35 / 64
35 幼馴染は再び豹変する
しおりを挟む
「まだ、目をあけないでね」
そういうとニコは私を腕の中に抱えて進んでいく。体の揺れ方からもう階段は過ぎて2階の廊下になったらしいと判断する。
「たしか、この部屋だったんだ」
そういうとドアを開ける気配がした。
「いいよ、あけてみて」
目をあけると至近距離にニコの顔があった、にこりとわらって軽いキスを唇に落とされる。ほんわりと触れてすぐに離れるその唇が柔らかくて優しい。美少年、いや美青年になりつつあるイケメンはどこもかしこもイケてるんだから神様は本当に不公平だ。
「へへ、なんだか新婚さんみたいじゃない?」
へにゃっと笑う顔に心のなかで悲鳴を上げる。それ糖度500%だから!!あまったるい笑顔を向けないで!普通の娘さんはそんな顔されると恋しちゃうから!!
「だ、だから、私結婚とかまだまだ考えてないんだってば」
必死に目をそらしながら、反論するけどつっかえて、平静を装うのに失敗した。
「そんなこと言って、花の命は短いって言うでしょう?」
ぬぬぬ。まだ私18だぞ。いやまぁ皆結婚するのは20前後だけどさ。
「僕の顔スキスキ言ってよってくる人と違ってエミーは僕といても顔のこと気にしないから、僕がぽっこりお腹のおじさんになっても僕のこと嫌いにならないでしょう?」
え?花の命ってニコが花の方?たしかにニコのお父さんは年々たぬきさんみたいにぽっこりお腹になっていってるけど、あれはあれで貫禄がついていっているという言い方も出来る。それにニコは細身のお母さん似だと思うんだけど。
「そりゃまぁニコはニコだし私にとっては」
たしかに他の子達ほどニコの外見にキャーキャー言わないけど、そういう糖度の高い顔されると普通に胸キュンするんだけど。でもまあ見慣れてるといえば見慣れてるかな。学園では攻略対象たちを見かけることも多かったし、イケメン慣れしてるとは思う。
「何より僕がエミーと一緒に居たい。エミーといると楽しいし、なんか嬉しい。ってごめんね、もっと月だとか花だとかいろいろ例えられたらいいんだけどさ。エミーの周りのお貴族様みたいに」
最後にちょっと残念そうに言うと、そうっと私を床におろしてくれる。
「ね?可愛いでしょう?この部屋」
確かに。ニコの言う通りなんだかかわいさ満載の部屋だった。壁紙は薄いグリーンに小花柄でお花畑にいるようなそんな主張しすぎない上品さで、家具もリスと木の葉の組み合わせた図柄を側面に彫り込んだ結構手のこんだものが置かれている。
二人はゆっくり眠れそうな寝台にかけられた寝具も女の子が好きそうな花がらで、うん、この部屋は確かにかわいい!水差しとか部屋に備え付けの小物までどれもこれも女の子が喜んじゃう可愛さがあふれてる。
「すっごいかわいいんだけど!なにこれ?ニコ、この部屋かわいすぎでしょ?」
思わずはしゃいだ声を出して窓際に駆け寄る。通りが見えるかと思っていたら裏庭を見下ろす位置だったらしく下には今が盛りの末広がりの管楽器みたいな紫の花が夕日の中たくさん咲いていた。
「お庭もあるんだね、いい眺め」
「うん。この部屋は新婚旅行のお客さんを泊めてあげたくてさ。エミーが喜んでくれるならきっとお客さんも喜ぶね」
「うん。きっと喜ばれるね。評判になって繁盛するといいね」
「まぁ、大丈夫だと思うよ。食堂の方もカロリンの旦那さんのトビーが入ってくれるって」
「え?カロリン結婚したの?トビーってあの大きいクマみたいな?」
不意に出された幼なじみたちの名前に少し驚く。確かカロリンはニコみたいな可愛い系の顔が好きで、一時期ニコとなかよしの私に意地悪しちゃうくらいだったのに。トビーは確か私達の10歳くらい上だったはず、料理人になりに修行に行ってた、無口だからあんまり絡んだことは無いけど。
好みのタイプと現実に付き合うのは違うってやつか・・・
「クマって、まあトビーは大きいけどさ。腕は確かだよ。どっかのお貴族様のお抱えやってた人の弟子だったから色んな料理が作れるって。この前スパイスの効いた肉料理作ってもらったけど、美味しかったよ」
「へーじゃあ食堂が開いたら食べに来るね。楽しみ。」
元日本人としてこっちの世界の一般的な人達よりも食いしん坊気味の私は思わずまだ見ぬご飯を思い頬をゆるめる。
「本当にエミーは食べるの好きだよね。毎日おいしいもの食べたいよね?僕と一緒に宿屋を経営すればその希望は叶うんだけどな」
「だから、結婚はまだしたくないの。仕事も学園で習ったことを活かしたいし」
「でも平民のエミーを雇う貴族家なんてあるの?貴族に嫌な思いさせられるくらいなら僕と一緒にここで頑張ろ」
「だから、その話はこの前断ったでしょ。ニコのこと嫌いじゃないけど。同じ話するなら帰る」
また堂々巡りになりそうな気配に話を切り上げて部屋を出ようとすると腕を捕まれ引き寄せられた。その強い力に驚いてニコを見ると噛み付くようなキスで口を塞がれた。
遠慮なく侵入してくる舌が口内を犯し尽くす。後頭部に回された手が私の頭を固定して逃げることを許してくれない。
身を捩って逃げようとしても背に回された腕が私の腰をニコに縫い止める。ニコの硬さをもちだしたあつい熱をお腹にあてられて私の奥がぼんやりとしたしびれを湛えだす。ついもぞりと足をすり合わせるとやっと口を開放してくれた。
「ね?嫌いじゃない男とキスして濡れるってどんな気持ち?」
覗き込んでくるニコのさっきまで優しかった水色の瞳がオスの情欲でそめられていて、意地悪な質問と相まって私の奥がまたズキュンと震えた。
「やーらしい顔してるって、分かってるの?」
挑発するような言葉を吐いた唇が二人分の唾液で濡れて光っていて強烈な色気を醸し出す。私がふるふると頭を振るとニコの舌がチロリと覗いて唇をなめた。
「絶対好きっていわせる」
そう言って私の服に手をかけたニコは私から目をそらさずに1つ目のボタンを外した。
「逃さないよ」
夕暮れ時の光が部屋を赤く染めて、ニコと私を照らし出した。
そういうとニコは私を腕の中に抱えて進んでいく。体の揺れ方からもう階段は過ぎて2階の廊下になったらしいと判断する。
「たしか、この部屋だったんだ」
そういうとドアを開ける気配がした。
「いいよ、あけてみて」
目をあけると至近距離にニコの顔があった、にこりとわらって軽いキスを唇に落とされる。ほんわりと触れてすぐに離れるその唇が柔らかくて優しい。美少年、いや美青年になりつつあるイケメンはどこもかしこもイケてるんだから神様は本当に不公平だ。
「へへ、なんだか新婚さんみたいじゃない?」
へにゃっと笑う顔に心のなかで悲鳴を上げる。それ糖度500%だから!!あまったるい笑顔を向けないで!普通の娘さんはそんな顔されると恋しちゃうから!!
「だ、だから、私結婚とかまだまだ考えてないんだってば」
必死に目をそらしながら、反論するけどつっかえて、平静を装うのに失敗した。
「そんなこと言って、花の命は短いって言うでしょう?」
ぬぬぬ。まだ私18だぞ。いやまぁ皆結婚するのは20前後だけどさ。
「僕の顔スキスキ言ってよってくる人と違ってエミーは僕といても顔のこと気にしないから、僕がぽっこりお腹のおじさんになっても僕のこと嫌いにならないでしょう?」
え?花の命ってニコが花の方?たしかにニコのお父さんは年々たぬきさんみたいにぽっこりお腹になっていってるけど、あれはあれで貫禄がついていっているという言い方も出来る。それにニコは細身のお母さん似だと思うんだけど。
「そりゃまぁニコはニコだし私にとっては」
たしかに他の子達ほどニコの外見にキャーキャー言わないけど、そういう糖度の高い顔されると普通に胸キュンするんだけど。でもまあ見慣れてるといえば見慣れてるかな。学園では攻略対象たちを見かけることも多かったし、イケメン慣れしてるとは思う。
「何より僕がエミーと一緒に居たい。エミーといると楽しいし、なんか嬉しい。ってごめんね、もっと月だとか花だとかいろいろ例えられたらいいんだけどさ。エミーの周りのお貴族様みたいに」
最後にちょっと残念そうに言うと、そうっと私を床におろしてくれる。
「ね?可愛いでしょう?この部屋」
確かに。ニコの言う通りなんだかかわいさ満載の部屋だった。壁紙は薄いグリーンに小花柄でお花畑にいるようなそんな主張しすぎない上品さで、家具もリスと木の葉の組み合わせた図柄を側面に彫り込んだ結構手のこんだものが置かれている。
二人はゆっくり眠れそうな寝台にかけられた寝具も女の子が好きそうな花がらで、うん、この部屋は確かにかわいい!水差しとか部屋に備え付けの小物までどれもこれも女の子が喜んじゃう可愛さがあふれてる。
「すっごいかわいいんだけど!なにこれ?ニコ、この部屋かわいすぎでしょ?」
思わずはしゃいだ声を出して窓際に駆け寄る。通りが見えるかと思っていたら裏庭を見下ろす位置だったらしく下には今が盛りの末広がりの管楽器みたいな紫の花が夕日の中たくさん咲いていた。
「お庭もあるんだね、いい眺め」
「うん。この部屋は新婚旅行のお客さんを泊めてあげたくてさ。エミーが喜んでくれるならきっとお客さんも喜ぶね」
「うん。きっと喜ばれるね。評判になって繁盛するといいね」
「まぁ、大丈夫だと思うよ。食堂の方もカロリンの旦那さんのトビーが入ってくれるって」
「え?カロリン結婚したの?トビーってあの大きいクマみたいな?」
不意に出された幼なじみたちの名前に少し驚く。確かカロリンはニコみたいな可愛い系の顔が好きで、一時期ニコとなかよしの私に意地悪しちゃうくらいだったのに。トビーは確か私達の10歳くらい上だったはず、料理人になりに修行に行ってた、無口だからあんまり絡んだことは無いけど。
好みのタイプと現実に付き合うのは違うってやつか・・・
「クマって、まあトビーは大きいけどさ。腕は確かだよ。どっかのお貴族様のお抱えやってた人の弟子だったから色んな料理が作れるって。この前スパイスの効いた肉料理作ってもらったけど、美味しかったよ」
「へーじゃあ食堂が開いたら食べに来るね。楽しみ。」
元日本人としてこっちの世界の一般的な人達よりも食いしん坊気味の私は思わずまだ見ぬご飯を思い頬をゆるめる。
「本当にエミーは食べるの好きだよね。毎日おいしいもの食べたいよね?僕と一緒に宿屋を経営すればその希望は叶うんだけどな」
「だから、結婚はまだしたくないの。仕事も学園で習ったことを活かしたいし」
「でも平民のエミーを雇う貴族家なんてあるの?貴族に嫌な思いさせられるくらいなら僕と一緒にここで頑張ろ」
「だから、その話はこの前断ったでしょ。ニコのこと嫌いじゃないけど。同じ話するなら帰る」
また堂々巡りになりそうな気配に話を切り上げて部屋を出ようとすると腕を捕まれ引き寄せられた。その強い力に驚いてニコを見ると噛み付くようなキスで口を塞がれた。
遠慮なく侵入してくる舌が口内を犯し尽くす。後頭部に回された手が私の頭を固定して逃げることを許してくれない。
身を捩って逃げようとしても背に回された腕が私の腰をニコに縫い止める。ニコの硬さをもちだしたあつい熱をお腹にあてられて私の奥がぼんやりとしたしびれを湛えだす。ついもぞりと足をすり合わせるとやっと口を開放してくれた。
「ね?嫌いじゃない男とキスして濡れるってどんな気持ち?」
覗き込んでくるニコのさっきまで優しかった水色の瞳がオスの情欲でそめられていて、意地悪な質問と相まって私の奥がまたズキュンと震えた。
「やーらしい顔してるって、分かってるの?」
挑発するような言葉を吐いた唇が二人分の唾液で濡れて光っていて強烈な色気を醸し出す。私がふるふると頭を振るとニコの舌がチロリと覗いて唇をなめた。
「絶対好きっていわせる」
そう言って私の服に手をかけたニコは私から目をそらさずに1つ目のボタンを外した。
「逃さないよ」
夕暮れ時の光が部屋を赤く染めて、ニコと私を照らし出した。
0
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説
R18、アブナイ異世界ライフ
くるくる
恋愛
気が付けば異世界。しかもそこはハードな18禁乙女ゲームソックリなのだ。獣人と魔人ばかりの異世界にハーフとして転生した主人公。覚悟を決め、ここで幸せになってやる!と意気込む。そんな彼女の異世界ライフ。
主人公ご都合主義。主人公は誰にでも優しいイイ子ちゃんではありません。前向きだが少々気が強く、ドライな所もある女です。
もう1つの作品にちょいと行き詰まり、気の向くまま書いているのでおかしな箇所があるかと思いますがご容赦ください。
※複数プレイ、過激な性描写あり、注意されたし。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
幼なじみとセックスごっこを始めて、10年がたった。
スタジオ.T
青春
幼なじみの鞠川春姫(まりかわはるひめ)は、学校内でも屈指の美少女だ。
そんな春姫と俺は、毎週水曜日にセックスごっこをする約束をしている。
ゆるいイチャラブ、そしてエッチなラブストーリー。
異世界転生先で溺愛されてます!
目玉焼きはソース
恋愛
異世界転生した18歳のエマが転生先で色々なタイプのイケメンたちから溺愛される話。
・男性のみ美醜逆転した世界
・一妻多夫制
・一応R指定にしてます
⚠️一部、差別的表現・暴力的表現が入るかもしれません
タグは追加していきます。
最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~
ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。
ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。
一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。
目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!?
「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」
転生したら、6人の最強旦那様に溺愛されてます!?~6人の愛が重すぎて困ってます!~
月
恋愛
ある日、女子高生だった白川凛(しらかわりん)
は学校の帰り道、バイトに遅刻しそうになったのでスピードを上げすぎ、そのまま階段から落ちて死亡した。
しかし、目が覚めるとそこは異世界だった!?
(もしかして、私、転生してる!!?)
そして、なんと凛が転生した世界は女性が少なく、一妻多夫制だった!!!
そんな世界に転生した凛と、将来の旦那様は一体誰!?
完結 チート悪女に転生したはずが絶倫XL騎士は私に夢中~自分が書いた小説に転生したのに独占されて溺愛に突入~
シェルビビ
恋愛
男の人と付き合ったことがない私は自分の書いた18禁どすけべ小説の悪女イリナ・ペシャルティに転生した。8歳の頃に記憶を思い出して、小説世界に転生したチート悪女のはずが、ゴリラの神に愛されて前世と同じこいつおもしれえ女枠。私は誰よりも美人で可愛かったはずなのに皆から面白れぇ女扱いされている。
10年間のセックス自粛期間を終え18歳の時、初めて隊長メイベルに出会って何だかんだでセックスする。これからズッコンバッコンするはずが、メイベルにばっかり抱かれている。
一方メイベルは事情があるみたいだがイレナに夢中。
自分の小説世界なのにメイベルの婚約者のトリーチェは訳がありそうで。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる