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ダンジョン攻略

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「糞っ!獣人の奴ら、俺の留守中に奴隷を全部持って行くとは許せん。おい、ガズ!どうなっている?」

「お頭、大丈夫です。腕の良い従魔使いをたくさん雇とって、ランクの高い魔物も集めていますから」

「弱くてもいい、数を揃えろ」
「ヘイ」

「俺は俺で切り札を用意する。見てろ、大盗賊団グリフォンの爪をなめた事を後悔させてやるぜ」


         ☆☆☆

「順調に皆のレベルも上がっている。よく頑張った。だが、ここからがこのダンジョンの本番だ」

ダンジョンに来てから7日目にして地下40階に来た。

俺に最初から付いていた。ミラとアンはレベル21まで上がった。

マリはレベル17、ジーナはレベル12になった。ジーナがレベル20になったら一旦戻るつもりだ。

俺はレベル25になる。どうも以前と違ってレベルの上がり方が遅い気がするのだが?隕石によるスキルのせいかもしれない。

しかし、新しく判った変わったスキルも使い慣れてきたし、元々あったスキルもランクアップしてるようだ。

何と言っても隕石のお陰で使えるようになったスキルは、鬼のような効果の物ばかりなのでレベルがガンガン上がらなくても問題は無い。

「嘆きのダンジョンと言われているように、ここから精神攻撃してくる魔物が出て来る。このダンジョンで地下57階以降が攻略されていない所以だ」

「どんな魔物が出て来るのですか?」

「道具屋で買った魔物一覧によると代表的な奴はブーバンシー、ブラックアニス、ウオーターリーパー、デュラハンといった所だ」

「妖精、精霊の類いですね」

「そうらしい。そこで必ずこの中で唯一闇属性のマリに、精神魔法を防ぐ補助魔法をかけてもらうようにする。頼むぞ」

「お任せ下さい」

「それとアンは精妖や精霊と契約するチャンスでもある」

「がんばる」

「よし、行くぞ」
「「「はい」」」「了解です」「やってやるです」



ミラ達のパーティーは、出て来る魔物の実力がどの程度か判らないので湿気の多い路を慎重に進んで行く。

「何かいますね」
「格好は冒険者のようです」

「4人か?冒険者パーティーかもな」
「様子がおかしいです」

「自分から池に入って行くです」
「どういう事なの?」
「こりゃ、操られているな完全に」

「クロス様、どう致しますか?」

「見てしまった以上、このまま死なれては目覚めが悪い。マリやってくれ」

「はい、リィバァレーション・マインド!」

「おわぁ!」「あぶねえ」「何してるんだ?」

どうやら正気に戻ったようだな。

『余計な事をしてくれましたね。その者達は死にゆく運命だったものを』

「……デュラハンか?」

「おじさん達、死にたくなかったら逃げた方がいいわよ」

「そ、そうするよ。じゃあな」

「どうする皆んな?俺がやろうか」
「いいえ、私達がやります。ねえ、皆んな?」
「もちろん」
「解った」

姿を見せたのは首のない騎士。鎧の形を見ると女のようだ。いきなり魔法を放って来た。

マリがすかさず防御魔法で防ぐ。

「テリブルストーム!……むっ、精神魔法無効化か、小賢しい。ならば参る」

精神魔法が効かないと解ると剣による攻撃に切替えてくる。ミラ達は人数は多いが剣で戦うにはちょっと不利かな。

「アースウォール」
「ストーンバレット」

ミラの魔法で腰高くらいの土壁が出来たので、デュラハンの出足が鈍る。アンがストーンバレットで狙ったのはデュラハンではなく土壁だった。

「ウオーターフラウド」

粉々になった土塊にマリが唱えた水魔法により濁流となって一面に勢いよく流れ広がる。

事前の打ち合わせが活きている。デュラハンは水に弱いと言われている。デュラハンの動きが鈍い、情報に間違いは無いようだ。

ジーナが飛び出した。大振りではなくコンパクトに上段から魔剣ヴェジットを撃ち込む。辛うじてデュラハンは受ける。魔剣を受けてデュラハンの剣が折れないのはデュラハンの剣も魔剣グラムスとなっているからだろう。

ジーナは受けられた剣の刃筋をデュラハンの剣先に向け剣同士を接触したまま滑らせる。

ジーナの剣のセンスは大したものだ。相手の動きを制御しながら剣に水属性を付与したようだ。剣に水が纏わりつき、デュラハンの剣先を越え互いの剣が離れた時、素早くに刃筋を切り返すとそのままデュラハンの胴へ吸い込まれていき、デュラハンは上下に分かれ崩れ落ちた。

「やった~、ジーナ最高」
「皆、いい連携プレーだった」
「えへへ」「フフ」

デュラハンは5cm程度の魔石を残し、紋章の指輪をドロップした。


地下40階での初戦を見事な連携で勝利して気を良くした俺達は危なげなく進んで行く。ブーバンシーやブラックアニスなどは特に問題なく倒せたが、ウォーターリーパーの耳障りな鳴き声にはうんざりで、あまり会いたくない魔物だ。

「何かいますね」
「いい争っているようです」

『何よアンタ、邪魔よ』

『俺が先にここを通ろうとしたのだ。お前こそどくがよい』

『生意気ね、退かないとぶっ飛ばすわよ』
『面白い。やってみよ』

『このクソ犬、喰らえ』
『返り討ちにしてくれる』

疾風と炎が激しくぶつかり合い熱風がここまで来る。

「熱い」
「どうやら妖精同士が戦っているようだな」

「ダンジョン内でそんな事があるの?」

「精霊や妖精は普通の魔物と違って、人と神との中間的な存在と言える。ダンジョンで発生している者もいるだろうが、ダンジョンに集まって来ている奴もいるのかもな」

「だからダンジョンの決まり事に当てはまらない?」

「あくまでも俺の想像だがな」

「あっ?静かになった」
「行ってみよう」
「はい」「ドキドキする」

戦いのあった場所の方へ慎重に近づいていくと、小さい女の子と黒い犬が倒れていた。

「どっちも傷ついてます」
「死んでいるのかしら?」

「いや、気絶しているな」
「どうやら、相打ちって事ですね」

「ピクシーとブラックドックだな」
「クロス様、どうします?」

「……イヤラシイ話だが。アン、この妖精達を使役出来るチャンスだ」

「は、はい」

アンはピクシーとブラックドックにハイヒールをかけて傷を治してやった。

『う~ん』『ぐわぅ』
「気がついた?」

『あなたは?』

「2人がここで傷ついて倒れていたから、介抱してたのよ」

『あ~、そうだった』『かたじけない』
『このバカ犬のせいよ』『なに!この小娘』

「喧嘩はダメよ。せっかく私が治したんだから」

『ごめんなさい』『面目ない』
『あっ、そうそう。貴方にお礼をしたいわ』
『吾輩もだ』

「だったら、2人に友達になって欲しいな」
『お安い御用よ』
『よいぞ』

「良かった。私はアンあなた達は?」
『あたしはメル』『吾輩はハウバだ』
「良い名前ねよろしく」
『うん、よろしく』『よろしくだ』

『ところでアンはこんな所でなにをしてるの?』
「吸血鬼と戦うので、強くなる為よ」
『吸血鬼?……だったら協力してあげる』
「ホント!」

『ハウバもそうしなさいよ』

『う~む、そうだな。面白そうだ、吾輩も協力しよう』

「ありがとう、2人とも。じゃあ私の仲間を紹介するわ」

やったとばかりにアンが俺にウインクしてきた。

どうやら、気のいい仲間が増えたようだ。
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