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終章 いつも楽しく面白く

第41話 シリアスに負けるな!

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 ユーキ組、そして猫師匠組が魔法障壁の破壊を試みる。

「食らえ! 必殺猫パンチニャアア‼︎」

 魔法障壁に向かってパンチを繰り出す猫師匠。しかし魔法障壁はビクともしなかった。

「何て硬さニャ⁉︎ あたしの猫パンチで傷ひとつ付かないニャんて」
「そんなへなちょこパンチが効く訳ないでしょう」

「フィー! 誰がへなちょこパンチニャ⁉︎」
「いいえ、シャル様に麦チョコをあげたいと言ったんです」
「麦チョコくれるのかニャ⁉︎ ありがとうニャ」
「ひと粒」
「ひと粒ニャ⁉︎」

 猫師匠達が魔法障壁を何とかしようとしている中、バジリスクと対峙しているネム。

「ネム達の戦いを邪魔して~。君、どこの子⁉︎」
「キシャアアアア‼︎」

 ネムの問いかけに問答無用で襲いかかって来るバジリスク。

「お家に帰りなさ~い‼︎」

 バジリスクの顔を思いっきり殴りつけるネム。
 しかし殴られた勢いで一旦顔が横を向くも、ほとんどダメージを受けていない様子のバジリスク。

「効いてない⁉︎ 自信無くすなぁ」

 ネムの自信が揺らいだ時、バジリスクの尻尾により弾き飛ばされ、魔法障壁に強く体を打ち付ける。

「グゥッ‼︎ き、効くなぁ」

 ダメージにより座り込んでいるネムに、魔法障壁の外から猫師匠が声をかける。

「ネム! 大丈夫かニャ⁉︎ すぐ助けてやるから、もう少し頑張るニャ!」
「お早くお願いね。ちょおっとヤバそうな相手みたいだから」

 ネムの発言が信じられないといった様子のレノ。

(魔装状態のネムがこんな弱気な発言をするなんて、それ程に強力な魔獣という事か?)

 ネムが苦戦している頃、横槍を入れて来た術者を探す為、魔力探知をかけているパティ。

(早く見つけてぶっ飛ばさないと、ネムはともかくパル達が危ないわ……)
「どうですか? パティさん」
「まだ見つからないわ」

 目をつぶり、何度も何度も杖を地面に付くパティ。

(こんなに探索範囲を広げたのに、まだ反応しないなんて……)
「居たか⁉︎ パティ王女!」
「まだよ! あと、あたしは別に王女じゃないからね!」

 更に魔力を高め、探知能力を上げるパティ。

(猫師匠をもってしても破れない程強力な魔法障壁を張れる術者なんだから、並の魔力じゃない筈。何で反応しないの?)
「パティ君! まだかね⁉︎」
「まだって言ってるでしょ! もう少し待ってなさい!」

 全く反応しない術者に、悪い予感が走るパティ。

(幾ら何でもこんなに遠い筈は……ハッ! まさか⁉︎ 遠いんじゃなくて、逆にすぐ近くに居るんじゃ⁉︎ 例えばあたし達の中に……)
「パティさん!」
「パティ王女!」

(あたし達の中で見慣れない魔力と言ったら、まさか……)
「パティ君‼︎」
「違うわよっ‼︎」
「な、何がだね⁉︎」

 しつこく確認して来るアイバーン達に、遂にブチ切れるパティ。

「さっきからうるさいのよあんた達‼︎ 魔力探知は集中力がいるんだから、黙ってなさいよ‼︎」
「グハァ‼︎」

 パティにぶっ飛ばされたアイバーンが頬を抑えながら体を起こす。

「す、済まないパティ君。しかしネム君達がかなり危険な状態なのだ。だから我々も加勢に行こうかと思ってね」

 アイバーンの言う通り、魔法障壁は未だ破れず。ネムは苦戦しながらも何とか戦っていたが、魔力の尽きたパルとチルはなす術無く、ただ逃げ惑うだけだった。

「ダメよ! ユーキに言われたでしょ⁉︎ あたし達は術者を探し出して倒すの! それがあたし達に与えられた仕事よ!」
「しかしだね」

「ユーキは統一国の王なのよ‼︎ あたし達みんなの王なのよ‼︎ そのユーキの言葉が聞けないなら、あたし達にユーキと一緒に居る資格は無いわ‼︎」

 パティの言葉に落ち着きを取り戻すアイバーン達。

「そう、だったね。焦りのあまり少し冷静さを欠いていたようだ。済まないパティ君」
「分かればいいのよ! 術者は必ずあたしが探し出してみせるから、あんた達は魔力を高めて待ってなさい!」

(ユーキの言葉が聞けないならか……よく言うわね。口では信じるなんて言いながら、そのユーキが信じたラケルをあたしはずっと疑っていた。それはつまり、ユーキを疑っていたのと同じ事だわ!)

 パチンと両頬を叩き、気合いを入れ直すパティ。

(ラケルは術者じゃない! 本当の敵は必ずどこかに居る! あたしの仕事は何としてもその術者を探し出す事! 後先考えるな! 後の事はアイ君達に任せればいい!)

 ありったけの魔力カートリッジを取り出し、魔装具に全てセットしてトリガーを引くパティ。

「魔力、解放‼︎」
「魔装弾を全部解放した⁉︎ パティさん、また暴走しちゃうんじゃ⁉︎」
「いや、今のパティ君ならばその心配は無いだろう」

「それにしても魔装弾……久しぶりに見ましたね」
「それは言うな、メルク」

 魔力解放したパティが、遂に潜んでいた術者を見つけ出す。

「居た‼︎ ほんのかすかだけど、あの魔法障壁と同じ魔力を感じるわ! あっちの方向、約1000メートル‼︎」

「了解した! 行くぞ! メルク! ブレン!」
「ハイ‼︎」
「腕が燃えるぜ~‼︎」

 パティが指差した森へ走って行くアイバーン達。

「頼んだ、わよ……」

 暴走こそしなかったものの、無理な魔力解放の影響で力尽き、倒れ込むパティ。

 一方、未だ魔法障壁に手こずっている猫師匠達とユーキ達。

「ダメですぅ! 私の結界が効きませんよぉ」
「セラの魔法無効化の結界が効かないって事は、この壁を作った術者はレベル7以上の魔力の持ち主って事⁉︎」
(だけど、女神であるテトでも破れないなんてどういう事?)

「ムキいい‼︎ 一体何ニャ、この壁は⁉︎ あたしは女神ニャ! この魔法世界を作った3大神のひとり、女神テトニャ! そのあたしが何でこんな壁ひとつ壊せないニャアア‼︎」

「シャル様は女神と言っても、いわゆる駄女神という奴ですから」
「フィー! 誰が駄女神ニャ⁉︎」
「いいえ、ダメで落ちこぼれで役立たずな女神と言ったんです」
「更に酷くなったニャ⁉︎」




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