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夏休み
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1学期が終わると本番は半年先でも受験生は焦り始める。
俺は予備校通いになったし、陽南も夏休み前にバイトを辞めて夏期講習を受けたり、知り合いの人に家庭教師をしてもらっているようだ。
全然会えなくなってしまった。
こんなに長い間、会わずにいたことがなかったので戸惑う。
陽南がいない生活を俺は甘く見ていたことを痛感する。
これは予想以上にきつい。
今からこんな調子で合格して本当に遠距離になったら俺はどうなってしまうのか…
しかし、優先させるべきは勉強なので、陽南と我慢の日々を過ごしている。
耐えるしかない。
夏休みは大きな祭りがあるのでそれに行くことは二人で決めた。
陽南は、
「暑いからプールにも行きたい」
と言っていたが却下。
「なんで?プール行きたい」
と引かないが絶対ダメ!
他の男どもに陽南の水着なんて絶対見せたくない。許さない。
陽南にそう言うと、
「壮祐くんってそういうタイプだったっけ?」
と面白くなさそう。
「ダメって言ったらダメです」
「ケチ!」
「なんとでも言え、陽南のことジロジロ見られるの嫌だし、俺がヤキモチ焼くから絶対行かない」
「妬いてくれるんだ」
ちょっと嬉しそう。
「俺、ヤキモチ焼きなんで」
「ふふふー」
陽南がすごく嬉しそうに笑ってる。
ということでプールはダメ!
今年は大きなイベントは祭りだけにして、会える時は『Both』で待ち合わせて会うことにした。
最初陽南から提案された時は、気乗りしなかったけど、
「お店ににいる方がお兄ちゃんも迂闊に手を出せないでしょ?」
と不敵に笑う。
なるほど、その手があったか。
聞き上手な半井さんにも会いたいし、 何より建物をじっくり見たい。
喜んだのはもちろんお兄さんだ。
「壮祐くんから来てくれるなんて!」
と感激していたらしい。
ぬか喜びさせて申し訳ないが、目の前で陽南と存分にいちゃつかせてもらうので、あしからず。
しかし、そうは言っても自分の中で少しだけ気持ちが変化していることに気づかないほど鈍くはない。
断っておくが、お兄さんを好きになったわけではない。
半井さんに言われた、
「深影と似ている根っこの部分を似ていて嬉しいって思ってあげて」
という言葉はそのとおりではないかと思っている。
そこだけは認めたい。
幼い頃に強烈に刷り込まれた感覚、その感覚が同じ人がいるという喜びは何ものにも代え難い。
それが大好きな陽南のお兄さんなら、俺は嫌いになることは絶対ないと思うんだ。
恋愛的な意味では決して好きにならないけど、陽南が心配しないでいられるような関係になれるんじゃないかと密かに思ってる。
そうなりたい。
陽南とお兄さんが兄妹で良かったと思える日がきっと来ると思ってるから。
陽南は推薦を狙いつつ、その先を見つめている。
Bothに来る目的は俺と会うことでもあるけど、ここで英語を教えてもらってる。
半井さんの奥さんの公佳さんは外国語学部だったそうで、英語が堪能らしい。
ただ陽南に教えてる時間がなかなか取れないので、同期だった帰国子女の友達、逢生さんを紹介してもらい、英語や英会話を教えてもらっている。
TOEIC対策も含めその先の目標のためだ。
陽南は着実に動き出している。
俺と離れるのが寂しいと泣くけれど、
ちゃんと自分の力と足で立ち上がる。
そんな陽南がいいなと思う。
そんな陽南だから好きなんだ。
陽南が逢生さんに英会話を習っている間、俺は毎回飽きずにレンガを眺めている。
見ていると積み上げるのにどれくらいの時間を要したのだろうかとか、どこから調達したレンガなのだろうか、名のある人の邸宅に使われる色が均等で綺麗なレンガもいいけど、一つ一つ色が異なるレンガも好きだなとか、自分でも不思議なくらい飽きないんだ。
その様子を見て満足げな顔をしてるのはお兄さん…深影さんだ。
満足げついでにさり気なく肩を抱いてきたり、尻を撫でてきたり、あわよくばキスしようと試みるが当然全て跳ね除ける。
「レンガも好きだけど、やっぱり俺は壮祐くんが好きだな」
と当たり前のように口説くが無視する。
受け入れるのは深影さんの豊富なレンガに関する見解や知識だけだ。
俺は予備校通いになったし、陽南も夏休み前にバイトを辞めて夏期講習を受けたり、知り合いの人に家庭教師をしてもらっているようだ。
全然会えなくなってしまった。
こんなに長い間、会わずにいたことがなかったので戸惑う。
陽南がいない生活を俺は甘く見ていたことを痛感する。
これは予想以上にきつい。
今からこんな調子で合格して本当に遠距離になったら俺はどうなってしまうのか…
しかし、優先させるべきは勉強なので、陽南と我慢の日々を過ごしている。
耐えるしかない。
夏休みは大きな祭りがあるのでそれに行くことは二人で決めた。
陽南は、
「暑いからプールにも行きたい」
と言っていたが却下。
「なんで?プール行きたい」
と引かないが絶対ダメ!
他の男どもに陽南の水着なんて絶対見せたくない。許さない。
陽南にそう言うと、
「壮祐くんってそういうタイプだったっけ?」
と面白くなさそう。
「ダメって言ったらダメです」
「ケチ!」
「なんとでも言え、陽南のことジロジロ見られるの嫌だし、俺がヤキモチ焼くから絶対行かない」
「妬いてくれるんだ」
ちょっと嬉しそう。
「俺、ヤキモチ焼きなんで」
「ふふふー」
陽南がすごく嬉しそうに笑ってる。
ということでプールはダメ!
今年は大きなイベントは祭りだけにして、会える時は『Both』で待ち合わせて会うことにした。
最初陽南から提案された時は、気乗りしなかったけど、
「お店ににいる方がお兄ちゃんも迂闊に手を出せないでしょ?」
と不敵に笑う。
なるほど、その手があったか。
聞き上手な半井さんにも会いたいし、 何より建物をじっくり見たい。
喜んだのはもちろんお兄さんだ。
「壮祐くんから来てくれるなんて!」
と感激していたらしい。
ぬか喜びさせて申し訳ないが、目の前で陽南と存分にいちゃつかせてもらうので、あしからず。
しかし、そうは言っても自分の中で少しだけ気持ちが変化していることに気づかないほど鈍くはない。
断っておくが、お兄さんを好きになったわけではない。
半井さんに言われた、
「深影と似ている根っこの部分を似ていて嬉しいって思ってあげて」
という言葉はそのとおりではないかと思っている。
そこだけは認めたい。
幼い頃に強烈に刷り込まれた感覚、その感覚が同じ人がいるという喜びは何ものにも代え難い。
それが大好きな陽南のお兄さんなら、俺は嫌いになることは絶対ないと思うんだ。
恋愛的な意味では決して好きにならないけど、陽南が心配しないでいられるような関係になれるんじゃないかと密かに思ってる。
そうなりたい。
陽南とお兄さんが兄妹で良かったと思える日がきっと来ると思ってるから。
陽南は推薦を狙いつつ、その先を見つめている。
Bothに来る目的は俺と会うことでもあるけど、ここで英語を教えてもらってる。
半井さんの奥さんの公佳さんは外国語学部だったそうで、英語が堪能らしい。
ただ陽南に教えてる時間がなかなか取れないので、同期だった帰国子女の友達、逢生さんを紹介してもらい、英語や英会話を教えてもらっている。
TOEIC対策も含めその先の目標のためだ。
陽南は着実に動き出している。
俺と離れるのが寂しいと泣くけれど、
ちゃんと自分の力と足で立ち上がる。
そんな陽南がいいなと思う。
そんな陽南だから好きなんだ。
陽南が逢生さんに英会話を習っている間、俺は毎回飽きずにレンガを眺めている。
見ていると積み上げるのにどれくらいの時間を要したのだろうかとか、どこから調達したレンガなのだろうか、名のある人の邸宅に使われる色が均等で綺麗なレンガもいいけど、一つ一つ色が異なるレンガも好きだなとか、自分でも不思議なくらい飽きないんだ。
その様子を見て満足げな顔をしてるのはお兄さん…深影さんだ。
満足げついでにさり気なく肩を抱いてきたり、尻を撫でてきたり、あわよくばキスしようと試みるが当然全て跳ね除ける。
「レンガも好きだけど、やっぱり俺は壮祐くんが好きだな」
と当たり前のように口説くが無視する。
受け入れるのは深影さんの豊富なレンガに関する見解や知識だけだ。
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