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61 注意:少しお下品かも?
しおりを挟むヴェルク様に知られることなく、ゾマ様の側近のトルタル様と話をしたい。
今度の満月の日にやってくる、魔族の襲来を防ぐヒントを探るために。
魔族が魔界を出てこちらの世界に来たら、人間との争いは避けられない。
聖女のいないノワール王国の人々のために結界を張っているヴェルク様だもの、魔族と人間が争う事になったら絶対に悲しむ。その前に手を打たないと。
そして手を打つために動くのは秘密裏に行わなくちゃ。ヴェルク様は魔族だから……、人間の私が助けてほしいなんて言って、困らせたりしちゃいけない。
ヴェルク様を人間と魔族の板挟みにしてしまう事態は、何としても避けなければ。
金の魔王城へ戻るため、見送ってくださる陛下とともに、子ども姿のレオン様と並んで祈りの間へと歩みを進める。
祈りの間の扉の前に着いたところで、陛下とレオン様よりも一歩先に進み扉に触れた。
聖女として祈りを捧げるために、毎日訪れていた場所だったから。
扉を開けるのは自分の役割のような気がして、自然と身体が動いていた。
他の部屋のものよりも重厚な扉に手のひらをあて、ギギギギ……と押し開けていく。
扉を開けると目の前に広がる荘厳な雰囲気が好きだった。
祈りを捧げるのに相応しい厳かな祭壇。
その祭壇で煌めく先がピンと尖った巨大な水晶。
何度ここを訪れても、祈りの間に来ると気持ちが引き締まりその神聖さに心が震える。
……はずだったけれど。
扉を開けて、固まってしまった。
祭壇の手前に、中腰で立つ男性と座り込む女性の姿。
女性の着衣は乱れ、男性はズボンが下着ごと膝まで下りてお尻が丸見え。
そして男性……デセーオ王太子殿下は、中腰のままボタンの外れた自分のシャツの裾をギュッと掴み身体を捩らせながら悶えていて。
恍惚とした表情で快楽に支配されたような声をあげていた。
「ゔぅんッ♡ んあッ♡ ゔ、ァアッ♡」
よく見るとデセーオ王太子殿下の股間には、赤、緑、赤、緑、と変化し激しく点滅するプルプルとしたゼリー状の物体が、男性の象徴を包むようにくっついている。
その点滅のしかたは、発情期のゴリゴンの目によく似ていた。
座り込んだ女性……テータ様は乱れた着衣を直すことも忘れたように、ただ呆然と殿下の姿を眺めている。
「あちゃ~、覚醒しちゃったねぇ」
子ども姿のレオン様が、私のうしろから祈りの間を覗き込んでいた。
ど、どういう事ですか、この状況!?
デセーオ殿下とテータ様を指差しながらアワアワと口を動かして、目線でレオン様に疑問を投げかける。
「あ、あれね、ゾマが研究していたスライム。精液が大好物みたい」
せ、精液が大好物なスライムって……
ゾマ様、なんて変態チックな研究をなさっているんですかっっ!
「普段は宝石に擬態しているんだけど、箱を開けた状態で生体の性欲を察知すると覚醒しちゃうらしいよ」
そう言われて祭壇の方へ視線を向けると、殿下がレオン様から取り上げた煌びやかな箱が床に転がっているのが見えた。
「あ、お腹いっぱいになったのかな」
ポト、ポト……と殿下の股間にくっついていたスライムが少しずつ床へ落ちたと思ったら、うねうねと動いて箱の中へ戻っていく。
でも殿下の陰茎の先端にはまだ少しスライムが残っていて、ちゅぅぅっ、と何かを吸うような音が微かに聞こえた。
「きゃぁぁぁぁ!」
先ほどまで呆然としていたテータ様が叫び声を上げる。
先端に残っていたスライムがポトリと落ちた瞬間、殿下の陰茎から勢いよく放出された白濁液が放物線を描きながらテータ様の頭上へと降り注いだから。
「ねぇ、息子さんのムスコさんが大変な事になってるけど、どうするの、あの人達」
殿下たちを指差したレオン様が振り返りながら陛下を見上げた。
私もつられて陛下の方へ目を向ける。
陛下は特に動揺する様子を見せることもなく、ただ静かに首を横へ振った。
「よかったら、処遇については俺様に任せてみない?」
レオン様が、悪戯っ子のような笑みを浮かべる。
祈りの間でこんな事をしている姿を陛下に晒してしまっては、デセーオ王太子殿下の王位継承権剥奪もやむを得ないだろう。
婚約期間中に殿下の行動を改めさせることができなかった自分にも責任があるような気がして、心が痛んだ。
「デセーオ、沙汰は後ほど言い渡す。それまでは部屋から出ずに謹慎せよ」
悲しみを帯びた陛下の低い声が祈りの間に響く。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
【お詫びとお知らせ】
お気に入り登録のままお待ちくださった読者様、本当にありがとうございます。
デセーオ殿下のちょっとお下品なお仕置きシーンについて内容は元々決まっていたのですが、ノーチェの世界観と異なるため少し悩んでおりました。
悩んだ結果最終的にあまり変更しておりませんので、不快な思いをさせてしまったら申し訳ありません。
お口直し代わりに以下の短編にて、切なく甘めな恋愛シーンを掲載しているため、もしよろしければお立ち寄りください。
【R18】王太子に婚約破棄された公爵令嬢は純潔を奪われる~何も知らない純真な乙女は元婚約者の前で淫らに啼かされた~
また、今後も長編と並行して短編を投稿する可能性があります。
長編が亀更新の中恐縮ですが、ご了承いただければ幸いです。
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