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38.親スノーベアーの傷の理由、突然現れたオークとゴブリン

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「なんだって? オークのちょっとした群れと、その中にオークジェネラル居たって? それにゴブリン達も一緒だった?」

『ああ、そうなんだ。それで運悪く見つかってしまってな。俺は息子を守ろうとしてあの傷を』

「そうか、オークジェネラルが。じゃああの傷くらいですんで良かったな。良かった? 違うな運が良かったな。他にもいたんだしな。群れで来られていたら今頃」

『ああ、本当に助かって良かった。が、あのオーク達とゴブリン達、どうにも動きがおかしくてな』

「どういうことだ?」

 移動しながらどうしてあんな怪我をしたのか聞いた僕。そうすると予想外の答えが返ってきたんだ。

 このほとんど危険がない森に、オークの群れとその中にオークジェネラルが。そしてゴブリンも一緒にいたって言うんだ。親スノーベアーは、そのオークジェネラルに襲われたらしい。

 もちろんこの森にもゴブリンはいる。だがそのいつものゴブリンよりも、かなりレベルが高かったらしく。挙句いないはずのオーク達までいたなんて。
 そんな話しは今までに1度も聞いたことはない。僕がここへ転生してくる前には、もしかしたらそういう事もあったかもしれないが。僕が生まれてからは1度もない。
 
 しかもそのオーク達とゴブリン達は、変な動きをしていたと言うんだ。親ベアーは、以前この森に来た事があるらしく。また時々この森を通り過ぎる事があったため。
 この森に住んでいる魔物達に関しては、ちゃんと理解していて。この森のレベルについてもしっかりと把握していて。

 だからお母さんに会いにくる時も、安全な森から森へ進み、最後はこの森へとやって来て。そして歩きながら、どうやって街の中に入るか、お母さんに連絡を取るかうを考えいた。

 が、森の中間位まで来た時、それは突然起こった。スノーベアー親子のすぐ近くに、オークとゴブリン達の気配が突然現れたと。本当に突然で。あまりのことに親ベアーもかなり驚いたって。

 その驚きにより、逃げるのが一瞬遅れてしまった親ベアー。それでオーク達に見つかってしまい、子ベアーを守るためにあの傷を負ったたんだ。オーク達もゴブリン達も、出会った者が誰だろうと攻撃するからな。

 傷を負った親ベアーは最初は何とか対抗していたけど、やっぱり傷のせいで動けなくなってきて。最後はここまでかと、諦めかけたらしい。だが、ここでまた、おかしな事が起こった。

 オークジェネラルが親ベアーに、さらに攻撃を加えようとした時、ピタッ! と動きを止め。ある方向をジッと見つめた後。
 何もなかったように、親子スノーベアーの存在などないかのように、2匹を無視して、見つめていた方へ歩き始め、そのままどこかへ行ったらしい。

 そしてオーク達の気配はどんどん離れていき、ある場所で少しだけ止まった後、また突然気配が消えたって言うんだ。

「そんな事が? 僕はもちろん、この森のことを知っているつもりだ。それに他の森もそうだと思うけど。そんないきなり魔物が現れるなんてことはあるのか? 自分の警戒が甘くて、相手に気づかずに接近してしまうことはあるけれど。ただ親ベアーは僕のような普通の人間と違って、敵の気配に気づかないなんてことないだろう?」

『勿論だ。俺はある程度の距離ならば、ちゃんと気配を察知でき、避ける事ができる』

「だよね」

『気配を隠す事ができる魔物なら別だが。オークでもゴブリンでそれができる奴は居ない。いや絶対とは言い切れないが。ただ、今までに見たことはない』

「親ベアーがそう言うならそうなんだよね。普通は、最初からその気配が分かっていれば、森には入らなかっただろう?」

『ああ、俺だけなら自由に動けるから、奴らに近づかない限り自由動くが。息子がいたからな』

「森に入ってから、もし森に同じようにオーク達やゴブリン達が入って来ても、逃げるだろう?」

『ああ、それも勿論』
 
「だよね。……急に現れるなんて。親ベアーの言ったとおり、僕も奴らには無理だと思うんだよね」

『オークジェネラルは別として、あれらは魔物中でも最弱だからな』

「でも、突然現れたと」

『後の可能性としては突然変異か。だが、全員が突然変異するなど、それもあり得ないはずだ』

 突然変異。それは普通の魔物が、突然あり得ないくらいのくらいの力を得て、進化るることだ。同じ魔物でも全然レベルが違くなるし、見た目が変わる者も。
 街を襲ってこようものなら、普通の魔物であれば簡単に相手をできる魔物であっても、突然変異の魔物だと街の半分が一瞬にして破壊されることもあるんだ。

 それが元々力のある魔物だったら? 今までに壊滅させられた村や街がどれだけあるか。俺がここに転生してきてからは、村と街が1つずつ完璧になくなってしまった。

 そんな魔物を倒すんだ。かなりの人員的な被害もかなり出るわけで。それは人の方だけではなく、魔物の方にも被害が出る。

『だから俺は今少し心配しているんだ。そんな魔物達が現れたら、どの森で暮らそうと、どんな場所で暮らそうと、勿論完璧に安全な場所などなしが。それでもゆっくりと暮らせなくなってしまう。それに息子や他の子供達も、伸び伸びと成長する事ができなくなってしまう』

 と、そんな話しをしている時だった。前を歩いていたらセレン達が僕達を呼んだ。

『アーベル!! 草あった!!』

『残りの草、全部あるぞ!!』

『うん、完璧!!』

『どれどれぇ?』

『摘んでいい?』

「良いよ。でも積む前にもう1回確認してね」

『『『は~い!!』』』

『は~い?』

 みななが見つけた草の方へ。みんなで確認して間違いなかったんだろう。それぞれ分かれて草を摘み始める。モグーは子ベアーの面倒を見てくれている。お兄ちゃんだって張り切っているんだ。

 一応僕も草を確認して、間違いなかったから、草摘みはみんなに任せて、さっきの話しの続きをしようと、近くにちょうど良い感じの石があったからそっちへ。そしてその石に座り、話し続きをしようとした時だった。

『あっ!! アーベル!! なんか居るよ!!』

 とセレンの声が。今度は何!?
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