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86p【会議】

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ログインして早々に、とりあえず大広間へ行ってみると、ルナ班と夜の幹部とあまり面識のない朝の幹部が揃っていた。

そこには豊もいた。

「りき!遅い!」とルナさんに怒られて「すみません!」と言いながらいそいそとシュガーさんの隣に座った。

「揃ったわね。ヴァルプルギスの仕様変更。情報は各町に配置した酒場を運営してる公式NPCからよ。それをまとめたデータをみんなに見せるわ。SSを撮って頂戴。」

SSってスクリーンショット…でいいんだよな?

みんなはその情報が記載されたホログラム画面をスマホで撮影していたから俺もそれを真似た。

このゲーム【リアル】は基本的に酒場を運営してる公式NPCからアップデート情報を聞くことができる。

ある程度そのNPCと仲良くなっておかないと聞けない情報もあるから、ミルフィオレは各班にそういう役割の人を3人用意して毎日情報を聞き出している。



・[確定]新MAP 広大な迷路。

・[未確定]モンスターが配置されている。

・[確定]連合対抗。

・[未確定]ギルド対抗。

・[確定]ランダム配置

・「未確定」乗り物可能



「ん?この未確定ってなんですか?」

「あぁ、これは情報係45人が聞いた情報を元に作られたもんだからよぉ。45人中30人以上だった場合は確定その他は未確定にしてんだ。頭に入れておこうってやつだ。」とシュガーさんが教えてくれた。

「なるほど。」

「じゃあ本題に入るわ。ミスティック連合にギルド【ドルガバ】を加入させる事にします。」とルナさんが発言すると「うそだろ!?」「ふざけるな!」等の声が聞こえてきた。

今まで散々酷い嫌がらせをされてきたんだ…そりゃこうなるよな。

「今、うち以外のミスティック連合加入ギルドに…ドルガバは謝罪して回ってるわ。」

大広間がさらにざわつく。中には罵倒をする人もいた。

「まぁ、ルナはもういれるって決めてるんだろ?」とシュガーさんが発言する。

「加入させない…はありえない。私たちの大いなる目的の為には必要、そうでしょ?反対の人、手を挙げて。」

みんなが静かになって誰一人手をあげなかった。凄い、一瞬あんなにざわついていたのに…。
コホンッと大きめの咳払いが聞こえたと思えば千翠さんが前に出た。
「今のドルガバは私の副官だったユダが全権を持っています。ですからご安心を。」
「それなら安心だ。」と皆が言う。

「もし班の中にドルガバ加入を許せないという人がいた場合、追放してしまいなさい。」とルナさんが言った。

それはまるで、圧をかけるかのようだった。

「問題はランダム配置だな。」
黒いマントに、白と緑の仮面、それから黒いシルクハットを被った朝の幹部パンデミック卿が発言した。

「そうね…。変態紳士班がまず全滅するわね。」

「え?どうして全滅なんですか?」とシュガーさんに聞くと「あそこの班はヒーラーか非戦闘員ばっかりなんだ。」と教えてくれた。

「さすがに孤立はないだろ?」

「全連合が戦えるほどの広大なMAPよ…つまり地球1個分…と考えていいと思うの。」

「乗り物も未確定だもんなぁ。」

「あ、あの…サモンゲートを使って全員固まるってのはどうですか?」と俺が発言すると真後ろにゲートが開いた。
「うわっ!!」
あまり見た事ない子が出てきて、ガウルさんが素早くゲートを開いてそこにその子を突っ込んだ。

「そうだわ。それよ!!りき!それで行きましょう。」とルナさんが言う。

「…ルナ。検証してからに。」といつの間にかルナさんの背後に移動していたシンカさん。

「コホンッ。シンカの言うとりですね。検証を何度かしましょう。」

「日を決めてやらねーとなぁ。任務中だった場合詰むぜ?」

「そうね。色々日程を決めないと。」

「え…あの他の人にもゲートスキルを振ってもらうっていうのは…。」

「私たちが試してないわけないでしょう?」

「ただゲートを振るだけじゃサモンゲートを覚える事ができませんでした。何かしらのスキルがあって、その上でゲートを振らないといけないようですね。一応前に見せてもらったスキル振りを真似してみましたけど、順番とかもあるようで未だ解明できてません。」とシンカさんが言った。

じゃあ今使えるのは俺一人って事か?

「あの、そういえば任務ってなんですか?」

「あぁ、別ギルドから護衛頼まれたり、ダンジョンクリアしてほしいだとか色々頼まれるんだ。それを俺らは任務って呼んでるわけよ。」
「なるほど。」

よく見ると大広間人いっぱいだけど、これ全部の幹部と副官だとかAIだとかルナ班の人達だよな。

「新人教育強化の為、今回タク…Shiftにはヴァルプルギスが終わるまでの間ダンジョンへ籠る事を禁止します。」
「は!?ふざけんなっ!!!」とshiftさんはガタンと立ち上がる。
「タクミ落ち着いて!それよりも班の強化をお願いしたいの。ペナルティになったらその分遅れをとるわ。」
「そうだ。餅つけって。」
スノーポークさんは冗談交じりの口調でShiftさんを宥めた。
「はぁ…だるっ。」
Shiftさんは大袈裟にドカっと椅子に座った。

「Shiftさんなら、無視して言っちゃいそうですね。」
「それは不可能だ。」とガウルさん。
「え?」
「このゲームは普通のゲームと違って細かい権限が色々ある。最高位幹部にのみ付与された権限、ダンジョン入場制限。これをかけられた奴はミルフィオレに加入してる以上ダンジョンに入場する事ができない。」
「え…そんな機能もあるんですか?」
「他にも、パーティーを組めないようにしたりもできるぜ。」とシュガーさんが言う。
ギルドって、思ってたよりもかなり複雑だ。
「えっと、最高位幹部って誰なんですか?」
「シンカにシン、朝の幹部からは パンデミック卿 Mr.DADA、夜の幹部からは 千翠 ラート。ルナ班からサイファーそれから…。」
「それから…?」
「俺。」とシュガーさんにキメ顔で言われてガクっとなった。
「最高位幹部だったんですね。」
「おう、一番古いからな。ルナと最初期からやってきた。」
「俺、まだ全然朝の人たちと顔を合わせてない気がします。」
「りきを最高位幹部にしようと絶賛育成中だから色々あちこち走り回らせてるみたいだしなぁ。特に土日は限定ダンジョンもあるしよぉ。」
「そうなんですよ。最上級に籠ると土日なんてあっという間で。」
「あと、サーバー安定化の為現実世界の1日はこっちで4日になるそうよ。」
「え?だいぶと縮まりましたね。」
「あぁ。脳への負担を減らす為らしいな。」
やっぱり。負担かかってたのか。これで中止されないゲームって大丈夫か?

一方、咲は熱心に情報を読んでいた。

「それから、今までのヴァルプルギスがクリスマスイベントに移行するような未確定情報があるわね。」
「げっ。」とガウルさんが顔を青くする。
「参加できる人数と報酬も不明。」
「あとは新要素。新アビリティとでも言いましょうか。ヴァンパイアがくるわね。」
「ヴァンパイアってどんな感じなんでしょう?」
「さぁなぁ。何かを吸血しないと生きていけないって事だろうな。」
「未確定ではあるが、何かを吸血しないと1日ごとに体力が減っていくらしい。」
「わからないわよね。聞いた子たちも「近頃ヴァンパイアが出たって噂を聞いたぜ。」としか聞けてないみたいだし。」

「このヴァンパイアは近頃って言ってるから現実世界時間一ヶ月以内にくるのは確定ね。」

ヴァルプルギスの仕様変更に、ドルガバの連合加入、新アビリティ、1日が4日。考える事が多いな。
これだけしっかり議論だとか、資料だとか色々あるのは凄いな。

なんだろう?ワクワク、じゃないけど【リアル】が楽しくなってきた。
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