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【第5章】波乱と不安
地鎮祭
しおりを挟む日にちは無情に経過し、あっという間に翌週となった。
この日は現場となる土地の下見と、地鎮祭。
朝、事務所の面々と駅で待ち合わせて現場に出向くと、すでに到着している人たちがいた。
施主の山根沢氏と──野々原先生と、そして。
「やあおはよう。永森くんに穐本くん、久しぶりだね」
「おはようございます! 穐本さんお久しぶりです」
「おはよう……ございます」
声が呆然とするのは避けがたかった。
なぜ、野々原先生だけでなく、中邑さんまでがここにいるのだろうか。
「穐本くん以外ははじめましてだね。うちのアシスタントの中邑ゆかりくんだ」
「はじめまして!」
「彼女はまだ経験が浅いからね。山根沢さんの現場を見るのは非常に良い勉強になると思って、連れてきたんだ」
「勉強させていただきます。よろしくお願いいたしますー!」
ご機嫌な先生と、やたらと愛想と元気の良い中邑さん。笑顔の山根沢氏はおそらく、二人の間柄を疑いもしていないだろう。そういう鈍さが奥さんに逃げられた遠因なんじゃないかと一瞬思ったが、そんなことを呑気に考えている場合ではない。
……大丈夫なのか、この状況???
特殊な緊張を感じながら、地鎮祭と下見をなんとか乗り切った。
それは、私の落ち着かない様子を見た永森さんも同じだったようで。
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