13 / 47
13. 命より大切なもの
しおりを挟む
ノールストームの足音が迫り来る、グラスドノール城での二日目の夜。
初日と変わらぬ豪勢な歓待ぶりに、招待客たちは美酒に酔いしれ、ふたたび浮世を忘れ遊興に耽っていた。
今にも強風に雪が混じりそうだったが、ここにいる誰もが「それでも構わない」といった風情で、シャロワ伯爵より振る舞われる甘い汁で骨抜きにされている。
シャロワ伯爵とその一族、そして唯一エドガールだけが、どこまでも冷静に空騒ぎの推移を見守っていた。
そんな中ミレーユは、一族にその動きをさとられないよう注意しつつ、今夜の計画をどう阻止しようか頭を悩ませていた。
伯爵を説得しようなどと思わないほうがいい。掟絶対主義は揺らがないし、老体とはいえ経験豊富で頭も切れて弁も立つ。逆に説き伏せられるのは目に見えていた。
聖贄宴はミレーユのためであり、ひいては一族のため、世に生きる全人狼のためだという信念を持つ人だ。
しかも、一族の側近たちにがっちりガードされ、伯爵に近づくことさえ困難だった。
一族の誰かをこちらへ寝返らせるのも難しそうだ。少しでも話そうものならあっという間に情報が回り、ミレーユは東の塔に監禁され、聖贄宴は強行されるだろう。
唯一の味方は兄のピエールだけだったが、特別な権力を持つわけでもなく、非力な立場はミレーユと変わらないから目立つ助力は期待できない。
礼拝堂でピエール自身が口にしたように、若い兄妹は一族の監視下にあった。
どうしよう……。ダスブリア子爵にそれとなく忠告して、今夜中に城を出てもらう……?
しかし、窓の外は氷点下だ。こんな夜更けに旅をするのは正気の沙汰ではない。
そもそも、どうやって子爵を説得すればいいの? この城は人狼屋敷で危険だから、今すぐ逃げろと言えばいいの……?
たぶん笑い飛ばされるのがオチだ。子爵は信じないに違いないし、下手したらミレーユが異常者扱いされてしまう。
気ばかり焦り、具体的な策は見つからないまま、無情にも時間だけが流れていく。
そんなミレーユを尻目に、ダスブリア子爵は今宵も盛大に酔っ払い、近年の文学作品について「くだらんゴミだ」と批判を繰り返していた。
本を愛するミレーユにとってそれは残酷なものに映る。物語というのは誰が書いたものであれ、とても純粋な気持ちで綴られているものだ。
子爵の所業はたとえていうなら、純粋な子供がせっせと築いた砂の城を、歓声を上げながら踏み壊して回っているようだった。
さっきは政治を批判し、その前は教会を批判し、さらに前はギルドを批判し、ひたすら批判し続けないと死ぬ病にでもかかっているみたく、子爵は唾を飛ばし口汚く罵りまくる。
そのダミ声を耳にするだけで頭が痛くなり、内容はさっぱり入ってこなかった。
しかし、憎悪をわめき散らすこの男の命を、どうにかして救わなければならない。
夜会の間中ずっと、一族の者たちがダスブリア子爵を注視している、張りつめた空気を感じた。
伯爵が、大叔父が、叔父叔母といとこたちとその子供たちも皆、じっと子爵の動向を見張っている。
一族の結束は固く、全体が整然と統制の取れた動きをする。
今夜、速やかにダスブリア子爵は殺され、跡形もなく痕跡は消し去られ、ミレーユの前に肉塊となって供されるだろう。
そして、ダスブリア子爵は行方不明として発表されるに違いない。夜中、急に帰るとだだをこね、極寒の中一人飛び出し、不幸にも凍死して狼に食われたというストーリーがねつ造されて……
生まれてからずっと一族の間に身を置いてきたミレーユにとって、それぐらいは簡単に予想できた。シャロワ伯爵は社交界のみならず、政界や経済界、宗教界やマスコミに至るまで、影響を与えられる強大な力を持つことも知っている。
一族にとって子爵一人を葬り去るぐらい、赤子の手をひねるより簡単なのだ。
どうしよう。いったい、どうすればいいの……
焦れ焦れしながら、大騒ぎする人々の間を意味もなくうろうろと歩き回る。
子爵を説得するのは無理だわ。なにか、一族の足止めができるような、別の方法を考えないと……
夜中になにか騒動を起こし、招待客たち全員を叩き起こし、城のどこか一か所に集めさせればいい。そうすれば一族は手を出せないし、三時間も稼げれば恐らく計画は中止になるはず。
なにか騒動……騒動……誰も傷つかない、かつ、注目を集められる騒ぎ……
ミレーユは立ち止まり、一心不乱に考えた。
視線の先には燃え盛る暖炉の炎がある。
そのとき、冷ややかな隙間風で炎が大きく揺らめき、それが閃きとなってミレーユは顔を上げた。
……そうだ。あの方法なら安全に騒ぎが起こせるかも……
あれならたぶん、一族の目を誤魔化せる。
リスクはゼロじゃないけど、考えれば考えるほどいいアイデアな気がしてきた。
よし。まず、事前にこっそり子爵に助言するだけしてみよう。笑い飛ばされてもそれならそれで構わない。命より大切なものなんてないんだし……
そうと決まればさっそく準備しなければ。夜の零時まで時間はあまりない。
決意して一歩踏み出したとき、ふと視線を感じ、ミレーユは視線の主を探した。
ちょうど柱の影に隠れるようにして、エドガールがグラスを手に、こちらをじっと見ている。
……エドガール?
その視線は甘いものではなく、まるでミレーユを監視するような……一族のそれに似た、冷ややかさを感じた。
エドガール、いったいあなたは……?
眼差しでそう問いかけると、エドガールはふいっと顔を逸らし、遊技場のほうへ下りてしまう。
このときのエドガールの冷淡な眼差しが、いつまでも脳裏を離れなかった。
そうして、二日目の夜会は終わり、夜は更け……
すべての仕込みを終え、ネグリジェに着替えたミレーユはランプを手に暗い回廊を一人急ぐ。
零時まであと一時間もない。急がなくっちゃ……
今からダスブリア子爵の客室に行き、彼を説得するつもりだった。
一笑に付されてもいい。警告しないより、笑われたほうがマシだ。
これは子爵のためというより、後味悪い思いをしたくないミレーユ自身のためでもあった。
古びた城の回廊は静かで、暗く冷たく、お化けでも出そうな雰囲気だ。
毛皮のショールを羽織ってきたものの、息が白くなるほど空気は冷たい。
遠く聞こえる風のうなりは恐ろしく、壁に掛けられたロウソクがいっせいに揺らめくたび、ビクビクしなければならなかった。
ダスブリア子爵の客室は回廊の突き当りにある。
周りはすべて空室で、なにか起きても悲鳴が届くことはなく、そういった配置もすべて一族の計算どおりだった。
客室の前に到着し、ランプを掲げて扉を照らす。
古びた扉に耳をつけると、中に人のいる気配があった。
コンコン、と慎重にノックする。
……しかし、返事はない。
「子爵? ダスブリア子爵? ミレーユです。ミレーユ・ド・シャロワです。いらっしゃいますか?」
なるべく小さな声を掛け、もう一度ノックを繰り返した。
「夜分にすみません。どうしてもお話したいことがあり、失礼を承知で参りました。どうか開けてください……」
さらにノックを繰り返し、返事を待つ。
……子爵? いらっしゃらない? それとも、まさかもう……
突然、勢いよく扉が開き、腕を掴まれ引きずりこまれた。
「きゃっ……!」
引く力が強すぎて前につんのめり、眼前の人に抱きつく形になってしまう。
そのがっしりした屈強な体躯がダスブリア子爵らしからぬ感じがし、顔を上げてその人物の顔を見た。
思わず、息を呑む。
「え……? エドガール……?」
ランプの淡い灯りが、エドガール・ドラポルトの険しい美貌を映し出していた。
初日と変わらぬ豪勢な歓待ぶりに、招待客たちは美酒に酔いしれ、ふたたび浮世を忘れ遊興に耽っていた。
今にも強風に雪が混じりそうだったが、ここにいる誰もが「それでも構わない」といった風情で、シャロワ伯爵より振る舞われる甘い汁で骨抜きにされている。
シャロワ伯爵とその一族、そして唯一エドガールだけが、どこまでも冷静に空騒ぎの推移を見守っていた。
そんな中ミレーユは、一族にその動きをさとられないよう注意しつつ、今夜の計画をどう阻止しようか頭を悩ませていた。
伯爵を説得しようなどと思わないほうがいい。掟絶対主義は揺らがないし、老体とはいえ経験豊富で頭も切れて弁も立つ。逆に説き伏せられるのは目に見えていた。
聖贄宴はミレーユのためであり、ひいては一族のため、世に生きる全人狼のためだという信念を持つ人だ。
しかも、一族の側近たちにがっちりガードされ、伯爵に近づくことさえ困難だった。
一族の誰かをこちらへ寝返らせるのも難しそうだ。少しでも話そうものならあっという間に情報が回り、ミレーユは東の塔に監禁され、聖贄宴は強行されるだろう。
唯一の味方は兄のピエールだけだったが、特別な権力を持つわけでもなく、非力な立場はミレーユと変わらないから目立つ助力は期待できない。
礼拝堂でピエール自身が口にしたように、若い兄妹は一族の監視下にあった。
どうしよう……。ダスブリア子爵にそれとなく忠告して、今夜中に城を出てもらう……?
しかし、窓の外は氷点下だ。こんな夜更けに旅をするのは正気の沙汰ではない。
そもそも、どうやって子爵を説得すればいいの? この城は人狼屋敷で危険だから、今すぐ逃げろと言えばいいの……?
たぶん笑い飛ばされるのがオチだ。子爵は信じないに違いないし、下手したらミレーユが異常者扱いされてしまう。
気ばかり焦り、具体的な策は見つからないまま、無情にも時間だけが流れていく。
そんなミレーユを尻目に、ダスブリア子爵は今宵も盛大に酔っ払い、近年の文学作品について「くだらんゴミだ」と批判を繰り返していた。
本を愛するミレーユにとってそれは残酷なものに映る。物語というのは誰が書いたものであれ、とても純粋な気持ちで綴られているものだ。
子爵の所業はたとえていうなら、純粋な子供がせっせと築いた砂の城を、歓声を上げながら踏み壊して回っているようだった。
さっきは政治を批判し、その前は教会を批判し、さらに前はギルドを批判し、ひたすら批判し続けないと死ぬ病にでもかかっているみたく、子爵は唾を飛ばし口汚く罵りまくる。
そのダミ声を耳にするだけで頭が痛くなり、内容はさっぱり入ってこなかった。
しかし、憎悪をわめき散らすこの男の命を、どうにかして救わなければならない。
夜会の間中ずっと、一族の者たちがダスブリア子爵を注視している、張りつめた空気を感じた。
伯爵が、大叔父が、叔父叔母といとこたちとその子供たちも皆、じっと子爵の動向を見張っている。
一族の結束は固く、全体が整然と統制の取れた動きをする。
今夜、速やかにダスブリア子爵は殺され、跡形もなく痕跡は消し去られ、ミレーユの前に肉塊となって供されるだろう。
そして、ダスブリア子爵は行方不明として発表されるに違いない。夜中、急に帰るとだだをこね、極寒の中一人飛び出し、不幸にも凍死して狼に食われたというストーリーがねつ造されて……
生まれてからずっと一族の間に身を置いてきたミレーユにとって、それぐらいは簡単に予想できた。シャロワ伯爵は社交界のみならず、政界や経済界、宗教界やマスコミに至るまで、影響を与えられる強大な力を持つことも知っている。
一族にとって子爵一人を葬り去るぐらい、赤子の手をひねるより簡単なのだ。
どうしよう。いったい、どうすればいいの……
焦れ焦れしながら、大騒ぎする人々の間を意味もなくうろうろと歩き回る。
子爵を説得するのは無理だわ。なにか、一族の足止めができるような、別の方法を考えないと……
夜中になにか騒動を起こし、招待客たち全員を叩き起こし、城のどこか一か所に集めさせればいい。そうすれば一族は手を出せないし、三時間も稼げれば恐らく計画は中止になるはず。
なにか騒動……騒動……誰も傷つかない、かつ、注目を集められる騒ぎ……
ミレーユは立ち止まり、一心不乱に考えた。
視線の先には燃え盛る暖炉の炎がある。
そのとき、冷ややかな隙間風で炎が大きく揺らめき、それが閃きとなってミレーユは顔を上げた。
……そうだ。あの方法なら安全に騒ぎが起こせるかも……
あれならたぶん、一族の目を誤魔化せる。
リスクはゼロじゃないけど、考えれば考えるほどいいアイデアな気がしてきた。
よし。まず、事前にこっそり子爵に助言するだけしてみよう。笑い飛ばされてもそれならそれで構わない。命より大切なものなんてないんだし……
そうと決まればさっそく準備しなければ。夜の零時まで時間はあまりない。
決意して一歩踏み出したとき、ふと視線を感じ、ミレーユは視線の主を探した。
ちょうど柱の影に隠れるようにして、エドガールがグラスを手に、こちらをじっと見ている。
……エドガール?
その視線は甘いものではなく、まるでミレーユを監視するような……一族のそれに似た、冷ややかさを感じた。
エドガール、いったいあなたは……?
眼差しでそう問いかけると、エドガールはふいっと顔を逸らし、遊技場のほうへ下りてしまう。
このときのエドガールの冷淡な眼差しが、いつまでも脳裏を離れなかった。
そうして、二日目の夜会は終わり、夜は更け……
すべての仕込みを終え、ネグリジェに着替えたミレーユはランプを手に暗い回廊を一人急ぐ。
零時まであと一時間もない。急がなくっちゃ……
今からダスブリア子爵の客室に行き、彼を説得するつもりだった。
一笑に付されてもいい。警告しないより、笑われたほうがマシだ。
これは子爵のためというより、後味悪い思いをしたくないミレーユ自身のためでもあった。
古びた城の回廊は静かで、暗く冷たく、お化けでも出そうな雰囲気だ。
毛皮のショールを羽織ってきたものの、息が白くなるほど空気は冷たい。
遠く聞こえる風のうなりは恐ろしく、壁に掛けられたロウソクがいっせいに揺らめくたび、ビクビクしなければならなかった。
ダスブリア子爵の客室は回廊の突き当りにある。
周りはすべて空室で、なにか起きても悲鳴が届くことはなく、そういった配置もすべて一族の計算どおりだった。
客室の前に到着し、ランプを掲げて扉を照らす。
古びた扉に耳をつけると、中に人のいる気配があった。
コンコン、と慎重にノックする。
……しかし、返事はない。
「子爵? ダスブリア子爵? ミレーユです。ミレーユ・ド・シャロワです。いらっしゃいますか?」
なるべく小さな声を掛け、もう一度ノックを繰り返した。
「夜分にすみません。どうしてもお話したいことがあり、失礼を承知で参りました。どうか開けてください……」
さらにノックを繰り返し、返事を待つ。
……子爵? いらっしゃらない? それとも、まさかもう……
突然、勢いよく扉が開き、腕を掴まれ引きずりこまれた。
「きゃっ……!」
引く力が強すぎて前につんのめり、眼前の人に抱きつく形になってしまう。
そのがっしりした屈強な体躯がダスブリア子爵らしからぬ感じがし、顔を上げてその人物の顔を見た。
思わず、息を呑む。
「え……? エドガール……?」
ランプの淡い灯りが、エドガール・ドラポルトの険しい美貌を映し出していた。
0
お気に入りに追加
203
あなたにおすすめの小説
氷の貴婦人
羊
恋愛
ソフィは幸せな結婚を目の前に控えていた。弾んでいた心を打ち砕かれたのは、結婚相手のアトレーと姉がベッドに居る姿を見た時だった。
呆然としたまま結婚式の日を迎え、その日から彼女の心は壊れていく。
感情が麻痺してしまい、すべてがかすみ越しの出来事に思える。そして、あんなに好きだったアトレーを見ると吐き気をもよおすようになった。
毒の強めなお話で、大人向けテイストです。
決めたのはあなたでしょう?
みおな
恋愛
ずっと好きだった人がいた。
だけど、その人は私の気持ちに応えてくれなかった。
どれだけ求めても手に入らないなら、とやっと全てを捨てる決心がつきました。
なのに、今さら好きなのは私だと?
捨てたのはあなたでしょう。
俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね?〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜
明太子
BL
伯爵令息のエスメラルダは幼い頃から恋心を抱いていたレオンスタリア王国の国王であるキースと結婚し、王妃となった。
しかし、当のキースからは冷遇され、1人寂しく別居生活を送っている。
それでもキースへの想いを捨てきれないエスメラルダ。
だが、その思いも虚しく、エスメラルダはキースが別の令嬢を新しい妃を迎えようとしている場面に遭遇してしまう。
流石に心が折れてしまったエスメラルダは離婚を決意するが…?
エスメラルダの一途な初恋はキースに届くのか?
そして、キースの本当の気持ちは?
分かりづらい伏線とそこそこのどんでん返しありな喜怒哀楽激しめ王妃のシリアス?コメディ?こじらせ初恋BLです!
※R指定は保険です。
このたび、あこがれ騎士さまの妻になりました。
若松だんご
恋愛
「リリー。アナタ、結婚なさい」
それは、ある日突然、おつかえする王妃さまからくだされた命令。
まるで、「そこの髪飾りと取って」とか、「窓を開けてちょうだい」みたいなノリで発せられた。
お相手は、王妃さまのかつての乳兄弟で護衛騎士、エディル・ロードリックさま。
わたしのあこがれの騎士さま。
だけど、ちょっと待って!! 結婚だなんて、いくらなんでもそれはイキナリすぎるっ!!
「アナタたちならお似合いだと思うんだけど?」
そう思うのは、王妃さまだけですよ、絶対。
「試しに、二人で暮らしなさい。これは命令です」
なーんて、王妃さまの命令で、エディルさまの妻(仮)になったわたし。
あこがれの騎士さまと一つ屋根の下だなんてっ!!
わたし、どうなっちゃうのっ!? 妻(仮)ライフ、ドキドキしすぎで心臓がもたないっ!!
【完結】好きでもない婚約者に酔いしれながら「別れよう」と言われた
佐倉えび
恋愛
「別れよう、アルヤ」
輝かしい金の髪をかきあげながら、ゴットロープは酔いしれたように呟く――
私とゴットロープ様が対等だったことなどない――
*なろう様に掲載中のヒロイン視点の短編にヒーロー視点(R15)を加筆しています。
*表紙の美麗イラストは寿司Knight様に頂きました。ありがとうございます。
欲しいというなら、あげましょう。婚約破棄したら返品は受け付けません。
キョウキョウ
恋愛
侯爵令嬢のヴィオラは、人の欲しがるものを惜しみなく与える癖があった。妹のリリアンに人形をねだられれば快く差し出し、友人が欲しがる小物も迷わず送った。
「自分より強く欲しいと願う人がいるなら、譲るべき」それが彼女の信念だった。
そんなヴィオラは、突然の婚約破棄が告げられる。婚約者である公爵家の御曹司ルーカスは、ヴィオラを「無能」呼ばわりし、妹のリリアンを新たな婚約者に選ぶ。
幼い頃から妹に欲しがられるものを全て与え続けてきたヴィオラだったが、まさか婚約者まで奪われるとは思ってもみなかった。
婚約相手がいなくなったヴィオラに、縁談の話が舞い込む。その相手とは、若手貴族当主のジェイミーという男。
先日ヴィオラに窮地を救ってもらった彼は、恩返しがしたいと申し出るのだった。ヴィオラの「贈り物」があったからこそ、絶体絶命のピンチを脱することができたのだと。
※設定ゆるめ、ご都合主義の作品です。
※カクヨムにも掲載中です。
愛する殿下の為に身を引いたのに…なぜかヤンデレ化した殿下に囚われてしまいました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のレティシアは、愛する婚約者で王太子のリアムとの結婚を約1年後に控え、毎日幸せな生活を送っていた。
そんな幸せ絶頂の中、両親が馬車の事故で命を落としてしまう。大好きな両親を失い、悲しみに暮れるレティシアを心配したリアムによって、王宮で生活する事になる。
相変わらず自分を大切にしてくれるリアムによって、少しずつ元気を取り戻していくレティシア。そんな中、たまたま王宮で貴族たちが話をしているのを聞いてしまう。その内容と言うのが、そもそもリアムはレティシアの父からの結婚の申し出を断る事が出来ず、仕方なくレティシアと婚約したという事。
トンプソン公爵がいなくなった今、本来婚約する予定だったガルシア侯爵家の、ミランダとの婚約を考えていると言う事。でも心優しいリアムは、その事をレティシアに言い出せずに悩んでいると言う、レティシアにとって衝撃的な内容だった。
あまりのショックに、フラフラと歩くレティシアの目に飛び込んできたのは、楽しそうにお茶をする、リアムとミランダの姿だった。ミランダの髪を優しく撫でるリアムを見た瞬間、先ほど貴族が話していた事が本当だったと理解する。
ずっと自分を支えてくれたリアム。大好きなリアムの為、身を引く事を決意。それと同時に、国を出る準備を始めるレティシア。
そして1ヶ月後、大好きなリアムの為、自ら王宮を後にしたレティシアだったが…
追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
今更ですが、閲覧の際はご注意ください。
あなたに愛や恋は求めません
灰銀猫
恋愛
婚約者と姉が自分に隠れて逢瀬を繰り返していると気付いたイルーゼ。
婚約者を諫めるも聞く耳を持たず、父に訴えても聞き流されるばかり。
このままでは不実な婚約者と結婚させられ、最悪姉に操を捧げると言い出しかねない。
婚約者を見限った彼女は、二人の逢瀬を両親に突きつける。
貴族なら愛や恋よりも義務を優先すべきと考える主人公が、自分の場所を求めて奮闘する話です。
R15は保険、タグは追加する可能性があります。
ふんわり設定のご都合主義の話なので、広いお心でお読みください。
24.3.1 女性向けHOTランキングで1位になりました。ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる