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3 たとえば昨夜のふたり 浴室にて
しおりを挟む少し遡って。
ピアがロゼルタの部屋に「大変ですっ!」と駆け込んだ日の前夜、ふたりはいつものようにこんなふうに過ごしていた。
――そう、いつものように。
◇ ◇ ◇
「……ん……ピア、もう……」
王女の寝室の奥に設けられた浴室に、切なげな掠れ声が響く。
ロゼルタは一糸まとわぬ姿で浴槽の縁に腰掛け、その脚の間には湯浴み着を身に着けたピアが屈みこんでいた。
「――そろそろですね」
片手で優しく触れていた〝宝玉〟の変化を感じ取ったピアは、〝王位継承者のしるし〟を擦り立てているもう片方の手の動きを速めた。
「……んんっ……!」
しるしの先端から勢いよく白濁液が噴き出し、薄布で作られたピアの湯浴み着の胸元を濡らしていく。
「は……ぁ」
ロゼルタが息を整えている間にピアは優しくしるしを洗い、清潔な布で拭いてにっこりと微笑んだ。
「今夜もお見事でいらっしゃいました」
「汚しちゃってごめん……」
「光栄です。〝白き賜〟を、この身に浴びたのですから」
誇らしげな笑みを向けられ、ロゼルタは複雑な表情になる。
「――ピアも脱いで」
「えっ……」
「湯浴み着に〝白き賜〟が付いちゃったし」
「で、でも……」
ピアがはにかむと、ロゼルタは諭すように言った。
「私たちしかいないんだから、何も恥ずかしがることはないのよ」
「そ、そうじゃなくて……」
もじもじとうつむくピアを見て、ロゼルタの目がきらりと光る。
「――濡れてるのね?」
図星を指され、ピアは顔を赤らめる。
「しるしを磨いていて、濡らしちゃったのね?」
ピアは情けなさそうに頷いた。
「申し訳ありません。なんだか最近こうなりやすくて……」
「気にしないで。しるしを磨く役目を担う者にはありがちなことだと聞くわ」
「ありがたいしるしに触れさせていただいているのですから、高揚してしまうのは仕方がないことなのかも知れませんが……でも……」
「そうよ。大丈夫だから、さあ」
「あっ」
ロゼルタはピアの脇に手を差し入れてひょいと立たせると、両手を上げさせて被り式の湯浴み着を引き抜いた。
「や、やだ……」
湿り気を帯びてはりついたようになってしまっている亜麻色の薄い茂みに、ロゼルタの視線が注がれる。
「ほんとだ。ぐっしょりね」
「言わないでください……」
恥じ入ったように睫毛を伏せたピアのふっくらとした胸の膨らみに、ロゼルタの手が伸びる。
「あっ」
「大きくなったわね」
初めて「ピアも一緒にお湯に浸かりましょうよ」と誘ったころとはずいぶん変わった。手に余るほどになったそれを柔らかく揉まれ、ピアの肌はますます染まる。
「素晴らしいわ」
「ロ……ロゼルタさまだって、もう少し時が経てば女王陛下のように豊かになられるんでしょう? 今はまだしるしのほうに栄養が注がれるべき時期なので、筋肉しかついていらっしゃいませんけど……」
以前に自分が説明したとおりのことをピアが口にすると、ロゼルタはどこか困ったように眉尻を下げた。
「ピア。大好きよ」
「身に余るお言葉です。もちろん、わたしも心からお慕いして……んっ」
膨らみの先端をつままれ、ピアは鼻にかかった吐息を漏らす。
「あっ……ロゼルタさま」
「いつも心を込めてしるしを磨いてくれるお礼をしないとね」
ピアの滑らかな素肌を見下ろしながら、王女は美麗に微笑んだ。
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