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終章 いつも楽しく面白く

第75話 実の姉妹なら許される?

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 ジョーカーに吹っ飛ばされたウーノがワイバーンに激突した事により、ワイバーンより落下して散り散りになってしまったユーキ達。
 そこへジョーカーがゆっくりと近付いて来る。

「ババが追い付いて来たのよ!」
「ポーカーフェイスを貫くの~」
「いや、表情を隠しても意味無いのよ!」

「もう一度ワイバーンを召喚します! それまで何とかしのいでください!」
「持って来たオヤツも底をついちゃったので、お昼ご飯まで凌げないですぅ」
「空腹感の事じゃないからあ!」

「ナンバーズ辞めちゃって収入無くなるから、来月からもうしのげないの~」
「あなた達はちゃんと私が養いますっ!」

「もう一度ネムが行ってくる!」
「ネム‼︎」

 無謀にも、ひとりでジョーカーに向かって行くネム。
 しかし、すぐに吹っ飛ばされて戻って来るのだった。

「姉様ゴメン。やっぱりダメだった」
「うん、ナイスファイト!」

 どんどん迫って来るジョーカー。
 そこへ立ち上がったのは何と、セラだった。

「仕方ないですねぇ。私がちょっと頑張ってみますぅ」
「セラ⁉︎ 無理だよセラ! 魔装したネムでさえ手も足も出ないんだから!」
「獣魔装出来たらもっとやれるもん!」

「ただ時間を稼ぐだけですぅ。その間にベールさん、そしてロリユウちゃん。分かってますよねぇ?」
「変な風に名前を合体させないで!」

 ジョーカーの前に立ち塞がるセラ。

「何です、あなたは?」
「病気、怪我、何でも治す、美少女ヒーラーセラちゃんですぅ」
「ヒーラー? そのヒーラーが私と戦おうと言うんですか?」
「まさかぁ。私は戦闘はからっきしですよぉ」

「では何しに来たんですか?」
「あなたとお話に来ましたぁ」
「話? あいにく、私はのんびりあなたと話している暇なんて無いんですよ」
「ユウちゃんが怖いですかぁ?」
「何ですって?」

「ユウちゃんが専用の魔装具を手にする事が、そんなに怖いんですかって聞きましたぁ」
「フフッ、あなた面白い事を仰いますねえ。何故この私が、たかが一国の小娘を恐れる必要があるんですか?」
「あなたがユウちゃんの真の強さを知ってるからですぅ。女神時代のユウちゃんの強さをね」

 目を開くセラ。
 ピクリとなるジョーカー。

「あなたまるで、私達の関係を知っているかのような口ぶりですねえ」
「知ってますよ? あなたの正体もね」
「何だと?」

 セラが意味深な発言をしていた頃、ユーキにペンダントを渡すウーノ。

「ユーキ、これを」
「これって……もしかして僕の専用魔装具?」
「そうだ。約束だからね、君に返すよ」

「でも、何で君が持ってたの?」
「ナンバーズの中で最後まで残るのはおそらく僕だろうからって、カオス様から預かってたんだ」
「そう、か……」
「さあ! 君の真の力を見せてよ!」
「うん、ありがと!」

 ウーノからペンダントを受け取るユーキ。

「私の正体? 私はサーティーンナンバーズのジョーカー。それ以上でもそれ以下でもありませんが?」
「まだとぼけるんですか? 私は以前にユウちゃんの記憶の中であなたを見てますからね。それだけに、何故カオスさんがあなたを側に置いているのか理解出来ませんけどね」

「フ、フフッ。どうやらあなたは本当に私が誰なのか知っているみたいですね?」
「だからそう言ってるでしょう? あなたはユウちゃんが専用魔装具を取り戻して真の力に目覚めるのを恐れているんですよ!」
「たかが人間の小娘がああ‼︎」

 マスクを着けているので分からないが、険しい形相に変わったと思われるジョーカーが、瞬時に出した剣でセラに斬りつける。
 その剣をかわそうともせず、仁王立ちのままじっと見つめているセラ。

「セラ姉様‼︎」

 だが、何者かがジョーカーの剣を受け止める。
 セラの目線の先に一瞬にして現れたのは、ロッドタイプの魔装具を持ち、巨大な白い翼と天使そのものと言える純白の衣をまとったアイリスだった。
 その全身からは神々しいオーラが溢れ出ていた。

「ギリギリでしたよセラちゃん? でも、間に合って良かったです」
「内心ドキドキでしたぁ。でも、必ず助けてくれると信じてましたからぁ」

 ユーキの姿を見て、焦りの表情に変わったんじゃないかと想像されるジョーカーが、バッとユーキから離れる。

「あなた! その眩しい程のオーラは……イース、ですか?」
「いいえ、私は通りすがりのコスプレイヤーです」
「そんな凄まじいオーラをまとったコスプレイヤーが居ますかっ‼︎」

 ボケつつも強大なオーラを放つアイリスにたじろぐジョーカー。

「ど、どうやら専用の魔装具を手に入れてしまったようですね?」
「ええ、おかげさまでね」

「そ、それでどうしますか? あの時の恨みを晴らしますか?」
「恨み? う~ん、別にいいですよぉ。マナちゃんもこうして生きてますし、私も向こうの世界で色々な経験が出来て楽しかったですしね~」
「相変わらず、甘い方だ……」

 ジョーカーを無視して立ち去ろうとするアイリス。

「行きましょうセラちゃん。後はカオスにお仕置きすれば、この戦いも終わりです」
「ハァイ。ああでもぉ、ババさんは放っといていいんですかぁ?」
「いいんですよ。私の専用魔装具が戻った今、最早彼は私の敵ではありませんからね」
「んふふ~、戦いもせずに見逃す……ある意味最大の屈辱ですねぇ」

 アイリスに完全に見下され、怒りに震えるジョーカー。

「わ、私を……ナメるなああああ‼︎」

 怒り狂ったジョーカーが狙ったのは、アイリスではなくセラだった。
 セラに剣を振り下ろすジョーカー。
 その剣を難なくロッドで受け止めるアイリス。

「ぐっ! くそうっ‼︎」
「まったく……あなたはいつまで経っても卑劣なのですね?」
「ぬぐぐっ! イィィスゥゥゥゥ!」
「私を狙って来たのなら許しもしましたが、セラちゃんを狙ったのは許せません!」
「貴様さえ帰って来なければああっ‼︎」

 次の瞬間、思いっきり振り抜いたロッドでジョーカーの顔面を殴りつけるアイリス。

「ぐぶおああああ~‼︎」

 数十メートル吹っ飛んだ先で気絶するジョーカー。

「な、何て……規格外のパワー、だ……ガクッ」  
「さ、帰りましょ」
「と、とんでもないパワーなのよ」

 雰囲気の違うユーキを見たセラが、ふと心配になって質問をする。

「ところでぇ、今のユウちゃんはどういう状態なんですかぁ? マナちゃんの意識はちゃんと残ってますよねぇ?」

「ええ、大丈夫です。マナちゃんは今、一時的に私と入れ替わって眠ってるだけですから。あ、でもご心配無く。眠ってる間も周りの事は見えてますから、今の状況もちゃんと分かってますよ」
「良かった。ユーキ姉様、ちゃんとネム達の事見てくれてるんだ」

「ですから私は、パティちゃんがマナちゃんのお風呂を覗こうとしてた事も、下着を盗もうとしてた事も、寝込みを襲おうとしてた事も全部見てましたからね~」
「パティ姉様、そんな事してたんだ……」
「ドン引きですねぇ」

「へクチュッ‼︎」

 カオスと対峙していたパティがいきなりクシャミをする。

「何だぁ? 風邪か? いや違うな。バカは風邪ひかないって言うしな」
「誰がバカよ‼︎ あたしは暴力的でちょっと変わった性癖は持ってるけど、バカじゃないわよ‼︎」

「お、おう……ちゃんと自分の事分かってんじゃね~か」






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