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5月
最初の試練
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大型連休も終わり、なんとなくなにもしたくないような気分になる。いわゆる5月病というやつに陥りがちな時期。
そんなときに私達に迫る高校最初の試練が中間試験だ。
「来週は中間試験だ。それに伴って、顧問からも言われたかもしれないが今日から試験終了日まで基本部活動は禁止。中学までの範囲も出る教科もあるそうだからしっかり準備しとけよ、HRは以上」
いつもは無駄な話が多い先生も、最近は簡潔にHRを終わらせる。
5月病とテストの準備で大変なのは生徒だけではないみたいだ。
「なぁ鈴乃。お前って成績良かったか?」
入学時から未だ席替えは行われておらず、相変わらず隣には恭介くんがいる。
「得意なのはそれなりにできるけどあとは普通くらいかな。わかんないところでもあるの?」
「いや、俺じゃなくて…」
「恭介!鈴乃!やばい!助けて!」
言いかけた彼に被せて助けを求めてきたのはその幼馴染兼片思いの相手の真山李雪だ。
なるほど、わからないところがあるのはこっちか。
そういう気持ちで彼を見やるとため息をつく。
「今回はどれがやばいんだ?」
こうして毎回助けてきたのだろう。
更に推測するなら、ここの高校はそこそこ難しいところのはずだ。受験勉強もつきっきりだったのが目に浮かぶ。
「んー……英国数理社?」
「つまり全部…と?」
思っていたより彼女の成績は重症であるのに驚き声が出る。
「あの、俺は文系科目が無理かも…なんて」
李雪の後ろから申し訳なさそうに顔を出すのは私の幼馴染兼片思いの相手、三芳裕太。
「この前言った覚え方だめだった?」
「前よりは全然いいんだけどやっぱりなぁ…」
今までも勉強を教えてきたが、いつもより近い距離になってしまうと私の心臓の方がずっと早くて疲れてしまうから、いくつかおすすめの覚え方などを教えているがイマイチらしい。
「じゃあまた別の考えなきゃだね」
「いや!鈴乃に教えてもらうのが1番わかりやすくて1番いい!」
ほらまたそんなこと言う。
そんなことばっかり言うから私の心臓が持たないんだよ
「鈴乃そんなに教えるの上手なの!?私も教わる!」
「いやだめだって、俺の特権だから!」
そんな言葉ずるいって…
「じゃあさ!」
裕太の言葉にいちいち蕩けてしまっている私を引き戻すほどのはっきりした声。
言い争う2人も言葉を紡ぐのをやめる。
「じゃあさ、4人で勉強会とか…すればいいんじゃない」
しんとした4人だけの教室に、今度はゆっくり言う。
「…いいね、そうしよっか。放課後に教室?それとも図書館にする?」
「図書館だと話しにくいから教室のほうがいいんじゃないか?」
「そうだね、2人もそれでいい?」
1番賛成しそうななのになぜか黙ってこっちを見ているだけの2人に問う。
「…あ、うん!助かる!ね、裕太」
「そうだな、2人も先生いるなら今回行ける気してきた!」
「まだ始めてもないのに調子いいなぁ」
やっぱりあの日感じた違和感は、勘違いではないと更に思った。
そんなときに私達に迫る高校最初の試練が中間試験だ。
「来週は中間試験だ。それに伴って、顧問からも言われたかもしれないが今日から試験終了日まで基本部活動は禁止。中学までの範囲も出る教科もあるそうだからしっかり準備しとけよ、HRは以上」
いつもは無駄な話が多い先生も、最近は簡潔にHRを終わらせる。
5月病とテストの準備で大変なのは生徒だけではないみたいだ。
「なぁ鈴乃。お前って成績良かったか?」
入学時から未だ席替えは行われておらず、相変わらず隣には恭介くんがいる。
「得意なのはそれなりにできるけどあとは普通くらいかな。わかんないところでもあるの?」
「いや、俺じゃなくて…」
「恭介!鈴乃!やばい!助けて!」
言いかけた彼に被せて助けを求めてきたのはその幼馴染兼片思いの相手の真山李雪だ。
なるほど、わからないところがあるのはこっちか。
そういう気持ちで彼を見やるとため息をつく。
「今回はどれがやばいんだ?」
こうして毎回助けてきたのだろう。
更に推測するなら、ここの高校はそこそこ難しいところのはずだ。受験勉強もつきっきりだったのが目に浮かぶ。
「んー……英国数理社?」
「つまり全部…と?」
思っていたより彼女の成績は重症であるのに驚き声が出る。
「あの、俺は文系科目が無理かも…なんて」
李雪の後ろから申し訳なさそうに顔を出すのは私の幼馴染兼片思いの相手、三芳裕太。
「この前言った覚え方だめだった?」
「前よりは全然いいんだけどやっぱりなぁ…」
今までも勉強を教えてきたが、いつもより近い距離になってしまうと私の心臓の方がずっと早くて疲れてしまうから、いくつかおすすめの覚え方などを教えているがイマイチらしい。
「じゃあまた別の考えなきゃだね」
「いや!鈴乃に教えてもらうのが1番わかりやすくて1番いい!」
ほらまたそんなこと言う。
そんなことばっかり言うから私の心臓が持たないんだよ
「鈴乃そんなに教えるの上手なの!?私も教わる!」
「いやだめだって、俺の特権だから!」
そんな言葉ずるいって…
「じゃあさ!」
裕太の言葉にいちいち蕩けてしまっている私を引き戻すほどのはっきりした声。
言い争う2人も言葉を紡ぐのをやめる。
「じゃあさ、4人で勉強会とか…すればいいんじゃない」
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「…いいね、そうしよっか。放課後に教室?それとも図書館にする?」
「図書館だと話しにくいから教室のほうがいいんじゃないか?」
「そうだね、2人もそれでいい?」
1番賛成しそうななのになぜか黙ってこっちを見ているだけの2人に問う。
「…あ、うん!助かる!ね、裕太」
「そうだな、2人も先生いるなら今回行ける気してきた!」
「まだ始めてもないのに調子いいなぁ」
やっぱりあの日感じた違和感は、勘違いではないと更に思った。
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