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ーシャッ
「…んっ、眩しい。」
カーテンを開ける音と陽の光で目が覚めた。
治療騒動から2日が経った。
あの日からアクィラさんとは会っていない。忙しくて時間が合わないと聞いたけど…本当にそうなのかな。
僕はぼーっとした頭の隅でそんなことを考えていた。
「おはようございます。今日はとても天気がいいんですよ。お身体の調子がよろしければ散歩でもいかがですか?」
「おはようございます。散歩ですか!!行ってみたいです、ここにきてからまだ一回も外に出たことがないんです。」
僕を起こしにきてくれたのは、メイド長のアンさんだ。
僕が怪我をして運ばれてきた日からお世話や手伝いをしてくれている。忙しい日は他の人が手伝ってくれるが、基本はアンさんが手伝ってくれている。
そのおかげで、アンさんとはすっかり仲良しになって少し砕けた話し方をしてくれるようになった。
…それでも敬語は絶対らしい。
何故メイド長のアンさんが基本的に手伝ってくれているのか聞いてみたことがあった。その理由は、アクィラさんから頼まれたからだと言っていた。
幼い頃から知っているアクィラさんの頼みだから仕方なくかな…とも考えてしまったが、アンさんは頼まれる前に僕を一目見た時からお世話したいと思ったみたい。
なんで世話をしてくれているのか聞いた時に、
“お顔が…とても可愛らしくて!!”
と、凄い気迫で言われたのをよく覚えている。
話をしている時にも、小さな声で可愛い可愛いって言ってるのもたまに聞こえていたから……嘘ではないと思う。
僕は自分のどこが可愛いのかわからないけど…。
そんなこんなで、アンさんに手伝ってもらいながら外出の準備をした。
着る服は適当で大丈夫だと言ったのだが、アンさんは頑なにそれを許してはくれなかった。
ちなみに今日の服装は、金色の綺麗な刺繍が施されている白いワンピースのシャツと紺色の7部丈ほどのズボンだ。足の傷口が隠れるくらいの長さなので短くはない。その上に日焼けしないようにと大きな黒いマントを被せられた。
このマントは騎士用のものなので、外に出る時はこれを羽織っていれば安心ですからと言われた。外出の時は必ず羽織って出てくださいね!アンさんや他のメイドさんたち念を押された。
何が安心なのかはわからなかったが、まだ知らないことだらけのこの世界…安全のために言われたことは絶対に守るべきだよね。
今日はまだ自分一人での移動は困難なので、車椅子のようなものに乗せてもらって移動するみたいだ。
アンさんが付き添ってくれる。
左足がなくなってからきちんと動くのは久しぶりで、なんだか不思議な気分だった。
傷口はまだ痛むが、2日前にかけてくれた回復魔法が足にも少し効いていたみたいで痛みもだいぶ治った。
痛み止めの薬も出してもらっているので無理に動かそうとしなければ痛みも出ない。
ベットの上で着替えさせられた僕は、あっという間にアンさんにお姫様抱っこをされ車椅子に乗せられた。
相変わらずの早技…。
呆気に囚われている僕を置いてアンさんは車椅子を押しながら、
「さあ、いきましょうか!」
とにこやかな笑みで僕に言った。
「はい!」
つられて僕が楽しそうに笑っていたことに、自分自身気づいてはいなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
アンは一目見た時から、その少年が何かに囚われている子だというのは感じていた。
アクィラと一緒だったからだ。
“愛を知らない子”
お世話をしている時の反応や過敏な気遣い。
それらは幼い頃から、親や周囲に恐れられ距離を置かれていたアクィラと重なるものがあった。
この少年ならアクィラ様を……
アクィラ様ならこの少年を……
「アンは心からお二人の幸せを願っております。」
「…んっ、眩しい。」
カーテンを開ける音と陽の光で目が覚めた。
治療騒動から2日が経った。
あの日からアクィラさんとは会っていない。忙しくて時間が合わないと聞いたけど…本当にそうなのかな。
僕はぼーっとした頭の隅でそんなことを考えていた。
「おはようございます。今日はとても天気がいいんですよ。お身体の調子がよろしければ散歩でもいかがですか?」
「おはようございます。散歩ですか!!行ってみたいです、ここにきてからまだ一回も外に出たことがないんです。」
僕を起こしにきてくれたのは、メイド長のアンさんだ。
僕が怪我をして運ばれてきた日からお世話や手伝いをしてくれている。忙しい日は他の人が手伝ってくれるが、基本はアンさんが手伝ってくれている。
そのおかげで、アンさんとはすっかり仲良しになって少し砕けた話し方をしてくれるようになった。
…それでも敬語は絶対らしい。
何故メイド長のアンさんが基本的に手伝ってくれているのか聞いてみたことがあった。その理由は、アクィラさんから頼まれたからだと言っていた。
幼い頃から知っているアクィラさんの頼みだから仕方なくかな…とも考えてしまったが、アンさんは頼まれる前に僕を一目見た時からお世話したいと思ったみたい。
なんで世話をしてくれているのか聞いた時に、
“お顔が…とても可愛らしくて!!”
と、凄い気迫で言われたのをよく覚えている。
話をしている時にも、小さな声で可愛い可愛いって言ってるのもたまに聞こえていたから……嘘ではないと思う。
僕は自分のどこが可愛いのかわからないけど…。
そんなこんなで、アンさんに手伝ってもらいながら外出の準備をした。
着る服は適当で大丈夫だと言ったのだが、アンさんは頑なにそれを許してはくれなかった。
ちなみに今日の服装は、金色の綺麗な刺繍が施されている白いワンピースのシャツと紺色の7部丈ほどのズボンだ。足の傷口が隠れるくらいの長さなので短くはない。その上に日焼けしないようにと大きな黒いマントを被せられた。
このマントは騎士用のものなので、外に出る時はこれを羽織っていれば安心ですからと言われた。外出の時は必ず羽織って出てくださいね!アンさんや他のメイドさんたち念を押された。
何が安心なのかはわからなかったが、まだ知らないことだらけのこの世界…安全のために言われたことは絶対に守るべきだよね。
今日はまだ自分一人での移動は困難なので、車椅子のようなものに乗せてもらって移動するみたいだ。
アンさんが付き添ってくれる。
左足がなくなってからきちんと動くのは久しぶりで、なんだか不思議な気分だった。
傷口はまだ痛むが、2日前にかけてくれた回復魔法が足にも少し効いていたみたいで痛みもだいぶ治った。
痛み止めの薬も出してもらっているので無理に動かそうとしなければ痛みも出ない。
ベットの上で着替えさせられた僕は、あっという間にアンさんにお姫様抱っこをされ車椅子に乗せられた。
相変わらずの早技…。
呆気に囚われている僕を置いてアンさんは車椅子を押しながら、
「さあ、いきましょうか!」
とにこやかな笑みで僕に言った。
「はい!」
つられて僕が楽しそうに笑っていたことに、自分自身気づいてはいなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
アンは一目見た時から、その少年が何かに囚われている子だというのは感じていた。
アクィラと一緒だったからだ。
“愛を知らない子”
お世話をしている時の反応や過敏な気遣い。
それらは幼い頃から、親や周囲に恐れられ距離を置かれていたアクィラと重なるものがあった。
この少年ならアクィラ様を……
アクィラ様ならこの少年を……
「アンは心からお二人の幸せを願っております。」
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