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「……央樹さんも、おれと同じくらい重いですね」
「だろう? だからやめるなら……んっ」
 やめるなら今、と言おうと暁翔を振り返った時だった。そのまま顎を掴まれ、深くキスをされる。舌を絡め、吸われて口の中を舐められ、央樹は呼吸もままならなくて喉から声を漏らした。ゆっくりと、暁翔の唇が離れ、代わりに胸の先に触れられる。指の腹で押され、央樹の肌は温かい湯の中なのに震えだした。
「んっ、やっ……それ……」
「言ったじゃないですか。それよりも前から好きなんだって。だから、そのくらいがちょうどいいです……可愛い」
 指の先で両の乳首をひっかくように刺激されると、自分でも恥ずかしいくらい体が跳ねてしまう。
「はっ、ん……かわ、い、とか……言う、な」
 小さな乳首が赤くふっくらとするくらい、暁翔の手で愛でられ、央樹の体から力が抜ける。その体を後ろから支えた暁翔が微笑んだ。
「事実ですから、何度でも言いますよ。央樹さんは可愛いです」
 好きです、と耳元で囁きながら、暁翔が央樹の中心に手を伸ばす。既に上を向いているそれを暁翔の長い指が包んで優しく擦り上げる。
「あ、ん……ゆ、うき……」
「いきそうなら、いってもいいですよ」
 暁翔は央樹の中心を刺激したまま、もう片方の手で央樹の腰を撫でた。そのまま臀部へと滑り、その狭間に指を掛ける。
「そ、こ……」
「今日はまだ入れません。触るだけですから」
 央樹が驚いて振り返ると、優しい表情をした暁翔が央樹に小さくキスをする。けれど、窄みに掛かった指は、少し強引に中へと入って行った。
 怪我をした日以来、そこは使っていないので随分窮屈になっているはずだ。央樹自身も意識していないのに力が入ってしまう。
「ごめ、結城……指、痛かったら、抜いて……」
「謝る事じゃないです。おれは嬉しいですよ。ちゃんと、央樹さんの気持ちいいトコ、探しますね」
 暁翔が手を動かす度に、ちゃぷ、と湯船が波立つ。静かなバスルームに響くのは自分の荒い息とそんな水音だけで、すごく恥ずかしかった。央樹は片手で自身の口を塞いで、なるべく声が漏れないように唇を噛み締める。
「んっ、んっ……んんっ!」
 けれど、自分の後ろを探っていた暁翔の指が一点に触れると我慢できないほどの快感が央樹の体を駆けていく。
「声、もっと聴かせてください」
「ん、でも……ひ、びく、から……」
「聞かせて、央樹さん。おれは聞きたい」
 優しく言われ、央樹は噛んでいた唇を緩めた。それと同時に暁翔が両手の指を早く動かす。前も後ろも強く刺激され、央樹の目の前はチカチカと星が飛んでいた。
「も、いく……!」
「央樹さん、脚、借ります」
 央樹の体を抱き上げ、膝立ちにさせた暁翔は自身の中心を央樹の足の間に挟み、そのまま腰を動かした。
「え、あ、やっ……」
 暁翔の中心が自分のものに擦れ、本当に後ろから犯されているような感覚に、央樹は戸惑った。けれど、今までの何よりも気持ちが良かった。
「やばっ、きもち……」
 耳元で暁翔の声がする。年相応なくだけた言葉がなんだか嬉しかった。
「ゆ、うき……も、いくっ」
「おれもです。央樹さん、好き……好き」
 好きと繰り返す暁翔の声が心地良くて、央樹はすぐに達してしまった。少し遅れて暁翔の中心からも白濁が零れる。
 膝立ちでいられなくなった央樹はそのままぺたりとバスタブの中に座り込んだ。そんな央樹を暁翔が後ろから抱きしめる。
「ちょっと、のぼせましたね」
「そうだな……」
 お湯だけでなく、暁翔自身にものぼせてしまった気がする。なんだか恥ずかしくて視線を泳がせる央樹を置いて、暁翔がバスタブから出た。そのまま央樹に手を差し伸べる。
「あがりましょうか」
「ああ」
 笑顔の暁翔に手を伸ばすと、それを掴んで引き上げられる。バスタブを出ると、そのまま抱きしめられた。
「好きです、央樹さん」
 ぎゅっと背中を支える腕が心地いい。けれど、暁翔の告白には何も返すことが出来なかった。
 暁翔を好きだと言える自信は、央樹にはまだなかった。
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