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寄り道
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ジムの街を出て山脈の端にかかった時、俺を襲って来た奴がいた。容易く喰らうことが出来る、鳥とでも思ったか?ワイバーンの襲来だった。
そんなに喰いたいなら食われてやるか。当然お互いにスピードは落とさない。ワイバーンの口に入る寸前に身体を丸めて小さくなり、撒菱の球体を纏い勢いそのままワイバーンの喉を越えて腹の中へ、直ぐに落下していくのが判る。
確か下は樹が繁っていた筈だが、このまま落ちればかなりの衝撃になる。念動力スキルを使ってワイバーンごとゆっくり降りてゆく。
軽い衝撃とバキバキと音がする、地に着いたようだ。腹を裂いて外に出る。
血だらけなので生活魔法で身体と撒菱を洗浄、手間がかかるので普通に倒した方がいいと反省。
「失敗したな」
落ちた所は山脈の端でも高い位置で、樹の上に立てば遠くに街が見えた。かなり距離はあるが南には海も見える。来るときは気にもしていなかったが、何という街だろう……ええっと、何か忘れているような。
「いかん。お土産を買うのを忘れていた」
丁度いいのであの街で買って行くことにしよう。
街はマックリュウドという名だった。海の見えた所には港街フィッシャマがあり、少々割高ではあるが、この街では海産物や香辛料などが手に入る。
この世界では、まだ海を見たことが無いので港街に行ってみる事にした。日本人だもの、美味い魚料理も食べてみたいしな。
空の移動にも慣れて来たようで30分程度でフィッシャマに着いた。人目につかない岩場に降りて、海を眺めながら港に向かう。
街中は賑やかだった。色んな種族がいるが目立つのは港街だけにパラストラ王国の海人族だ。この港はパラストラのロックゴウ港との交易が主だからだろう。
焼き魚が食べたくて店を探したが、この世界には焼き魚という概念は無いらしく、煮込むかフライだった。仕方なくフライにしたが、それでもどこか懐かしく感じる。
腹も膨れた、魚も香辛料も仕入れたし、後は土産を買うだけだ。目についたのは原色の赤青緑に黄色を加えた4種類の珊瑚のペンダント、これにしよう。
さて、そろそろ行くか。何だ?様子がおかしい。港からこっちに皆が駆けてくる。
「どうした?」
「ご、豪華客船の底にクラーケンがひっ付いって来たらしい」
「クラーケンか」
面白そうだ観にいこう。人波に逆らって港へ向かう。あれか?
豪華客船というだけあって全長300m位はありそうだ。う~ん、良い、あれでゆっくり船旅をしてみたいものだな。
うっとりと見ていると、ウネウネ、ネチョネチョで軽自動車のタイヤ位の吸盤が付いている触手が、豪華客船の後ろから這い上がって来た。なんか嫌らしい。
クラーケンはイカの魔物という知識だけはあるが、巨大なヌルヌルの触手が……1本、2本、3本…………10、11、12、ん?イカって10本じゃなかったっけ?
「お、おい、もう1頭いるぞ」
「オクトズールだ。もう駄目だ、早く逃げろ!」
クラーケンの上に現れたのはタコの魔物だ。どうやら豪華客船を取り合っているらしい。
200m近くあるこの2頭が暴れたのでは、呼びに行った冒険者が来ても収拾はつかないだろう。ここはひと肌脱ぐか。
幸い皆んな逃げて周りに人はもう居ないし、2頭の魔物は互いに絡み合い俺の事など気にしていないので好都合。
忍者アニメを参考にしてアダマンタイトで風車型の手裏剣を2mの大きさにして造った物を10個出して念動力スキルで操作する。
"ぶう~ん"と回転音を立て巨大な風車型の手裏剣が2頭の魔物に向かって行く。
スパン、スパンと面白い様に切れる切れる。すかさず、切れた手足?を時の空間に回収する。頭を裂いたら魔石が見えた。念動力で、引っこ抜くとクラーケンとオクタズールはくたばった。
「クラーケンはどこだ?」「いないな」
「君、クラーケンが出たと言うのだが知らないか?」
「それならオクトズールと争って沖の方に行きましたよ」
「そ、そうなのか?」「良かった」「ついてるぜ」
「そんな化け物2頭なんて相手に出来ないぜ、助かった」
間一髪セーフ。これで気分良く帰れる。
フィッシャマに寄ったのでオルロイの街に着くのに2日かかったが無事到着。街に変わった様子は無さそうなので一安心。
「おかえりなさい、クロス様」
「もう、随分とかかったわね」
「おかえりです」
「ただいま。ん、ミラは?」
「ミルクと散歩に行ってる」
「そうか」
「上手く行ったのですね?」
「クロスさんが失敗する訳がないわよね」
「まあな」
「ですね」
「お土産はです?」
「ちゃんとあるぞ。まずは魚に香辛料」
「美味しそうです」
「俺は魚は焼いて食べたいんだ、塩をふるだけでいい」
「焼くのですか?解りました」
「ただいま~、あっ、クロスさん戻って来たのね」
「おう、良いタイミングで帰って来たなミラ。皆にはこれを1つずつだ、仲良く選べよ」
「うわぁ~、綺麗。私は赤」
「私は黄色」
「青です」
「私には緑がお似合いね」
きれいに好みが分かれたな。お見事。
夕食が出来る前に鍛冶屋のドコライに報告に行くことにする。
「ドコライさんいます?」
「おう、なんでぇ。……クロスか、どうだった?」
「コンサバさん達は無事でしたよ」
「ふぅ~、それを聞いて安心したぜ。兄貴もホッとするな」
「これはカオリナイトです」
「こんなにか、しかもこいつは上物だ」
「コンサバさんのお陰です」
「クロスが行ったからこそだろ?後は任せときな」
「お願いします」
ーーーー
やはり魚の塩焼きは美味い。醤油があれば、更なりなんだが。今後の課題だな。
「それで吸血鬼の仕業だったんだ」
「ああ、そうだ」
「そこら中に居るわね」
「でも隕石はクロス様が取ったのですね」
「いい気味ね」
「重要な隕石かもしれないからな。良かったよ」
「がぅあ」
「どうしたの?ミルク」
「誰か来たみたいよ」
「私が見て来ます」
ーー
「クロス様、伯爵の使いの方が見えてます」
「そうか」
吸血鬼の動きは今の所は無い。とするとあの件か?厄介そうだな。
そんなに喰いたいなら食われてやるか。当然お互いにスピードは落とさない。ワイバーンの口に入る寸前に身体を丸めて小さくなり、撒菱の球体を纏い勢いそのままワイバーンの喉を越えて腹の中へ、直ぐに落下していくのが判る。
確か下は樹が繁っていた筈だが、このまま落ちればかなりの衝撃になる。念動力スキルを使ってワイバーンごとゆっくり降りてゆく。
軽い衝撃とバキバキと音がする、地に着いたようだ。腹を裂いて外に出る。
血だらけなので生活魔法で身体と撒菱を洗浄、手間がかかるので普通に倒した方がいいと反省。
「失敗したな」
落ちた所は山脈の端でも高い位置で、樹の上に立てば遠くに街が見えた。かなり距離はあるが南には海も見える。来るときは気にもしていなかったが、何という街だろう……ええっと、何か忘れているような。
「いかん。お土産を買うのを忘れていた」
丁度いいのであの街で買って行くことにしよう。
街はマックリュウドという名だった。海の見えた所には港街フィッシャマがあり、少々割高ではあるが、この街では海産物や香辛料などが手に入る。
この世界では、まだ海を見たことが無いので港街に行ってみる事にした。日本人だもの、美味い魚料理も食べてみたいしな。
空の移動にも慣れて来たようで30分程度でフィッシャマに着いた。人目につかない岩場に降りて、海を眺めながら港に向かう。
街中は賑やかだった。色んな種族がいるが目立つのは港街だけにパラストラ王国の海人族だ。この港はパラストラのロックゴウ港との交易が主だからだろう。
焼き魚が食べたくて店を探したが、この世界には焼き魚という概念は無いらしく、煮込むかフライだった。仕方なくフライにしたが、それでもどこか懐かしく感じる。
腹も膨れた、魚も香辛料も仕入れたし、後は土産を買うだけだ。目についたのは原色の赤青緑に黄色を加えた4種類の珊瑚のペンダント、これにしよう。
さて、そろそろ行くか。何だ?様子がおかしい。港からこっちに皆が駆けてくる。
「どうした?」
「ご、豪華客船の底にクラーケンがひっ付いって来たらしい」
「クラーケンか」
面白そうだ観にいこう。人波に逆らって港へ向かう。あれか?
豪華客船というだけあって全長300m位はありそうだ。う~ん、良い、あれでゆっくり船旅をしてみたいものだな。
うっとりと見ていると、ウネウネ、ネチョネチョで軽自動車のタイヤ位の吸盤が付いている触手が、豪華客船の後ろから這い上がって来た。なんか嫌らしい。
クラーケンはイカの魔物という知識だけはあるが、巨大なヌルヌルの触手が……1本、2本、3本…………10、11、12、ん?イカって10本じゃなかったっけ?
「お、おい、もう1頭いるぞ」
「オクトズールだ。もう駄目だ、早く逃げろ!」
クラーケンの上に現れたのはタコの魔物だ。どうやら豪華客船を取り合っているらしい。
200m近くあるこの2頭が暴れたのでは、呼びに行った冒険者が来ても収拾はつかないだろう。ここはひと肌脱ぐか。
幸い皆んな逃げて周りに人はもう居ないし、2頭の魔物は互いに絡み合い俺の事など気にしていないので好都合。
忍者アニメを参考にしてアダマンタイトで風車型の手裏剣を2mの大きさにして造った物を10個出して念動力スキルで操作する。
"ぶう~ん"と回転音を立て巨大な風車型の手裏剣が2頭の魔物に向かって行く。
スパン、スパンと面白い様に切れる切れる。すかさず、切れた手足?を時の空間に回収する。頭を裂いたら魔石が見えた。念動力で、引っこ抜くとクラーケンとオクタズールはくたばった。
「クラーケンはどこだ?」「いないな」
「君、クラーケンが出たと言うのだが知らないか?」
「それならオクトズールと争って沖の方に行きましたよ」
「そ、そうなのか?」「良かった」「ついてるぜ」
「そんな化け物2頭なんて相手に出来ないぜ、助かった」
間一髪セーフ。これで気分良く帰れる。
フィッシャマに寄ったのでオルロイの街に着くのに2日かかったが無事到着。街に変わった様子は無さそうなので一安心。
「おかえりなさい、クロス様」
「もう、随分とかかったわね」
「おかえりです」
「ただいま。ん、ミラは?」
「ミルクと散歩に行ってる」
「そうか」
「上手く行ったのですね?」
「クロスさんが失敗する訳がないわよね」
「まあな」
「ですね」
「お土産はです?」
「ちゃんとあるぞ。まずは魚に香辛料」
「美味しそうです」
「俺は魚は焼いて食べたいんだ、塩をふるだけでいい」
「焼くのですか?解りました」
「ただいま~、あっ、クロスさん戻って来たのね」
「おう、良いタイミングで帰って来たなミラ。皆にはこれを1つずつだ、仲良く選べよ」
「うわぁ~、綺麗。私は赤」
「私は黄色」
「青です」
「私には緑がお似合いね」
きれいに好みが分かれたな。お見事。
夕食が出来る前に鍛冶屋のドコライに報告に行くことにする。
「ドコライさんいます?」
「おう、なんでぇ。……クロスか、どうだった?」
「コンサバさん達は無事でしたよ」
「ふぅ~、それを聞いて安心したぜ。兄貴もホッとするな」
「これはカオリナイトです」
「こんなにか、しかもこいつは上物だ」
「コンサバさんのお陰です」
「クロスが行ったからこそだろ?後は任せときな」
「お願いします」
ーーーー
やはり魚の塩焼きは美味い。醤油があれば、更なりなんだが。今後の課題だな。
「それで吸血鬼の仕業だったんだ」
「ああ、そうだ」
「そこら中に居るわね」
「でも隕石はクロス様が取ったのですね」
「いい気味ね」
「重要な隕石かもしれないからな。良かったよ」
「がぅあ」
「どうしたの?ミルク」
「誰か来たみたいよ」
「私が見て来ます」
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「クロス様、伯爵の使いの方が見えてます」
「そうか」
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