26 / 45
はぁ、今日は疲れた……
しおりを挟むはぁ、今日は疲れた……
シュトルム王太子殿下の執務室から退室し、クラウド様とレイン様と一緒に自分達の部屋へ戻ってきた僕。
今はベッドに座るレイン様の膝の上にのせられて、レイン様にぎゅッと抱きしめられながら頭を撫でられている。
そんな僕たちの姿が正面から見える位置に置いてある椅子に、クラウド様は長い脚を組んで座っていた。
「俺が護衛してデュオをずっと守ってやりたい」
「はいはい、無理な事を言うんじゃないよ、レイン。べったりくっついて守っていたら、それこそデュオンが周りからどう思われるか」
「分かってるさ、分かってるけど……」
平民の僕を騎士団長のレイン様が護衛していたら、周りの人は何事かと思うだろう。
僕は、平民だから……
「……僕が平民だから、フォッグ様から嫌われているのでしょうか。それとも僕はフォッグ様に、何か嫌われるような事をしてしまったのでしょうか……」
今までは僕が平民だから嫌われているのだと思っていたけれど、これだけ敵意を抱かれるという事はもしかしたら自分では気付いていないだけでフォッグ様に何かしてしまったのかもしれない。
そうだとしたら、僕は自分を改めないと。
僕たちを見つめていたクラウド様が、悲しそうに微笑んだ。
「デュオンは何も悪くないよ。筆頭公爵家の子息とはいえ、フォッグは次男で嫡男ではないからね。自分の将来のため、今回のお世話係をきっかけにミチェーリの父親である王太子に近付き取り入りたいと考えているのさ。でもお世話係としてはデュオンの方が優れているから、フォッグは焦っているんだ。勝手にデュオンの事を敵対視しているだけだよ」
「フォッグの野郎をお世話係に任命したのがそもそも間違いなんだ。妃殿下だって嫌がっていただろ?」
「そこはシュトルムなりに考えたのだろう。陛下派のルフトエア公爵は、いまだに王太子から陛下へ権力を奪い返すために虎視眈々とその機会を狙っているからね。シュトルムがフォッグをお世話係に起用し歩み寄る姿勢をみせたから、ルフトエア公爵も今はおとなしくしているけれど」
子どもにあまり興味が無さそうなフォッグ様がお世話係になったのは、そんな背景があったのか……。
だからフォッグ様がおひとりでミチェーリ様のお世話にあたることが無かったんだ、と腑に落ちた。
まだ小さい大切な我が子を子どもが好きかどうか分からない人へ託すのが、ネージュ様は心配だったのだろう。
17
お気に入りに追加
1,256
あなたにおすすめの小説
【完結】なぜ、王子の僕は幽閉されてこの男に犯されているのだろう?
ひよこ麺
BL
「僕は、何故こんなに薄汚い場所にいるんだ??」
目が覚めた、僕は何故か全裸で拘束されていた。記憶を辿るが何故ここに居るのか、何が起きたのかが全く思い出せない。ただ、誰かに僕は幽閉されて犯されていたようだ。ショックを受ける僕の元に見知らぬ男が現れた。
なぜ、王子で最愛の婚約者が居たはずの僕はここに閉じ込められて、男に犯されたのだろう?
そして、僕を犯そうとする男が、ある提案をする。
「そうだ、ルイス、ゲームをしよう。お前が俺にその体を1回許す度に、記憶のヒントを1つやろう」
拘束されて逃げられない僕にはそれを拒む術はない。行為を行う度に男が話す失われた記憶の断片。少しずつ記憶を取り戻していくが……。
※いままでのギャクノリと違い、シリアスでエロ描写も割とハード系となります。タグにもありますが「どうあがいても絶望」、メリバ寄りの結末の予定ですので苦手な方はご注意ください。また、「※」付きがガッツリ性描写のある回ですが、物語の都合上大体性的な雰囲気があります。
買われた悪役令息は攻略対象に異常なくらい愛でられてます
瑳来
BL
元は純日本人の俺は不慮な事故にあい死んでしまった。そんな俺の第2の人生は死ぬ前に姉がやっていた乙女ゲームの悪役令息だった。悪役令息の役割を全うしていた俺はついに天罰がくらい捕らえられて人身売買のオークションに出品されていた。
そこで俺を落札したのは俺を破滅へと追い込んだ王家の第1王子でありゲームの攻略対象だった。
そんな落ちぶれた俺と俺を買った何考えてるかわかんない王子との生活がはじまった。
僕のお兄様がヤンデレなんて聞いてない
ふわりんしず。
BL
『僕…攻略対象者の弟だ』
気付いた時には犯されていました。
あなたはこの世界を攻略
▷する
しない
hotランキング
8/17→63位!!!から48位獲得!!
8/18→41位!!→33位から28位!
8/19→26位
人気ランキング
8/17→157位!!!から141位獲得しました!
8/18→127位!!!から117位獲得
転生先のパパが軽くヤンデレなので利用します
ミクリ21
BL
転生したら王子でした。しかも王族の中で一番低い地位です。しかし、パパ(王様)が溺愛してきます。更にヤンデレ成分入ってるみたいです。なので、少々利用しましょう。ちょっと望みを叶えるだけですよ。ぐへへ♪
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる