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恐怖耐性のスキル
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スキルコレクトオンラインがクソゲーと言われている所以の1つに、恐怖耐性の有無がある。これは後天的に得られるスキルだが、持っていないと必ずゴースト系の魔物に出会った時に、麻痺、パニック、心神喪失、気絶などを引き起こすのだ。
出るとわかっていても、酷い目に毎回あうので、普通は課金でサクッと耐性をつけるのがほとんどのケースだ。運営も、さすがに無課金勢ばかりではやっていられないので、変なところでセコく課金をさせようとしていた。しかもこの恐怖耐性は、ゴースト系の魔物からのドロップでしか手に入らない。そして、このドロップは、あちこちで売っていて、課金したコインでしか買えないのだ。
信じられないことに、ゲーム内通貨には2種類あって、課金して交換する王国通貨と、普通のプレイで手に入る神国通貨の2種類があった。神国通貨は、かの神国が発行している通貨だが、大量に出回り、金や銀の含有量も低くハズレ通貨扱いで、重要なアイテムは買えなかったのだ。しかし、彼には勝算があった。
しかしまずは、身体強化から手に入れなくてはならない。赤ん坊で転がっているうちから彼は、必死に体の中の魔素を練り上げて循環させるようにした。
その作業は、魔素量の少ない赤子にはコントロールが難しく、1日に3回が限度であった。なるほど、1日の行動の3回制限というのは、こんなところに反映されているのか、と感心した。もちろん抜け穴があってバグを使えば1日に何度でも動けるのだが、体を動かせない彼は、忠実に毎日3回のこの運動を繰り返した。
「この子、全然泣かないのねえ。」
「不思議な子だな、まるで俺たちのいっていることがわかっているようではないか。」
少しづつ、この家が貧乏き子爵家であることがわかった。彼は欣喜雀躍とした。なぜなら、最初のランダムで振り当てられる家でもスキルのつき方がかなり変わってくるからだ。一番下の貴族とはいえ貴族。家には、通ではあるが、料理人が出入りしているようだった。そして、この料理人こそ、彼に最初の調理師になるきっかけを与えてくれるはずなのだ。
「こいつが、俺と一緒に刀の練習ができるようになるのが楽しみだ。」
こんなところに思わぬ伏兵がいた。剣を多く扱えば扱うほど、剣関係のスキルを手にいれる可能性が大だ。なんとかせねば・・・・・。そう思うレイであった。レイはいい名前ではあるが、スキルコレクトオンラインでレイといえば、NPCの剣聖である疾風のレイを指しているのであまり嬉しくなかった。
ちなみに自分の名前がレイであるのは、生後3日ぐらいで気がついた。ただ、もっとひねった名前にして欲しかったというのは内緒である。普通貴族だともっと長めの名前をつけるらしいが、冒険者から功績を立てて成り上がった親は、恩人の名前を取ってシンプルな名前をつけたらしい。しかしその恩人のレイが、実はあの剣聖であることを知って少し驚くのであるが、それはまた後の話である。
出るとわかっていても、酷い目に毎回あうので、普通は課金でサクッと耐性をつけるのがほとんどのケースだ。運営も、さすがに無課金勢ばかりではやっていられないので、変なところでセコく課金をさせようとしていた。しかもこの恐怖耐性は、ゴースト系の魔物からのドロップでしか手に入らない。そして、このドロップは、あちこちで売っていて、課金したコインでしか買えないのだ。
信じられないことに、ゲーム内通貨には2種類あって、課金して交換する王国通貨と、普通のプレイで手に入る神国通貨の2種類があった。神国通貨は、かの神国が発行している通貨だが、大量に出回り、金や銀の含有量も低くハズレ通貨扱いで、重要なアイテムは買えなかったのだ。しかし、彼には勝算があった。
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その作業は、魔素量の少ない赤子にはコントロールが難しく、1日に3回が限度であった。なるほど、1日の行動の3回制限というのは、こんなところに反映されているのか、と感心した。もちろん抜け穴があってバグを使えば1日に何度でも動けるのだが、体を動かせない彼は、忠実に毎日3回のこの運動を繰り返した。
「この子、全然泣かないのねえ。」
「不思議な子だな、まるで俺たちのいっていることがわかっているようではないか。」
少しづつ、この家が貧乏き子爵家であることがわかった。彼は欣喜雀躍とした。なぜなら、最初のランダムで振り当てられる家でもスキルのつき方がかなり変わってくるからだ。一番下の貴族とはいえ貴族。家には、通ではあるが、料理人が出入りしているようだった。そして、この料理人こそ、彼に最初の調理師になるきっかけを与えてくれるはずなのだ。
「こいつが、俺と一緒に刀の練習ができるようになるのが楽しみだ。」
こんなところに思わぬ伏兵がいた。剣を多く扱えば扱うほど、剣関係のスキルを手にいれる可能性が大だ。なんとかせねば・・・・・。そう思うレイであった。レイはいい名前ではあるが、スキルコレクトオンラインでレイといえば、NPCの剣聖である疾風のレイを指しているのであまり嬉しくなかった。
ちなみに自分の名前がレイであるのは、生後3日ぐらいで気がついた。ただ、もっとひねった名前にして欲しかったというのは内緒である。普通貴族だともっと長めの名前をつけるらしいが、冒険者から功績を立てて成り上がった親は、恩人の名前を取ってシンプルな名前をつけたらしい。しかしその恩人のレイが、実はあの剣聖であることを知って少し驚くのであるが、それはまた後の話である。
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