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42.問題なく街へ入れたスノーベアー家族

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「それじゅあ、これでお願いね」

「アーベルの父さんと母さんが、アーベルの父さんと母さんで良かったな。じゃなきゃ、子供でも中に入れるのは大変だったぞ」

「そうだね」

「さぁ、これで手続き完了だ」

 あれから森で遊んだセレン達。本当はもう少し長く遊んでいるつもりだったけど、親子スノーベアーの事があったら、予定よりも少し早く帰ることに。みんなも一緒に帰れるのが嬉しいのか、いつもはもう少し遊ぶっていうのに、今日は何も言わずにささっさと片付けをした。

 みんながゲットした、戦利品という名の自然のおもちゃを、しっかりとリュックにしまって。ついでに子ベアーのゲットした戦利品も、しっかりとしまって。お母さんに会った後、森へ帰るときは、親ベアーがどうにか持って帰ると言っていた。

 親子スノーベアーを連れて歩くからには、ギリギリまで森の中を歩いた方が良いと思った僕は。親ベアーもそう思っていたけど。とりあえず森の中を行ける所まで行き、その後は草木がなるべくある場所を歩き、街がしっかりと見える場所まで移動して来た。

 そして帰ってくるまでの話し合いで、モグーにお母さんを呼んで来てもらうことに。モグーは岩を砕いて進む事ができるけれど、モグラに似ているからなのか、土を掘るのも上手だから。壁の外から穴を掘って、家まで行ってもらったんだ。

 僕が行っても良かったんだけど、でももしもその間にこの親子スノーベアーに何かあったら困るし。しっかりと契約しているし、その印も付けているから、堂々とセレンやハピちゃんに地上を行ってもらっても良かったんだけど。

 でもやっぱり家族としては、人がいっぱい歩いている場所を1匹で歩かせたくなかったから。ここは潜ることができるモグーに行ってもらう事になったんだ。

 そうして待つ事30分くらい。モグーがしっかりとお母さんを僕達の所へ来てくれた。それとお母さんは、魔獣を街の入れる書類を、しっかりと持って来てくれていて。契約していない魔獣を街の中へ入れる場合は、魔獣にもよっては書類が必要なんだ。

 小さい魔獣で弱い魔獣なら問題はないけれど、やっぱり強い魔獣となるとね。何かあった時の責任は、連れて来た人の責任に。それがしっかり分かるようにする書類だよ。
 
 親スノーベアーはお母さんを見た瞬間とても喜んで。その後は何回も前の時のお礼を言った後、今回のことも何度もお礼をしていた。

 子ベアーの方は、前回は具合が悪くて、倒れている状態でお母さんに治療してもらったし。しっかりと起きる前にお母さんが帰って来ちゃったから、お母さんの顔を覚えておらず、あんまりピンときていなかったけど、親ベアーと一緒に挨拶をしていた。

 その姿がとっても可愛くて。ずっと見ていられそうだったよ。うちの子達が可愛いのはもちろんだけど、小さいクマ系の魔獣は、やっぱりテディーベアーみたいで、とっても可愛かった。

 お母さんと挨拶を済ませた後は、親ベアーは小さく変身。子ベアーよりも大きかったけど、僕でも抱えられるくらいには小さくなってくれて。そんなに小さくなれるのかと少し驚いた。

 そうして街まで移動して来た僕達は今、裏門から街へ入るところだ。お母さんが先に書類を用意して来てくれたおかげで、何も問題なくすぐに街へ入れた。それとお父さんとお母さんのおかげだ。

 お父さんとお母さんは、あの面倒なバートンに地位的に命令されてしまうけれど、でも実力は、全然お父さん達の方が上だし、その力は街でも上の方だからね。スノーベアーを連れていても大丈夫って、すぐに許可をもらえたんだよ。普通の人ならもっと確認されていただろう。

「さぁ、行きましょう」

 子ベアーを僕が抱っこして。いや、親ベアーがさ、子ベアーは絶対にどこかに行ってしまうから。抱っこした方が良いって。かなり好奇心旺盛で、森の中でも気になる物があれば、すぐにどこかへ行ってしまって探すのが大変だし、フラフラが止まらなくなるらしい。

 その証拠に街の入った途端、まぁ暴れる暴れる。あっちに行きたい、そっちに行きたい。あれは何? これは何? って。セレン達曰く、僕の顔は子ベアーの足跡の跡だらけになったって。

「もう、仕方がないわね」

 ギブアップした僕の代わりに、お母さんがしっかりと子ベアーを抱っこして。抱き方、いや押さえ方が違うのか、お母さんの顔には足跡は付かずに、子ベアーは僕の時ほど暴れずに抱っこされていてた。僕もまだまだだなぁ。

 そうして家に着くと、お父さんと挨拶する前に家の中へ。家の中は物が少し片付いていて、親ベアーが変身を解いて、元の大きさになっても大丈夫なようになっていた。お父さんが片付けてをいてくれたんだ。

 すぐに元の大きさに戻った親ベアー。それから改めてゆっくりと挨拶をして、お父さんは庭へ。僕とセレン達、子ベアーも庭へ。今日の夕飯を作るためだ。今日はベアー親子が居るからな。父さんが張り切って、これからバーベキューをするんだよ。

 バーベキューをする庭部分に、モグーに土魔法で壁を作ってもらう。そうすれば誰かが訪ねて来て、もし庭の方へ来ても、スノーベアーの親子を見られることはないし。子ベアーがフラフラしても、どこかに行かないだろう? 迷子になったら大変だからな。

『ねぇねぇアーベル、みんなで遊んでて良い?』

「うん、良いよ」

『今日の拾ったやつ出してくれ!!』

『いっぱい拾った!』

 一旦家に入ってリュックを持って来て、みんなが拾い集めた戦利品を出してあげる。そして僕はお父さんの手伝いを。

 その日に夜は賑やかだった。いつもも賑やかだけど、さらに賑やかで、とっても楽しかった。話しは盛り上がっし、ご飯は美味しかったし。おそして母さんと親ベアーの会話は終わる事がなく。楽しい時間はどんどん過ぎていった。

 初めての僕達だけの素材採取、色々とあったけど、何とか成功できたし、みんなを助けられて良かった。あの小さな女の子も、今頃元気でいてくれると良いな。
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