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Look at me

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若手俳優×平凡俳優、溺愛、執着、年下×年上、美形×平凡
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八嶋尚之 やしまなおゆき 32歳 平凡俳優。やわらかい印象のぱっとしない平凡優男。ドラマ版『砂糖漬けの恋』ゲイ教師役。
茅ヶ崎隼人 ちがさきはやと 20歳 若手俳優。演技派のイケメン。爽やか真面目系に見えるが……。相手役の生徒で親友の息子。
堤健治 つつみけんじ 30歳 八嶋のマネージャーで大学時代の後輩。細マッチョ。
監督 かんとく。五十代男性。業界歴は長い。
小山内夢 おさないゆめ。二十代女性。ドラマ化原作漫画『砂糖漬けの恋』の原作者。
高槻章仁 たかつきあきひと 31歳 舞台俳優。今回は親友役に抜擢。
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[chapter:3 Look at me]
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 モテない奴は何をしてもモテないのだ、と早々にモテる才能に見切りをつけたのは俺が中学生の時だった。

 非モテ一般人にはよくある話だが、ある日[[rb:人気 > ひとけ]]のない放課後の教室に忘れ物を取りに戻ったら、俺が告白して玉砕した可愛い女の子とイケメンの同級生がキスをしていた。
 ドラマのワンシーンみたいな場面に俺はバカみたいに釘付けになって、女の子の恥ずかしそうな幸せそうなうつむいた顔を見てしまったらもうただただ男としての敗北感を味わうしかなかった。14歳の春の終わりの話だ。
 平々凡々がどう逆立ちしても、綺麗でカッコいいイケメンの奴らにモテ度で勝てるわけがなかった。外見のハンデは大きく、内面を磨こうとしてもそれすら誰かに見てもらえるチャンスがないことにため息しか出ない。顔面偏差値でスタートラインにも立ってないのにスパート掛けたってあいつらに追いつけるわけねぇだろうが、とまぁガキの俺は逆ギレする他になかったわけだ。
 若かりし頃の俺の怒りやら焦りはこうして現在にも影響を及ぼしているが、それが役者の俺の根っこになっているのだから三つ子の魂もなんとやら。
 だから文化祭の演劇で主役よりも憎まれ役の脇役に俺は手を挙げたのだ。
 誰もやりたがらないが、セリフがあってとにかく舞台で目立つ役。
 なによりも恵まれた生まれ育ちのお陰で女性にモテる男その役割は中身のないハリボテのピエロで、まるっきり俺そのものじゃないかと感動さえしたのだった。

 俺は引き立て役なんだから、これでいいんだ。

 そう納得して今ここにいる。なのに、なんで。
 あの舞台の中央に真っ直ぐに当たるスポットライト。それを浴びれるのは主役たった一人。俺は、それに時々手を伸ばしたくなる。
 あの一番強い光の中に入れば、まだ俺の見たことのない世界が見れるような気がして。


 ────ああ、あの[[rb:光 > スポットライト]]に目が眩む。

 そのうちいつか道を踏み外しそうなぐずぐずとした不安定な気持ちも頭の片隅に降って湧いて浮かんでは、すぐに消えていった。

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「……[[rb:こんなん > キス]]で俺がどうにかなるとかねーから……」

 俺に覆い被さる[[rb:茅ヶ崎 > ちがさき]]の向こう、楽屋の天井の眩しいだけの照明に目がチカチカする。逆光で茅ヶ崎の表情は読めない。
 こんなにも近いのに、遠いな、と思う。
 物理的に近付いても近付いても、こいつとはわかりあえない……そんな気持ちにもなる。
 とんだ二人舞台────。
 まるで舞台の端と端に俺と茅ヶ崎の二人で立ってるみたいだ。同時に口を開いてそれぞれの主張を声高にする感じ。被ったセリフは不協和音で観客に不快を与えるだけの失敗作の舞台。はっ、意味のねぇ舞台。
 そう思ってしまうと役者の癖で、ついついあるはずもないカメラを遠い目で探してしまう。
 こういうスポットライトの浴び方を望んだわけではないんだよなー、なんてぼんやりと考えていれば不満そうな茅ヶ崎の声が降ってくる。

「なんで、そんな遠い目をするんだよ……?」

 茅ヶ崎のかさついた声が悔しい悔しいと訴えている。
 噛みついた茅ヶ崎の唇に触れそうな指先を咄嗟に引っ込める。血が出て痛そうだとか、ほんの少しだけやりすぎたかな、とかモヤモヤが胸を過ったけど今だけは無視した。
 茅ヶ崎を拒絶してやるし、俺の領域に踏み込ませる許可なんか出してやるわけがない。
 何をどうやっても、こいつに、俺を明け渡すことなんかしない。こんなガキに!
 俺がいつから舞台に立ってると思っているんだ?!

「茅ヶ崎」

 ────演じきってやろうじゃんか。脇役の平凡な俺が。

「簡単に俺が落ちるわけねーんだよ、ガキが」

 スポットライトの中央に立てる[[rb:お前 > 主役]]とは違う。
 そこに俺を立たせたいなら、引きずり出してみろよ。

「お前にゃ役不足なの、わかる?」

 嘘なんて上等。大人の余裕ぶっこいて笑ってやるよ。ガキと大人の経験値の差ってやつ? 積み重ねたものが違うんだよ。俺とお前じゃ。
 [[rb:脇役のこの舞台 > 俺のベストポジション]]から、俺を引きずり出してみろよ。
 [[rb:茅ヶ崎隼人 > ちがさきはやと]]。
 ……できるものなら、な?

「もっとお勉強しといで」

 笑って煽れば、悔しそうに顔を歪めた茅ヶ崎の舌打ちが聞こえて俺にのし掛かってた重みがふっと消えた。バタバタと足音が遠ざかっていく。……ああ、マジかよ。茅ヶ崎お前マジか。
 [[rb:茅ヶ崎の楽屋に取り残された俺は > ・・・・・・・・・・・・・・・]]彼のマネージャーが戻ってくるまでしばらくそのまま茅ヶ崎の楽屋の留守番をするはめになったのだった。
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「くっそー! あの原作者の二枚舌女が!!!!! 今度会ったら文句つけてやんよ!!!」
「おーおー荒れてるッスね先輩ー」

 楽屋狭しといえども一応は個室を貰えてる身なのが幸いなのか、他人の目を気にせず悪態がつけるという点ではありがたい待遇ではある。現場や配役によっては大部屋でパーティションで仕切られてたり、それすらないような仕事場もあるのだから贅沢を言える立場でもないのはしょうがない。
 先日の例の接触事故のことはかいつまんでマネージャーでもある堤に一応報告済みだが、それで俺の荒れた心がすぐに凪ぐわけでもなかった。撮影の前になんとかモチベーションだけでも取り戻しておかないと俺の方がまずい事態になる。それは避けないといけない。
 役を降りない条件を結果的に反故にされていたのだ。こっちには知らされないで。丸め込まれた。口車に乗せられた。信頼にヒビが入った。それが俺のちっぽけな自尊心を傷つけている。
 茅ヶ崎の台本に書かれた指示は、俺を無理やり落とせというものだった。それは悪手だろ、と俺だから笑えるがこれが他の役者だったらどうなるだろう。下手したら役者生命を絶つような案件になるかもしれない。……茅ヶ崎の方もだ。
 あの指示は、役者茅ヶ崎隼人を軽んじている。それが一番気に食わないのだ、俺は。

『……言っておくが、こういう事はこの仕事を長くやってる俺にとっても普通じゃない。台本に書かれた指示が役者ごとに違うわけがないだろうが。悪質な手口に俺もお前も引っ掛かった被害者で、怒っていい案件だ』

 あの後ちゃんと新人役者茅ヶ崎のフォローはしたが、どれだけわかっているのかは茅ヶ崎にしかわからん。あとあの独自解釈はやめろ、絶対にやめろと訴えたがどうなるかもわからんから怖い。本番怖い。あれ以上のノーコン解釈が跳んできたら俺は尻尾巻いて逃げるしかないんだよなぁ。マジで。
 現場進行に合わせて即興で書き直された台本はよくあるが、茅ヶ崎だけに違う指示が出されてた、という事実は本当に悪質だと思う。茅ヶ崎の独自解釈の結果がキスシーンという強引な一手だったのが、幸いだったのか災いだったのかは俺の知るよしもない。

「べっつにー? 俺は降りてもいいんだけどよ、その後の茅ヶ崎が心配なんだよな……」
「え、どうしたんスか先輩……そんな他人を思いやる発言! 珍しいすね。なんか買収されたんすか? やめてください追々面倒なことになるんで!」
「なんだよー。こちとら茅ヶ崎に同情してんだっての、同情! 期待の新人があんなんで潰れたら可愛そうでしょうが!」
「はぁ、新人潰しというよりかは先輩に対しての間違った対応の被害者って感じッスけどね。茅ヶ崎隼人……うーん……潰れたら可愛そうスけどそれはそれ。俺は先輩の心配をしてますよ」
「────心配? 誰が? 誰を?」
「俺が! 先輩を! 心配してはダメなんッスか!?」
「だっはっはっは!!! お前に心配されるほどじゃねーからっ……」

 トントン、と楽屋のドアをノックする音があり、スタッフが次のシーンの撮影が始まるのでと声を掛けていった。軽く返事をして、すぐに立ち上がる俺に堤が耳元で囁いた。

「いいッスか、先輩! 事故って怪我してからの役降板だと契約違約金差っ引いても見舞金がちょっとだけ出ますよ!」
「……おっ前はっ! 悪魔か────!!!」

 丸めた台本でバカマネ堤の頭をこつんと小突いてやる。
 幾分か肩の力が抜けた気がする。
 よしよし、堤にしては良い仕事をしたんじゃなかろうか。
 ニヤニヤした俺に堤は残念なものでも見るような眼差しを向けている。
 ああ、前言撤回。お前はあとでぶん殴るから覚悟しとけ。いいな?
 お前は悪知恵を俺に吹き込むより、私利私欲に走った仕事を取ってくるのをやめろ。いいな?

[newpage]

「[[rb:八嶋 > やしま]]」

 教室のシーンのセットの袖で[[rb:高槻 > たかつき]]さんが俺を呼び止める。おや、と思う。親友役のばりっとした会社員の衣装ではなく目立たないラフな私服姿のままで現場にいるのは珍しい。

「あれ、今日高槻さんのシーンありますっけ?」
「今日は見学よ見学。俺あっちで見てるから。一発で決めてくれよ、八嶋?」
「ひぇー、プレッシャーかけてくるなー」
「……ま、楽しんでこ! な?」

 現場の空気は高槻さんがいるだけでも随分と軽くなるから助かっている。きっと、俺と茅ヶ崎のシーンでゴタゴタしているからオフのはずの高槻さんがここにいるんだろう。
 ああ、気を使わせてしまって申し訳ない。
 こういうのは俺が上手いこと立ち回るべきなのに。ひとえに俺の力が足りてないのでなんとか挽回したいところだ。

 まずはリハーサルでカメラが一連の流れで回る。
 その後に監督助監督スタッフキャストで納得した上で本番を撮るから、実際の撮る時間は予定より押して押して……ということが多い。一発録りOKなんて滅多に出ないのだが、ほんと。

「『先生、俺のこと────ちゃんと見て』」

 カメラが回ると役者はスイッチが入るものだ。
 俺も。茅ヶ崎も。
 役者は役に成りきる。
 カメラの向こうで物語に命が宿る。
 役者は台本のセリフをただ読むんじゃない。
 俺たちは、口から言葉として話して会話して、役を演じながら、役の人生を歩き出すのだ。

「『……見てますよ』」
「『見てない』」
「『見てますって』」
「『全然ダメ。見てない。俺を見てない。俺は、俺は、父さんのおまけなの……? ずっと? 今までもそうだったのに、これからもそうなんですか?』」
「『……だって、君は────僕の生徒で、』」
「『違う!』」

 ビリ、と空気が変わる。ハッとして、茅ヶ崎の顔を見つめる。その強い目を。鳶色の綺麗な目を。そこに滲む感情の色を知る。
 よく目は雄弁だというが、良い役者は目を使うのが上手いとういうのが俺の持論だ。
 茅ヶ崎隼人は良い役者だと言える。
 空気、目線、セリフ、何よりも役に対しての違和感のなさ、虚像を実像に見せ掛けるだけの説得力のある演技……それが上手い。撮影が始まった頃の俺の前では発揮されてなかった茅ヶ崎の演技も今日は一段と違っている。

「『……俺をちゃんと見て下さい。俺はずっとずっと、あなたを見てるのに……』」

 ────そうだ、俺はこの目に見られているのだ。

 背中がぞくりと痺れる。
 茅ヶ崎の強い眼差しが一切揺らがずに俺を射抜いている。
 俺は、一歩、後退った。
 がつ、と机の足に足を引っ掛けて音を立ててしまうがそのままカメラは回り続けている。これはカメリハだから多少のトラブルではカットがかからない。

「『……見てるって、君、いつから……』」
「『父さんが先生に会うときはだいたいいたでしょう、俺。子どものワガママでわざとくっついてったのに、あなたは俺より父さんを見ていたから気づいてないかもしれないけど』」
「『!?!?』」

 親友の子どもに見透かされた失態に教師の俺は追い詰められていく。
 狡い大人。真っ直ぐな子どもに向き合うには狡くて汚くて、弱くて、みっともない。
 だってあの視線を知らない振りが出来るくらいには大人なのだ。

「『……その顔、するの……やめてくれませんか────』」
「『どうしてですか。そんなに、俺は父さんに似てますか?』」
「『違っ……!』」
「『どんどん出会った頃の父さんに似てきてるから、だから、俺を見てくれないんだ……』」
「『……違う、って言ってる!』」

 追い詰められて、どうしようもなくなって、言い訳を一つ一つ失って、否定すればするほどに、自分についた嘘が剥がれ落ちていく。

「『君は君だ、アイツじゃないことくらい僕だって……知ってます!』」

 だから苦しい。この道を進むべきではないと知ってるから。見ない振りをしている。向き合わないことが逃げ道だった。
 先生と生徒。親友の息子。それでいて、同性愛。

「『じゃ、目を逸らすな。────こっち見ろよ』」

 苛立つように投げやりに、それでいて懇願するような声のトーンで茅ヶ崎が言う。
 ついつい落ちてしまう視線を、ぐっと上げて強い眼光と向かい合う。

「『俺を見てよ』」

 そして、思い知らされる。逃げていたのは彼からだけではないことに。己の気持ちからもずっと目を背けていたことに────。

 一瞬、俺の世界の音が消えた。

 呆然と苛烈な眼光と無防備に向き合う。
 あ。これは。

(ハマる)

 演じる役に息が吹き込まれる瞬間を俺は舞台やドラマの仕事の中で何度か経験している。
 これはそれだ。
 いま。ここで、俺は確かにこの役に────親友の息子に恋慕する教師になった。

「『────……見ても、いいの?』」

 声が震える。
 喉から絞り出すように、言うべき言葉が口からついて出る。

「『君を君として、僕が……見てもいいの?』」

 君を。
 誰でもなく、親友の息子でもなく、教え子の生徒でもなく、一人の君を君として。

「『……ああ、ようやく俺を見てくれた……!』」

 延びてきた茅ヶ崎の手のひらが俺の頬を優しく撫で、顎の線を辿り、耳朶の縁を確かめるようにかすめていく。ぞわぞわと言い知れぬ震えに、俺はただただ目の前の彼をぼんやりと見つめていた。

「『先生?』」

 嬉しそうに笑う、歪んだ茅ヶ崎の顔。
 それは綺麗で、うっとりとするような艶があって、目の前の俺に心酔するような危うさがあって、恋に恋する若者の薄暗い欲のようなものが透けて見えて。

 ────怖い。

 真っ直ぐに向けられる気持ちが、受け止められないくらいに重い。
 後ろにも退けず、前に進むこともできない足をぐっと堪えて、この場でなんとか踏みとどまる────それしか平凡な俺には、出来なかった。

……
続く
……
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【名鑑】 八嶋尚之 やしまなおゆき
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売れない学生劇団での下積み時代を経て21歳の時、劇団ミモザ主演舞台『メデューサの棺』の一般オーディションから脇役ハルキア役を勝ち取り、後に現在の俳優事務所に声を掛けられる。ドラマの端役からモデル、CMなどにもちょいちょい採用される。二時間ドラマでは、よく告白されるモブ、よく死ぬモブ、よくサラリーマンやってるモブ、として世間に認知される「ああ、あの人ね名前が出てこないけど」程度の印象の薄い役者。舞台『ファウンド・サンライズ』では当たり役の青年フーマ役でちょっとだけ売れた。
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