2 / 22
4月
新しい学校
しおりを挟む
少しだけ大きめの新しい制服はまだ固くて着慣れない。
玄関でそわそわと前髪なんかを何度も直しながら大好きな人の迎えを待つ。
早く会いたいという気持ちと、待ってる間のもどかしさが混ざり合うこの時間が、私は好きだ。
新しい学校に慣れるまでの一ヶ月限定の彼との登校は胸を高鳴らせる。
いつまでも四月であってほしいくらいに。
ガチャリといきなり開く扉に背筋が伸びる。
「ごめん!待たせた?」
「全然平気!たった今靴履いたところだから。」
そっか!よかったぁ、とふわりと笑う彼に私もつられて笑ってしまう。
「じゃあ行くか!」
道迷ったりしないでよ?なんて軽口を叩きながら彼の横に並ぶ。
「クラス一緒になるかな?」
新学期らしい当たり障りのないセリフをなるべく自然に言いたかったが少し声が裏返ってしまう。
慌てて隣にいる彼の顔を伺う。
「声裏返ってる!緊張してんの?」
笑いながら問う彼の様子からしてあまり気にされていないみたいで少し安心。
「してないと思ったんだけど…してたみたい。裕太以外で仲良かった人とか他にいないし。」
同じ中学なのは私と彼と他数名。私も彼もその人たちとは特別仲がいいわけではなかった。
「あー確かに!黛も木下も名前知ってるくらいかもしれねぇ」
「私も。クラスさえ一緒になったことないもん。」
卒業前から黛くんも木下さんも同じ学校にいくことは知っていたが、あえて声をかけたりはしなかった。
彼の、裕太の友達は私だけという状況のほうが都合が良いと思ったとかでは決してない。
玄関でそわそわと前髪なんかを何度も直しながら大好きな人の迎えを待つ。
早く会いたいという気持ちと、待ってる間のもどかしさが混ざり合うこの時間が、私は好きだ。
新しい学校に慣れるまでの一ヶ月限定の彼との登校は胸を高鳴らせる。
いつまでも四月であってほしいくらいに。
ガチャリといきなり開く扉に背筋が伸びる。
「ごめん!待たせた?」
「全然平気!たった今靴履いたところだから。」
そっか!よかったぁ、とふわりと笑う彼に私もつられて笑ってしまう。
「じゃあ行くか!」
道迷ったりしないでよ?なんて軽口を叩きながら彼の横に並ぶ。
「クラス一緒になるかな?」
新学期らしい当たり障りのないセリフをなるべく自然に言いたかったが少し声が裏返ってしまう。
慌てて隣にいる彼の顔を伺う。
「声裏返ってる!緊張してんの?」
笑いながら問う彼の様子からしてあまり気にされていないみたいで少し安心。
「してないと思ったんだけど…してたみたい。裕太以外で仲良かった人とか他にいないし。」
同じ中学なのは私と彼と他数名。私も彼もその人たちとは特別仲がいいわけではなかった。
「あー確かに!黛も木下も名前知ってるくらいかもしれねぇ」
「私も。クラスさえ一緒になったことないもん。」
卒業前から黛くんも木下さんも同じ学校にいくことは知っていたが、あえて声をかけたりはしなかった。
彼の、裕太の友達は私だけという状況のほうが都合が良いと思ったとかでは決してない。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
くろぼし少年スポーツ団
紅葉
ライト文芸
甲子園で選抜高校野球を観戦した幸太は、自分も野球を始めることを決意する。勉強もスポーツも平凡な幸太は、甲子園を夢に見、かつて全国制覇を成したことで有名な地域の少年野球クラブに入る、幸太のチームメイトは親も子も個性的で……。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
三度目の庄司
西原衣都
ライト文芸
庄司有希の家族は複雑だ。
小学校に入学する前、両親が離婚した。
中学校に入学する前、両親が再婚した。
両親は別れたりくっついたりしている。同じ相手と再婚したのだ。
名字が大西から庄司に変わるのは二回目だ。
有希が高校三年生時、両親の関係が再びあやしくなってきた。もしかしたら、また大西になって、また庄司になるかもしれない。うんざりした有希はそんな両親に抗議すべく家出を決行した。
健全な家出だ。そこでよく知ってるのに、知らない男の子と一夏を過ごすことになった。有希はその子と話すうち、この境遇をどうでもよくなってしまった。彼も同じ境遇を引き受けた子供だったから。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる