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薄桜に滲む
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今日は転校生が来る。
あまり僕には関係のない話だ。
僕はいつも通り窓の外を眺めている。
『ガラッ…』
ドアが開いた。
そこには担任の山田と黒髪の女子がいた。
転校生だ、思ったより可愛い。だが、少し転校生の顔を見ると何か引っかかる。
わからない…でも、何か懐かしい感じがする。
山田が転校生を紹介し始めた。相変わらず適当な紹介の仕方だ。
『んじゃー、天崎 薫さんだから、よろしくしてあげてねー。』
『天崎 薫です、よろしくお願いします。』
彼女の声はとてもか細く透き通っていた。
『じゃー、席は霧夜の隣でいーかなー。』
まさかだ…彼女が隣に来るなんて思ってもいなかった。
『よろしくお願いします。』
彼女は優しい笑みで僕に話しかける。
『あぁ…よろしく。』
僕はよろしくとだけ言って、彼女のことを深くは詮索しなかった…
昼休み。やはり、天崎さんの机の周りには女子がたむろった。席が隣である僕にはいい迷惑だ。
天崎さんは戸惑いながらも、次から次にされる質問に丁寧に答えている。
今日の昼休みは、予鈴が鳴るまで女子の喋り声が聞こえていた。
昼からは、自分の嫌いな物理だったから、睡眠時間にあてた。天崎さんは何も言わなかった。
目がさめると授業は終わっていて、代わりに机の上には一枚の紙があった。
(霧夜さんへ 今日の放課後に学校案内をしていただけませんか?4時に教室で待っています。 天崎 薫 )
大人びた感じの字で書かれている。どうしようか…断る理由もない。だだ、なぜ僕なのだろうか?まぁ、いいか。
天崎さんの机の上に僕は、返事の紙を置いた。
(わかりました。4時に行きます。 霧夜 透)
『ガラッ…』
静かな教室でただ1人、天崎さんは待っていた。
『じゃあ、行こうか。』
僕は、彼女に声をかけた。
『あっ、はい!よろしくお願いします。』
彼女は礼儀正しく、言った。
彼女と歩くとなぜかとても懐かしい感じがする。それに、何か話した方がいいのだろうか?
『あの…』
先に口を開いたのは彼女の方だった。
『何?どうかした?』
僕は、彼女に答えた。
『霧夜さんは覚えていますか?私たちがまだ小さい頃に、一緒に遊んだことを。』
正直覚えていなかった。
『それは、僕?』
彼女は、すぐに答えた。
『はい、霧夜さんです。覚えてませんか?海で泳いだりしてたの。』
あぁ、なんとなく思い出した。祖父の家に行った時に出会った子が彼女なんだ。ずいぶん前だったから、わからなかった。
『あぁ、正直忘れてたよ。でも思い出した。』
彼女は笑って言った。
『霧夜さんは、恋をしたことがありますか?』
急な質問に戸惑った。だか、冷静になって考えたら、恋なんて一度もしてない。
『いや、したことないよ。』
彼女は、少し驚きまた笑った。そして、彼女の口から思わぬ言葉が出た。
『霧夜さんに、恋をさせてください。』
僕は彼女の言っていることがわからなかった。突然のことに頭がついていっていないのだ。思わずこたえてしまった。
『天崎さんの好きにしなよ。』
僕が答えたところで学校案内は終わった。彼女は満足そうに笑顔で僕に手を振り帰って行った。
学校案内を終えた自分は正直なところ少しばかり緊張し、困惑気味だった。そりゃそうだろう、数年ぶりに再開した天崎さんに告白されたようなものだ。しかしいったいなぜ僕なんかに…
その夜僕は懐かしい夢を見た
あまり僕には関係のない話だ。
僕はいつも通り窓の外を眺めている。
『ガラッ…』
ドアが開いた。
そこには担任の山田と黒髪の女子がいた。
転校生だ、思ったより可愛い。だが、少し転校生の顔を見ると何か引っかかる。
わからない…でも、何か懐かしい感じがする。
山田が転校生を紹介し始めた。相変わらず適当な紹介の仕方だ。
『んじゃー、天崎 薫さんだから、よろしくしてあげてねー。』
『天崎 薫です、よろしくお願いします。』
彼女の声はとてもか細く透き通っていた。
『じゃー、席は霧夜の隣でいーかなー。』
まさかだ…彼女が隣に来るなんて思ってもいなかった。
『よろしくお願いします。』
彼女は優しい笑みで僕に話しかける。
『あぁ…よろしく。』
僕はよろしくとだけ言って、彼女のことを深くは詮索しなかった…
昼休み。やはり、天崎さんの机の周りには女子がたむろった。席が隣である僕にはいい迷惑だ。
天崎さんは戸惑いながらも、次から次にされる質問に丁寧に答えている。
今日の昼休みは、予鈴が鳴るまで女子の喋り声が聞こえていた。
昼からは、自分の嫌いな物理だったから、睡眠時間にあてた。天崎さんは何も言わなかった。
目がさめると授業は終わっていて、代わりに机の上には一枚の紙があった。
(霧夜さんへ 今日の放課後に学校案内をしていただけませんか?4時に教室で待っています。 天崎 薫 )
大人びた感じの字で書かれている。どうしようか…断る理由もない。だだ、なぜ僕なのだろうか?まぁ、いいか。
天崎さんの机の上に僕は、返事の紙を置いた。
(わかりました。4時に行きます。 霧夜 透)
『ガラッ…』
静かな教室でただ1人、天崎さんは待っていた。
『じゃあ、行こうか。』
僕は、彼女に声をかけた。
『あっ、はい!よろしくお願いします。』
彼女は礼儀正しく、言った。
彼女と歩くとなぜかとても懐かしい感じがする。それに、何か話した方がいいのだろうか?
『あの…』
先に口を開いたのは彼女の方だった。
『何?どうかした?』
僕は、彼女に答えた。
『霧夜さんは覚えていますか?私たちがまだ小さい頃に、一緒に遊んだことを。』
正直覚えていなかった。
『それは、僕?』
彼女は、すぐに答えた。
『はい、霧夜さんです。覚えてませんか?海で泳いだりしてたの。』
あぁ、なんとなく思い出した。祖父の家に行った時に出会った子が彼女なんだ。ずいぶん前だったから、わからなかった。
『あぁ、正直忘れてたよ。でも思い出した。』
彼女は笑って言った。
『霧夜さんは、恋をしたことがありますか?』
急な質問に戸惑った。だか、冷静になって考えたら、恋なんて一度もしてない。
『いや、したことないよ。』
彼女は、少し驚きまた笑った。そして、彼女の口から思わぬ言葉が出た。
『霧夜さんに、恋をさせてください。』
僕は彼女の言っていることがわからなかった。突然のことに頭がついていっていないのだ。思わずこたえてしまった。
『天崎さんの好きにしなよ。』
僕が答えたところで学校案内は終わった。彼女は満足そうに笑顔で僕に手を振り帰って行った。
学校案内を終えた自分は正直なところ少しばかり緊張し、困惑気味だった。そりゃそうだろう、数年ぶりに再開した天崎さんに告白されたようなものだ。しかしいったいなぜ僕なんかに…
その夜僕は懐かしい夢を見た
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