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しおりを挟む「熱くなってきたな」
私の身体ごとヴェルク様は湯から立ち上がり、露天風呂の縁に腰を下ろした。
ヴェルク様の膝の上に私を座らせたまま。
そしてまた唇にキスを落とす。
私の口内を余すところなく舐め尽くすと、ゆっくりと唇を離し「甘い……」と呟いた。
ヴェルク様もそう思いますか? やっぱり、キスが甘くなっているのでしょうか?
さっきまで、あんなに苦かったのに。
これじゃ私の精神状態、ヴェルク様に駄々洩れじゃないですか!?
そんなの、恥ずかしすぎますっ!!
再びヴェルク様のお顔が近付いてきたので、咄嗟に顔を横に向けて避けた。
だって、キスが甘くて、恥ずかしいから。
おかげで唇にキスされることは無かったけれど、唇の代わりにヴェルク様の目の前に晒された耳朶へキスを落とされた。
耳朶にヴェルク様の唇が触れた瞬間、ピクリと身体が揺れる。
ヴェルク様は、はむ、と耳朶を唇で挟み、チロチロと舌先で転がす。
勝手に肩がピクピクと震えてしまう。
耳朶が解放されたと思ったら、今度は耳の裏を大きな舌でペロリと撫でられビクッと身体が跳ねた。
「耳も、甘いぞ。リリィの汗が甘いのかもしれないな。もっと食べてもよいか、リリィ?」
耳をくすぐるように吐息交じりの少し掠れた低い囁き。
人間を惑わす、悪魔の囁きのよう。
いえ、違う。悪魔をも統べる魔王の囁きだわ。
こんなの、逃れられるわけがない。
思わず首をすくめた私の仕草を、ヴェルク様は『諾』と判断したようで。
キスが耳から首、鎖骨、胸元へと、舌と唇での愛撫を繰り返しながらゆっくりとおりていく。
もしかしたらヴェルク様は、私が嫌がったらすぐやめられるようにゆっくりと時間をかけてくれたのかもしれない。
でも私には、まるで焦らされているように感じられて。
身体の奥の方がムズムズしてきて、思わず膝を擦り合わせてしまう。
「ん? リリィ、先ほどのところがまだ痛むのか?」
「あ、いえ、痛いのとは、少し、違います……。大丈夫です、少し、ムズムズするだけで」
「ムズムズ? そうか、痒いのか? 少し掻いた方が楽になるだろうか」
「え? 掻く?? あっ、ヴェルク様っ!?」
ヴェルク様の手がスルリと脚の付け根に滑り、指で陰核のあたりを軽く引っ掻き始めた。
「ハッ、んッ」
未知の感覚に身体が驚き、刺激から逃れようと無意識に背中が反る。
ヴェルク様の指が動くたびにクチュクチュと響く水音。
最初はなんの音だろうと思った。
でも気付いてしまうと、その音はまるで私を揶揄うように虐めてくる。
「リリィ、痒いのはこの辺か?」
痒くない、痒くないんです、ヴェルク様!
もう手を止めてくださいませ!!
「ぁ、ン、ゥン、ん」
そう伝えたいのに、意味不明な言葉しかでてこない。
「そうか、ここでよいのか」
クチュクチュと陰核の上で繰り返されるヴェルク様の指の動き。
下腹部が、なんだかキュンキュン切なくなってきて。
もういっそ、ヴェルク様にもっとメチャクチャにしてもらいたい。
「ヴェルク、さまぁ」
『ギョギョギョーッッ!! ヴェルク様ッ! アリア嬢ちゃんが起きましたぞ! もう吾輩では手に負えませんぞッ!!』
「ファロスか? なぜ結界の外の声が聞こえる……ああ」
一瞬怪訝な顔をされたヴェルク様は、すぐに何かを納得されたような表情になった。
「そういえば、ぷにを追い出すときに結界に開けた穴をそのままにしていたな。行こう、リリィ。このままだとファロスが結界の穴を広げて突入してくるぞ」
あぅ、ホッとしたような、残念なような。
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