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25 エルフなの?エロフなの?
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泣きそう。椅子の上で更に身を縮める。両手は二人に囚われて動けない。今や水音までさせながら私の手を愛でる二人はお互いを牽制しあってるのか一向にやめる気配がない。
私は3年間エルフ先生を尊敬してきた。いや、正直に言えば心の中でその美しさを拝んできた。そんな至高の存在であるエルフ先生が、今私の手をとり熱く口づけを落としてくるなんて、なんだか私が慕ってきた先生がいなかったようなそんな気もちになってしまう。
いや。違うか。先生はエルフだけど男性で、私がねんねだったからそんな事を考えなかっただけだ。実際先生は3年間私をあたたかく指導してくれて、下心を感じるようないやらしさは今日のこの時まで欠片もなかったんだから。しっかり隠してくれたその気遣いに感謝よね。
分かってる、この気持は勝手に相手を神格化して気に食わない部分を見つけると期待はずれと離れていくそういう私の嫌いなタイプの人間の持つ感情。
でも、私もそんなゲスな人間ってこと。勝手に期待して勝手に失望してる。
・・・先生は私のどこを好きになってくれたんだろう。
涙目になりながら先生を見る。
「せんせぃ・・・」
私の涙声に先生がはっと身を起こす。
「わからないんです。先生は私の先生で、お付き合いとかそういう事考えたことなくて、どうしてって。私なんかをどうしてって?」
だってエルフ先生の相手はヒロインだったはずで。一生懸命に魔法の勉強をする彼女のひたむきさに心惹かれてエルフ先生が種族を乗り越えてでも側にいたいって思うストーリーを知ってるから。地味サポートの平民エミーが側にいれるようなお方じゃないんだもん。だって攻略対象様だよ。キラキラのピカピカの攻略対象様たちとエミーが並んでるスチルなんてなかったよ。私のスチル仲間はモブクラスメイトがせいぜいで、つまりそういう程度の外見なのに・・・
私なんかって嫌な言葉を使ってしまって、卑屈な自分がはずかしい。先生の顔を見れなくて視線を下げると優しく頬に手を添えられた。
コツンとおでこをぶつけながら優しく頬を包まれる。
「やはり君は物分りの悪い子ですねぇ」
先生はなんだか嬉しそうだ。
「エルフ族というのは結構に性格の悪い者が揃っているんですよ。おまけに人族の貴族ときたら腹で思っていることと口に出す言葉が全く違うというおかしな者だらけ。他国で心を許せる相手もなく過ごしていた私のもとにある日突然故郷の森を思わせるような乙女が現れたら、愛さずにいられるでしょうか?人のために一生懸命になれる貴女はとても素敵ですよ。この前髪とメガネで隠していた愛らしい瞳と素顔ももちろん私の好みですよ。」
ふふふ。と先生は続ける。
「それに貴方はとても精霊たちに愛されている」
吐息のかかる距離で話されるとやっぱりその神々しさに逃げ出したくなるんだけど、そんな私の気持ちを知ってか知らずか先生の手は私の頬から離れない。
「私達エルフ族と同じくらいにね。人族なのが不思議ですけど」
?どっからどう見ても私は平民の人間ですが?
「ねえ、エミー?貴方本当はエルフ族なのでは?」
?どこからそんなトンデモ理論が?
「学園を卒業したら私と一緒に一度エルフ族の国へいってみませんか?」
????
「え?」
「私の愛する森を貴方に見せたい。きっと何故私が貴方に惹かれたのかわかってもらえるはずです」
「我が国の国民を勝手に連れ出すような真似はなさらぬことだぞ」
エルフ先生の神々しさに圧倒されて忘れていた公爵様の不機嫌な声が左側から聞こえた。
公爵様を見ようとしても先生の手は私の頭をしっかりロックして動けない。
「守るべき民をいたずらに手折るような傲慢な者の言葉は貴方の耳に入れたくない」
そう言って頬から耳へと手を移動させた先生はもう一度微笑んでおでこにキスを落とした。
遮音魔法の不思議な波動で音が消える。優しいキスに心にあった卑屈な思いが消えていくようで、そのキスを覚えていたくて目を閉じた。
強烈に不機嫌な気配が左側から発せられているのは感じてたんだけど、先生の側は森の中にいるようで一気に眠気が・・・
私は3年間エルフ先生を尊敬してきた。いや、正直に言えば心の中でその美しさを拝んできた。そんな至高の存在であるエルフ先生が、今私の手をとり熱く口づけを落としてくるなんて、なんだか私が慕ってきた先生がいなかったようなそんな気もちになってしまう。
いや。違うか。先生はエルフだけど男性で、私がねんねだったからそんな事を考えなかっただけだ。実際先生は3年間私をあたたかく指導してくれて、下心を感じるようないやらしさは今日のこの時まで欠片もなかったんだから。しっかり隠してくれたその気遣いに感謝よね。
分かってる、この気持は勝手に相手を神格化して気に食わない部分を見つけると期待はずれと離れていくそういう私の嫌いなタイプの人間の持つ感情。
でも、私もそんなゲスな人間ってこと。勝手に期待して勝手に失望してる。
・・・先生は私のどこを好きになってくれたんだろう。
涙目になりながら先生を見る。
「せんせぃ・・・」
私の涙声に先生がはっと身を起こす。
「わからないんです。先生は私の先生で、お付き合いとかそういう事考えたことなくて、どうしてって。私なんかをどうしてって?」
だってエルフ先生の相手はヒロインだったはずで。一生懸命に魔法の勉強をする彼女のひたむきさに心惹かれてエルフ先生が種族を乗り越えてでも側にいたいって思うストーリーを知ってるから。地味サポートの平民エミーが側にいれるようなお方じゃないんだもん。だって攻略対象様だよ。キラキラのピカピカの攻略対象様たちとエミーが並んでるスチルなんてなかったよ。私のスチル仲間はモブクラスメイトがせいぜいで、つまりそういう程度の外見なのに・・・
私なんかって嫌な言葉を使ってしまって、卑屈な自分がはずかしい。先生の顔を見れなくて視線を下げると優しく頬に手を添えられた。
コツンとおでこをぶつけながら優しく頬を包まれる。
「やはり君は物分りの悪い子ですねぇ」
先生はなんだか嬉しそうだ。
「エルフ族というのは結構に性格の悪い者が揃っているんですよ。おまけに人族の貴族ときたら腹で思っていることと口に出す言葉が全く違うというおかしな者だらけ。他国で心を許せる相手もなく過ごしていた私のもとにある日突然故郷の森を思わせるような乙女が現れたら、愛さずにいられるでしょうか?人のために一生懸命になれる貴女はとても素敵ですよ。この前髪とメガネで隠していた愛らしい瞳と素顔ももちろん私の好みですよ。」
ふふふ。と先生は続ける。
「それに貴方はとても精霊たちに愛されている」
吐息のかかる距離で話されるとやっぱりその神々しさに逃げ出したくなるんだけど、そんな私の気持ちを知ってか知らずか先生の手は私の頬から離れない。
「私達エルフ族と同じくらいにね。人族なのが不思議ですけど」
?どっからどう見ても私は平民の人間ですが?
「ねえ、エミー?貴方本当はエルフ族なのでは?」
?どこからそんなトンデモ理論が?
「学園を卒業したら私と一緒に一度エルフ族の国へいってみませんか?」
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「え?」
「私の愛する森を貴方に見せたい。きっと何故私が貴方に惹かれたのかわかってもらえるはずです」
「我が国の国民を勝手に連れ出すような真似はなさらぬことだぞ」
エルフ先生の神々しさに圧倒されて忘れていた公爵様の不機嫌な声が左側から聞こえた。
公爵様を見ようとしても先生の手は私の頭をしっかりロックして動けない。
「守るべき民をいたずらに手折るような傲慢な者の言葉は貴方の耳に入れたくない」
そう言って頬から耳へと手を移動させた先生はもう一度微笑んでおでこにキスを落とした。
遮音魔法の不思議な波動で音が消える。優しいキスに心にあった卑屈な思いが消えていくようで、そのキスを覚えていたくて目を閉じた。
強烈に不機嫌な気配が左側から発せられているのは感じてたんだけど、先生の側は森の中にいるようで一気に眠気が・・・
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