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51.これからの注意点

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「あら、ずいぶん早く終わったのね」

 みんなが遊び始めてすぐだった。話しが終わったのかお母さんが僕達の様子を見にきた。残りの話し合いが終わったらしい。
 お父さん達は? と聞けば。家族になった記念にとか、これからの子供達の未来にとか、なんだかんだ理由をつけて、この時間から乾杯をしようとしているらしく。今お酒の用意をしていると。

 ちなみにアンセルは、昨日の夜にお父さんに勧められてお酒を飲んで。物凄くお酒が気に入ったらしい。かなりの飲みっぷりで、しかも全然酔わないっていう。

 もちろん飲んで大丈夫なのか確認したよ。そうしたらなんと、自然には湧き水のように、湧き酒があるらしく。魔獣達に大人気すぎて、いつも混んでいて飲めないって事で。順番を決めて飲むようになっていると。まさか自然にもお酒があるとは。

 そして僕のお父さんはかなりお酒好きなんだけど、お酒好きのアンセルと気が合わないわけがなく。昨日の夜だけで、酒飲み友達になってしまった。だから今は酒飲み家族だ。それで今、まだ日も高いうちから、お酒を飲もうとしているらしい。

「ちょっと色々あって」

「何よ、変な顔をして。嬉しいことでもあったの? それにしては何か考えている顔だけど」

 さすが僕のお母さん、僕の様子にすぐに気づいた。俺はさっきあった事をお母さんに報告した。そして僕の話しを聞いたお母さんは。

「あら、そうなの。でもレベルが上がる事は良い事じゃない。みんなもっと強くなるって、頑張って訓練していたのだもの。訓練で魔力量が上がったのかもしれないわよ。まぁ、ただ単に、体が成長したからかもしれないけれど。なにしろみんなまだ小さい子供なんだから。畑仕事が早く終わるようになって、みんなの遊び時間が増えて良かったわね」

 と、僕の説明がダメだったのか。それともみんな元々強い魔獣じゃないから、レベルが上がっても、畑仕事が早く終わるわねぇ、くらいの少しレベルが上がった程度に思ったのか。お母さんの反応はほんわりしたもので。

 やっぱり見てもらわないとダメかと思った僕。畑仕事が終わったばかりだったけど、もう1回みんなにやってもらう事に。どこでやるのかと言えば、お母さんが一昨日買った新しい土地だ。

 少しだけ家から離れているんだけど、でも徒歩7、8分くらいの所にある土地で。畑にしても良いし、お母さんの薬を作る部屋が手狭になってきたから、お母さんの薬を作る専用の家を建てても良いしって。昨日の夜、その話しを聞いたんだ。

 ただ何もしていない土地で、これから更地にしないといけないって事で、雑草はぼうぼうだし、大きな石は転がり放題だしで、綺麗にするのはかなり大変じゃないかって。お母さんが昨日言っていたんだ。

 それを思い出して、そこならみんなの力が見せられるんじゃと思った僕。お母さんがお父さん達にも見てもらいましょうって、お父さん達を呼びに行ってくれた。

 ブツブツ言いながら来たお父さん達は、ちょうどコップに、アンセルは大きなお椀型のお皿に、お酒をちょうど注いだところで、まだ飲んでいなかったらしく。だからブツブツ文句を言っていたんだよ。

「すぐに終わるわよ。さぁ、行きましょう」

 お母さんがお父さん達を呼びに言ってくれている間に、セレン達にお母さん達にも、さっきのレベルの上がった技を見せてあげようと言ったら。みんなやる気満々、ささっとおもちゃを片付けて待っていた。そして全員が集まれば、いつもよりも少し早く進みながら、新しい土地へ。

 今日初めて見たけど、新しい土地は今住んでいる土地よりも小さかったけれど、それでもかなりの広さだった。これならお母さんのための家を建てても、その横で薬草を育てられるんじゃないだろうか。

 前はここに小さな家が建っていて、夫婦が住んでいたんだけど。お爺さんが亡くなって、残されたおばあさんを娘さんが心配して。自分が住んでいる、この街から5つ離れた街へと呼んだんだ。今はそっちで暮らしているらしい。

 この前街に遊びにきていて、お婆さんはとても幸せそうに、孫と過ごしていたと。それでその時、お母さんがあの土地を売ってくれないかって頼んだみたいで。どうせもう使わないからと譲ってくれたんだ。

「この柵は少し直せば、そのまま使えそうね」

 土地を囲むように、高めの柵が設置されていて、ほとんど壊れておらず、お母さんが言った通り、少し直せばそのまま使えそうだった。
 うん、これは良い。みんなの技を見る時、あんまり他の人にはまだ、見せない方が良いと思うんだよ。柵があるから、外から見えなくてちょうど良いなって。

 中に入る僕達。そしてを真ん中くらいに移動して、最初にセレン、次にモグー、最後にハピちゃんの順で、さっきの技を見てもらった。その時のお父さん達の反応は。
 最初の僕達と同じ反応だった。ビックリして何も言わずただ立っているっていうね。うん、やっぱりその反応になるよね。

 でもその後は全員が凄い!! とセレン達を褒めてくれた。みんなに褒めてもらえてセレン達はまたまたニコニコだ。

 ワイワイしながらお父さんとアンセルと、喜び続けるみんな。そんな中お母さんが僕の所へ。

「あなたがなんともいえない表情をしていた理由が分かったわ。確かに嬉しいけど、色々と何かがおかしい気もするわよね。それに今のみんなの技を見たら、驚く人達が多いでしょう。私達みたいに」

「うん、やっぱりそうだよね」

「とりあえず今はまだ、家で使うかあなた達が森や林に行って、誰もいない時に使うようにした方が良いわね。そしてみんながあの技をしっかりと扱えるようになったら、少しずつ外でつかうようにした方が良いかもしれない」

「うん、僕もそうの方が良いと思う。後でみんなに話すよ。どれだけみんなが分かってくれるか分からないけど」

「そうなのよね、嬉しくて使ってしまうかもしれないし。まぁ、でも別に悪いことではないから、そこまで問題じゃないわよ」

 こうして僕はこの後、みんなに技の話しをする事に。そして僕の話しを分かってくれたみんな。分かって? 隠れて使えるように頑張る!! と何ぜか別の頑張りを見せようとしていた。
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