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ぬくもり
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リビングに飛び込んできたセレンは、シエルの姿を目にするなりキッチンに駆け込んできた。
「シエル!心配したのよ!よかった!体はもういいみたいね!起きていて大丈夫なの?!」
シエルの両肩をがしりと掴み興奮気味にまくしたてるセレンの気迫に圧倒されて、シエルの中で膨らみつつあった暗い感情が穴の空いた風船のように萎んでいく。
「も、もう平気だよ、セレン。ありがとう」
何故だろう、セレンの顔を見るととてもほっとする。
「昨日はごめんね、セレンを裏庭で待ってて、それからよく覚えてなくて…」
「え?あぁあ~!いいの、いいの!えーっと、そう!ベンチで眠っていたところを医務室に運ばれたってお姉さんから聞いてるから…」
「そう、だったんだ…」
「それより!私の方こそあんなところに一人で待たせてごめん…!元気になって本当によかった…」
ぎゅっと抱きしめてくるセレンの背中に手を回して、同じように抱きしめる。
「心配かけてごめんね。ありがとう、セレン」
セレンの柔らかい髪が頬に当たる。
夜空のような群青色が、温もりと一緒にシエルの波を穏やかにしていく。
そんなの当たり前よ、と照れくさそうに笑う親友に、シエルも微笑み返した。
「…おい」
そんな和やかな雰囲気をぶち壊すように、ベンがリビングへ戻って来た。
シエルが振り返ると、ドアの傍にはベンと、彼の腕に手をかけて寄り添うように立つレイチェルの姿があった。
鎮まった波が、再びゆらゆらと揺れ始める。
思わずセレンの腕を掴む手に力が籠ったのを、彼女は気付いたのだろう。
「話が済んだならお前も――」
帰れ、とベンが言い切る前に、声をかけられたセレンは鬼のような形相で振り返った。
「うっさい、最低野郎!!」
突然噛みつくように怒鳴りつけた彼女に、傍にいたシエルも、罵声を浴びせられたベンもレイチェルも全員が目を丸くした。
驚いてセレンを見上げると、彼女はシエルににこっと笑いかけた。
シエルの視界に2人の姿が入らないように背に庇い、カウンターキッチン越しに2人と対峙する。
「どうして私があんたに指示されなきゃなんないの? あんたこそ、さっさとその女を送ってきたらどうなのよ!シエルのことは私がちゃぁんと見てるわ。女を連れ込むあんたと違ってね!!」
不快を露わにしながらシッシッと追い払うような仕草をすると、流石に聞き流せなかったのかベンが眉をひそめる。
「ちょっと!ベンを最低呼ばわりするなんて失礼な人ね!あなた何様?」
ベンに代わって反論してきたのはレイチェルだった。
しゃしゃり出てきた部外者に、セレンは先ほどとは打って変わって感情のない冷ややかな目を向けた。
「うっさいわねあんたも。何様かって?セレン様よ。さっさとそいつを連れて家に帰んなさい。あんたみたいな女が気軽に敷居を跨いでいい家じゃないのよ、ここは」
「なんですって…?!」
このまま喧嘩に発展しそうな勢いだったが、意外にもベンが気色ばむレイチェルを窘めた。
「やめろ、レイ。安い挑発に乗るな」
「だけど…!」
「おい、セレン」
ベンの冷静な態度が予想外だったのか、セレンは真っ直ぐに見つめて来る視線に少し怯む。
だがこの男は、親友のシエルを苦しめる最低野郎。
こんな男に後れを取るわけにはいかないと、強気な姿勢を崩すまいと腕を組んでみせた。
「…何よ」
「少しの間、シエルを頼む。余計なことは言うなよ」
「フン!言われなくてもわかってるわよ。さっさとその女を連れてシエルの前から消えて。今すぐ!」
声を荒げるセレンにベンは何か言いたげに口を開きかけたが、すぐに諦めたように息を吐いて、行くぞ、とレイチェルを玄関へ促した。
彼はリビングから出る間際に、シエルを一瞥する。
こちらを窺うような憂いを帯びた瞳と視線がかち合ったが、すぐに逸らされてしまった。
零れた溜め息は誰に聞こえることもなく、彼は予想外の来訪者と家を出て行った。
玄関のドアが閉まる音が遠くで聞こえて、セレンはようやく肩の力を抜いた。
ふぅと息を吐いてシエルに向き直る。
「シエル、嫌な思いしたでしょう?大丈夫?」
「うん…」
「顔色が悪いわ。横になった方がいいんじゃない?」
「ううん、平気。さっきまで寝ていたから」
「でも…」
「セレン」
静かに名前を呼ばれて、セレンはハッとした。
シエルがこんな声を出すときは、決まって何か意思表示をするときだ。
彼女のことだから、きっとまた卑下するようなことを言って「この話はおしまい」とばかりに笑ってみせるのだろう。
今度はどんな言葉で慰めようかと思考を巡らせようとした時、セレンの予想に反してシエルは笑った。
「来てくれてありがとう。セレンが来てくれて嬉しい…」
それはきっと、彼女の偽りのない気持ちから生まれた、偽りのない言葉だった。
その言葉が真実だと証明するように、彼女の柔らかい表情からは優しいオーラが溢れている。
でもその気持ちが生まれる裏の感情は、単純に友達が見舞いに来てくれて嬉しい、という気持ちからくるものだけではないと、セレンにはわかった。
「シエル…」
「座って何か飲もう?紅茶でいい?」
「あ…えぇ、それじゃあお湯を沸かすわね」
「うん、お願い」
けれどもセレンは、シエルの本心を追及しなかった。
今のシエルに聞いても、きっと教えてはくれないだろう。
肝心なところで彼女が頑固なことを、セレンはよく知っていた。
ケトルに水を入れて、魔法陣の上にセットする。
発動の呪文を唱えると同時に魔法陣が赤く光り、ケトルがじんわりと熱を持ち始めた。
ちらりと後ろを盗み見ると、シエルはまだ棚を見上げてどの紅茶にするか思案していた。
お湯が沸くギリギリまで悩んで、シエルはアッサムを選んだ。
ガラス製のティーポットに茶葉を入れて、沸いたばかりの熱湯を上から注ぎ込み、蓋を閉めてティーコジーをかける。
残ったお湯でお気に入りのティーカップを温めて、シュガーポットと取っ手付きのミルクピッチャー、お湯を入れた後すぐにひっくり返した砂時計と一緒に丸いトレーに乗せた。
ソファに腰を下ろし、カップに紅茶を注ぎ入れたところで、子ども達が帰ってきた。
「ただいまぁー!」
元気よく家に入って来た3人の声を聞いて、シエルは立ち上がる。
「おかえり、エミリ、リース、ケヴィン」
「シエルお姉さま!!」「シエルお姉ちゃん!」
リビングのドアを開いて迎え入れると、エミリとリースは驚いた様子で同時に声を上げた。
「起きてて平気なの?!」
「うん、もう大丈夫。心配かけてごめんね」
安心させるように笑いかけた時、足元に軽い衝撃があった。
視線を下ろすと、小さな男の子が足に抱きついてシエルを見上げている。
その両目は潤み、不安げに揺れていた。
「ケヴィン、どうしたの?」
「シエルお姉ちゃぁん…」
今にも泣きそうな声が、シエルの胸を打つ。
「大丈夫よ、ケヴィン。もう元気になったから」
優しく頭を撫でて微笑むと、安心したのか、ケヴィンはシエルにしがみついたままわんわんと泣き始めた。
膝をついて抱きしめたかったが、引きはがすのは憚られて何度も頭を撫でて宥める。
弟の無垢な思いやりに触れて、シエルの目にも涙が滲んだ。
「もう、ケヴィンったら。今朝エリック兄さんが心配ないよって言ってたのに…」
その様子を見て、エミリは少しだけ不服そうに唇を尖らせた。
エミリの気持ちに目敏く気付いたリースが、にやりと意地の悪い笑みを見せる。
「あらぁ~?弟にやきもちかしら?」
「そ、そんなんじゃないもん!」
「ケヴィンはシエルお姉さまが大好きだものね~、エミリお姉ちゃんと違って」
「あ、あたしだってすごく心配してたもん!でもエリック兄さんのこと信じてたから!あんただって同じでしょ?!」
「ハイハイ、言い合いはそのくらいにして、手を洗ってきなさいよ。みんなでお茶にしましょ」
いつの間にかキッチンに移動したセレンが、オレンジジュースの入ったガラスポットを掲げて見せる。
幼い2人の意識が、ジュースの単語に反応する。
「セレンお姉さま!」
「こんにちは!お見舞いに来てたんだね」
「そういえばベンお兄さまは…?」
「あいつは用事があって私と交代したの。その内帰ってくるわ。それより早く手を洗ってきなさい。ジュースがぬるくなっちゃうわよ」
はぁい!と元気よく返事をした2人は、仲良く洗面所へ駆けていく。
「さぁ、ケヴィンもお姉ちゃん達と一緒に手を洗っていらっしゃい」
「うん…!」
未だしゃくり上げている背中をあやすようにぽんぽん、と叩くと、ケヴィンは頷いて笑顔を見せた。
シエルから離れて2人の姉の後を追っていく。
年の離れた妹弟達によって、どんよりと沈み気味だった家の中の空気が一気に明るくなった。
だが夜になっても――子ども達と談笑して、リアとエリックが帰ってきて、セレンが家へ帰っても、ベンは戻って来なかった。
「シエル!心配したのよ!よかった!体はもういいみたいね!起きていて大丈夫なの?!」
シエルの両肩をがしりと掴み興奮気味にまくしたてるセレンの気迫に圧倒されて、シエルの中で膨らみつつあった暗い感情が穴の空いた風船のように萎んでいく。
「も、もう平気だよ、セレン。ありがとう」
何故だろう、セレンの顔を見るととてもほっとする。
「昨日はごめんね、セレンを裏庭で待ってて、それからよく覚えてなくて…」
「え?あぁあ~!いいの、いいの!えーっと、そう!ベンチで眠っていたところを医務室に運ばれたってお姉さんから聞いてるから…」
「そう、だったんだ…」
「それより!私の方こそあんなところに一人で待たせてごめん…!元気になって本当によかった…」
ぎゅっと抱きしめてくるセレンの背中に手を回して、同じように抱きしめる。
「心配かけてごめんね。ありがとう、セレン」
セレンの柔らかい髪が頬に当たる。
夜空のような群青色が、温もりと一緒にシエルの波を穏やかにしていく。
そんなの当たり前よ、と照れくさそうに笑う親友に、シエルも微笑み返した。
「…おい」
そんな和やかな雰囲気をぶち壊すように、ベンがリビングへ戻って来た。
シエルが振り返ると、ドアの傍にはベンと、彼の腕に手をかけて寄り添うように立つレイチェルの姿があった。
鎮まった波が、再びゆらゆらと揺れ始める。
思わずセレンの腕を掴む手に力が籠ったのを、彼女は気付いたのだろう。
「話が済んだならお前も――」
帰れ、とベンが言い切る前に、声をかけられたセレンは鬼のような形相で振り返った。
「うっさい、最低野郎!!」
突然噛みつくように怒鳴りつけた彼女に、傍にいたシエルも、罵声を浴びせられたベンもレイチェルも全員が目を丸くした。
驚いてセレンを見上げると、彼女はシエルににこっと笑いかけた。
シエルの視界に2人の姿が入らないように背に庇い、カウンターキッチン越しに2人と対峙する。
「どうして私があんたに指示されなきゃなんないの? あんたこそ、さっさとその女を送ってきたらどうなのよ!シエルのことは私がちゃぁんと見てるわ。女を連れ込むあんたと違ってね!!」
不快を露わにしながらシッシッと追い払うような仕草をすると、流石に聞き流せなかったのかベンが眉をひそめる。
「ちょっと!ベンを最低呼ばわりするなんて失礼な人ね!あなた何様?」
ベンに代わって反論してきたのはレイチェルだった。
しゃしゃり出てきた部外者に、セレンは先ほどとは打って変わって感情のない冷ややかな目を向けた。
「うっさいわねあんたも。何様かって?セレン様よ。さっさとそいつを連れて家に帰んなさい。あんたみたいな女が気軽に敷居を跨いでいい家じゃないのよ、ここは」
「なんですって…?!」
このまま喧嘩に発展しそうな勢いだったが、意外にもベンが気色ばむレイチェルを窘めた。
「やめろ、レイ。安い挑発に乗るな」
「だけど…!」
「おい、セレン」
ベンの冷静な態度が予想外だったのか、セレンは真っ直ぐに見つめて来る視線に少し怯む。
だがこの男は、親友のシエルを苦しめる最低野郎。
こんな男に後れを取るわけにはいかないと、強気な姿勢を崩すまいと腕を組んでみせた。
「…何よ」
「少しの間、シエルを頼む。余計なことは言うなよ」
「フン!言われなくてもわかってるわよ。さっさとその女を連れてシエルの前から消えて。今すぐ!」
声を荒げるセレンにベンは何か言いたげに口を開きかけたが、すぐに諦めたように息を吐いて、行くぞ、とレイチェルを玄関へ促した。
彼はリビングから出る間際に、シエルを一瞥する。
こちらを窺うような憂いを帯びた瞳と視線がかち合ったが、すぐに逸らされてしまった。
零れた溜め息は誰に聞こえることもなく、彼は予想外の来訪者と家を出て行った。
玄関のドアが閉まる音が遠くで聞こえて、セレンはようやく肩の力を抜いた。
ふぅと息を吐いてシエルに向き直る。
「シエル、嫌な思いしたでしょう?大丈夫?」
「うん…」
「顔色が悪いわ。横になった方がいいんじゃない?」
「ううん、平気。さっきまで寝ていたから」
「でも…」
「セレン」
静かに名前を呼ばれて、セレンはハッとした。
シエルがこんな声を出すときは、決まって何か意思表示をするときだ。
彼女のことだから、きっとまた卑下するようなことを言って「この話はおしまい」とばかりに笑ってみせるのだろう。
今度はどんな言葉で慰めようかと思考を巡らせようとした時、セレンの予想に反してシエルは笑った。
「来てくれてありがとう。セレンが来てくれて嬉しい…」
それはきっと、彼女の偽りのない気持ちから生まれた、偽りのない言葉だった。
その言葉が真実だと証明するように、彼女の柔らかい表情からは優しいオーラが溢れている。
でもその気持ちが生まれる裏の感情は、単純に友達が見舞いに来てくれて嬉しい、という気持ちからくるものだけではないと、セレンにはわかった。
「シエル…」
「座って何か飲もう?紅茶でいい?」
「あ…えぇ、それじゃあお湯を沸かすわね」
「うん、お願い」
けれどもセレンは、シエルの本心を追及しなかった。
今のシエルに聞いても、きっと教えてはくれないだろう。
肝心なところで彼女が頑固なことを、セレンはよく知っていた。
ケトルに水を入れて、魔法陣の上にセットする。
発動の呪文を唱えると同時に魔法陣が赤く光り、ケトルがじんわりと熱を持ち始めた。
ちらりと後ろを盗み見ると、シエルはまだ棚を見上げてどの紅茶にするか思案していた。
お湯が沸くギリギリまで悩んで、シエルはアッサムを選んだ。
ガラス製のティーポットに茶葉を入れて、沸いたばかりの熱湯を上から注ぎ込み、蓋を閉めてティーコジーをかける。
残ったお湯でお気に入りのティーカップを温めて、シュガーポットと取っ手付きのミルクピッチャー、お湯を入れた後すぐにひっくり返した砂時計と一緒に丸いトレーに乗せた。
ソファに腰を下ろし、カップに紅茶を注ぎ入れたところで、子ども達が帰ってきた。
「ただいまぁー!」
元気よく家に入って来た3人の声を聞いて、シエルは立ち上がる。
「おかえり、エミリ、リース、ケヴィン」
「シエルお姉さま!!」「シエルお姉ちゃん!」
リビングのドアを開いて迎え入れると、エミリとリースは驚いた様子で同時に声を上げた。
「起きてて平気なの?!」
「うん、もう大丈夫。心配かけてごめんね」
安心させるように笑いかけた時、足元に軽い衝撃があった。
視線を下ろすと、小さな男の子が足に抱きついてシエルを見上げている。
その両目は潤み、不安げに揺れていた。
「ケヴィン、どうしたの?」
「シエルお姉ちゃぁん…」
今にも泣きそうな声が、シエルの胸を打つ。
「大丈夫よ、ケヴィン。もう元気になったから」
優しく頭を撫でて微笑むと、安心したのか、ケヴィンはシエルにしがみついたままわんわんと泣き始めた。
膝をついて抱きしめたかったが、引きはがすのは憚られて何度も頭を撫でて宥める。
弟の無垢な思いやりに触れて、シエルの目にも涙が滲んだ。
「もう、ケヴィンったら。今朝エリック兄さんが心配ないよって言ってたのに…」
その様子を見て、エミリは少しだけ不服そうに唇を尖らせた。
エミリの気持ちに目敏く気付いたリースが、にやりと意地の悪い笑みを見せる。
「あらぁ~?弟にやきもちかしら?」
「そ、そんなんじゃないもん!」
「ケヴィンはシエルお姉さまが大好きだものね~、エミリお姉ちゃんと違って」
「あ、あたしだってすごく心配してたもん!でもエリック兄さんのこと信じてたから!あんただって同じでしょ?!」
「ハイハイ、言い合いはそのくらいにして、手を洗ってきなさいよ。みんなでお茶にしましょ」
いつの間にかキッチンに移動したセレンが、オレンジジュースの入ったガラスポットを掲げて見せる。
幼い2人の意識が、ジュースの単語に反応する。
「セレンお姉さま!」
「こんにちは!お見舞いに来てたんだね」
「そういえばベンお兄さまは…?」
「あいつは用事があって私と交代したの。その内帰ってくるわ。それより早く手を洗ってきなさい。ジュースがぬるくなっちゃうわよ」
はぁい!と元気よく返事をした2人は、仲良く洗面所へ駆けていく。
「さぁ、ケヴィンもお姉ちゃん達と一緒に手を洗っていらっしゃい」
「うん…!」
未だしゃくり上げている背中をあやすようにぽんぽん、と叩くと、ケヴィンは頷いて笑顔を見せた。
シエルから離れて2人の姉の後を追っていく。
年の離れた妹弟達によって、どんよりと沈み気味だった家の中の空気が一気に明るくなった。
だが夜になっても――子ども達と談笑して、リアとエリックが帰ってきて、セレンが家へ帰っても、ベンは戻って来なかった。
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