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isc(裏)生徒会

真実は目に見える物だけではない

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【神功左千夫】

「兄さん……」

光を抱きかかえながら置き上がった僕の前に現れたのは紛れも無く神功十輝央その人だった。
その後ろには錦織一誠も居る。

確かに兄さんが主犯なら全て辻褄が合う。
兄さんならエーテルの場所位調べれば直ぐに分かるだろう。
そして、兄さんの秘書、錦織一誠の能力は暴走。
エーテルの者たちが暴走した理由はこれだろう。能力のない一般人は人外になるのか…?
それにしても、錦織が僕を見る目はいつも憎悪に満ちている、しかし、今日はどこか心が無いようにも見える。

でも、…兄さんはいつも通りだ。
少し、違う気もするが操られている訳ではなさそうだ。

「やぁ、左千夫。僕決勝でることにしたから。」

「……!!?」

どういうことだ。
兄さんは決勝には出ないと言っていた。
あの、兄さんが嘘をつく筈が無い。

「…何のために…ですか?」

「僕、気付いたんだ。
やっぱり君は神功にはふさわしくないよ、左千夫。

だって君はここに居る者たちと同等なんだろ?
それに、こんな施設だって神功には必要ない。

…そうだろ?錦織。」

錦織は頭を下げる様にして兄を正当化する。
十輝央兄さんは一度俯いた後、僕に対して辛辣な言葉を投げかけた。
これは僕が当初養子になれると分かっていた時に覚悟していた言葉だ。
ただ、兄さんは僕にそんなこと一度も言ったこと無かった。
そして、僕と擦れ違う様に入口へと歩き始めた。

「今日は挨拶をしにきただけだからこれくらいにしておいてあげるよ。錦織帰るよ。」

「元に戻してください」

駄目だ、頭が混乱している。
僕が今思いつくのはそんな言葉だった。
暴走した者たちはいまだ元には戻っていない。
能力を使いっぱなしではどんどん体力を消耗していく。

僕はギュッと光を抱きしめながら低い声を零した。
しかし、兄さんから帰ってきた言葉は僕の想像を超えていた。

「…どうして?そんな義務どこにもないよ」

武器を構えようとした次の瞬間、入口から柚子由や那由多君達が入ってきた。
全員の服に汚れがある、きっとあっちでも何かがあったと言うことだ。

「十輝央さん……?」

「駄目です!柚子由!!」

柚子由が十輝央兄さんの名前を呼んだ瞬間に、兄さんが柚子由の腰を抱く様に密着した。

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【千星那由多】

エーテルにたどり着くと、見知らぬ人が数人、そして何故か十輝央先輩と錦織さんがいた。
彼らも事情を聞きつけてここに来たのだろうか。
いや、それにしても…空気がおかしい。
皆の表情や雰囲気からして何かが起きた事はわかるが、辺りを見た所、事件は収束しているかのように思えた。

……しかしそれは検討違いだった。

三木さんが十輝央先輩の名前を呼ぶと、会長が制止の声をあげる。
そして、三木さんの腰を抱くように密着した十輝央先輩を見て、俺は眉を顰めた。

「怪我したの?大丈夫…?
ねぇ、柚子由さん…君も左千夫の傍に居ると不幸になるよ。」

その言葉に酷く違和感を感じる。
こんな事を十輝央先輩が言うはずがない。
しかし、見た目や雰囲気はまったく違和感がなく、ただ口から放った「左千夫の傍にいると不幸になる」という言葉に悪寒が走った。

「十輝央さん…?」

後ろから見ている限りでは、三木さんの表情はわからない。
ただ、声は微かに震えている。

「十輝央先輩……どうし――――」
「そうだ、柚子由さん、僕と一緒においでよ。君のことを守ってあげるから。」

俺が声をかけようとしたが、それは見事に遮られた。
と言うよりも俺の事など眼中に無い感じだ。
視線はじっと密着している三木さんへと向き、誰もがその光景が信じられなかっただろう。

そして、十輝央先輩の言葉に、三木さんは小さく首を横に振った。
当たり前だ。
いきなりこんな所でこんな事をされて、付いて行く訳がない。
明らかに十輝央先輩はおかしい。

「…残念だね。
それじゃあ、左千夫を殺してから君を迎えにくるよ、柚子由さん」

「――――!!??」

その言葉に確信した。
十輝央先輩は、別人になっているとしか思えない。
この人が「会長を殺す」だなんて冗談で言う人ではないからだ。

十輝央先輩はたじろいでいる三木さんの額に軽くキスを落とすと、身体から離れ、俺の横を通り抜けて行く。
その時やっと俺の事を見たが、その時の視線が酷く冷たいことにゾッとした。
俺は何も言葉をかけられずに、十輝央先輩は錦織さんと一緒にこの部屋を出て行った。

三木さんの膝が折れ、その場に倒れそうになったのを純聖と幸花が支える。

「…い、一体何があったんですか……?
さっきの……絶対十輝央先輩じゃ……ない、ですよね?」

俺の頭は今の状況について行かず、目の前にいる会長に尋ねるように沈黙を破った。

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【神功左千夫】

追うべきか……いや。
羅呪祢(ロシュネ)のメンバーが近くに居る可能性が高い。
それにここのセキュリティーを高度なモノにしなければもう一度エーテルのほうを襲撃されると僕一人では全員を守りきれない。

十輝央兄さんは敵の能力でああなってしまったと思いたいが。
もしかすると僕達にあるべき姿はこうだったのかもしれない。

「柚子由…。大丈夫ですか?」

地面に倒れそうになり支えられている柚子由に声を掛ける。
彼女は小さくだが、コクンと頷いた。
十輝央兄さんの事がよほどショックだったのだろう。

そして、那由多君に向けられた言葉に僕は口を一度結んだ。

「何があったか、分かりませんが。あれは十輝央兄さんです。
そして、羅呪祢(ロシュネ)高校から、彼も決勝に出ると言われました。」

そう、今、僕が考えないといけないのは分かる事実を繋ぎ合わせた結果だ。
そして、ここの後処理だ。
研究所に居たころよりも的確な状況把握ができなくなっている。

その時、僕を呼ぶ声が遠くで聞こえた。

「誰かが……呼んでいる…?」

僕は結界の歪みを作ってそのものを中へと呼び入れる。
聞き覚えのある声だったが誰かまでは思いだせない。

そして、中に入ってきた黄緑色の頭の男を見ても僕は首を傾げるだけった。

しかし。

「左千夫!会いたかった…!俺、人間になった、左千夫と、一緒!」

この口調。
そして、人間になったと告げる言葉。
無防備に僕に近づいてくる姿。

「……エ……ル?」

そう、彼は。
僕が小さくなってしまった時に川で出会ったカエルだった。

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【エル】

外にいた左千夫に必死に声をかけていたのに、何故か反応が無かった。
そして急に消えた。
左千夫はもしかしてお化けなんだろうか。
そんな事を思っていたが、違った。

左千夫はいたんだ。
この建物の中に。
これは本物だ。

「そう、エルだ!覚えててくれたのか!嬉しい!!」

なんだか照れくさくて頭をかいていると、周りの奴等はぽかんと俺の事を見ていた。
俺を溝の中から見つけた小さい子どもと、さっき回復してやった奴等、そして、後は色んな奴。
きっとみんな左千夫の友達だろう。
じゃあいい奴等だ。

「人間になっているのは、光の能力だと思いますが…。
エル、話は後でゆっくりとしましょう。
今は…暴走した者達をどうするか……」

なんだ、今話できないのか。
左千夫がそう言うなら仕方ない。
大変な時みたいだしな。

「つっても能力の異常を治せる奴なんていねーぞ」

金髪の口の悪い男が左千夫に向かって言った。
辺りを見回してみると、皆疲れているみたいだ。
うなされてたり、顔色が悪かったり。
そして、左千夫はすごく困っている。
これは、俺が助けなくちゃいけない。

「俺かいふくできる!俺なら治せるかもしれない!」

左千夫に近づくと両肩に手を置いた。
今俺は人間の手で左千夫の肩に触れてる。
なんてすごい事なんだ。

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【日当瀬晴生】

ライトニングとか言うやつは白に黒のぶちネコ。
チュマールはネズミ。
んで、このエルとか言うやつは…カエル…か?

俺は能力を発動している状態であればどうやらその動物の原型が分かるようだ。

にしても。
あのネズミ。いや、今は人だけど。
特殊能力まで使えんのか。つーかあのカエルも…?

チュマールの方を見ていると急にこっちへと走ってきた、何か用かと眉をひそめた次の瞬間右手の甲にキスされた。

「何と美しい!!!こんなに美しい人間を見たのは初めて…いや、二度目です。いえ、そんなことはどうでもいいです。
美しい、貴方は美し過ぎる――うぶ!!!!」

勿論俺は気持ち悪さに総毛立ち、銃でそいつの顔面を思いっきり殴打する。
見事に地面に顔面からぶっ倒れたのを見届けると会長の元へと走った。

「おい。その、光とか言うやつの暴走は解いたんだろ?なんで、あいつらは人型のままなんだ?」

「…どうやら光の能力で人間になれた者は自由に人間になったり動物に戻ったりできる様ですね…。
半獣の者たちは動物に戻ったので、完全に人間になれたごく一部の知能が高い動物だけそういったことができる様ですね。
九鬼のペットである、リンは先程から犬になったり人間になったりとあそこで遊んでいます。

光はもともと精神力の塊のようなもの、なので彼らが好き勝手に人間になっても大丈夫でしょう。」

流石は会長のお墨付きってわけか。
会長は純聖達に光を任せてエルの元に行った。

エルの治療法は何と言うか。
舐めて治す……。

人間のあの口から長い爬虫類、いやカエルは両生類だが。
兎に角長い舌が伸びる様は気持ち悪くて仕方が無い。
能力はどうやら“正常な状態に戻す”のようだ。

「エル。それくらいにしておきなさい。お前の能力が尽きてしまう。」

そうだな。確かにこの人数をいっぺんに治すのは無理だろう。
暴走で体力を激しく削っているものから治すのがベストだろうしな。

「待たせたナ、左千夫。」

「うお!イデアさん、着てたんですね。」

「お疲れ様です。イデア。」

どこから入ってきたのか分からないがイデアさんが急に現れた。
そして、彼女は無表情のまま片手を上へと上げた。
それに便乗するように会長が瞼を落とす。

結界か…。

会長の幻術とイデアの技術を組み合わせた結界をはり直したようだ。

「これで、ひと先ずは大丈夫です…。それでは…純聖と、幸花のパーティを…と、言いたいところなのですが…」

危ないと思った時には九鬼が会長の片腕を持つように支えていた。

「すいません…少し、寝ます。」

初めて見た。
会長が能力の使い過ぎでぶっ倒れるとこ。
つーか、寝た?寝たのか!?

まぁ、これだけ広範囲の結界を二度も張ればこうなるか。

「「左千夫」」
「左千夫様」

勿論色んなやつが駆け寄ってくる。
そして、魚住栄次と一葉省吾が何か話している。

「これってあれだよね。」
「うん。……あれ」
「取り合えず、パーティを予定してた部屋に運ぼうかな。九鬼君。お願い出来るかい?」

あれってなんだ。
会長は寝てるだけじゃないのかそう思いながら俺達も後についてく。
その後は、エーテルの魚野郎と、草野郎と三木の指示に従いながら後片付けを行って行った。

しっかしなんだ。
俺は会長とは千星さん達より付き合いが長いけど、この場所には初めてきたな。
ここが会長が神功の力を借りて作った施設か。

んで、更に問題が地区聖戦決勝。
俺は色々な難題に煙草を口に挟んだ。

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【千星那由多】

建物内の片付けや怪我人の処置も終わり、ひと段落がついた。
一番の問題、十輝央先輩の件はひとまず置いておくことになった。
あんな先輩を見たくなかったな…と少し気分が悪いが、今行動を起こしてどうにかなるような事じゃないだろう。
それより、全員が無事で済んで何よりだ。

羅呪祢の件を話したかったが、会長は倒れてしまったし、折角の純聖と幸花のパーティをこれ以上台無しにしたくもない。
ベッドで寝ている会長に視線を移しながら、テーブルにジュースやお菓子を準備していく。

三木さんはあまり元気がなかった。
会長の事も気になるのだろうが、十輝央先輩の件でも悩んでいるんだろう。
それでも無理に笑っている三木さんを見ると、どう言葉をかけていいかがわからなかった。

「左千夫君はちょっと眠ってるけど、またすぐ起きると思うよ。
えっと…色々あったけど…改めて、エーテルへようこそ。
私は魚住と言います。
ここでは最年長だけど、左千夫君達にはお世話になりっぱなしで…」

魚住栄次と言う坊主頭の男が挨拶を始める。
見た目がまるでヤクザみたいだが、背も小さく腰が低いのでギャップがすごい。

「で、こっちは一葉省吾君。君達と同年代くらいだよ。
そして、光君。二人ともちゃんと挨拶しようね」

「……一葉省吾です…」

「…………初めまして…」

一葉省吾と呼ばれる男は、フードを被っていてあまり表情が見えない。
ボソボソと喋って少し声が聞き取りにくく、暗い印象が強い男だ。
そして、光と呼ばれた子供は、純聖達と同じぐらいの年齢だろう。
この子も引っ込み思案なのか、視線を合わせずに挨拶をした。

他にもたくさん人がいるんだろうなと思うと、会長はとても大きい物を背負っているんだろう。
俺には到底できっこない。

「で…こっちの三人が……私は今日初めて会ったんだけど…。
光君の能力で人間化したらしくって――――」

「俺は猫のライトニングだ。光の相棒。てめぇら光虐めたら容赦しねーぞ」

光と呼ばれる少年の傍にいる妙にセクシーな男は、魚住さんの言葉を遮って目をぎらつかせた。
見た目が猫の様な雰囲気で、威嚇するように牙をむき出しにしている。

「私は鼠のチュマールです。ライトニング様に食べられそうな所を、光様に――――」
「お前みたいな不味そうな奴食わねえよ!」

「ヒッ!申し訳ございません!!」

チュマールという男は赤目でオールバックの紳士だった。
だいぶ年齢を重ねていそうだが、物腰が柔らかく独特な雰囲気を持っている。
鼠だからか猫のライトニングには逆らえないようだ。

「俺、エル。左千夫の友達。蛙だった。そこの純聖って奴に拾ってもらった。夢だった人間になれた!!」

眠っている会長のすぐ側にいる背の高い緑頭の男。
こいつは俺達を回復してくれた男だ。
相変わらずの片言だが、どうやら会長とは以前から知り合いみたいだ。

相手側の自己紹介も終わったので、俺達も改めて順に軽く挨拶をしていく。
大体三木さんや純聖に聞いていたのか、名前を言うだけで魚住さんは大げさに反応を示してくれた。

「(裏)生徒会の皆さん、これからも左千夫君と柚子由さん、エーテルの皆と仲良くしてあげてくださいね。
私は左千夫君達に素敵な仲間ができてとても嬉しいよ。
さて……じゃあ今日の事はひとまず置いておいて、純聖君、幸花ちゃんのお疲れ様パーティを始めましょうか!」

魚住さんが丁寧にお辞儀をした後、パーティが始まった。

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【一葉省吾】

左千夫の友達。
…僕はこれ以上左千夫には友達はいらないと思うけど、左千夫が勝手に作るなら仕方ない。
資料に有った通りの名前を読み上げて行く、愛輝凪(裏)生徒会のメンバーの自己紹介を聞き終わるとパーティが始まる。
さっきまであんな状態だったのに呑気な人たちだ。

僕や魚住がもうちょっと優良個体だったら左千夫はこんなことにならなくて済むのに。
僕達二人は実験の成功体ではない。
なりそこないだけど生きている、だから長時間能力を使ってしまうと僕は完全に植物になってしまう。
それを分かっているから左千夫は僕に余り戦闘をさせない。

普段は左千夫と異なる高校へと通って普通に生活している。
それに不満は無いが、もう少し役に立ちたいとも思う。

パーティが始まって直ぐ、僕の背後に居る左千夫がむっくりと起き上がった。

「起きたのか!左千夫…俺……左千夫?」

真っ先にカエルのエルが話しかけたがそれを素通りしある一点を目指して歩いていく。
うん、これはあれだよね。

「あ、あのな!左千夫…!」

それに続いて純聖、幸花、光が左千夫へと向かって行く。
本当にモテモテ、左千夫。

僕と魚住で、三人の肩を掴むようにして制止する。

「駄目だよ、純聖くん、幸花ちゃん、光君。…あの左千夫君はまだ目覚めた訳じゃないんだ。」

魚住が説明をしてくれた。
僕も初めてこれを見たときは心底驚いた。
きっとこの三人はこの状態の左千夫を見るのは初めてだろう。
左千夫がぶっ倒れるのは消費カロリーが足りない時。
なので、直ぐに夢遊病のように意識の無いまま食事を漁り始める。
それも、決まって冷蔵庫に向かって行く。
ここは備え付けの冷蔵庫がある部屋なので、左千夫はその前にドカッと座りこむ、そして徐に冷蔵庫を開くと中に入っているものを鷲掴みで食べ始めた。

全員が左千夫の背中に好奇な視線を向け始めた。

「腐ったものは食べない。だから、大丈夫だ。」

僕がそう言ったけど、そう言う問題では無いらしく、数人が訝しそうにこっちを見つめていた。
左千夫は生で食べれる物、ハムや牛乳、野菜、等を片っ端から食べて行っている。
不思議と賞味期限の切れたものや腐ったものは食べないのが不思議だ。
そうしていると、千星の方へと一つのチーズが転がって行った。
左千夫の視線がそれを自然と追う。

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【光】

左千夫がおかしい。
急に起きてみんなを無視して冷蔵庫の中身を漁っている。
意外な一面を見てしまった気がして、思わず視線を逸らした。
直接ありがとうって言うのはまた今度にしよう。

チーズが千星那由多と呼ばれる青い頭の男の元へと転がって行くのを、異常状態の左千夫は見逃さなかった。
そして、そのチーズを千星が拾う。

「は、はい……会長…」

おずおずと差し出したチーズを、千星の顔を見ずに左千夫は手に取った。
口の中に放り込むと無表情でもぐもぐと口を動かしている。
まるで……動物みたいだ。

「左千夫クン、今和奏がケーキ焼いてくれてるからね。
またちゃんと起きたら一緒に――――」

魚住さんがそう告げた瞬間だった。
左千夫の目が光った気がした。
そして、何故か目の前に差し出されたままの千星の手にかぶりついた。

「ったあああああああああああ!!!!!!」

「ちょっと左千夫クン!!」

「てめぇ何やってんだよ!!」

がじがじと千星の手を噛んでいる左千夫を周りの奴等が引っぺがすと、まだ左千夫は口をもぐもぐとさせていた。
どうやら魚住さんが言った「ケーキ」と言う単語に反応したみたいだ。
左千夫が甘い物を好きなのは知ってるけど……本能に従うような左千夫は初めて見た。

引っぺがされた左千夫は再び冷蔵庫へ向かうと、いくつか物色してから部屋を出て行った。
全員嵐が去ったと言うような表情で息を吐くと、賑やかなパーティが再び始まった。

僕は隅っこの方でライトニングと一緒にジュースを飲んでいた。
純聖と幸花はすっかり左千夫の仲間となじんでいるけど、僕は所詮他人だ。
早く終わらないかな、と思いながらチョコレートを頬張る。

「光、そんな隅っこにいるなよ」

純聖がこちらに気づき、側に寄ってくる。
口の中にいっぱいお菓子を詰め込み、ぼろぼろとこぼしていた。

「……汚いな……別に…今日はお前らが主役だろ。僕は関係ない」

「んなこと言うなよー!
ていうかおまえのせいで左千夫がきてくんなくてたいへんだったんだせ!
危うく幸花殺すとこだった!!
つーか…お前また暴走したのかよ!」

純聖のその言葉に僕はグラスを強く握った。
そうだ、純聖達になにがあったのかは知らないけど、左千夫がこんな事になったのは僕のせいでもある。
…暴走したのも事実だ。

「おいチビ、てめぇ喧嘩――――」

ライトニングが純聖に何かを言いかけたが、僕はそれを片手で制止させる。
そして、純聖を睨みつけた。

「うるさいな!!!!
僕の事なんて劣等生じゃないお前にはわかんないだろ!!!!
お前の……お前のそういう無神経なところが嫌いだ!!!!」

大きな声で叫んだのなんて、エーテルに来てから初めてかもしれない。

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【純聖】

びっくりした…。
勿論左千夫がいっぱい食ってる姿にもびっくりした。
でも、左千夫はもう直ぐしたら何事も無かった様に帰ってくるって言ってたから納得した。

それよりもだ。

俺、今、光に怒られた?
コイツいっつも俺が話しかけてもぼそぼそとしか返さない癖に。

「べ、別に、劣等生とかいってないだろ!」

「うるさい!だまれ!!」

「な!なんだよ!せ、せっかく話してくれたと思ったのに!んなこと言わなくていいだろ!
もーいい!!お前は俺のこと嫌いかもしんねーけど、俺は光と友達になりてーの!!
勿論、幸花とも!!待ってろー!!!!」

そうだ!調度良い!!
喧嘩した後ってのは仲直りができんだ!
んで、より仲良くなれるって言ってた!アニマルレンジャーが。

俺はパーティー会場から慌てて出て行くと自分の部屋に戻る。
そして、机の中から光に渡しそびれてた、アテネレンジャーのブルーを手にするとダッシュで走って戻った。

パーティー会場はシン…としていて、柚子由が光の方へと歩いていこうとしていたけど、ここは譲れなかった。
それよりも先に俺は光の前に出て、ズイっと押しつける様にマスコットを胸に押し付けた。

「やる。…なぁ、なんで、そーいうことちゃんといわねぇの?
俺、バカだからいってくんねーとわかんね。
それに、俺だって、お前のこと羨ましい。
だって、左千夫はお前ばっか訓練するだろ?」

左千夫が光を訓練するのは同じタイプの能力者だからだ。
そんなこと分かってる。

俺は光を真っ直ぐに見詰めたまま、マスコットを受け取るのを待った。

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【光】

言っても無駄だと思っていた自分の感情をぶちまけてやった。
心臓が物凄く早く脈打ち、息が荒い。
でもどこかスッキリしている自分がいた。

純聖は意味のわからない言葉を残して部屋を出て行った。
どうせ逃げたんだろうと思い、グラスに残ったジュースを飲み干すと、僕も自分の部屋に帰ろうと立ち上がる。
この部屋の空気がすごく悪い。
それは僕のせいなんだけど。

しかし、純聖はまた部屋に戻ってくると、何かを俺に押し付けてきた。
胸元に当たるそれに視線を落とすと、それはアニマルレンジャー…ではなく、アテナレンジャーのブルーのマスコット人形だった。
これが何なのか僕は知っている。
純聖が「かっこいい」だの「すごい」だの、散々話しているのを聞いていたからだ。

「こんなのいら――――」

いらない。
そう言おうとした時に純聖の言葉が落ちた。

それは初めてこいつから聞いた言葉だった。
いつも、いつもいつも無駄に煩いマシンガントークかまして、僕は愛想のない返事をするだけだったのに。
こいつは今、僕の事を気にかけている。
そして、羨ましいと言った。

「…………」

沈黙が続く。
純聖の顔を見れないままアテナレンジャーのマスコットにずっと視線を落としていた。
そして、この重い空気を破ったのは、幸花だった。

「……純聖、どうせ渡し忘れてただけでしょ……」

「!!う、うっせー!!こういうプレゼントは一番大事な時に渡すもんなんだよ!!」

そのやり取りに皆が笑った。
空気が柔らかくなると、隣にいたライトニングが僕の頭をくしゃりと撫でた。
素直になれよ、と言いたげに。
そっぽを向くと、押しつけられていたアテナブルーのマスコットを奪い取るように手に取る。

「……っ、お前のそういう間抜けな所が嫌いなんだ…。
でも、これは……貰っといてやる。
べ、別にお前の事友達とか思ったわけじゃないからな!!
……お前は僕の……ライバルだ……」

語尾はどんどん小さくなっていく。
妙に恥ずかしく純聖の顔は見れなかったが、なんだか胸はぽかぽかと暖かかった。

「……これからはどんどん言ってやるよ、純聖の……バカバカバカバカ!!」

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【天夜巽】

「な!なんだよー!んなにバカって言うこと無いだろ!!」

どうやら純聖くんと光くんの蟠りはとけたようだ。
それにしてもいいな、これくらいの年代はまっすぐで。

でも、きっとこの子たちはそんな生活もさせて貰えて無かったんだろう。
会長が助け出さなければ。

なら、会長はどうなのだろうか。
あの人はどれくらい研究施設と言う場所に居たのか。
会長も純聖くん達と同じように成功体と言われるものだろう。
本当に僕達には考えられない人生を送っていたのかな。

「すいません、遅れて。」

そう言って会長は姿を現した、服も着替えているし先程とは違い完全に正気を取り戻している。
しかも、先程の一件は無かったかのようにホールケーキを手にパーティー会場へと入ってきた。

そして、会長はそのホールケーキを自分の席の前へと置く。
座った瞬間に一気にエーテルの色んなメンバー会長の方へと歩いていく。
大人気だ。

「皆、駄目よ。それは左千夫君の分。」

そんな時に扉から女性の声が聞こえた。
その女性は白衣を纏い、会長が持ってきたホールケーキもかなり大きかったがそれよりも一回り大きなケーキを持って姿を現した。
エーテルのメンバーは会長に話したいことがあって行っただけだと思うけど、白衣の女性は皆がケーキを取りに行ったと勘違いしたのだろう。

「大変だったみたいね。大体は左千夫君から聞いたけど、柚子由ちゃんは後で私のところに来てね。
後、千星那由多君?君もね。」

「和奏。お疲れ様。」

「うんん。これくらい大丈夫よ。流石に左千夫君がキッチンの前で寝てたのにはびっくりしたけど。
おかげで運ぶ手間は省けたわ。」

魚住さんと和奏さんが話してる。
二人は夫婦で和奏さんはここの専属医らしい。
魚住さんと一緒で物腰が柔らかそうな人だ。

ここで研究施設が関わっていない一般人は和奏さんと三木さんだけらしい。
他は能力者や研究施設に売られた子供たちが一緒に暮らしている。

と、いうか、会長…そんなとこで寝てたんだ。
そう言えばケーキ焼いてるって聞いてたね、会長。
那由多の手齧っていたし。

さっきあれほど冷蔵庫のものを物色していたのに会長は美味しそうにケーキを食べていた。
普段は全く食べないのに…本当は底なしなのかな?

「あ。そういや、那由多、これー!!」

そう言って純聖君が何かブルーの物体を那由多もとい、その前にあるケーキにダイブするコースで投げつけていた。

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【千星那由多】

三木さんと俺が魚住さんの奥さんに呼ばれたのは、多分怪我の事だろう。
少しだけ痕は残っているが、痛みはもう無い。

会長も戻って来たので、和やかなムードでみんな楽しそうに会話をしている。
こんな日がずっと続けばいいのにと、皆の表情を見渡した後色々と思い出してしまい、顔を隠すように俯いた。

…十輝央先輩の事を気にしてもしょうがないのに。

そんな事を考えていた時だった。

「あ。そういや、那由多、これー!!」

純聖が俺の名前を呼ぶ。
反射的にそちらに向いた瞬間、真ん中の大きなホールケーキにふわふわと飛んで行く物体。
それは俺の…

「パンツ!!!!」

これでは折角のケーキに俺のパンツがトッピングされてしまう。
しかも可愛らしいトッピングではなく、今のこの気持ちいい空気をぶち壊す魔のトッピングになる!!

一瞬でこの後の事が頭に過った。
そして、パンツを掴もうと懸命に腕を伸ばす。

しかし、それよりも先に何かが俺の目の前を横切った。
それが何かはわからなかったが、飛んで来たパンツは目の前から消え、俺の伸びた手はホールケーキギリギリの所でぴたりと止まる。
危うくパンツより自分がダイブしてしまう所だった。

全員の視線が横へと逸れた。
俺のパンツが、壁に貼り付いている。
それを支えているのは、フォークだった。

「危ないでしょ、純聖君、那由多君。
ケーキが台無しになるところだったわ」

静まり返った部屋ににこやかな優しい声が響き渡った。
全員がパンツからその声の主の方へと視線を戻す。
その声の主、そしてあのフォークを投げたのは――――――和奏さんだった。

「「ご、ごめんなさい……」」

俺と純聖の謝罪の言葉が重なった。
いや、待て、俺は悪くない気が…などと和奏さんに言えるわけがなかった。
絶対フォークで串刺しにされる。

いそいそと立ち上がり壁に貼り付いたパンツを手に取ると、純聖がこちらに寄ってきた。

「ちゃんと受け取れよな!怒られちゃったじゃんか!」

「いや、お前が悪いし!俺悪くないし!!
つーかこれ……とある方の貢物にしたとか言ってなかったっけ…?」

そうだ、このパンツは確か純聖に取られたんだ。
あの時、会長のパンツを履くことになった苦い思い出を思い出しながら純聖をじとっと見つめた。

「……お、お前頑張ったからな!だから返してやるよ!
へっぽこな奴かと思ってたけど……い、色々ありがとう…」

そう言うと純聖は背中を向けた。
どうやら少しは俺の事を認めてくれたみたいだ。
もっと違う表現の仕方があるんじゃないのかと思ったが、純聖なりの精一杯の気持ちなんだろう。

「そっか……ありがと――――」

「ちなみに俺と幸花のサイン入りだからっ!!」

頭を撫でようとした手を避けられると、純聖は早々と俺から逃げて行く。
純聖と幸花の……サイン…入り?
その言葉に恐る恐るパンツに目を落とす。

俺のパンツには、でかでかとサインペンで純聖と幸花の名前が書いてあった。

「…………あのガキ共……っ」

純聖は会長の後ろへと隠れ、幸花とこっちを見て笑っている。
……まぁいいか。
あいつらが元気でいてくれれば、俺はそれでいい。
大きくため息をついたが、俺の顔は多分笑ってたと思う。

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【三木柚子由】

楽しい。
エーテルでの毎日はいつも楽しいけどこれだけ人が集まってのパーティは久しぶり。
お誕生日会はなるべくするようにはしているけど、それとはまた違う。

そんなパーティも直ぐに終わってしまうと全員で後片付けをした。
そして、その後に左千夫様が少し話したいことがあるといい皆を呼びとめたのでパーティ会場がそのまま会議の場となった。

「今日はお疲れさまでした。
エーテルの件はセキュリティーを怠っていた僕のミスです。
迷惑を掛けてしまってすいません。
セキュリティーに関しては用心棒を雇うことも考えたのですが…。
光の能力が開花したので、彼の動物と人間の同化能力を使って、今後は固めて行こうと思います。
先程、エル、ライトニング、チュマールの三人には了承を得ましたので。
後、リン……も、なぜか……一緒に説明を聞いてましたが…まぁ、それは後で九鬼と話します。」

そう言って左千夫様はクッキーさんの方をちらりと見ていた。

「さて、僕の兄の事も気になるのですが、なんにせよ決勝戦を勝つことで全てが片付きます。
他にもいくつか手は打とうと思っていますが、…いい案がなにも浮かんでないのが現状です。

更に、イデア…」

「アア、出たぞ。決勝戦の組み合わせダ。総当たり戦デ、愛輝凪はまずは、明雷鳴(アライナ) 高校と当たる、次に麗亜(レイア)高校、最後に羅呪祢(ロシュネ) 高校ダ」

総当たり戦と言うことは三校とも結局戦わなければならないということみたい。
十輝央さんのことを考えるととても胸が痛んだ。
彼はあんなに優しい人だったのに。
私は彼に渡そうと思っていた手紙の入ったポケットを強く握り締めた。

「後、種目ダナ。
種目はまずは電脳サバイバルゲーム、そして、コントローラーバドル、最後にルールを自由に決めれる戦闘が三回戦行われる。
詳しくは後でソコに書いてアル、目を通してオケ」

そう言って左千夫様は資料を私達に配って行った。
なんだか全てが気が進まなくなってしまってる。
うんん、でもだめ、もう一回ちゃんと十輝央さんと話さないと。
それに…一番つらいのは左千夫様の筈。

私はちらっと左千夫様に視線を向けたけどいつものように佇んでいた。

「明日から余り期間は有りませんが特訓を行いたいと思います。
特に那由多君、君には今回活躍して貰いますのでそのつもりで。

さて、今日はもう遅いですのでこのままここに泊って貰っても帰って貰っても構いません。
他校同士の戦闘は決勝戦まで禁止との通達がありましたので、羅呪祢が攻めてくることもないでしょうし。

また、明日、訓練施設に来てください。
それでは解散します。」

そう告げると左千夫様は立ちあがった。
直ぐに部屋を出て行ってしまうその背中を見つめることしかできなかった。
きっと、左千夫様は今からまたエーテルのセキュリティを見直すのだろう。
本当に…私、彼の役に立てているのかな。

戦闘が絡むといつも沸き上げるこの気持ちがいつか消える日はくるのかな。

-----------------------------------------------------------------------

【千星那由多】

予選が終わったので、晴生の家に泊まる事も無くなった俺は、自分の家へ帰宅することにした。
数日も経たない内に地区聖戦の決勝が始まる。
結局十輝央先輩とは闘うことになるわけだ。

そして、会長が言っていた「俺が活躍することになる」という言葉に、胃がキリキリと痛んだ。
俺が活躍できる場なんてあるんだろうか。
その期待の言葉だけで今日は眠れ無さそうだ。

「おい……お前ら」

巽と晴生と共にエーテルを出た所で、後ろから声をかけられる。
この声は……光だ。
振り向くと視線を外したまま何やらまごついている。

「どうしたの?」

巽が微笑みながら光に声をかけると、眼鏡の向こうから視線だけをこちらに向けた。
そしてぼそぼそと喋り始める。

「……お前ら、アテナレンジャーだろ……」

「あ?目上には敬語使えって習ってねーのかガキ」

「日当瀬」

晴生がそれを言うか、と思わず突っ込みたくなったが、光は二人の言葉を無視し何かを俺に差し出してきた。
それはさっき純聖が光にあげた、アテナレンジャーのブルーのマスコットだった。

「?」

「…声……僕だけ入ってないの嫌だから、声吹き込んで」

そう言えばこれってボイスレコーダー入ってたな。
純聖達がいるところで言うのは恥ずかしかったんだろうか。

「ん、わかった」

差し出されたアテナブルーのマスコットを手に取ると、口元へ近づける。
何を吹き込めばいいのかわからず少し迷っていると、全員の視線がこちらに向いていた。

「ちょ!聞くな!!恥ずかしいから!!」

その場から逃げるように距離を置くと、三人に背中を向ける。
こういう時ってやっぱヒーローみたいなの望んでるもんだよな…。
俺にそんなヒーローっぽい言葉を言う資格もないし…。

「…………」

大きく息を吸うと、録音ボタンへと指を置いた。
今日起きた出来事、色んな情景が頭を掠めて行く。
純聖と幸花、そして光の顔が思い浮かんだ。
こいつらがデカくなったら、どんな人生を歩むんだろうか。
せめて、いい人生であって欲しい。
笑って、泣いて……色んな人と出会って。
俺が少しずつ変わっていけているように、光も、もちろん純聖や幸花たちも、いい方向に変わっていってほしい。

「…………――――」

言葉を吹き込むとボタンから手を離し、光の元へと戻った。

「ほい、中身は一人で聞けよ。恥ずかしいから」

マスコットを手渡すと、光は少し笑った気がしたが、その表情を隠すように「ありがと」とだけ言ってエーテルへと戻っていった。
その姿を見送り、俺達は帰路を辿る。

「ねぇ、那由多、なんて吹き込んだの?」

二人からしきりに何を録音したのか聞かれたが、俺は絶対に答えなかった。
これは、俺と光の秘密だ。
ていうか、絶対にこいつらには恥ずかしいから言えない。

『友達も、いいもんだぞ』

なんて。 





   



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