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甘く淫らなラブロマンスの長編版(※短編の続きではありません)

子種は?

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 涙が零れたら反射的にスン、と鼻をすすってしまった。

 その音に驚いたのか、私に覆い被さっていた殿下の上半身がガバッと起き上がる。

 殿下と、目が合った。
 顔面蒼白、という言葉がパッと思い浮かぶ。
 こんな表情の殿下、初めて見た。

「ミーネ、酷い事をして……本当に、すまない……」

 殿下の声が、震えている。

「大丈夫、です。殿下、私のナカ、に、全て、入れて、いただけたの、でしょうか」

 普通に話したつもりだったのに。
 脚の付け根から私の身体に挿入されたままの殿下の存在。
 その圧迫感が凄くて、息が乱れてしまう。

「ああ、ミーネ、これで全部ナカに入っている」

 ぁ…………
 殿下の、が、全部、ナカに……
 よか、った……

「嬉し……殿下の、子種を、いただけ、たの、ですね?」
「ぇ……と」

 戸惑ったように喉を詰まらせた殿下の視線とぶつかる。

 ……違うの?

 一度視線を逸らした殿下は、再び私の方を見つめると申し訳なさそうに言葉を続けた。

「子種を出すには……、激しく動かなければ、難しい、かと」

 ――激しく動く!?
 入れただけで、あんなに痛かったのに!?

 思わず目を見開いてしまう。
 すると殿下に優しく頭を撫でられた。
 いつも私を慰める時のように。

「ミーネ……これ以上は、止めておこう」

 殿下の言葉にドキリとした。

 ここで止めたら、もう二度と殿下にお情けをいただけないのでは。

 横になったまま、シーツをギュッと掴んだ。

「止めないで、ください、殿下。お願いです」
「……そんなに妊娠したいのか、ミーネ」

 コクコクと首を縦に振る。
 殿下はわずかに険しい表情を見せ唇をぎゅっと結んでから、ためらいがちに口を開いた。

「それなら……少しでも痛みを和らげるように、ミーネの身体に触れ……解す事を許してもらえるだろうか?」

 痛み、を……?

 そう言われて、気がついた。
 殿下がうっすらと汗をかいている事に。

 痛みを堪えて、滲んでいる汗?

 ふ、と以前ベルマリーが肩を揉んでくれた時の事を思い出した。
 「ミーネ様、勉強ばかりして身体がガチガチに固まってますよ」とか言って。

 私の身体がこわばっているから、殿下に痛みを与えているの?
 私の身体が解されれば、殿下の痛みも和らぎますか?

 殿下にマッサージをしてもらうなんて、恐れ多い、けど……。

「お願い、します……。殿下、私を、解して、ください……」

 殿下が自分の指を二本、ペロリと舐めた。
 その光景は、とても色気を帯びていて。
 初めて見る蠱惑的な殿下の姿に、身体の奥がキュンと疼いてしまう。

「ひ、ぁっ」

 唾液で濡れた指で、突然ヌルリと撫でられ腰が浮く。

 なぜか殿下に撫でられたのは、脚の付け根にある小さな突起。
 湯浴みの時、どのくらい力を入れて洗えばいいのかいつも困る場所。

 殿下、解すって――
 穴のすぐそばを、解すのですか!?

「ぁ、ハ、ァァ、んン」

 ヌルヌル優しく擦られて、なんだか変な声が出てしまう。
 声が漏れないよう、すぐに手で口を塞ぐ。

「ミーネ、声は聞かせて。もう間違えたくないからどう感じているのか知りたい。手は、ここでも掴んでおいて」

 手をとられ、殿下のシャツに誘導された。
 そして再び突起を撫でられ、甘ったるい声が鼻から抜ける。
 不敬だけれど、殿下のシャツを握る手にギュッと力が入ってしまう。

「っ、凄いな、こんなに締めつけて」

 気の、せい?
 私の穴の直径を広げるように、殿下の象徴がグンッと一回り大きくなった気がする。

 つい先ほどまで、すごく、痛かったし……
 大きくなったら、さらに痛いはず、なのに。

「殿、下……、なんか、へ、ん、です……」
「変? どんな風に?」
「殿下の、が、奥に、当たって……」
「っ、大丈夫かミーネ、痛いのか?」

 身体の芯が、ゾクゾク、する。

「痛く、ない、です……むし、ろ」
「むしろ?」
「殿下の、指、も、奥、も、気持ち、ぃの」
「くっ、ミー……ネ……」

 はぅ、また大きくなった。
 絶対に、気のせいなんかじゃない。

 奥をグリッと押され、お尻がヒュッと浮くような快感が走る。

「ゃ、殿下、ァ、おっき、く、ン、しちゃ、ん、ぃゃ、ァ」

 眉を寄せ苦しそうな表情で殿下が、ハッ、と短く息を吐いた。

「煽らないでくれ、動きたくなる」
「ん、ァぅ、ッ、ぁ、ャッ」

 殿下の指の腹のスベスベしたところが、私の小さな突起を這う。
 まるで襞の間まで洗うように反対の手の指で広げながら。
 丁寧に、何度も何度も指が滑る。

「奥の気持ちいい所は、ここか?」

 脚の付け根同士をつけたまま、殿下が腰を押しつけてきた。
 くっついたまま腰を押し込まれているだけだから、擦られるような痛みは無い。
 ほとんど動いていないのに、私のナカで殿下の先端がつんつん奥を突いてくる。
 
「ふッ、ン、ソコ、ィゃ、ヘン、な、ぅ」
「そうか、ここ、か」

 身体の奥の方で、ゾクゾクするのが、止まらない。
 足までガクガク震えてきた。
 まるで、痙攣するみたいに。

 な、に、この、感じ!?

 怖くなって、救いを求めるように殿下の顔の方へ手を伸ばす。

 そうしたら、パクリと指を咥えられた。
 そのまま殿下の口内で、レロ……と指を舐められる。
 指先から伝わってくる、ねっとりと生温かい殿下の舌の感触。

「ひぅ、っ、んンッ」

 指を舐められ、突起を撫でられながら奥をグリッと突かれて。

「ンぅ、ん、ぁッ、ァ、ァアッ」

 突然電流が流れたようにビクッビクッと身体が震え、目の前がチカチカ眩しく光り続けたかと思ったらフッと暗くなった。





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