141 / 247
第1章2節 学園生活/慣れてきた二学期
第138話 ある村にて
しおりを挟む
「あ~……クッソがよ」
「何で我が主君に仕える中で最も優秀なワタクシが、雑魚を待たないといけないんだよ……クソがよ」
黒光りする鎧の青年は唾を吐き捨て、足を踏み均し、様々な方法で苛立ちを募らせている。
降り頻る雪は一切彼の身体に積もらない。魔術による加工か、或いは彼の振る舞いに恐れを為しているのか。
「ふん、貴様は我が主君が合流しろといったにも関わらず、それに反逆するような態度を取るのか?」
「あ? そんなことするわけねーじゃんバーカ」
「……」
酷くしわがれたローブの老人はそれだけ吐き捨てると、町の片隅にあった石碑の元まで戻っていった。
「何読んでんの?」
「この町の歴史を綴った記念碑だそうだ」
「歴史だぁ? どうせ温泉が湧き出てびゃーとかだろ?」
青年も石碑の内容を読む。そして、興味深げに首を傾げた。
「こんなちっぽけな町が、ムスペルの歴史を担うようなすっげー場所なんだ?」
「竜族が移り住んで温泉を発掘していったそうだぞ。実際、通行人には竜族の者が多い。しかし……ふむ」
「ガラティアとムスペル、及びイズエルト! なーんか南と北で変な感じだなあ?」
「その竜族共は、ウェルギリウスに住んでいたのがやってきたらしいぞ」
「じゃあ犯罪人が流れてきたってことかあ!!! ギャハハハハ!!!」
大勢の通行人が、下衆な高笑いをする青年を目撃していたが、恐れ慄いて見なかった振りをしていく。
ただそれをしない者がいたら、それは身内ということである。
「貴様等、見えにくい所で待ち合わせするな」
「グオオオオオオ!!! ワレノハナガナカッタラ、キヅカナカッタゾ!!!」
臍を出した風貌の女、獣の皮を被った大男。美女と野獣と呼ぶには狂気に満ちすぎている。
対極にある姿の二人だが、待ち合わせに時間がかかったことを謝罪する気がないということは共通していた。
「あ゛? どっちがわざわざ来てやったんだと思ってんだよクソが。偉いのは僕らの方に決まってんだろ?」
「ブルニアに向かった後、わざわざこっちに向かってきたやったんだぞ。偉いのはこちらの方だ」
「キサマ、ワレワレヲワルニシタイダケ。チガウカ!!! ガハハ!!!」
「テメエ……ぶち殺す!!!」
「止めんか馬鹿共。全員揃い次第回収に向かう。我が主君の命令だ」
老人が諌めた途端、三人は正気に戻ったかのように押し黙る。
「……ここから徒歩三十分の村だ。我が主君を失望させぬよう、早急に向かうぞ」
「ジジイは気に食わないがそうしてやる。はっ」
「偉大なる我が主君の為に……ワタクシは使命を果たすのです……」
「キショクワルイナ。キサマハイツモソウダッタガナ! グオオオオオオ!!!」
今日は素敵な降神祭。万物の主、偉大なる女王にして、時と秩序の行く末を見守る者。かの者とそれに仕える八のしもべを讃えて、敬虔な祈りを捧げる日。
「お母さん、ご飯できた?」
「ええ、できたわよ。今日は神様が舞い降りた日だからね、特別なメニューよ」
「やったあ!」
それは大国であろうとも、辺境の名も無き村であろうとも同じこと。世界の全てがかの主に首を垂れ、祝福の言葉を述べる。
「おっ、何だか肉の匂いがするなあ!」
「だって今日は降神祭ですもの。とびっきりの七面鳥を買ってきたわ!」
「鶏肉かあ。まあ魚よりはマシかな」
「お前は本当に好き嫌いが激しいな……」
一家が徐々に集まってきた所に、一番の年長者が入ってくる。
「おお、もう食事の準備はできたかのう……」
「おじいちゃん! もうご飯できたよ!」
「早く座って座って!」
「こ、これこれ……わしはそんなに早く歩けんぞい……」
孫達に引っ張られ、老人は一番上座の席に座る。
「ふぅ……全くこの年になると身体が重くてのう……」
「もう、そんなことはいいから。早く挨拶しちゃってよ」
「ほっほっほ……では……」
老人は食事の前で手を合わせ、家族全員が同じように手を合わせたのを見計らって聖唱を行う。
「驕慢たる火の神よ。紅炎盛る饗宴に、薪炭くべて狂騒捧ぐ――」
紺黒の空を光雪が彩り、村の魔術灯が物寂しそうに揺れる。雪の道を軋ませながら歩く四人組がいた。
「クズ共知っているか。カミサマが舞い降りたっていうこの日には、必ず雪が降るらしい」
「そんな雑学は我が主君による改造でとっくにインプットされている。それを大体的に語るとか、馬鹿過ぎて哀れ」
「グオオオオオオ! ニク、ニオイ、スル! ワレ、タベタイ!!!」
「……静まれ阿呆共」
彼らは村の中でも最も大きく、且つ神聖な場所の裏側で待機していた。
「うっわ見ろよ。このけばけばしい草の山! こんなのにまで手ぇ出しやがって。しかも教会の裏で育ててるんだぞ? はー笑うしかねえや」
「負の連鎖、追い込まれた者の末路。裏の世界に身を落とすことでしか生きていけなくなったか」
「ワレ、コノクサキライ。ニガクテ、アトアジワルイ!」
「……どれだけ神に祈ろうとも、辿り着く先はこれだ。聖教会という組織が如何に下劣かがわかる」
「……ふぅ」
四人組が到着してから四半刻、一人の老人が教会に姿を見せる。
「……遅かったじゃねえかクソジジイ。聖なる晩餐を終えるのがそんなに心苦しかったか?」
その言葉にに続く青年のけたけた笑いを聞いて、老人は声のする方向に進んでいく。
「やっほー。ねえねえ、こんな所に魔術大麻が生えてるんだけど、これテメエが育ててんの?」
「……約束の物だ」
「おい質問に答えろ老害」
「……指定された量は用意した」
そうして老人が差し出した巾着袋は、
青年に胸倉を掴まれたことにより、受け取られることなく地面に落ちた。
「あははは……舐めてる? 僕が若造だからって舐めてんの? ねえ?」
「……」
「答えない? やっぱり馬鹿にしてんじゃん。胸糞悪いんだけど。殺してえなあ、ああ、このまま地面に叩き付けて――」
「殺していいぞ」
女が巾着袋の中を確認しながら、青年に命令を下す。空気感が一気に変わった。
「……これだけの粗悪品を渡されたら話にならん。我が主君の計画には、もっと純度が高い物が必要なのに、何だこのザマは?」
「そ、それは……!」
「返事するの? 返事、するんだあ! 僕にはしなかったのにこのクソアマにはするんだあ!!!」
青年は老人を地面に叩き付け、その後まるでパン生地を伸ばすように足で重力を与え続ける。
「……も、もう……材料が、ないんじゃ……最近では旅人もめっきり来なくなってしまって……! な、何とかそこらの魔物を狩って、作った物なんじゃ……」
「……材料」
女は家々が並ぶ街並みを見つめる。
それから一つ、歯を出して嗤う。
「……ほざけ。材料ならあの家々の中にあるじゃないか。たんまりと、新鮮で、生きの良い奴がな……!」
「……!!!」
「ギャハハハハハ!! そうだなぁ、やっちまおうか!!」
すると青年は、何処かから黒く染まった槍を召喚し、
足元の確認もせずに、老人の胸に突き刺した。
返り血を浴びて、青年は虫唾が走る声で更に嗤い出す。
「おい猛獣、朗報だ。先程から良い匂いを漂わせている肉を食えるぞ」
「ナニ!! ソレハホントウカ!!」
「条件がついてるがな。だがそれも簡単だ。明かりがついている家から人間を一人残らず連れ出して、今いる場所に持ってくればいい。そうすれば肉を食う人間がいなくなるから、貴様のために肉が残るってことさ。それを食うんだ」
「グオオオオオオ!!! ワレ、ニンゲン、ツレテクル!!!」
毛皮の大男が住宅街に向かって行くと、
数秒もせずに小気味良い悲鳴が雪の村を囲む。
「ジジイ、魔法陣の準備をしろ。今からここで深淵結晶の生成を行うからな」
「ふん、基地外共とは違ってしっかり準備をしておいたわい」
ローブの老人が雪の上に赤い魔法陣を描き終えた所に、青年は槍を引き抜き老人の躯を投げ飛ばす。
「……クズが。この人間はとうに死んでおるぞ」
「ああ!? クソッ、折角即死を避けてやったのに! 体力なさすぎだろ!?」
「……まあいいや。死んだもんは二度と取り返せないんだ。前向き前向きっと!」
青年は満面の嗤顔で老人の死体を引きずり、
そして、槍で老人の胸に切り込みを入れ出した。
「ギャーッハッハッハ!! 心臓が! 固い、小さい、どす黒い!!! 心筋梗塞一歩手前じゃねーか、余程ヤケ酒でもしてたんだなあ!?!?」
「あ……ああ……」
「ん?」
青年が右を振り向くと、そこには四人の人間が惨めな姿で地に伏していた。
子供二人に、男女の成人。彼らは老人の惨状を見て、声を上げずに畏怖の感情を示している。
「キャハハハハァ……アーッハハハハァ!!! コイツらも同じようにしてえ!!! 臓物を取り出して、キャッチボールにして遊んでやりてえなあ!!!」
「……ひっ……!!」
「いやあああ……!!!」
「それはさせないぞクズ。貴様らは我が主君の礎となるのだからな」
「あぐぅ……!」
女が人間に触れていくと、彼らは一様に気を失っていく。その後に大男に連れてこられた人間も、同じように手をかけられていく。
「奇跡的だな、何せ今日は降神祭だ。念願叶ってようやく女神の御許に行けるぞ、実に喜ばしいなぁ?」
聖常なる白の世界が、狂奔なる赤に染められた。
その場にいた生命の行く末は、神々以外は知る由もない。
「何で我が主君に仕える中で最も優秀なワタクシが、雑魚を待たないといけないんだよ……クソがよ」
黒光りする鎧の青年は唾を吐き捨て、足を踏み均し、様々な方法で苛立ちを募らせている。
降り頻る雪は一切彼の身体に積もらない。魔術による加工か、或いは彼の振る舞いに恐れを為しているのか。
「ふん、貴様は我が主君が合流しろといったにも関わらず、それに反逆するような態度を取るのか?」
「あ? そんなことするわけねーじゃんバーカ」
「……」
酷くしわがれたローブの老人はそれだけ吐き捨てると、町の片隅にあった石碑の元まで戻っていった。
「何読んでんの?」
「この町の歴史を綴った記念碑だそうだ」
「歴史だぁ? どうせ温泉が湧き出てびゃーとかだろ?」
青年も石碑の内容を読む。そして、興味深げに首を傾げた。
「こんなちっぽけな町が、ムスペルの歴史を担うようなすっげー場所なんだ?」
「竜族が移り住んで温泉を発掘していったそうだぞ。実際、通行人には竜族の者が多い。しかし……ふむ」
「ガラティアとムスペル、及びイズエルト! なーんか南と北で変な感じだなあ?」
「その竜族共は、ウェルギリウスに住んでいたのがやってきたらしいぞ」
「じゃあ犯罪人が流れてきたってことかあ!!! ギャハハハハ!!!」
大勢の通行人が、下衆な高笑いをする青年を目撃していたが、恐れ慄いて見なかった振りをしていく。
ただそれをしない者がいたら、それは身内ということである。
「貴様等、見えにくい所で待ち合わせするな」
「グオオオオオオ!!! ワレノハナガナカッタラ、キヅカナカッタゾ!!!」
臍を出した風貌の女、獣の皮を被った大男。美女と野獣と呼ぶには狂気に満ちすぎている。
対極にある姿の二人だが、待ち合わせに時間がかかったことを謝罪する気がないということは共通していた。
「あ゛? どっちがわざわざ来てやったんだと思ってんだよクソが。偉いのは僕らの方に決まってんだろ?」
「ブルニアに向かった後、わざわざこっちに向かってきたやったんだぞ。偉いのはこちらの方だ」
「キサマ、ワレワレヲワルニシタイダケ。チガウカ!!! ガハハ!!!」
「テメエ……ぶち殺す!!!」
「止めんか馬鹿共。全員揃い次第回収に向かう。我が主君の命令だ」
老人が諌めた途端、三人は正気に戻ったかのように押し黙る。
「……ここから徒歩三十分の村だ。我が主君を失望させぬよう、早急に向かうぞ」
「ジジイは気に食わないがそうしてやる。はっ」
「偉大なる我が主君の為に……ワタクシは使命を果たすのです……」
「キショクワルイナ。キサマハイツモソウダッタガナ! グオオオオオオ!!!」
今日は素敵な降神祭。万物の主、偉大なる女王にして、時と秩序の行く末を見守る者。かの者とそれに仕える八のしもべを讃えて、敬虔な祈りを捧げる日。
「お母さん、ご飯できた?」
「ええ、できたわよ。今日は神様が舞い降りた日だからね、特別なメニューよ」
「やったあ!」
それは大国であろうとも、辺境の名も無き村であろうとも同じこと。世界の全てがかの主に首を垂れ、祝福の言葉を述べる。
「おっ、何だか肉の匂いがするなあ!」
「だって今日は降神祭ですもの。とびっきりの七面鳥を買ってきたわ!」
「鶏肉かあ。まあ魚よりはマシかな」
「お前は本当に好き嫌いが激しいな……」
一家が徐々に集まってきた所に、一番の年長者が入ってくる。
「おお、もう食事の準備はできたかのう……」
「おじいちゃん! もうご飯できたよ!」
「早く座って座って!」
「こ、これこれ……わしはそんなに早く歩けんぞい……」
孫達に引っ張られ、老人は一番上座の席に座る。
「ふぅ……全くこの年になると身体が重くてのう……」
「もう、そんなことはいいから。早く挨拶しちゃってよ」
「ほっほっほ……では……」
老人は食事の前で手を合わせ、家族全員が同じように手を合わせたのを見計らって聖唱を行う。
「驕慢たる火の神よ。紅炎盛る饗宴に、薪炭くべて狂騒捧ぐ――」
紺黒の空を光雪が彩り、村の魔術灯が物寂しそうに揺れる。雪の道を軋ませながら歩く四人組がいた。
「クズ共知っているか。カミサマが舞い降りたっていうこの日には、必ず雪が降るらしい」
「そんな雑学は我が主君による改造でとっくにインプットされている。それを大体的に語るとか、馬鹿過ぎて哀れ」
「グオオオオオオ! ニク、ニオイ、スル! ワレ、タベタイ!!!」
「……静まれ阿呆共」
彼らは村の中でも最も大きく、且つ神聖な場所の裏側で待機していた。
「うっわ見ろよ。このけばけばしい草の山! こんなのにまで手ぇ出しやがって。しかも教会の裏で育ててるんだぞ? はー笑うしかねえや」
「負の連鎖、追い込まれた者の末路。裏の世界に身を落とすことでしか生きていけなくなったか」
「ワレ、コノクサキライ。ニガクテ、アトアジワルイ!」
「……どれだけ神に祈ろうとも、辿り着く先はこれだ。聖教会という組織が如何に下劣かがわかる」
「……ふぅ」
四人組が到着してから四半刻、一人の老人が教会に姿を見せる。
「……遅かったじゃねえかクソジジイ。聖なる晩餐を終えるのがそんなに心苦しかったか?」
その言葉にに続く青年のけたけた笑いを聞いて、老人は声のする方向に進んでいく。
「やっほー。ねえねえ、こんな所に魔術大麻が生えてるんだけど、これテメエが育ててんの?」
「……約束の物だ」
「おい質問に答えろ老害」
「……指定された量は用意した」
そうして老人が差し出した巾着袋は、
青年に胸倉を掴まれたことにより、受け取られることなく地面に落ちた。
「あははは……舐めてる? 僕が若造だからって舐めてんの? ねえ?」
「……」
「答えない? やっぱり馬鹿にしてんじゃん。胸糞悪いんだけど。殺してえなあ、ああ、このまま地面に叩き付けて――」
「殺していいぞ」
女が巾着袋の中を確認しながら、青年に命令を下す。空気感が一気に変わった。
「……これだけの粗悪品を渡されたら話にならん。我が主君の計画には、もっと純度が高い物が必要なのに、何だこのザマは?」
「そ、それは……!」
「返事するの? 返事、するんだあ! 僕にはしなかったのにこのクソアマにはするんだあ!!!」
青年は老人を地面に叩き付け、その後まるでパン生地を伸ばすように足で重力を与え続ける。
「……も、もう……材料が、ないんじゃ……最近では旅人もめっきり来なくなってしまって……! な、何とかそこらの魔物を狩って、作った物なんじゃ……」
「……材料」
女は家々が並ぶ街並みを見つめる。
それから一つ、歯を出して嗤う。
「……ほざけ。材料ならあの家々の中にあるじゃないか。たんまりと、新鮮で、生きの良い奴がな……!」
「……!!!」
「ギャハハハハハ!! そうだなぁ、やっちまおうか!!」
すると青年は、何処かから黒く染まった槍を召喚し、
足元の確認もせずに、老人の胸に突き刺した。
返り血を浴びて、青年は虫唾が走る声で更に嗤い出す。
「おい猛獣、朗報だ。先程から良い匂いを漂わせている肉を食えるぞ」
「ナニ!! ソレハホントウカ!!」
「条件がついてるがな。だがそれも簡単だ。明かりがついている家から人間を一人残らず連れ出して、今いる場所に持ってくればいい。そうすれば肉を食う人間がいなくなるから、貴様のために肉が残るってことさ。それを食うんだ」
「グオオオオオオ!!! ワレ、ニンゲン、ツレテクル!!!」
毛皮の大男が住宅街に向かって行くと、
数秒もせずに小気味良い悲鳴が雪の村を囲む。
「ジジイ、魔法陣の準備をしろ。今からここで深淵結晶の生成を行うからな」
「ふん、基地外共とは違ってしっかり準備をしておいたわい」
ローブの老人が雪の上に赤い魔法陣を描き終えた所に、青年は槍を引き抜き老人の躯を投げ飛ばす。
「……クズが。この人間はとうに死んでおるぞ」
「ああ!? クソッ、折角即死を避けてやったのに! 体力なさすぎだろ!?」
「……まあいいや。死んだもんは二度と取り返せないんだ。前向き前向きっと!」
青年は満面の嗤顔で老人の死体を引きずり、
そして、槍で老人の胸に切り込みを入れ出した。
「ギャーッハッハッハ!! 心臓が! 固い、小さい、どす黒い!!! 心筋梗塞一歩手前じゃねーか、余程ヤケ酒でもしてたんだなあ!?!?」
「あ……ああ……」
「ん?」
青年が右を振り向くと、そこには四人の人間が惨めな姿で地に伏していた。
子供二人に、男女の成人。彼らは老人の惨状を見て、声を上げずに畏怖の感情を示している。
「キャハハハハァ……アーッハハハハァ!!! コイツらも同じようにしてえ!!! 臓物を取り出して、キャッチボールにして遊んでやりてえなあ!!!」
「……ひっ……!!」
「いやあああ……!!!」
「それはさせないぞクズ。貴様らは我が主君の礎となるのだからな」
「あぐぅ……!」
女が人間に触れていくと、彼らは一様に気を失っていく。その後に大男に連れてこられた人間も、同じように手をかけられていく。
「奇跡的だな、何せ今日は降神祭だ。念願叶ってようやく女神の御許に行けるぞ、実に喜ばしいなぁ?」
聖常なる白の世界が、狂奔なる赤に染められた。
その場にいた生命の行く末は、神々以外は知る由もない。
0
お気に入りに追加
18
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
幼馴染の彼女と妹が寝取られて、死刑になる話
島風
ファンタジー
幼馴染が俺を裏切った。そして、妹も......固い絆で結ばれていた筈の俺はほんの僅かの間に邪魔な存在になったらしい。だから、奴隷として売られた。幸い、命があったが、彼女達と俺では身分が違うらしい。
俺は二人を忘れて生きる事にした。そして細々と新しい生活を始める。だが、二人を寝とった勇者エリアスと裏切り者の幼馴染と妹は俺の前に再び現れた。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
ちょっとエッチな執事の体調管理
mm
ファンタジー
私は小川優。大学生になり上京して来て1ヶ月。今はバイトをしながら一人暮らしをしている。
住んでいるのはそこらへんのマンション。
変わりばえない生活に飽き飽きしている今日この頃である。
「はぁ…疲れた」
連勤のバイトを終え、独り言を呟きながらいつものようにマンションへ向かった。
(エレベーターのあるマンションに引っ越したい)
そう思いながらやっとの思いで階段を上りきり、自分の部屋の方へ目を向けると、そこには見知らぬ男がいた。
「優様、おかえりなさいませ。本日付けで雇われた、優様の執事でございます。」
「はい?どちら様で…?」
「私、優様の執事の佐川と申します。この度はお嬢様体験プランご当選おめでとうございます」
(あぁ…!)
今の今まで忘れていたが、2ヶ月ほど前に「お嬢様体験プラン」というのに応募していた。それは無料で自分だけの執事がつき、身の回りの世話をしてくれるという画期的なプランだった。執事を雇用する会社はまだ新米の執事に実際にお嬢様をつけ、3ヶ月無料でご奉仕しながら執事業を学ばせるのが目的のようだった。
「え、私当たったの?この私が?」
「さようでございます。本日から3ヶ月間よろしくお願い致します。」
尿・便表現あり
アダルトな表現あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる