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ターゲット
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長谷見さんから報告を受けた三木は
八雲に尋ねる。
「ここ最近なにか変わったことはありませんでしたか?」
「え?私はターゲットではないのでしょう?」
「ターゲットではないと思います。しかしこの店の誰かなのは変わらないので、情報は出来るだけ集めておきたい」
「変わったこと…」
FPの仕事が主なので店とマンションの往復しかほぼしていない。
「伊央くんの家にご飯を食べに行ったくらいです」
「それは聞いてるのでいいが、他にあるか?」
「伊央くんと古川さんに聞いた本を買うために書店に行ったのですが、途中で明依に会いました」
「それはいつ?」
「えーと、伊央くんの家にご飯を食べに行った数日前だったと思います。
明依が私と伊央くんに少し絡んできました。その時です、伊央くんの色が変わるのを見たのは」
「娘さん、伊央とは初対面だよな?」
「そうだと思います…あ…」
「なんだ」
「『なんで伊央くんと』と言われましたが、それはただの疑問だと…なぜ伊央くんの名前知ってたんだ?」
あの時彼は名乗らなかった…
「長谷見、伊央は?」
「今日は休みです」
「早急に警察へ連絡、相田にも連絡してくれ、伊央の住所を伝えろ。長谷見は今すぐ伊央の家に行け。八雲さん、あなたも長谷見と一緒に行ってもらえないか?写真が不鮮明だし証拠として弱い、正確に娘さんだと断言できるのではあなただけです。娘さんは未成年だ、あなたの助けかが必要になるかもしれない。元奥さんはこちらで対処する。彼女の狙いは十中八九、私で間違いないでしょう」
「あの、どういうことですか?」
「これ以上説明してる暇がない、すぐに行け!」
「はい」
俺と長谷見さんは長谷見さんの車で伊央くんの家へ向かった。
長谷見さんは相田というのは刑事だと教えてくれた。三木さんとは懇意にしているそうだ。
車内スピーカーにして三木さんと電話を繋ぐ。
「どういうことなのでしょうか?」
「八雲さん、ちゃんと聞いて。
おそらくターゲットは伊央です、狙っているのは元奥さんではなく、あなたの娘さんです。今日娘さんがこっちに来ていないのは伊央が休みなのを知っているからでしょう」
心臓が止まりそうになる。
「数日前に娘さんと会ったと言いましたね。あなたはその時伊央の色が変わるのを見ている。娘さんも見ているはずです。伊央にあれをやられたら堕ちない人間はいないでしょうね。そんなバカなと思うでしょうが、それが伊央なのだから仕方ない」
「伊央くんを狙う理由は…」
「私の想像でしかないが、きっかけは恐らく母親、あなたの元奥さん。彼女がこの店のホストたちの写真でも見せたのではないかな。それで伊央を知ってストーキングしていたところに、八雲さんと伊央がいるのを目撃したんだと思う。別れた父親がお気に入りの伊央といるのは気に入らないだろう。伊央を取られた嫉妬、父親に取られた嫌悪、両方あるだろうが、それを拗らせてしまったのではないかな。そこにきて伊央に当てられたんじゃ更に堕ちるだろうね」
「そんな…」
「急いだ方がいいな、もう着くか?」
「はい、マンションの前です」
俺は明依を探す。頼む、居ないでくれ、三木さんの勘違いであってくれと願いながら。
しかし非情にもエントランスが見える植え込みの近くでうずくまってる明依を見つけ絶望する。
「オーナーいました」
「警察と相田は?」
「相田さんは単独でマンションの駐車場、他の警官はマンション内にいるそうです。管理人に話は通ってるとのことです」
「伊央に部屋から絶対に出るなと俺から伝える」
「お願いします」
顔面蒼白の俺に長谷見さんが、
「大丈夫です。今ならなんの犯罪も犯していません。このままで保護してあげましょう」
「はい…」
泣いてる場合じゃない、しっかりしろ。
八雲に尋ねる。
「ここ最近なにか変わったことはありませんでしたか?」
「え?私はターゲットではないのでしょう?」
「ターゲットではないと思います。しかしこの店の誰かなのは変わらないので、情報は出来るだけ集めておきたい」
「変わったこと…」
FPの仕事が主なので店とマンションの往復しかほぼしていない。
「伊央くんの家にご飯を食べに行ったくらいです」
「それは聞いてるのでいいが、他にあるか?」
「伊央くんと古川さんに聞いた本を買うために書店に行ったのですが、途中で明依に会いました」
「それはいつ?」
「えーと、伊央くんの家にご飯を食べに行った数日前だったと思います。
明依が私と伊央くんに少し絡んできました。その時です、伊央くんの色が変わるのを見たのは」
「娘さん、伊央とは初対面だよな?」
「そうだと思います…あ…」
「なんだ」
「『なんで伊央くんと』と言われましたが、それはただの疑問だと…なぜ伊央くんの名前知ってたんだ?」
あの時彼は名乗らなかった…
「長谷見、伊央は?」
「今日は休みです」
「早急に警察へ連絡、相田にも連絡してくれ、伊央の住所を伝えろ。長谷見は今すぐ伊央の家に行け。八雲さん、あなたも長谷見と一緒に行ってもらえないか?写真が不鮮明だし証拠として弱い、正確に娘さんだと断言できるのではあなただけです。娘さんは未成年だ、あなたの助けかが必要になるかもしれない。元奥さんはこちらで対処する。彼女の狙いは十中八九、私で間違いないでしょう」
「あの、どういうことですか?」
「これ以上説明してる暇がない、すぐに行け!」
「はい」
俺と長谷見さんは長谷見さんの車で伊央くんの家へ向かった。
長谷見さんは相田というのは刑事だと教えてくれた。三木さんとは懇意にしているそうだ。
車内スピーカーにして三木さんと電話を繋ぐ。
「どういうことなのでしょうか?」
「八雲さん、ちゃんと聞いて。
おそらくターゲットは伊央です、狙っているのは元奥さんではなく、あなたの娘さんです。今日娘さんがこっちに来ていないのは伊央が休みなのを知っているからでしょう」
心臓が止まりそうになる。
「数日前に娘さんと会ったと言いましたね。あなたはその時伊央の色が変わるのを見ている。娘さんも見ているはずです。伊央にあれをやられたら堕ちない人間はいないでしょうね。そんなバカなと思うでしょうが、それが伊央なのだから仕方ない」
「伊央くんを狙う理由は…」
「私の想像でしかないが、きっかけは恐らく母親、あなたの元奥さん。彼女がこの店のホストたちの写真でも見せたのではないかな。それで伊央を知ってストーキングしていたところに、八雲さんと伊央がいるのを目撃したんだと思う。別れた父親がお気に入りの伊央といるのは気に入らないだろう。伊央を取られた嫉妬、父親に取られた嫌悪、両方あるだろうが、それを拗らせてしまったのではないかな。そこにきて伊央に当てられたんじゃ更に堕ちるだろうね」
「そんな…」
「急いだ方がいいな、もう着くか?」
「はい、マンションの前です」
俺は明依を探す。頼む、居ないでくれ、三木さんの勘違いであってくれと願いながら。
しかし非情にもエントランスが見える植え込みの近くでうずくまってる明依を見つけ絶望する。
「オーナーいました」
「警察と相田は?」
「相田さんは単独でマンションの駐車場、他の警官はマンション内にいるそうです。管理人に話は通ってるとのことです」
「伊央に部屋から絶対に出るなと俺から伝える」
「お願いします」
顔面蒼白の俺に長谷見さんが、
「大丈夫です。今ならなんの犯罪も犯していません。このままで保護してあげましょう」
「はい…」
泣いてる場合じゃない、しっかりしろ。
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