いきたがり

秋臣

文字の大きさ
上 下
38 / 56

招かざるもの

しおりを挟む
「店長、ちょっといいっすか」雷が由良を呼び止める。
「おう、どうした?」
「いやあ、俺さっき店に来たんですけど、ここ何回か店の近くで同じ顔見かけるんすよ」
「どういうこと?」
「最初は気のせいかと思ってたんですけど、毎回同じ時間帯に同じ顔見かけるって変じゃね?って」
「ストーカーか?お前の客か?」
「いや、俺の客じゃねえっす。ただどこかで見たことあるような気がするんだけど思い出せないんすよ」
「雷、それって南ビルの?」
零夜がメイクしながら聞く。
「そう、それ!南ビルのとこにいる!零夜知ってんの?」
「いや、誰なのかは知らないんだけど、ここんとこよく見かけるなって思っててさ」
「零夜の客か?」由良が聞く。
「いやあ違いますね。ただ雷が言ってますけど俺も見覚えがあるんですよ、でも思い出せなくて」
「だよな!見たことあるよな!」雷と零夜が確認し合っている。
「しかも二人!」「いるよな?二人!」
「え…二人…?」
「そう」雷が指を二本出して言う。
二人ってなんだ?
「分かった。長谷見さんとオーナーにも話を通しておく。佐竹たちにも伝えておくからお前たちも少し気を付けておいてくれ」
「分かりました」
「了解っす!」

「オーナー、長谷見さん、ちょっとよろしいですか?」
由良だ。
「なんだ」
「雷と零夜から聞いたのですが、南ビルのところで同じ顔を何回か見かけているそうです。雷と零夜の客ではないようですが、どこかで見た覚えがあると二人が口を揃えて言っています」
「ストーカーか?」
「分かりません。最近はその手のトラブルもありませんでしたが、警戒するようには伝えてあります…」 
「なにかあるのか?」
「いえ…それが二人だと言うんです」
「二人?」
「はい、二人です」
ストーカーの二人組など聞いたことがない。
由良が不審がるのも分かる。
「雷と零夜を呼べ」
「はい」
三木は再度二人から話を聞く。
「お前らを狙ってるのではないんだな?」
「違うと思います。俺が動いてもその場から動かないんで。ターゲットは俺ら以外なんじゃないかと…ただ二人だと目に付くんですよ。ストーカーって単独でやるものだと思ってたからなんか変だなって」零夜も頷く。
「長谷見、調査員を呼べ」
「はい」
「雷、零夜、お前たちに頼みがある。そいつらの写真を撮れるか?危険なことはするなよ」
「出来ると思います、俺たちを見てるわけじゃなさそうなので」
「撮れたら報告してくれ、頼む」
「はい!」
「なんなら今行きましょうか?まだいるかはわからないですけど」
「いや、不自然だから出勤時にいたら撮ってくれ」
「分かりました」

「呼びました、すぐ来ます」
「そうか。今の話と二人の写真を入手したらそれを使ってすぐに調べさせろ」
「はい」
「それとみんなに充分注意するよう伝えろ。
二手に分かれたら厄介だ。必要なら送迎も手配してくれ。客の出入りも注意するよう黒服たちに伝えて」
「分かりました」
「なんなんだ、一体」
「念のため、古川さんと八雲さんにも伝えます」
「そうしてくれ。ターゲットが分からない以上、お前も由良も気をつけろ」
「はい」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 全8話。1日1話更新(20時)。 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

大学生はバックヤードで

リリーブルー
BL
大学生がクラブのバックヤードにつれこまれ初体験にあえぐ。

柔道部

むちむちボディ
BL
とある高校の柔道部で起こる秘め事について書いてみます。

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

いっぱい命じて〜無自覚SubはヤンキーDomに甘えたい〜

きよひ
BL
無愛想な高一Domヤンキー×Subの自覚がない高三サッカー部員 Normalの諏訪大輝は近頃、謎の体調不良に悩まされていた。 そんな折に出会った金髪の一年生、甘井呂翔。 初めて会った瞬間から甘井呂に惹かれるものがあった諏訪は、Domである彼がPlayする様子を覗き見てしまう。 甘井呂に優しく支配されるSubに自分を重ねて胸を熱くしたことに戸惑う諏訪だが……。 第二性に振り回されながらも、互いだけを求め合うようになる青春の物語。 ※現代ベースのDom/Subユニバースの世界観(独自解釈・オリジナル要素あり) ※不良の喧嘩描写、イジメ描写有り 初日は5話更新、翌日からは2話ずつ更新の予定です。

処理中です...