2 / 4
叶ったけど敵わない
しおりを挟む
フレンド申請したであろう人のプロフィールにはひらがなで3文字 「はるか」 とあった。
このアプリではどうやらフレンド申請をする際に自己紹介として短文を同時に送れる機能があるらしく、一言メッセージ、と書かれた欄にはこう書かれてあった。
『結城、だよね?このメッセージが届いちゃったってことはもう私はとっくに死んでて結城もそれ知ってるんだもんね、ごめんね。だけど前に友だちが教えてくれたの、もし自分が死んだとき自分と両想いの人が居たらその二人のスマホにチャットアプリが入るんだって。私このこと全然信じてなかったけど本当なんだね。結城が私のこと強く想ってくれてる人だなんて思いもしなかったよ。』
俺はしばらく放心状態から抜け出せなかった。
死んだはずの春香から連絡が来ている。
春香と両想いであることが利用条件のアプリが俺のスマホに入っている。
春香とまた喋れる...
春香と、春香に...
想いを伝えられる。
叶った。叶っちゃった。
いきなり人生のどん底に突き落とされたかと思ったが少しだけ回復できそうだ。
早速フレンド申請を認可してこちらからもフレンド申請を送った。
すぐに認可され、今までなかった 「チャット」 と書かれたアイコンが出てきた。
俺はすぐにそのアイコンをタップし、春香にメッセージを送った。
『本当に春香なのか?』
『逆に私が聞きたい。本当に結城なの?』
『俺は本物の結城だよ、ていうか春香と両想いっていう真実と春香とまた喋れるっていう真実が大きすぎてまだ実感湧いてないんだけど』
『それ私もびっくりしたんだよね』
『というと?』
『嫌われてない自信はあったけど好かれてる気しなかったもん』
『大好きだけど?』
『だって笑ってなかったじゃん、私達が付き合ってるってからかわれたとき。』
『だって本当に好きだったからこそ、笑えなかったんだよ。』
『私は嬉しかったけどね?』
『春香が"そんな関係じゃないよ"って言う度悲しかった。』
『そんな関係になりたいけどなれないんだ、って意味で言ってたんだよあれは。』
『そんなの分からないし...』
『ねぇ結城、提案なんだけどさ?』
『いきなりだね、どうしたの?』
『今からでも私達付き合わない?』
『え?』
『このアプリがいつまで使えるかわからないけどさ、せっかくまた結城と喋れるならその間だけでも恋人同士でいたいな、って。』
『春香からそう言ってもらえてすごい嬉しい、ありがとう。あと、その間だけでもじゃなくてずっとね?このアプリ使えなくなってからも春香の事以外好きになれなさそうだし。』
『こら、まだ若いんだからちゃんと恋愛しないともったいないでしょ?』
正直に言って俺はかつてここまで色々な感情を一気に味わったことがなかったので未だ混乱状態だったがこれからも春香と喋れることが嬉しすぎて、春香と気持ちが通じ合ったことが幸せで、今は、今だけは
「時が止まればいいのに。」
つぶやくと同時か、少し遅れたくらいのタイミングで春香からメッセージが届いた。
『このまま時が進まなかったら良いのに』
同じことを考えていたことに驚き、すぐにメッセージを送る。
『そうだね、』
『って結城なら考えるんじゃないかなって送ってみた。』
やられた!
やっぱり春香には敵わないや。
『なんだ、春香は思ってないの。』
『思ってないね、私は時が戻ればいいと思ってる。』
『それ言うなら俺もなんだけど?』
『まねっこだまねっこだ、結城くんが私のまねっこした!』
『うるさい、そう思ってるのは本当だから良いじゃん。』
『まぁそれはそれとして、今そっち何時?』
『いきなりだな、午後11時53分だよ。』
『明日学校は?』
『ふつうにあるけど?』
『寝なさい。』
『もうちょっと話してようぜ~』
『だめ、ただでさえだいちゅきな私がいなくなって寝不足なんでしょ?』
『寝不足どころか飯も食ってないから体力値はもうマイナス限界突破だよ。』
『なおさら寝なさい。』
『まだ眠たくないし、』
『ちっちゃい子みたいなこと言わないの、明日もきっと喋れるんだから。ね?』
『わかった、寝りゃ良いんでしょ。寝ますよ、はい寝ます。』
『素直じゃないなあ』
『なぁ春香』
『何?』
『おやすみ、愛してるよ。』
『そんなの反則じゃん!!』
『ねぇ待ってよ!』
『結城!?』
『言い逃げは酷いと思うんだけど...』
『その言葉私も言いたいのにな。』
~
『メッセージの送信が取り消されました』
『メッセージの送信が取り消されました』
『メッセージの送信が取り消されました』
『メッセージの送信が取り消されました』
朝、目が覚めると通知がすごいことになってた。
「何だこの取り消しの量...」
とりあえず見なかったことにしてもう春香が居ない学校へと足を向けた。
このアプリではどうやらフレンド申請をする際に自己紹介として短文を同時に送れる機能があるらしく、一言メッセージ、と書かれた欄にはこう書かれてあった。
『結城、だよね?このメッセージが届いちゃったってことはもう私はとっくに死んでて結城もそれ知ってるんだもんね、ごめんね。だけど前に友だちが教えてくれたの、もし自分が死んだとき自分と両想いの人が居たらその二人のスマホにチャットアプリが入るんだって。私このこと全然信じてなかったけど本当なんだね。結城が私のこと強く想ってくれてる人だなんて思いもしなかったよ。』
俺はしばらく放心状態から抜け出せなかった。
死んだはずの春香から連絡が来ている。
春香と両想いであることが利用条件のアプリが俺のスマホに入っている。
春香とまた喋れる...
春香と、春香に...
想いを伝えられる。
叶った。叶っちゃった。
いきなり人生のどん底に突き落とされたかと思ったが少しだけ回復できそうだ。
早速フレンド申請を認可してこちらからもフレンド申請を送った。
すぐに認可され、今までなかった 「チャット」 と書かれたアイコンが出てきた。
俺はすぐにそのアイコンをタップし、春香にメッセージを送った。
『本当に春香なのか?』
『逆に私が聞きたい。本当に結城なの?』
『俺は本物の結城だよ、ていうか春香と両想いっていう真実と春香とまた喋れるっていう真実が大きすぎてまだ実感湧いてないんだけど』
『それ私もびっくりしたんだよね』
『というと?』
『嫌われてない自信はあったけど好かれてる気しなかったもん』
『大好きだけど?』
『だって笑ってなかったじゃん、私達が付き合ってるってからかわれたとき。』
『だって本当に好きだったからこそ、笑えなかったんだよ。』
『私は嬉しかったけどね?』
『春香が"そんな関係じゃないよ"って言う度悲しかった。』
『そんな関係になりたいけどなれないんだ、って意味で言ってたんだよあれは。』
『そんなの分からないし...』
『ねぇ結城、提案なんだけどさ?』
『いきなりだね、どうしたの?』
『今からでも私達付き合わない?』
『え?』
『このアプリがいつまで使えるかわからないけどさ、せっかくまた結城と喋れるならその間だけでも恋人同士でいたいな、って。』
『春香からそう言ってもらえてすごい嬉しい、ありがとう。あと、その間だけでもじゃなくてずっとね?このアプリ使えなくなってからも春香の事以外好きになれなさそうだし。』
『こら、まだ若いんだからちゃんと恋愛しないともったいないでしょ?』
正直に言って俺はかつてここまで色々な感情を一気に味わったことがなかったので未だ混乱状態だったがこれからも春香と喋れることが嬉しすぎて、春香と気持ちが通じ合ったことが幸せで、今は、今だけは
「時が止まればいいのに。」
つぶやくと同時か、少し遅れたくらいのタイミングで春香からメッセージが届いた。
『このまま時が進まなかったら良いのに』
同じことを考えていたことに驚き、すぐにメッセージを送る。
『そうだね、』
『って結城なら考えるんじゃないかなって送ってみた。』
やられた!
やっぱり春香には敵わないや。
『なんだ、春香は思ってないの。』
『思ってないね、私は時が戻ればいいと思ってる。』
『それ言うなら俺もなんだけど?』
『まねっこだまねっこだ、結城くんが私のまねっこした!』
『うるさい、そう思ってるのは本当だから良いじゃん。』
『まぁそれはそれとして、今そっち何時?』
『いきなりだな、午後11時53分だよ。』
『明日学校は?』
『ふつうにあるけど?』
『寝なさい。』
『もうちょっと話してようぜ~』
『だめ、ただでさえだいちゅきな私がいなくなって寝不足なんでしょ?』
『寝不足どころか飯も食ってないから体力値はもうマイナス限界突破だよ。』
『なおさら寝なさい。』
『まだ眠たくないし、』
『ちっちゃい子みたいなこと言わないの、明日もきっと喋れるんだから。ね?』
『わかった、寝りゃ良いんでしょ。寝ますよ、はい寝ます。』
『素直じゃないなあ』
『なぁ春香』
『何?』
『おやすみ、愛してるよ。』
『そんなの反則じゃん!!』
『ねぇ待ってよ!』
『結城!?』
『言い逃げは酷いと思うんだけど...』
『その言葉私も言いたいのにな。』
~
『メッセージの送信が取り消されました』
『メッセージの送信が取り消されました』
『メッセージの送信が取り消されました』
『メッセージの送信が取り消されました』
朝、目が覚めると通知がすごいことになってた。
「何だこの取り消しの量...」
とりあえず見なかったことにしてもう春香が居ない学校へと足を向けた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
私の日常
アルパカ
青春
私、玉置 優奈って言う名前です!
大阪の近くの県に住んでるから、時々方言交じるけど、そこは許してな!
さて、このお話は、私、優奈の日常生活のおはなしですっ!
ぜったい読んでな!
いとでんわ
こおり 司
青春
村瀬隼人は大学受験を控える高校3年生で、夏期講習とアルバイトをこなす夏休みを過ごしていた。
ある日、何気なく作った糸電話を自室の窓から下ろしてみると、アパートの下の階に住む少女である橘葵から返答があった。
糸電話での交流を続けるうちに彼女の秘密を知ることになった隼人は、何時しか葵の願いを叶えたいと思うように。
同じ高校に通う幼なじみの友人にも協力してもらい行動を始める。
大人になりかけの少年少女たちの1ヶ月の物語。
泣かないで、ゆきちゃん
筆屋 敬介
青春
【 彼女のお気に入りの色鉛筆の中で、一本だけ使われていないものがありました。
それは『白』。
役に立たない色鉛筆。 】
ゆきちゃんは、絵を描くことが大好きな女の子でした。
そんな絵も笑われてしまう彼女は、いつも独りでスケッチブックを開いていました。
得意なモノも無く、引っ込み思案のゆきちゃん。
でも、ゆきちゃんと白には、彼女たちだからこその『特別な力』があったのです。
高校生になったゆきちゃん。
ある日、独りで絵を描く彼女のもとに憧れの先輩が現れます。先輩は彼女自身も知らない魅力に気が付いて……。
1万4千字の短編です。お気軽にお読みくださいな。
坊主の決意:ちひろの変身物語
S.H.L
青春
### 坊主のちひろと仲間たち:変化と絆の物語
ちひろは高校時代、友達も少なく、スポーツにも無縁な日々を過ごしていた。しかし、担任の佐藤先生の勧めでソフトボール部に入部し、新しい仲間たちと共に高校生活を楽しむことができた。高校卒業後、柔道整復師を目指して専門学校に進学し、厳しい勉強に励む一方で、成人式に向けて髪を伸ばし始める。
専門学校卒業後、大手の整骨院に就職したちひろは、忙しい日々を送る中で、高校時代の恩師、佐藤先生から再び連絡を受ける。佐藤先生の奥さんが美容院でカットモデルを募集しており、ちひろに依頼が来る。高額な謝礼金に心を動かされ、ちひろはカットモデルを引き受けることに。
美容院での撮影中、ちひろは長い髪をセミロング、ボブ、ツーブロック、そして最終的にスキンヘッドにカットされる。新しい自分と向き合いながら、ちひろは自分の内面の強さと柔軟性を再発見する。仕事や日常生活でも、スキンヘッドのちひろは周囲に驚きと感動を与え、友人たちや同僚からも応援を受ける。
さらに、ちひろは同級生たちにもカットモデルを提案し、多くの仲間が参加することで、新たな絆が生まれる。成人式では、ロングヘアの同級生たちとスキンヘッドの仲間たちで特別な集合写真を撮影し、その絆を再確認する。
カットモデルの経験を通じて得た収益を元に、ちひろは自分の治療院を開くことを決意。結婚式では、再び髪をカットするサプライズ演出で会場を盛り上げ、夫となった拓也と共に新しい未来を誓う。
ちひろの物語は、外見の変化を通じて内面の成長を描き、友情と挑戦を通じて新たな自分を見つける旅路である。彼女の強さと勇気は、周囲の人々にも影響を与え、未来へと続く新しい一歩を踏み出す力となる。
夏の決意
S.H.L
青春
主人公の遥(はるか)は高校3年生の女子バスケットボール部のキャプテン。部員たちとともに全国大会出場を目指して練習に励んでいたが、ある日、突然のアクシデントによりチームは崩壊の危機に瀕する。そんな中、遥は自らの決意を示すため、坊主頭になることを決意する。この決意はチームを再び一つにまとめるきっかけとなり、仲間たちとの絆を深め、成長していく青春ストーリー。
覗いていただけだったのに
にのみや朱乃
青春
(性的描写あり)
僕の趣味は覗きだ。校舎裏で恋人同士の営みを覗き見するのが趣味だ。
今日はなんとクラスメイトの田中さんがやってきた。僕はいつも通りに覗いていたのだが……。
暴走♡アイドル ~ヨアケノテンシ~
雪ノ瀬瞬
青春
アイドルになりたい高校1年生。暁愛羽が地元神奈川の小田原で友達と暴走族を結成。
神奈川は横浜、相模原、湘南、小田原の4大暴走族が敵対し合い、そんな中たった数人でチームを旗揚げする。
しかし4大暴走族がにらみ合う中、関東最大の超大型チーム、東京連合の魔の手が神奈川に忍びより、愛羽たちは狩りのターゲットにされてしまう。
そして仲間は1人、また1人と潰されていく。
総員1000人の東京連合に対し愛羽たちはどう戦うのか。
どうすれば大切な仲間を守れるのか。
暴走族とは何か。大切なものは何か。
少女たちが悩み、葛藤した答えは何なのか。
それは読んだ人にしか分からない。
前髪パッツンのポニーテールのチビが強い!
そして飛ぶ、跳ぶ、翔ぶ!
暴走アイドルは出てくるキャラがみんなカッコいいので、きっとアイドルたちがあなたの背中も押してくれると思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる