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再会
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社会人として新生活を始めた俺は仕事に慣れることでいっぱいいっぱいだった。
毎日疲れて帰って寝て、また起きて働いて帰って寝る。その繰り返しだ。
仁さんは新卒の大変さはよくわかると言って極力連絡してこない。
してくれてもいいのに…
声聞きたいし、顔も見たい、仁さんに触りたい。こんな時はデロデロに甘やかされたい。
仁さんのセックスはいつも優しくて甘い、そして気持ちいい。毎回トロトロに溶かされる。
かと思うと雄のように激しい時もある。
そうなった時は
「またやっちゃった…」って落ち込むのがかわいい。
『1.5』には顔出してると言ってたからたまには行ってみようかなと思い、久しぶりに仁さんと店で落ち合うことにした。
仕事帰り『1.5』に向かっていると、店の前で見覚えのある姿を目にして、足がすくんだ。
なんで…
立ち尽くしてしまった俺に気づくとそれは
「柊‼︎」と叫び駆け寄ると俺を強く抱きしめた。
久我だ。
なんでここにいるんだよ…
「やっと見つけた!ずっとずっと探してた。お前に会いたくてずっと…」久我は俺を抱きしめながら泣いていた。
「離してくれ、離せ…」
動悸がする、頭もクラクラする。
なにもわからない…
「柊くん?」
仁さんの声がした。振り返ると俺が男に抱きしめられてるのを見て呆然としている仁さんがいた。しかしだんだん声に怒気が混じり
久我に
「その人を離せ」と割って入る。
無理矢理引き離し、俺は
「仁さん!」と胸に飛び込んだ。
「柊!」それでも追い縋る久我に仁さんが牽制する。
「嫌がってる、やめてやれ」
「うるせえ!お前誰だ?関係ないだろ?柊、戻ってこい!」
「嫌だ!」
騒ぎを聞きつけたママと常連さんたちが店の外に出てくる。
何かを察したママが
「うちのお店の前で騒ぐのはやめてちょうだい、迷惑でしかないわ。辻もっちゃん、柊ちゃんお願いしていい?」
「…はい、ママ迷惑かけてごめんね。行こう柊くん」
「おい、待てよ!柊!」
「あんたはこっちにいらっしゃい」と久我の首根っこを掴んで無理矢理店内に引っ張っていった。
なんで、どうして今さら…
手が震えてる俺に仁さんは
「うちに行こうか」とタクシーをつかまえ仁さんの部屋へ連れて行ってくれた。
仁さんは熱めのコーヒーを淹れてくれると、そっと肩を抱き寄せた。
なにも聞かずただそばにいてくれる、それだけで安心できた。
「仁さん、俺…」
「無理して話さなくていいんだよ。ねえ柊くん、俺がこうしていたいんだけどいい?」と抱きしめてくれる。
そのいつもと変わらない優しさに涙が溢れた。
毎日疲れて帰って寝て、また起きて働いて帰って寝る。その繰り返しだ。
仁さんは新卒の大変さはよくわかると言って極力連絡してこない。
してくれてもいいのに…
声聞きたいし、顔も見たい、仁さんに触りたい。こんな時はデロデロに甘やかされたい。
仁さんのセックスはいつも優しくて甘い、そして気持ちいい。毎回トロトロに溶かされる。
かと思うと雄のように激しい時もある。
そうなった時は
「またやっちゃった…」って落ち込むのがかわいい。
『1.5』には顔出してると言ってたからたまには行ってみようかなと思い、久しぶりに仁さんと店で落ち合うことにした。
仕事帰り『1.5』に向かっていると、店の前で見覚えのある姿を目にして、足がすくんだ。
なんで…
立ち尽くしてしまった俺に気づくとそれは
「柊‼︎」と叫び駆け寄ると俺を強く抱きしめた。
久我だ。
なんでここにいるんだよ…
「やっと見つけた!ずっとずっと探してた。お前に会いたくてずっと…」久我は俺を抱きしめながら泣いていた。
「離してくれ、離せ…」
動悸がする、頭もクラクラする。
なにもわからない…
「柊くん?」
仁さんの声がした。振り返ると俺が男に抱きしめられてるのを見て呆然としている仁さんがいた。しかしだんだん声に怒気が混じり
久我に
「その人を離せ」と割って入る。
無理矢理引き離し、俺は
「仁さん!」と胸に飛び込んだ。
「柊!」それでも追い縋る久我に仁さんが牽制する。
「嫌がってる、やめてやれ」
「うるせえ!お前誰だ?関係ないだろ?柊、戻ってこい!」
「嫌だ!」
騒ぎを聞きつけたママと常連さんたちが店の外に出てくる。
何かを察したママが
「うちのお店の前で騒ぐのはやめてちょうだい、迷惑でしかないわ。辻もっちゃん、柊ちゃんお願いしていい?」
「…はい、ママ迷惑かけてごめんね。行こう柊くん」
「おい、待てよ!柊!」
「あんたはこっちにいらっしゃい」と久我の首根っこを掴んで無理矢理店内に引っ張っていった。
なんで、どうして今さら…
手が震えてる俺に仁さんは
「うちに行こうか」とタクシーをつかまえ仁さんの部屋へ連れて行ってくれた。
仁さんは熱めのコーヒーを淹れてくれると、そっと肩を抱き寄せた。
なにも聞かずただそばにいてくれる、それだけで安心できた。
「仁さん、俺…」
「無理して話さなくていいんだよ。ねえ柊くん、俺がこうしていたいんだけどいい?」と抱きしめてくれる。
そのいつもと変わらない優しさに涙が溢れた。
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