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クリスマスプレゼント
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秋になるとそんな空間へも足が遠のく。
余裕がない、勉強しないと。
今B判定だからなんとかA判定で受験に挑みたい。
そのためには勉強するしかない。
陽南にもそれを伝えた。
陽南も今のままいければ推薦は確実だが、油断したら他の人に枠を取られるぞと言われているようで、
「今が頑張り時だから頑張りたい」
としばらく会えないと言ってきた。
お互いの夢のためにお互いの欲望は封じようと二人で決めた。
たとえダメだったとしても、もっと頑張れば良かったと後悔しないために。
だからせめて寝る前にLINEではなく電話で、
「おやすみ」
と一言だけ伝えあっている。
一言声が聞ければ安心する。
声を聞くと会いたくなるけど、それでも声が聞きたい。
今日も一日頑張ったねと思いを込めて、
おやすみを伝えたい。
伝わってたらいいな。
秋から冬になる。
陽南とは月に一度くらいしか会えていない。
今年のクリスマスは二人で過ごしたかったけど無理かもしれない。
初めてのクリスマスなのにな…
そう陽南に言うと、
「これから先、クリスマスは何度も来るから大丈夫だよ」
そう言って笑う。
今はバイトもしてないからを貯金を崩してプレゼントを買って渡したいけど、会っちゃったら俺絶対暴走する、帰したくなくなる。
大事な時期だから陽南を大事にしなきゃって思うのに、きっと陽南を抱きたいって思っちゃう。
体だけと思われるのも絶対嫌だ。
でもその思考だとそう思われるだろう。
そんな悶々とした気持ちを抱えながら予備校前にデパートへ寄った。
陽南は寒がりだから暖かそうなマフラーを買った。
送ろうかな、それとも Bothに行って輝哉さんか深影さんに預けようかな。
そんなことを考えたままでクリスマスイブを迎えてしまった。
俺はこの日も予備校。
今日はもう遅いから明日予備校に行く前に Bothに寄って預けよう、そう決めた。
いつでも行けるようにプレゼントのマフラーはずっとリュックに入れたままだった。
自宅の最寄り駅の改札を出ると街はカップルだらけ。
普段どこに潜んでたんだ?と思うくらい、たくさんいる。
いいな…
素直にそう思った。
猛烈に陽南に会いたくなった。
でも頑張ろうって約束したから…
弱音吐いてどうする、頑張れよ、俺。
「壮祐くん!」
とうとう幻聴まで聞こえるようになった。
末期だ。
「壮祐くん!」
また聞こえる。
そして温かくて柔らかいものが俺を包む。
え?
「壮祐くん!」
陽南だった。
どうして…
会えないって、クリスマスは無理って…
でも目の前に確かに陽南がいる。
俺を見上げて、
「どうしても我慢できなくなったら会いに来ていいって前に言ってたでしょ?
壮祐くんが風邪ひいたら困るし、すぐ帰るから、ほんのちょっとだけ壮祐くんを充電させて、お願い」
そう言ってギュッと抱きつく。
陽南の体が冷え切っている。
寒がりなのにいつから待ってたんだ…
泣きそうだ。
「陽南…」
抱きしめ返す。
「はい!壮祐くん、ここまでです!」
「なんでよwもっと陽南を充電させてよ」
「風邪ひいたら困るので」
「陽南がいれば風邪ひかないよ」
「今日はすごく寒いからダメだよ」
陽南はそう言うと俺の首にぐるぐるとマフラーを巻く。
「え?」
「クリスマスプレゼントです」
ふっ
「なんで笑うの?」
陽南がキョトンとする。
その顔もかわいい。
リュックからプレゼントを出す。
「陽南に」
「え?」
俺は中身を出して既にマフラーが巻かれている陽南の首に更にプレゼントのマフラーを巻く。
「え?マフラー?」
「うん、二人ともマフラー買ってたみたいだなw」
ふっ
ふふっ
もう一度陽南を抱きしめる。
「ありがとう、陽南。会いに来てくれて、
マフラー巻いてくれてありがとう」
「うん、壮祐くん、マフラーありがとう」
「すっごくキスしたい」
「受験終わるまで我慢ね」
「やだ、無理」
陽南に口づける。
「ちょっと!こんな人がいっぱいいる所でやだ…」
「陽南がかわいすぎるのが悪い」
「じゃあ仕方ないか」
陽南が笑う。
ふはっ!
「壮祐くん、報告があります」
そう言って俺の手を取る。
「ん?」
「推薦の校内選考、通りました!」
「本当!?」
「うん!」
「おめでとう!陽南!」
「壮祐くんには会って伝えたかったから来ちゃった」
「陽南、すごい!嬉しい!」
自分のことのように嬉しい。
「ありがとう」
嬉しくてたまらない、離れたくない。
「本当に風邪ひいちゃうからもう帰るね。
壮祐くんを充電できたからもう大丈夫!」
陽南はそう笑いながら言うと涙をこぼす。
「あれ?大丈夫なはずなのになんで…」
陽南を抱きしめる。
「我慢しなくていいんだよ、陽南。
俺もずっとずっと会いたかった」
「うん…我慢の限界だったみたい…」
「もう少しだけ…お願い、陽南」
「うん、もう少しだけ…」
陽南、会いに来てくれてありがとう。
余裕がない、勉強しないと。
今B判定だからなんとかA判定で受験に挑みたい。
そのためには勉強するしかない。
陽南にもそれを伝えた。
陽南も今のままいければ推薦は確実だが、油断したら他の人に枠を取られるぞと言われているようで、
「今が頑張り時だから頑張りたい」
としばらく会えないと言ってきた。
お互いの夢のためにお互いの欲望は封じようと二人で決めた。
たとえダメだったとしても、もっと頑張れば良かったと後悔しないために。
だからせめて寝る前にLINEではなく電話で、
「おやすみ」
と一言だけ伝えあっている。
一言声が聞ければ安心する。
声を聞くと会いたくなるけど、それでも声が聞きたい。
今日も一日頑張ったねと思いを込めて、
おやすみを伝えたい。
伝わってたらいいな。
秋から冬になる。
陽南とは月に一度くらいしか会えていない。
今年のクリスマスは二人で過ごしたかったけど無理かもしれない。
初めてのクリスマスなのにな…
そう陽南に言うと、
「これから先、クリスマスは何度も来るから大丈夫だよ」
そう言って笑う。
今はバイトもしてないからを貯金を崩してプレゼントを買って渡したいけど、会っちゃったら俺絶対暴走する、帰したくなくなる。
大事な時期だから陽南を大事にしなきゃって思うのに、きっと陽南を抱きたいって思っちゃう。
体だけと思われるのも絶対嫌だ。
でもその思考だとそう思われるだろう。
そんな悶々とした気持ちを抱えながら予備校前にデパートへ寄った。
陽南は寒がりだから暖かそうなマフラーを買った。
送ろうかな、それとも Bothに行って輝哉さんか深影さんに預けようかな。
そんなことを考えたままでクリスマスイブを迎えてしまった。
俺はこの日も予備校。
今日はもう遅いから明日予備校に行く前に Bothに寄って預けよう、そう決めた。
いつでも行けるようにプレゼントのマフラーはずっとリュックに入れたままだった。
自宅の最寄り駅の改札を出ると街はカップルだらけ。
普段どこに潜んでたんだ?と思うくらい、たくさんいる。
いいな…
素直にそう思った。
猛烈に陽南に会いたくなった。
でも頑張ろうって約束したから…
弱音吐いてどうする、頑張れよ、俺。
「壮祐くん!」
とうとう幻聴まで聞こえるようになった。
末期だ。
「壮祐くん!」
また聞こえる。
そして温かくて柔らかいものが俺を包む。
え?
「壮祐くん!」
陽南だった。
どうして…
会えないって、クリスマスは無理って…
でも目の前に確かに陽南がいる。
俺を見上げて、
「どうしても我慢できなくなったら会いに来ていいって前に言ってたでしょ?
壮祐くんが風邪ひいたら困るし、すぐ帰るから、ほんのちょっとだけ壮祐くんを充電させて、お願い」
そう言ってギュッと抱きつく。
陽南の体が冷え切っている。
寒がりなのにいつから待ってたんだ…
泣きそうだ。
「陽南…」
抱きしめ返す。
「はい!壮祐くん、ここまでです!」
「なんでよwもっと陽南を充電させてよ」
「風邪ひいたら困るので」
「陽南がいれば風邪ひかないよ」
「今日はすごく寒いからダメだよ」
陽南はそう言うと俺の首にぐるぐるとマフラーを巻く。
「え?」
「クリスマスプレゼントです」
ふっ
「なんで笑うの?」
陽南がキョトンとする。
その顔もかわいい。
リュックからプレゼントを出す。
「陽南に」
「え?」
俺は中身を出して既にマフラーが巻かれている陽南の首に更にプレゼントのマフラーを巻く。
「え?マフラー?」
「うん、二人ともマフラー買ってたみたいだなw」
ふっ
ふふっ
もう一度陽南を抱きしめる。
「ありがとう、陽南。会いに来てくれて、
マフラー巻いてくれてありがとう」
「うん、壮祐くん、マフラーありがとう」
「すっごくキスしたい」
「受験終わるまで我慢ね」
「やだ、無理」
陽南に口づける。
「ちょっと!こんな人がいっぱいいる所でやだ…」
「陽南がかわいすぎるのが悪い」
「じゃあ仕方ないか」
陽南が笑う。
ふはっ!
「壮祐くん、報告があります」
そう言って俺の手を取る。
「ん?」
「推薦の校内選考、通りました!」
「本当!?」
「うん!」
「おめでとう!陽南!」
「壮祐くんには会って伝えたかったから来ちゃった」
「陽南、すごい!嬉しい!」
自分のことのように嬉しい。
「ありがとう」
嬉しくてたまらない、離れたくない。
「本当に風邪ひいちゃうからもう帰るね。
壮祐くんを充電できたからもう大丈夫!」
陽南はそう笑いながら言うと涙をこぼす。
「あれ?大丈夫なはずなのになんで…」
陽南を抱きしめる。
「我慢しなくていいんだよ、陽南。
俺もずっとずっと会いたかった」
「うん…我慢の限界だったみたい…」
「もう少しだけ…お願い、陽南」
「うん、もう少しだけ…」
陽南、会いに来てくれてありがとう。
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