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71 ■ FIRE 03 ■
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ピチャピチャと水の音がする。
気持ちいい。
小さい頃、川でよくブラウニーと遊んだ。
とても楽しかった。
あの頃に戻りたい。
ブラウニーといるといつも楽しかった。
いつかまたあんな風に、一緒にいられることが当たり前で。
それを心配することなく……過ごしたい。
「……ム」
誰かが頬を優しく叩く。
「プラム!!」
誰かが私を強く抱きしめる。
「プラム!! 起きろ!! 目を開けろ!!」
ぼんやりと目を開ける。
開けたけど目が見えなかった。
耳も良く聞こえないけど、わかる、これはブラウニーだ…。
「プラム……わかるか?聞こえるか!?」
うん、聞こえるよ…わかるよ。
どうしてか口が動かなくて言えない。
「リンデン様! リンデン様!!」
他の誰かの声が聞こえた。
リンデン……?
リンデン何かあったの?
何がどうなってるの……。
慣れて目が少し見えるようになってきた。
ふと、自分の手足が見えた。
酷い、焼けただれて真っ黒だ。服もあちこち燃えてる。
とても痛いのに、悲鳴がでない。
ああ、ジャスミンに襲われたんだった……。
顔も酷いことになってるのかな。
やだな、ブラウニーに見られたくない。
見ないでほしい。
なのに抱きしめる力は強くて……痛い。
ほんと、大丈夫、そのうち治るから。今回のは時間かかりそうだけど。
そんなに心配しなくて大丈夫。
大丈夫だよ……。
水の音がする、ずっと雨の音がする。
雨、気持ちいいな…。
あれ……この雨音……
ひょっとしてリンデンお兄様に魔法使わせちゃったのかな。
お兄様、魔法怖くて使えないって言ってたのに。
どうしよう。
「……プラムの意識は戻ったかい?」
皇太子殿下のかすれた声が聞こえた。
ブラウニーは答えない。
「……っ」
その代わりに私を隠すように抱きしめた。
ガタガタと震える手で。
ブラウニーに大丈夫だって言いたい……。
私は、教会で雨が降った日、窓際に腰掛けて外を眺めるのが何気に好きだったのを思い出した。
退屈だったけど、穏やかな日々。
今はなんでこんなトラブルだらけなんだろう。
帰りたい、退屈で平和で、当たり前のようにブラウニーといられたあの頃に。
※※※
……
……
私は目を開けた。
リーブス公爵家の自分のベッドだ、と思った。
わかる、ブラウニーが手を握っている。
……あれ、ブラウニーも火傷してる…?
「プラム……」
涙で目を腫らしたブラウニーが視界に入ってきた。
「……」
口パクパクしたけど、声が出なかった。
誰かが、少し身体を起こしてくれて、水差しで水をくれた。
手に見覚えがあった。
これは……アドルフさんだ。
アドルフさんの大きな手が震えてる。
「あ……」
水のおかげか声がでた。
……自分で自分に回復魔法をかけよう、もうできる。
あ……これちょっと時間かかるな……。
「はあ……」
長めの回復魔法をかけ終えて、私は一息ついた。
「プラム、プラム、プラム、プラム!!!」
それを見てブラウニーが抱きついて泣いた。号泣してる。
「ごめん……心配かけて……」
ブラウニーもあちこち火傷してるように見える……。
私は続けて回復魔法をかけた。
「馬鹿! オレなんて今はどうでもいいんだよ……」
アドルフさんの震える手が伸びてきて、私の頭を撫でる。
「もう、大丈夫か?」
非常に声が静かだ。
「大丈夫……」
アドルフさんがブラウニーとまとめて私を抱き寄せた。
「良かった……」
アドルフさんが涙を流した。
私達は何も語ることなく、しばらくそのままだった。
※※※※※※
どうやって助かったのかと言うと。
やはりあんなに大きな魔法を使用したら、あっというまに感知されて、サイレンが鳴ったそうだ。
私は全然聞こえなかったけど。
そして生徒会が、リンデンが一番最初に駆けつけた時、扉が崩れ落ちて、中に私の目立つ頭が倒れてるのが見えて――リンデンがためらうことなく魔法を使ったそうだ。
リンデンは大量の雨を降らせた。
そして自分の身体を傷つけた。
お兄様、全力で守ってくれるって言っても、自分を犠牲にしちゃだめだよ……。
リンデンが倒れる前にブラウニーを呼べと、誰かに言って、それがブラウニーに伝わって、あの現場の状態だったそうだ。
皇太子殿下も光の魔法を使用されて、火を蹴散らしてくれたらしい。
私は体中に火傷を負って、目を背けたくなるような状態だったそうだ。
自動回復がなければ死んでいた。
聖魔法の先生や生徒も何人か動員されたらしいが、私とブーさんは火傷が酷くて、彼らの実力ではかなり時間がかかる状態だったらしい。
何よりも公爵家の跡取りで王位継承権3位の兄様が倒れたので、さらにそっちに人員割かれたりして……とにかく現場は大混乱した。
なお、皇太子殿下が自分の専属医師を私のために派遣してくれて、さっきまで回復魔法をかけていてくれたらしい。ただ、私が自動回復持ちなこともあって、私が危篤を脱した時点で帰られたとか。
私の火傷が酷くて魔力がスカスカになっちゃったんだって。申し訳ない……。
「……お兄様を助けなきゃ」
しかし、ブラウニーが抱きついて離れないし、アドルフさんもまたそうだった。
私は少し身をよぎったが、回復魔法かけたのに、まだクラクラする。
「身体は回復できても、ショックが残ってるんだ。もう少し休んだ方がいい。
リンデンは、専属医師とフリージア令嬢とギンコが三人がかりでついて、今治療中だ。
どうしてもそれに参加するって言うなら自分の身体が万全になってからにするんだ、プラム」
アドルフさんがそう言った。
「ジャスミンは……」
「あんなヤツのこと口にもするな!!!」
ブラウニーが怒鳴った。
身体全身が震えてる。
「ジャスミンという娘は火属性で攻撃してる現場を抑えられて、速攻で投獄された。……もう二度と会うことはないだろう」
アドルフさんが静かな声で言う。
「そう」
「……お前と一緒にいたやつは、どうなったかは知らんが、一旦は病院に搬送されていると思う」
ブラウニーの頭を撫でながら、アドルフさんが言った。
ざまあ、とかは思わない。
なんだか、後味が悪い。
「なんで『絶対圏』に接続しなかった! もう少しで……おまえ……」
ブラウニーが泣きながら怒った。
「悩んでたら、間に合わなくなって……ごめんね…」
ブラウニーも私を治すのによく『絶対圏』の接続を我慢したね。
多分アドルフさんが止めてくれたんだろう。
アドルフさんがブラウニーを私から引き剥がした。
「ブラウニー、とりあえずそろそろお前も落ち着け。プラムはもう大丈夫だから。借りた部屋に行って、シャワー浴びてこい」
ブラウニーからも煙の臭いがしていた。
「……」
それに気がついたのか、ブラウニーは涙を拭きながら、それでもアドルフさんの言葉に従って部屋を出ていった。
気持ちいい。
小さい頃、川でよくブラウニーと遊んだ。
とても楽しかった。
あの頃に戻りたい。
ブラウニーといるといつも楽しかった。
いつかまたあんな風に、一緒にいられることが当たり前で。
それを心配することなく……過ごしたい。
「……ム」
誰かが頬を優しく叩く。
「プラム!!」
誰かが私を強く抱きしめる。
「プラム!! 起きろ!! 目を開けろ!!」
ぼんやりと目を開ける。
開けたけど目が見えなかった。
耳も良く聞こえないけど、わかる、これはブラウニーだ…。
「プラム……わかるか?聞こえるか!?」
うん、聞こえるよ…わかるよ。
どうしてか口が動かなくて言えない。
「リンデン様! リンデン様!!」
他の誰かの声が聞こえた。
リンデン……?
リンデン何かあったの?
何がどうなってるの……。
慣れて目が少し見えるようになってきた。
ふと、自分の手足が見えた。
酷い、焼けただれて真っ黒だ。服もあちこち燃えてる。
とても痛いのに、悲鳴がでない。
ああ、ジャスミンに襲われたんだった……。
顔も酷いことになってるのかな。
やだな、ブラウニーに見られたくない。
見ないでほしい。
なのに抱きしめる力は強くて……痛い。
ほんと、大丈夫、そのうち治るから。今回のは時間かかりそうだけど。
そんなに心配しなくて大丈夫。
大丈夫だよ……。
水の音がする、ずっと雨の音がする。
雨、気持ちいいな…。
あれ……この雨音……
ひょっとしてリンデンお兄様に魔法使わせちゃったのかな。
お兄様、魔法怖くて使えないって言ってたのに。
どうしよう。
「……プラムの意識は戻ったかい?」
皇太子殿下のかすれた声が聞こえた。
ブラウニーは答えない。
「……っ」
その代わりに私を隠すように抱きしめた。
ガタガタと震える手で。
ブラウニーに大丈夫だって言いたい……。
私は、教会で雨が降った日、窓際に腰掛けて外を眺めるのが何気に好きだったのを思い出した。
退屈だったけど、穏やかな日々。
今はなんでこんなトラブルだらけなんだろう。
帰りたい、退屈で平和で、当たり前のようにブラウニーといられたあの頃に。
※※※
……
……
私は目を開けた。
リーブス公爵家の自分のベッドだ、と思った。
わかる、ブラウニーが手を握っている。
……あれ、ブラウニーも火傷してる…?
「プラム……」
涙で目を腫らしたブラウニーが視界に入ってきた。
「……」
口パクパクしたけど、声が出なかった。
誰かが、少し身体を起こしてくれて、水差しで水をくれた。
手に見覚えがあった。
これは……アドルフさんだ。
アドルフさんの大きな手が震えてる。
「あ……」
水のおかげか声がでた。
……自分で自分に回復魔法をかけよう、もうできる。
あ……これちょっと時間かかるな……。
「はあ……」
長めの回復魔法をかけ終えて、私は一息ついた。
「プラム、プラム、プラム、プラム!!!」
それを見てブラウニーが抱きついて泣いた。号泣してる。
「ごめん……心配かけて……」
ブラウニーもあちこち火傷してるように見える……。
私は続けて回復魔法をかけた。
「馬鹿! オレなんて今はどうでもいいんだよ……」
アドルフさんの震える手が伸びてきて、私の頭を撫でる。
「もう、大丈夫か?」
非常に声が静かだ。
「大丈夫……」
アドルフさんがブラウニーとまとめて私を抱き寄せた。
「良かった……」
アドルフさんが涙を流した。
私達は何も語ることなく、しばらくそのままだった。
※※※※※※
どうやって助かったのかと言うと。
やはりあんなに大きな魔法を使用したら、あっというまに感知されて、サイレンが鳴ったそうだ。
私は全然聞こえなかったけど。
そして生徒会が、リンデンが一番最初に駆けつけた時、扉が崩れ落ちて、中に私の目立つ頭が倒れてるのが見えて――リンデンがためらうことなく魔法を使ったそうだ。
リンデンは大量の雨を降らせた。
そして自分の身体を傷つけた。
お兄様、全力で守ってくれるって言っても、自分を犠牲にしちゃだめだよ……。
リンデンが倒れる前にブラウニーを呼べと、誰かに言って、それがブラウニーに伝わって、あの現場の状態だったそうだ。
皇太子殿下も光の魔法を使用されて、火を蹴散らしてくれたらしい。
私は体中に火傷を負って、目を背けたくなるような状態だったそうだ。
自動回復がなければ死んでいた。
聖魔法の先生や生徒も何人か動員されたらしいが、私とブーさんは火傷が酷くて、彼らの実力ではかなり時間がかかる状態だったらしい。
何よりも公爵家の跡取りで王位継承権3位の兄様が倒れたので、さらにそっちに人員割かれたりして……とにかく現場は大混乱した。
なお、皇太子殿下が自分の専属医師を私のために派遣してくれて、さっきまで回復魔法をかけていてくれたらしい。ただ、私が自動回復持ちなこともあって、私が危篤を脱した時点で帰られたとか。
私の火傷が酷くて魔力がスカスカになっちゃったんだって。申し訳ない……。
「……お兄様を助けなきゃ」
しかし、ブラウニーが抱きついて離れないし、アドルフさんもまたそうだった。
私は少し身をよぎったが、回復魔法かけたのに、まだクラクラする。
「身体は回復できても、ショックが残ってるんだ。もう少し休んだ方がいい。
リンデンは、専属医師とフリージア令嬢とギンコが三人がかりでついて、今治療中だ。
どうしてもそれに参加するって言うなら自分の身体が万全になってからにするんだ、プラム」
アドルフさんがそう言った。
「ジャスミンは……」
「あんなヤツのこと口にもするな!!!」
ブラウニーが怒鳴った。
身体全身が震えてる。
「ジャスミンという娘は火属性で攻撃してる現場を抑えられて、速攻で投獄された。……もう二度と会うことはないだろう」
アドルフさんが静かな声で言う。
「そう」
「……お前と一緒にいたやつは、どうなったかは知らんが、一旦は病院に搬送されていると思う」
ブラウニーの頭を撫でながら、アドルフさんが言った。
ざまあ、とかは思わない。
なんだか、後味が悪い。
「なんで『絶対圏』に接続しなかった! もう少しで……おまえ……」
ブラウニーが泣きながら怒った。
「悩んでたら、間に合わなくなって……ごめんね…」
ブラウニーも私を治すのによく『絶対圏』の接続を我慢したね。
多分アドルフさんが止めてくれたんだろう。
アドルフさんがブラウニーを私から引き剥がした。
「ブラウニー、とりあえずそろそろお前も落ち着け。プラムはもう大丈夫だから。借りた部屋に行って、シャワー浴びてこい」
ブラウニーからも煙の臭いがしていた。
「……」
それに気がついたのか、ブラウニーは涙を拭きながら、それでもアドルフさんの言葉に従って部屋を出ていった。
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