38 / 58
38話 出来事とに反して「おえぇ」の練習?
しおりを挟む
俺は急いでシャドウギルドのメンバーから離れると、人があまり来ない場所へと向かった。最悪な事があったからな。最後は人がいたとしても、2、3人くらいしかいない場所で、ゆっくりさせてあげたかったんだ。
まぁ、そこにいる奴らも、あの厚化粧女のような奴だった場合は、アーチー達をポケットから出さずに、また別の場所へ急いで移動するが……。
そう思いながら、10分ほどで予定していた場所へ着いた俺。心配していたような事は何もなかった。人は誰1人おらず、魔獣も1匹もいなかったんだ。
「よし、出てきて大丈夫だぞ。誰もいないから、好きな事ができる」
俺が声をかければ、すぐにポケットから顔だけ出してきたアーチーとフェリックス。そうして周りを確認してホッとため息を吐くと、今度こそポケットから出てきて地面に降りた。
「2人とも、触られていないから、怪我はしていないと思うが、他は大丈夫か? 怖いとか、気分が悪いとか、今日はもうこのダンジョンから出たいとか、何かあるか?」
『オレは大丈夫っチュ!! フェリックスは大丈夫だっチュか?』
『うん、ぴっ! げんきっぴっ!!』
「そうか。はぁ、悪かったな、すぐにあの場所から移動できなくて。あの女の接近を許してしまって」
『カズキ、悪くないっチュ。ササッ!! とした動きで、守ってくれたっチュ!! あの人間の女が悪いっチュよ。他の人もあの女のこと怒ってたっチュ。声、聞いてたっチュ』
『みんなおこってたっぴっねぇ。あのにんげんだけ、おかしいっぴ。……おかしい? おにいちゃん、ぼくあってるっぴ?』
『あってるっチュよ。あの女だけおかしかったっチュ。それに、カズキ、オレ別に怖くなかったっチュ』
『ぼくもっぴっ!!』
『怖いよりも気持ち悪かったっチュ。話し方とか、動きがクネクネしてて、おえぇって感じだったっチュ。おえぇっチュ』
『おえぇっぴっ』
『でも、今はもう側にいないから、おえぇもなくて元気っチュ。新しい果物食べれば、もっと元気っチュ!!』
『ぼくもっぴっ!!』
「そうか。……次も同じように団体が近くに来た時は、すぐに避けられるよう気をつける。お前達がおえぇってならないようにな」
『うん、それが良いっチュね!』
『おえぇっぴっ!』
『もう少し、こう羽を伸ばして、首を伸ばしておえぇの方が良いっチュよ』
『こうっぴっ?』
『ちょっと違うっチュ。後で教えてあげるっチュ。人間以外にも気持ち悪い魔獣や物があるかもしれないっチュからね。その時にしっかりおえぇってする練習っチュ』
『うん、ぴっ!!』
怖がっておらず、怯えてもいなかったから安心した。うん、安心はしたが、おえぇの練習って何だ? そんな練習してどうするんだよ。2匹ともやる気満々だし。
母さん達にそんな姿見られたら、俺が何を言われるか、そしてやられるか。可愛い2匹に、何教えてるのよ!! ってな。
そうして最初の、おえぇの原因がいなくなって、果物を食べればもっと元気になる、から。おえぇの練習のために元気にならないと、と。理由が変わったアーチーとフェリックスは、新たな果物を発見すると、すぐにそれを食べ始め。俺もアーチー達の隣に座り、一緒に果物を食べ始める。
今回はアーチーとフェリックスに、何もなくて本当に良かった。一応解決済みだが、叔父さんには報告しておいた方が良いだろう。
はぁ、それにしても最悪だった。もっと周りを気にして、しっかりと対応できるようにならないと。
俺1人の時は、誰に何を言われようと別に構わなかった。が、今は、守るべき大切な家族、アーチーとフェリックスがいるんだ。あんなに接近されて、しかも触られそうになるなんて。アーチー達を守ると言っておきながら、まったく本当に何をしているのか。
これからはもっと、気を引き締めて行動しないと。それに急に近づいて来られた時のために、対応する力をもっとつけなければ。それにはアーチー達のおえぇの練習ではないが、俺も今まで以上に、しっかり訓練をしよう。
そうすれば、もしかしたら対抗するよりも、すぐに逃げなければいけない、という状況になった場合も、逃げるためにその力を使えるだろう。
……それにしても、あれは何だったのか。あの厚化粧女。あいつに腕を掴まれた瞬間、ブワッと何かいやな感覚が、俺を襲ってきた。悪に満ち溢れ、ドス黒くネチネチしていて、体にまとわり付いてくるような何か。
あれと似たような物を、俺は昔見た事があった。そう、あの前世で俺を殺した、あの聖女。俺は死ぬ直前、今日厚化粧女から感じた嫌な感覚を、あの聖女の周りに見ていたんだ。
他の人間がどうだったのか、俺と同じ物を聖女に見ていたのか。今では確かめる事はできないが、記憶を思い出した時、あの聖女の体に確かに、ドス黒い物が包んでいたのを俺は見ていた。
まさか、その聖女と同じ物を、厚化粧女から感じるとは。あれにはもう2度と関わらない方が良いだろう。いや、絶対に関わらない方が良い。
次からダンジョンに入る時は、他に誰が入っているのか、入る予定なのかを確認し。シャドウギルドの名を見た場合は、その日のダンジョンを取りやめるか。変更ができるならば変更して、別のダンジョンへ行く事にしよう。
『カズキ、この果物、今日1番美味しいっチュ!!』
『うん、おいしいっぴっ!!』
「そうか、美味しいか!」
『これ、毎日食べられたら嬉しいっチュねぇ』
『カズキ、もってかえっていいっぴっ?』
「ああ、じゃあ沢山持って帰ろう。食べ終わったらみんなで採ろうな」
『いっぱい持ってかえるっチュ!!』
『うれしいっぴっ!!』
元気な2匹にホッとする。しかし……、この果物。これなら……。
まぁ、そこにいる奴らも、あの厚化粧女のような奴だった場合は、アーチー達をポケットから出さずに、また別の場所へ急いで移動するが……。
そう思いながら、10分ほどで予定していた場所へ着いた俺。心配していたような事は何もなかった。人は誰1人おらず、魔獣も1匹もいなかったんだ。
「よし、出てきて大丈夫だぞ。誰もいないから、好きな事ができる」
俺が声をかければ、すぐにポケットから顔だけ出してきたアーチーとフェリックス。そうして周りを確認してホッとため息を吐くと、今度こそポケットから出てきて地面に降りた。
「2人とも、触られていないから、怪我はしていないと思うが、他は大丈夫か? 怖いとか、気分が悪いとか、今日はもうこのダンジョンから出たいとか、何かあるか?」
『オレは大丈夫っチュ!! フェリックスは大丈夫だっチュか?』
『うん、ぴっ! げんきっぴっ!!』
「そうか。はぁ、悪かったな、すぐにあの場所から移動できなくて。あの女の接近を許してしまって」
『カズキ、悪くないっチュ。ササッ!! とした動きで、守ってくれたっチュ!! あの人間の女が悪いっチュよ。他の人もあの女のこと怒ってたっチュ。声、聞いてたっチュ』
『みんなおこってたっぴっねぇ。あのにんげんだけ、おかしいっぴ。……おかしい? おにいちゃん、ぼくあってるっぴ?』
『あってるっチュよ。あの女だけおかしかったっチュ。それに、カズキ、オレ別に怖くなかったっチュ』
『ぼくもっぴっ!!』
『怖いよりも気持ち悪かったっチュ。話し方とか、動きがクネクネしてて、おえぇって感じだったっチュ。おえぇっチュ』
『おえぇっぴっ』
『でも、今はもう側にいないから、おえぇもなくて元気っチュ。新しい果物食べれば、もっと元気っチュ!!』
『ぼくもっぴっ!!』
「そうか。……次も同じように団体が近くに来た時は、すぐに避けられるよう気をつける。お前達がおえぇってならないようにな」
『うん、それが良いっチュね!』
『おえぇっぴっ!』
『もう少し、こう羽を伸ばして、首を伸ばしておえぇの方が良いっチュよ』
『こうっぴっ?』
『ちょっと違うっチュ。後で教えてあげるっチュ。人間以外にも気持ち悪い魔獣や物があるかもしれないっチュからね。その時にしっかりおえぇってする練習っチュ』
『うん、ぴっ!!』
怖がっておらず、怯えてもいなかったから安心した。うん、安心はしたが、おえぇの練習って何だ? そんな練習してどうするんだよ。2匹ともやる気満々だし。
母さん達にそんな姿見られたら、俺が何を言われるか、そしてやられるか。可愛い2匹に、何教えてるのよ!! ってな。
そうして最初の、おえぇの原因がいなくなって、果物を食べればもっと元気になる、から。おえぇの練習のために元気にならないと、と。理由が変わったアーチーとフェリックスは、新たな果物を発見すると、すぐにそれを食べ始め。俺もアーチー達の隣に座り、一緒に果物を食べ始める。
今回はアーチーとフェリックスに、何もなくて本当に良かった。一応解決済みだが、叔父さんには報告しておいた方が良いだろう。
はぁ、それにしても最悪だった。もっと周りを気にして、しっかりと対応できるようにならないと。
俺1人の時は、誰に何を言われようと別に構わなかった。が、今は、守るべき大切な家族、アーチーとフェリックスがいるんだ。あんなに接近されて、しかも触られそうになるなんて。アーチー達を守ると言っておきながら、まったく本当に何をしているのか。
これからはもっと、気を引き締めて行動しないと。それに急に近づいて来られた時のために、対応する力をもっとつけなければ。それにはアーチー達のおえぇの練習ではないが、俺も今まで以上に、しっかり訓練をしよう。
そうすれば、もしかしたら対抗するよりも、すぐに逃げなければいけない、という状況になった場合も、逃げるためにその力を使えるだろう。
……それにしても、あれは何だったのか。あの厚化粧女。あいつに腕を掴まれた瞬間、ブワッと何かいやな感覚が、俺を襲ってきた。悪に満ち溢れ、ドス黒くネチネチしていて、体にまとわり付いてくるような何か。
あれと似たような物を、俺は昔見た事があった。そう、あの前世で俺を殺した、あの聖女。俺は死ぬ直前、今日厚化粧女から感じた嫌な感覚を、あの聖女の周りに見ていたんだ。
他の人間がどうだったのか、俺と同じ物を聖女に見ていたのか。今では確かめる事はできないが、記憶を思い出した時、あの聖女の体に確かに、ドス黒い物が包んでいたのを俺は見ていた。
まさか、その聖女と同じ物を、厚化粧女から感じるとは。あれにはもう2度と関わらない方が良いだろう。いや、絶対に関わらない方が良い。
次からダンジョンに入る時は、他に誰が入っているのか、入る予定なのかを確認し。シャドウギルドの名を見た場合は、その日のダンジョンを取りやめるか。変更ができるならば変更して、別のダンジョンへ行く事にしよう。
『カズキ、この果物、今日1番美味しいっチュ!!』
『うん、おいしいっぴっ!!』
「そうか、美味しいか!」
『これ、毎日食べられたら嬉しいっチュねぇ』
『カズキ、もってかえっていいっぴっ?』
「ああ、じゃあ沢山持って帰ろう。食べ終わったらみんなで採ろうな」
『いっぱい持ってかえるっチュ!!』
『うれしいっぴっ!!』
元気な2匹にホッとする。しかし……、この果物。これなら……。
20
お気に入りに追加
171
あなたにおすすめの小説

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。

異世界初? のスーパー銭湯もとい『娯楽施設スケルトン』開業です!!
ありぽん☆書籍発売中
ファンタジー
ある争いに巻き込まれ、攻撃されたことにより。
前世は日本のブラック企業に勤め、
何の楽しみもなく、毎日をただただ生きていた事を思い出した俺。
まさか次の人生は、異世界感満載の世界でスケルトンとして生活しているなんて。
だけど……。
ま、スケルトンでも良いか。これからのスケルトン人生を楽しめたらならと。
前世を思い出した事で、色々なことに目覚めた俺は、
異世界で忙しく生きている人々のため。
みんながゆっくりと休養できる、スーパー銭湯を開業する事に。
その名も『すっごい娯楽施設、スケルトン』
これは俺スケルトンが開業した、
本当はみんなにゆっくり疲れを癒してもらいと思っているのに、
何故か毎日がドタバタで騒がしくなってしまう、スーパー銭湯物語である。
人間も魔物も神獣も、どなたでも大歓迎!! 『すっごい娯楽施設、スケルトン』へ、ぜひお越しください!!

英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

私に姉など居ませんが?
山葵
恋愛
「ごめんよ、クリス。僕は君よりお姉さんの方が好きになってしまったんだ。だから婚約を解消して欲しい」
「婚約破棄という事で宜しいですか?では、構いませんよ」
「ありがとう」
私は婚約者スティーブと結婚破棄した。
書類にサインをし、慰謝料も請求した。
「ところでスティーブ様、私には姉はおりませんが、一体誰と婚約をするのですか?」


【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる