのも私の役目です。」
「バル…ありがとう。今のバルとの距離なら、別にバルの部下でも良かったね。無駄なお茶会開いちゃったな。」
「無駄ではありませんよ。色々と状況が変わってしまったのですから、仕方ありません。では早速、手配しておきます。」
「うん。」
バルサザールは優しく微笑み、私の頬に手を添えた。その手の温もりが、心の底まで染み渡るように感じた。
「今日はお疲れのようですから、添い寝でとどめておくとしましょう。」
彼の言葉に私は微笑み返し、ベッドに横たわった。バルサザールもそっと隣に横になり、優しく私を抱き寄せた。彼の腕の中で、私は次第に心の緊張が解けていくのを感じた。彼の体温が心地よく、安心感に包まれながら、私は彼の胸に顔を埋めた。
「バル、大好き…。」
「もう眠りなさい。私の理性が働いているうちに。」
彼の言葉に、私は胸がいっぱいになった。彼の腕の中で、私はゆっくりと目を閉じ、心地よい眠りに落ちていった。
――――――――――
――――――
翌日から、新しい侍女が付き添ってくれるようになった。彼女の顔には見覚えがあり、どうやらバルサザールの部下の一人のようだった。バルサザールは、公務のある日にはセレナ嬢が、オフの時間が多い日やオフの時間帯には彼の部下の侍女が担当するというシフトを組んで、私が最も快適に過ごせるよう調整してくれているようだった。
新しく侍女として来たのは、バルサザールの信頼厚い部下のリディアだった。彼女は落ち着いた物腰と、的確な判断力を持つ女性だった。
「ルナティアナ様、本日はどうされますか?」
「うーん、晩餐の時間まで書類整理する。」
私は机の上の書類を見つめながら答えた。リディアは深く一礼し、すぐに動き出した。
「畏まりました。」
しばらく書類整理をしていると、リディアがそっとお茶をテーブルに置いた。その香りに気付き、私は顔を上げた。
「え…。どうしてお茶があるの?」
私は驚いてリディアを見つめた。
「宰相様が仕入れられました。」
それを聞いて、私は思わず微笑んでしまう。
――まさかお茶を飲めるなんて…。
「ルナティアナ様は、本当に宰相がお好きなのですね。」
「うん。大好き。」
リディアは少し首をかしげながら、私に尋ねた。
「宰相様のどこがそんなにお好きなのでしょうか?」
私はリディアの質問に少し考え込みながらも、口を開いた。
「バルの好きなところかー、まず見た目!すっごくカッコイイんだから!特に、あの片眼鏡!!って、最近眼鏡だったり、かけてなかったりなんだけど…。で、次に冷静で賢いところが好き。厳しいところも好きだし、嫌味をいってくる時もほんとは好き。意地悪に見えるのは、私を守るためにあえて厳しくしているからだし。」
リディアは驚いた表情を浮かべた。
「それを好きだとおっしゃるのは、少し意外です。ですが…なるほど。ルナティアナ様は宰相様の本質をしっかりと見ていらっしゃるのですね。」
「もう何年も好きだからね。」
リディアは少し困ったように微笑みながら頭を下げた。
「平民出身の私がぶしつけな質問ばかりしてしまい、ごめんなさい。でも、ルナティアナ様の本音を聞けて嬉しいです。」
私はリディアが平民出身だと聞いて安心した。
「ううん。その調子でお願い。私も、平民出身とかわりないから。」
リディアは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに理解したように頷いた。
「もしや、別の世界の記憶というやつですか?」
「うん、そう。だから、友達みたいな距離でいてくれると助かるかも。」
リディアは少し考え込んでから、微笑んだ。
「友達…いえ、宰相ラブな変わり者の友人をもつのは少々…。」
「あっはは!リディアとは長い付き合いができそう。」
「ふふっ。そうですね、ルナティアナ様。」
私は本当に安心感を覚え、リディアとの絆が少しずつ深まっていくのを感じた。
その時、ドアをノックする音が響いた。
「どうぞ。」とリディアが答えると、バルサザールが部屋に入ってきた。彼の鋭い眼差しが部屋を一瞬で包み込む。リディアが一礼し、「宰相様、お待ちしておりました。」と言った。バルサザールは軽く頷き、私に向かって歩み寄ってきた。
「おや?仲良く談笑でございますか?」
「今丁度惚気話をしてたところ。」
バルサザールは一瞬だけ眉をひそめ、そして微笑を浮かべて言った。
「惚気話ですか。私のことを語るほど、退屈な時間を過ごしていたとは、暇つぶしにも困ったものですね。」
彼の嫌味に対して、私は思わず微笑んでしまった。彼の言葉の裏には照れ隠しが含まれているのを感じたからだ。
「バル、そんなこと言わないでよ。バルの話をしてると、時間があっという間に過ぎるんだから。」
バルサザールの目が一瞬だけ優しく緩んだ。その瞬間、彼の手がそっと私の髪に触れ、優しく撫でるように動かす。
「あなたがそう言ってくれるなら、私も悪くないですね。」
彼の声は低く、甘く響いた。
リディアはその様子を見て、目を疑いながらも呆れた表情を浮かべていた。
「本当に、宰相様と王女様は特別な関係ですね。」
バルサザールは微笑みながらリディアに一瞥を送り、「リディア、これからもティアナを頼みますよ。」と言った。
リディアは深く一礼し、「もちろんです、宰相様。」と応えた。
23
お気に入りに追加
503
あなたにおすすめの小説
ゲーム世界といえど、現実は厳しい
饕餮
恋愛
結婚間近に病を得て、その病気で亡くなった主人公。
家族が嘆くだろうなあ……と心配しながらも、好きだった人とも結ばれることもなく、この世を去った。
そして転生した先は、友人に勧められてはまったとあるゲーム。いわゆる〝乙女ゲーム〟の世界観を持つところだった。
ゲームの名前は憶えていないが、登場人物や世界観を覚えていたのが運の尽き。
主人公は悪役令嬢ポジションだったのだ。
「あら……?名前は悪役令嬢ですけれど、いろいろと違いますわね……」
ふとした拍子と高熱に魘されて見た夢で思い出した、自分の前世。それと当時に思い出した、乙女ゲームの内容。
だが、その内容は現実とはかなりゲームとかけ離れていて……。
悪役令嬢の名前を持つ主人公が悪役にならず、山も谷もオチもなく、幸せに暮らす話。
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
【完結】冷酷眼鏡とウワサされる副騎士団長様が、一直線に溺愛してきますっ!
楠結衣
恋愛
触ると人の心の声が聞こえてしまう聖女リリアンは、冷酷と噂の副騎士団長のアルバート様に触ってしまう。
(リリアン嬢、かわいい……。耳も小さくて、かわいい。リリアン嬢の耳、舐めたら甘そうだな……いや寧ろ齧りたい……)
遠くで見かけるだけだったアルバート様の思わぬ声にリリアンは激しく動揺してしまう。きっと聞き間違えだったと結論付けた筈が、聖女の試験で必須な魔物についてアルバート様から勉強を教わることに──!
(かわいい、好きです、愛してます)
(誰にも見せたくない。執務室から出さなくてもいいですよね?)
二人きりの勉強会。アルバート様に触らないように気をつけているのに、リリアンのうっかりで毎回触れられてしまう。甘すぎる声にリリアンのドキドキが止まらない!
ところが、ある日、リリアンはアルバート様の声にうっかり反応してしまう。
(まさか。もしかして、心の声が聞こえている?)
リリアンの秘密を知ったアルバート様はどうなる?
二人の恋の結末はどうなっちゃうの?!
心の声が聞こえる聖女リリアンと変態あまあまな声がダダ漏れなアルバート様の、甘すぎるハッピーエンドラブストーリー。
✳︎表紙イラストは、さらさらしるな。様の作品です。
✳︎小説家になろうにも投稿しています♪
何がどうしてこうなった!?
かのう
恋愛
トリクセン王国第二王子・セドリック=トリクセンの婚約者である公爵令嬢リリーディア=ローゼは、自分が前世でプレイしていた乙女ゲームの悪役令嬢だと気が付いた。しかし時すでに遅し、そのことに気が付いたのは断罪の場で――――……
もう取り返しはつかない。ええい、ままよ!もうなるようになるしかない!!リリーディアは覚悟を決めて婚約者と対峙する!
初投稿です。ふわっとした設定の相当拙い文章になりますが、ご容赦ください。
レイミナ視点は完結。
セドリック視点始めました。2話で終わ……らなかった……
次で終われるといいなと思っています。
※小説家になろう様でも公開しています。
展開には変わりありませんが、言葉不足箇所の加筆、変更があるため、なろう版と若干異なります。
ぽっちゃりな私は妹に婚約者を取られましたが、嫁ぎ先での溺愛がとまりません~冷酷な伯爵様とは誰のこと?~
柊木 ひなき
恋愛
「メリーナ、お前との婚約を破棄する!」夜会の最中に婚約者の第一王子から婚約破棄を告げられ、妹からは馬鹿にされ、貴族達の笑い者になった。
その時、思い出したのだ。(私の前世、美容部員だった!)この体型、ドレス、確かにやばい!
この世界の美の基準は、スリム体型が前提。まずはダイエットを……え、もう次の結婚? お相手は、超絶美形の伯爵様!? からの溺愛!? なんで!?
※シリアス展開もわりとあります。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
断罪された挙句に執着系騎士様と支配系教皇様に目をつけられて人生諸々詰んでる悪役令嬢とは私の事です。
甘寧
恋愛
断罪の最中に前世の記憶が蘇ったベルベット。
ここは乙女ゲームの世界で自分がまさに悪役令嬢の立場で、ヒロインは王子ルートを攻略し、無事に断罪まで来た所だと分かった。ベルベットは大人しく断罪を受け入れ国外追放に。
──……だが、追放先で攻略対象者である教皇のロジェを拾い、更にはもう一人の対象者である騎士団長のジェフリーまでがことある事にベルベットの元を訪れてくるようになる。
ゲームからは完全に外れたはずなのに、悪役令嬢と言うフラグが今だに存在している気がして仕方がないベルベットは、平穏な第二の人生の為に何とかロジェとジェフリーと関わりを持たないように逃げまくるベルベット。
しかし、その行動が裏目に出てロジェとジェフリーの執着が増していく。
そんな折、何者かがヒロインである聖女を使いベルベットの命を狙っていることが分かる。そして、このゲームには隠された裏設定がある事も分かり……
独占欲の強い二人に振り回されるベルベットの結末はいかに?
※完全に作者の趣味です。
転生した平凡顔な捨て子が公爵家の姫君?平民のままがいいので逃げてもいいですか
青波明来
恋愛
覚えているのは乱立するビルと車の波そして沢山の人
これってなんだろう前世の記憶・・・・・?
気が付くと赤ん坊になっていたあたし
いったいどうなったんだろ?
っていうか・・・・・あたしを抱いて息も絶え絶えに走っているこの女性は誰?
お母さんなのかな?でも今なんて言った?
「お嬢様、申し訳ありません!!もうすぐですよ」
誰かから逃れるかのように走ることを辞めない彼女は一軒の孤児院に赤ん坊を置いた
・・・・・えっ?!どうしたの?待って!!
雨も降ってるし寒いんだけど?!
こんなところに置いてかれたら赤ん坊のあたしなんて下手すると死んじゃうし!!
奇跡的に孤児院のシスターに拾われたあたし
高熱が出て一時は大変だったみたいだけどなんとか持ち直した
そんなあたしが公爵家の娘?
なんかの間違いです!!あたしはみなしごの平凡な女の子なんです
自由気ままな平民がいいのに周りが許してくれません
なので・・・・・・逃げます!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる