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本編後

第15話

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眠る希未の項に顔を埋めて彼女の香りを深く吸い込む。
首筋から香るずっと嗅いでいたくなるような匂いに癒されていると、目の前にある肌にたまらなくなって夢中でキスを落としているうちにムラムラと欲望が湧き上がってきた。
下着の中で硬くなっていく感覚に心臓もドクドクと高鳴り始める。

(あー…収まる気がしない…)

つい今しがた大切にすると誓ったばかりなのに、頭の中では希未の体を大切にしないようなことばかりを考えてしまう。
朝にした時は相手が希未なのとそういう行為が久しぶりなこともあって全然余裕が持てなかった。
手に入ったばかりの興奮から今もあまり余裕はないが、希未の反応を確かめながら楽しむだけのゆとりはある。
寝ているところを起こすのは申し訳なかったが、俺は希未に覆いかぶさって呼吸を奪った。
彼女はすぐに目を覚まして、俺にされているとわかるとほっとしたように視線を蕩けさせた。

「もう…どうしたの?」
「シよう、希未。嫌か?」
「嫌って言ったらやめてくれるの?」
「お前が本気で嫌がるなら。初夜だし…いいよな?」
「…うん」

しばらくお互いの唇を堪能した後、首筋をなぞりながらふたつの膨らみの間に顔を埋める。
パジャマのボタンを外して胸にキスを落とし、赤ん坊のように乳首に吸い付く。

「希未、俺の顔見て」
「んっぁ…みずき…」
「そうだよ。いま希未の舐めてるのは俺。気持ちよくしてるのも俺だよ」

かたく目を閉じている希未の視界を開かせて視線を合わせる。
見せつけるように舌を出して、ぷくっとした弾力を唾液で濡らしていく。
言われた通りに俺を見下ろしながら快感に耐える彼女の恥ずかしそうな表情がたまらない。
もっと気持ちよくなって欲しくて、時間をかけて両方を平等に愛撫していくうちに甘い声がもれ始めた。

「可愛い声。我慢しないで出して」
「…い、や…っ、あ…!」
「気持ちよさそうな顔して…かわいい」

俺が希未をそうさせているんだと思うと、男としてもっとよがらせたくなってくる。
香山がどんなふうに希未を抱いていたか知らないが、あいつよりも気持ちよくさせて、もっと俺を刻みつけたい。
触れているのが俺だとわからせるようにキスをしながら、ショーツの中に手を忍ばせる。
ひだをかきわけて蜜壷の入り口を探り、指の腹でなぞった。

「あっ…」
「蜜あふれてる。希未のここ、やわくてとろっとろ…気持ちいい?」

焦らすように撫でながら耳の傍で囁くと、希未の口から悩ましげな吐息がもれる。
腰を浮かせた拍子につぷ…と中指を突き入れて上部を擦れば、それだけで愛液が洪水のようにあふれてきた。
朝の余韻が残る膣内は少しの刺激で簡単にほぐれる。
ショーツごとズボンを下ろして裸にして、俺も着ていたものをすべて脱いだ。
露わになった陰核を舌先で執拗になぞって膨らませ、股間に顔を埋めて蜜をすする。

「ああう…!」
「はぁ…やらしい音…。もっと聞かせて…」

指を増やして音を立てながら希未のいいところを探していく。
口を噤みながら高く啼いたのを合図に収縮が始まり、終わりきる前に指を引き抜いた。
もどかしそうに肢体をくねらせる希未の両脚を開脚させて準備を整える。

「希未、いくよ」
「うん…」

キスをするうちに緊張がほどけて、希未の小さな体に太い剛直が吞み込まれていく。
薄いゴム越しにも熱が伝わり、性感帯を包む柔らかくてとろとろの感触がたまらず腰を揺らした。

「あー凄い気持ちいい…。きゅうきゅう吸い付いてきて…俺を待ってたって言われてるみたいだ」
「そういうこと、言わないで…!」
「本当のこと言われて恥ずかしいのか?可愛いな。もっと正直になろうな?」

希未の嬌声に遠慮がなくなるまでピストンを続ける。
体がくたりとしてきたのを見計らって左脚を高く持ち上げ、白い内腿の弾力を楽しんでふくらはぎに口付けた。
そのまま脚を胸に抱え込みながら挿入して突き上げる。

(お…これ結構深い…)
「や、んあ、あっ…はぁあっ」
「ん?希未もわかる?奥で当たってるよな」

壁にぶち当たる感覚で子宮の入り口まで入り込んでいる事実を突きつけられて興奮が高まる。
腰を回すようにして奥に押し付けると、希未が快感に顔を歪めながら背中を反らした。

「はぁ…ヤバ…締まりすぎ……」
「あっ、ん…あぁ…あし、脚…下ろして…」
「ああ、辛かったか?ごめんな。お前の楽な体勢になるか」

力の抜けた希未にうつ伏せになるように誘導して腰を持ち上げた。

「これぜんぜん楽じゃないよ…っ」
「そうか?でもイイところに当たるだろ?」

丸みのある柔らかい尻に腹の筋肉を打ち付けるように動くと、希未が嬌声で返事をした。
腕に力が入らずへたり込む彼女を抱き起こすついでに乳房を揉みほぐす。
手のひらに吸い付くような肌の触り心地が気持ちよくて、いつまででも揉んでいたい。
乳首を摘まめば面白いくらいに膣内がひくつくのも楽しい。
彼女の両腕を後ろに伸ばした状態で掴み、上半身をのけ反らせる。
そうすることで今まで届かなかったあと一歩の先まで入り込めて、声が出るほど気持ちいい。
希未を好きにしている征服感に興奮して無心で腰を突いていたら、艶めかしく声を上げていた彼女が不満げに振り返ってきた。
うるうると瞳を涙で潤ませて困った顔をする彼女の媚態をよく見たくて、一度動きを止める。

(可愛い…)
「みずき…っ」
「ん?どうしたの、希未。つらいか?」
「顔…っ、水城のかお…見たい…」

予想外のセリフに心臓が飛び出そうになった。
希未の可愛すぎるお願いに、そのままめちゃくちゃに突きまくりたい衝動が湧き上がってくる。

「声も…ないから…。水城としてるんだって…安心したい…」
「ああ、ごめんな。気持ちよすぎて夢中になってた」

繋がったまま後ろに倒れるように座り、両手で乳房の感触を確かめながら希未と呼吸を被せる。
情交中にしかできない深いキスに限界が近づいてきた。
希未も感じているのか舌を絡める度に緩く俺を絞めつけてくるのが愛おしい。

「どうされたい?お前の好きな体位でしよ?」
「……前から…抱っこしてほしい…」
「了解」

仰せのままに正面から抱き合って繋がる。
体勢が変わったからなのか、さっきまで余裕で入っていたはずの膣内は初めての時のように狭くなっていて今の俺には刺激が強すぎた。
陰核を愛液で濡らしてこすりながら再び根元まで押し込み、唇を放した時の蕩けきった希未を見たらもう限界だった。

「あっあ…!みずきっ…!」
「もうイク…!希未、きみっ…」
「あっあっあ…あぁん―――!」

希未の尻を掴んで激しく奥に抽挿しながら、俺達は絶頂に悶えた。
適度な運動をした後の疲労感と、びりびりと脳に伝わる爽快感が心地いい。
甘えるようにしなだれてくる希未としっとりとした肌の感触が今までしていたことを実感させてくれて、途方もない至福感に包まれた。

「希未…幸せ」
「うん…。ありがとう…水城」

ふにゃりと頬を緩ませて笑う希未が可愛いすぎて胸がときめく。
腕にきつく抱きしめると、嬉しそうな笑い声が耳をくすぐった。
もっともっと俺に染まってくれと思いながら、彼女の額に口付けた。



翌日、上司に結婚の報告をすると社内がざわついた。
相手は汐崎かと聞かれて眉を顰める。

「違います。どうして彼女だと思ったんですか?」
「いや…すまない。君と汐崎は付き合っていると思っていたんだが、違ったんだな」
「どうしてそんな誤解をされたのかわかりませんが、はっきり言って彼女には迷惑しています。彼女のせいで妻と別れるところでした。社内で噂を流されるのも気を遣われるのも困ります」

暗に出張に同行させたことを非難すると、桜木課長は驚いた顔をした。
彼もあの女に何か吹き込まれていたらしい。

「そうだったのか。ここ最近一緒に帰っていたからてっきり本当かと思っていた。申し訳ない」
「それは彼女がストーカーに困っていて、家まで送って欲しいと頼まれていたからですよ。もう解決したようですが」
「そうなのか…」
「私と彼女は単なる同期です。そんな噂が立っていたからですかね、出張先でやたらと誘惑するような言動をされて困りました。今後もこういうことが続くなら仕事がやりにくいです」
「そうだな。わかった。私から厳重に注意しておくよ」
「助かります」

これで課長は俺の味方になった。
これからじわじわとあの女の本性を暴いて、社内から俺との噂を根絶してやる。
そう思っていたのだが、俺と課長との話に聞き耳を立てていた社員が汐崎捺月には虚言癖があると至るところで囁き始めた。
その後課長にも注意されて会社に居づらくなったのか、彼女は突然出社しなくなりそのまま退職になった。

幸いにも捺月は妊娠しておらず、俺の通常検査も全て陰性だった。
結果が出るまでは念の為に避妊していたが、これで希未と安心して子づくりできる。
希未が望むなら子どもは3人欲しい。
俺も彼女もひとりっ子だから子どもは多く欲しいし、兄弟もつくってやりたい。
そんなことを考えていると、俺はふと大事なことを思い出した。

(親に報告してない…)

希未と籍を入れてから一ヶ月が過ぎていた。
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