上 下
128 / 298
第五章 五国統一

第4話 BLだとか百合だとか

しおりを挟む
 その夜、宿屋に戻って来たユーキ達が、アイバーンより報告を受ける。

「皆の登録は済ませておいた。ただ、ネム君ロロ君……君達2人の登録だけはまだ出来ていないんだ」
「何で? イジメ?」
「嫌がらせなのです!」

「いやいや! そうではない! ネム君が召喚士、というのが少々問題になってね……」
「またあ? 闘技場ならともかく、今回もなの!?」

「いや勿論、今回の大会はネム君も国の復興をかけているからね……私も食い下がったよ! 結果、召喚獣一体だけならば参戦出来る事になったんだ」

「何よそれ!? 召喚獣を生み出すのが召喚士の能力なのに、それに制限をかけるなんて不公平じゃないの!!」
「でも、ネムちゃんの場合魔石さえあれば無限に召喚獣を生み出せる訳ですから、そうなると収拾つかなくなりますよ?」
「何よメル君!? 運営の肩を持つの!?」
「いえ! そういう訳では……」

「一体……何でもいいの?」
「ああ、それは何だって構わない……出現させているのが一体でさえあれば、途中で別の召喚獣に変えても構わない。だから、ネム君とロロ君がそれぞれ個々として参戦するか、ロロ君と合体して1人として参戦するのかを確認したかったのだ」

「確かに召喚獣は強力ですがぁ、ネムちゃん自身は無防備になっちゃいますねぇ」
「なら、例の獣魔装ってのをやればいいんじゃないんですか?」

「ん? 獣魔装、というのは何だ?」
「ああ、レノさんは知らないんでしたっけ? ネムちゃんは自分が生み出した召喚獣を鎧としてまとう事が出来るんですよ」
「何だと!? だが俺と戦った時は、そんな事はしてなかったと思うが?」
「レノ如きに使うまでもなかったんじゃないですかぁ?」
「なにおぅ!!」

「でも確かネムって、ロロと合体してからじゃないと獣魔装出来ないんだよね?」
「出来なくはないけど、体が保たないの……」
「そんなの、初めからロロと合体しておけば誰も分からないわよ! その上で獣魔装をやればいいじゃないの!? ね、あなただって勝ち残りたいんでしょ? ネム!?」

 ネムの耳元で、小声で囁くパティ。

「悪魔の囁きはやめないかっ! パティ君!」

「勝ち残りたいけど、ズルはしたくない……だからロロと合体して、獣魔装無しで戦う……」
「そうか……了解した! では明日、改めてネム君の登録をしておくよ」
「うん、お願い……」

「やっぱりネムちゃんはぁ、パティちゃんと違って純粋ですぅ」
「もう一度冥界に送るわよ!? セラ!」
「そんな事したらぁ、毎晩部屋の照明を高速点滅させてやりますぅ」
「ごめんなさい……うっとおしいからやめて……」

「でもまあ、ロロと合体しただけの状態でもS級のリンドブルムを圧倒してたぐらいだから、充分脅威だけどね」
「確かにね……考えてみれば、普通の魔装でその強さなのに、そこから更に獣魔装なんてものがあるんだから、ホント反則よね」
「あ!? でもそうなると、そのままの状態で獣魔装出来るユーキさんって……とても勝てる気がしないんですが……」

「いやいや、あの獣魔装ってパワーがあり過ぎて、中々コントロールが難しいからさ……ん? じゃあ僕にも召喚獣の制限かかるの?」
「召喚士状態で戦うのであれば、当然そうなるね」
「そっか……う~ん、どうしよっかな~?」

「でもユーキさんの場合、例え召喚獣を制限されても、いくらでも戦いようはあるんですよね? しかも、エターナルマジックなんていうとんでもない能力まであるし」

「うん、そうだよね!? やっぱりこんな能力反則だよね? だから……」

「出場辞退なんかしたらぁ、不戦敗とみなして、私達全員と結婚してもらいますからねぇ」
「んなっ!? 何だよ全員って!?」

「全員っていうのはぁ、その集団に属している人全てって意味だからぁ、この場合はユーキを愛し隊のみんなの事を指しますぅ」
「いやだから! 言葉の意味を聞いてるんじゃなくて……てか、まだ愛し隊とか言ってんの!?」

「愛し隊はお気に召しませんかぁ? それならばぁ、そうですねぇ……ブレイブラバーズ、なんてのはどうですかぁ?」
「お!? 何かカッコイイかも……どういう意味?」

「ブレイブはぁ、勇者とか勇敢な人って意味ですからぁ、ユウちゃんを指しますぅ」
「ま、まさか!?」
「ラバーズは恋人達って意味ですからぁ、かなり苦しいですがぁ、愛し隊って事でぇ」
「やっぱりか!!」

「ブレイブラバーズ! 略してBL隊ですぅ」
「何か違う意味になってるー!?」

「他にもぉ、ユウちゃんの栄光をたたえてグローリーラバーズ! 略してGL隊ってのもありますぅ」
「百合っ!? てか、さっきから完全にその略ありきで考えてるよねー!?」
「はて? 何の事ですかぁ? 偶然そうなっただけですけどぉ?」
「セラに限って、絶対にそれはありえない!」
「本当ですってばぁ! この純粋な目を見てくださいぃ!」
「だから見えないのっ!!」

「じゃああとはぁ、光り輝くユウちゃんだからぁ、シャイニングラバーズ! 略してSL隊……」
「確信犯っ!!」


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

異世界TS転生で新たな人生「俺が聖女になるなんて聞いてないよ!」

マロエ
ファンタジー
普通のサラリーマンだった三十歳の男性が、いつも通り残業をこなし帰宅途中に、異世界に転生してしまう。 目を覚ますと、何故か森の中に立っていて、身体も何か違うことに気づく。 近くの水面で姿を確認すると、男性の姿が20代前半~10代後半の美しい女性へと変わっていた。 さらに、異世界の住人たちから「聖女」と呼ばれる存在になってしまい、大混乱。 新たな人生に期待と不安が入り混じりながら、男性は女性として、しかも聖女として異世界を歩み始める。 ※表紙、挿絵はAIで作成したイラストを使用しています。 ※R15の章には☆マークを入れてます。

虐げられた令嬢、ペネロペの場合

キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。 幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。 父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。 まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。 可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。 1話完結のショートショートです。 虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい…… という願望から生まれたお話です。 ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。 R15は念のため。

性欲排泄欲処理系メイド 〜三大欲求、全部満たします〜

mm
ファンタジー
私はメイドのさおり。今日からある男性のメイドをすることになったんだけど…業務内容は「全般のお世話」。トイレもお風呂も、性欲も!? ※スカトロ表現多数あり ※作者が描きたいことを書いてるだけなので同じような内容が続くことがあります

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた

杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。 なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。 婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。 勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。 「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」 その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺! ◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。 婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。 ◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。 ◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。 ◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます! 10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

処理中です...