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16 闇の中
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今の僕は真っ暗な闇の中に一人。上を見ても下を見ても横を見てもぜーんぶ真っ暗。
今度は暗闇に浮かぶ事になったらしい。
うーん。なんでここにいるんだろう?考えてもわからないから目を閉じて上か下かもわからないこの世界で漂うことにした。
何もないからなんでここに居るのか分からなくなってきた。
僕という存在の境目が闇に溶ける。
なぁんにもない。
どうして僕はここに居るんだろう。
***
『おーい、おーい』
どこからか呼び声が聞こえる。
真っ暗だったはずなのに、見上げれば空にはいつの間にかお月さま。
月明かりに照らされるのは森の中に広がる原っぱ。
どこかで見たことがあるような。と考えれば『しろいうさぎとくろいうさぎ』の絵本の絵だった。
ぴょんぴょんとしろい塊がはねて寄ってくる。
(なるほどなるほど、夢の中、かぁ。あ、僕がくろいうさぎさんか。なるほど僕は悲観的なほうのうさぎさんね)
「あー」
僕の眼の前にきてしろいうさぎが口を開く。真っ黒な大きなおめめがかわいらしい。
「早く起きて帰ろうぜ!」
おやおや、絵本の中では優しい語り口だったしろいうさぎさんだけどなんだかとっても男らしい。
だけどお話が変わってしまうんだけどなぁ。
お月さまが出ている森ってことは、多分これから二人で仲良く結婚式を上げて踊るシーンなんだけど。
まぁいっか。僕は僕のセリフをいうだけだ。
「これからさき、いつも君と一緒にいられますように」
「まかせとけ!絶対放さない!」
グーンと胸を反りその小さな手を腰に当てて大きな声で叫ぶ。
あれれれれ?なんだろうこのおおきなしろいうさぎさんは、男前だなぁ。
「ほんとうにそうおもう?」
ついセリフが口をついた。あれ、これはしろいうさぎさんのセリフだったはずなんだけど、まぁいっか。
鼻息荒くふんすふんすと頷く大きなしろいうさぎさんに僕もほっこりする。
「いつもいつもいつまでも?」
「いつもいつもいつまでも!!」
そうしてうさぎさんの小さな手が僕の手に伸ばされた。くろいちいさなうさぎの手で感じる温かさに安心する。途端にそこから光が溢れ出し、それに触れた世界が崩れ光の粉になっていく。
***
ぱちくり。
我ながらそうとしか言いようがない目覚めだった。
急に戻ってきた体の感覚にまばたきだけを繰り返す。いつもとちがって見上げた先には天井。
(もど、れた?)
ピ、ピ、ピと電子音。遠くで患者さんをよぶナースさんの声。指先に感じる温かな誰かの体温。
「おはよう」
そう告げた僕にシオンが目を丸くしてくしゃりと顔を歪めた。
「おそようだぞ」
そう言って僕を腕に閉じ込めるのは大好きな君。
僕から離れないシオンをショーンが蹴っ飛ばして騒ぎが起きるまであと少し。
頑なにシオンを拒むショーンはシオンが僕を『だいっきらい』って言ったって泣き叫んで全てが誤解だったってわかるまで一騒動だった。
今度は暗闇に浮かぶ事になったらしい。
うーん。なんでここにいるんだろう?考えてもわからないから目を閉じて上か下かもわからないこの世界で漂うことにした。
何もないからなんでここに居るのか分からなくなってきた。
僕という存在の境目が闇に溶ける。
なぁんにもない。
どうして僕はここに居るんだろう。
***
『おーい、おーい』
どこからか呼び声が聞こえる。
真っ暗だったはずなのに、見上げれば空にはいつの間にかお月さま。
月明かりに照らされるのは森の中に広がる原っぱ。
どこかで見たことがあるような。と考えれば『しろいうさぎとくろいうさぎ』の絵本の絵だった。
ぴょんぴょんとしろい塊がはねて寄ってくる。
(なるほどなるほど、夢の中、かぁ。あ、僕がくろいうさぎさんか。なるほど僕は悲観的なほうのうさぎさんね)
「あー」
僕の眼の前にきてしろいうさぎが口を開く。真っ黒な大きなおめめがかわいらしい。
「早く起きて帰ろうぜ!」
おやおや、絵本の中では優しい語り口だったしろいうさぎさんだけどなんだかとっても男らしい。
だけどお話が変わってしまうんだけどなぁ。
お月さまが出ている森ってことは、多分これから二人で仲良く結婚式を上げて踊るシーンなんだけど。
まぁいっか。僕は僕のセリフをいうだけだ。
「これからさき、いつも君と一緒にいられますように」
「まかせとけ!絶対放さない!」
グーンと胸を反りその小さな手を腰に当てて大きな声で叫ぶ。
あれれれれ?なんだろうこのおおきなしろいうさぎさんは、男前だなぁ。
「ほんとうにそうおもう?」
ついセリフが口をついた。あれ、これはしろいうさぎさんのセリフだったはずなんだけど、まぁいっか。
鼻息荒くふんすふんすと頷く大きなしろいうさぎさんに僕もほっこりする。
「いつもいつもいつまでも?」
「いつもいつもいつまでも!!」
そうしてうさぎさんの小さな手が僕の手に伸ばされた。くろいちいさなうさぎの手で感じる温かさに安心する。途端にそこから光が溢れ出し、それに触れた世界が崩れ光の粉になっていく。
***
ぱちくり。
我ながらそうとしか言いようがない目覚めだった。
急に戻ってきた体の感覚にまばたきだけを繰り返す。いつもとちがって見上げた先には天井。
(もど、れた?)
ピ、ピ、ピと電子音。遠くで患者さんをよぶナースさんの声。指先に感じる温かな誰かの体温。
「おはよう」
そう告げた僕にシオンが目を丸くしてくしゃりと顔を歪めた。
「おそようだぞ」
そう言って僕を腕に閉じ込めるのは大好きな君。
僕から離れないシオンをショーンが蹴っ飛ばして騒ぎが起きるまであと少し。
頑なにシオンを拒むショーンはシオンが僕を『だいっきらい』って言ったって泣き叫んで全てが誤解だったってわかるまで一騒動だった。
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