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18 ■ LOVE IS POWER 03 ■
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「終わったみたいだね、ブラウニー」
私は神父の心臓を視た。動いていない。終わった。
「………どうもすっきりしない…な。全く反撃してこなかった。……随分と一方的な暴力をふるっちまった」
ブラウニーがぼんやり神父を見ている。
「多分……反撃しないことで、またブラウニーに、いやがらせで罪悪感残そうとしたんじゃないかな」
「……ありえる、な」
ブラウニーの顔に疲労の色が見える。
早く休ませてあげたい。
瘴気を消すために散らした花々はいまだに繰り返し咲いており、私達は手をつないで神父の瘴気が消えていくのを、しばらくそのまま見ていた。
……が。
「……ってプラムやばい、これ見ろ!」
ブラウニーが神父だったものを指差した。
「えっ!? なに? まだ生きてたりす――」
ブラウニーに言われて神父の肉体だったものを改めて、見ると――
顔がわからないくらいにボコボコで、メガネをかけたオールバックの金髪のおじさんが、頭にショートソード差して、体中にダーツ刺さって死んでる。
「……だれ、だ……?」
「ぶ、ぶらうにーい!!!知らないおじさん(人間)が死んでるよぉおおおーーー!?」
「あんの野郎、『憑依』してやがったのか!」
「わあああああ!何それええええ、生き返れええええええええええええ!!!」
私は涙目必死で超超超超回復&蘇りを試みた。
なんという幸運かおじさんは、息を吹き替えした。
気絶したまんまだけど。
これは今の『絶対圏』とやらの力があるから幸い出来たんだろうな。
この世には『憑依』という術がある……と後日アドルフさんに教えてもらった。
まさにこのように、人間に乗り移ったりして、社会にとけこんだりするらしい。主に魔族とかが。
私、あれだけ色々視えてたのに、憑依してる事は見破れなかったんだな……。
アドルフさんが言うには、私が憑依を知識として知らなかった事や、あのクソ神父がそれをひた隠しして見破らせなかったとかが重なったんじゃないかって言ってた。
――そして。
やれる事をやりつくした後――私は力尽きるように……展開した全魔力を収めた。
ブラウニーの髪も、いつもの色に戻った。
「ハア……ッはあ……」
あれ? 私、肩で息してる。
「あ……」
力が抜けて、抱きついていたブラウニーに、そのままもたれかかるように倒れそうになった。
「……っと大丈夫か?」
ブラウニーがハッとして抱きかかえてくれた。
いつもの力強さだ。それがなんか嬉しい。
「ありがとう。ごめん、ブラウニーのほうが疲れてるのにね。急に、眠気が……」
「ね……ブラウニー、……もう大丈夫だよ。チビたちみんな助けたの君も視えたよね? もう、みんな大丈夫だから…」
「元気、だしてね……?」
その時の精一杯の笑顔を浮かべた。
ブラウニーがギュッと強く抱きしめてくれるのを感じた。
ああ、でも、なんだろう、こんなに眠いの初めて。抗えない。
ごめん、ちょっと……寝るね?
言葉で伝えられたかどうかわからないけど、私はそのまま眠ってしまった。
――その眠りの中。
夢に神父が現れた。
嗚呼、ご健在でお元気そうで反吐がでます。
『ひどいなぁ、プラム。僕を追い出すなんて』
『でもすごいね、成長したね。愛の力ってすごいね。お父さんは嬉しいよ?』
赤い瞳を光らせてクスクス笑ってる。
お父さんって一体どの口が言ってるの?
『まあ、いいや。……また会おうね。』
『愛してるよ……』
蔑んでいるのか、慈しんでいるのかわからない笑顔で――消えた。
もう二度と来ないでください。
クソ神父がいなくなった空間で私はしばらく立ち尽くしていたが、しばらく自分が目覚めることができないのを感じた。
……私はブラウニーを絶望から救えただろうか。
目覚めた時にやっぱりブラウニーが元気なかったらどうしよう。
あと『絶対圏』は正直行き過ぎな力だったと思う……怖い女だと思われて嫌われてたらどうしよう。
あの力は決して悪いことに使った訳じゃない、むしろ教会を救って、ブラウニーを助けた力。
でも、あの力が身体に溢れていた時、高揚感があったのは事実だ。
認めなきゃ……私はハイテンションだった。
相手があいつだったから、まだ自分が許せる気がするけれど、あんな暴力は……人間のすることじゃないよね。
まるで神様にでもなった気分だった。
あいつ、相手が攻略対象だったらもっとすごいって言ってたけど……そもそも何故私はこんな力を持ってるの?
私は物語からはずれてるルートを歩んでるっていってるけど、もしルート通り攻略対象と恋仲になったりすると、その先にこの力を使う何かがあるってことだよね。
あいつもゲーム終盤うんたら言ってたし。
ココリーネ嬢が言ってた魔王を倒しに行くのかな?
……私じゃないと倒せないとか言ってたから、つまりそれはあの『絶対圏』を使うってことだろう。
世間知らずの私も、さすがにあれを他に使える人がいるとは思えない。
……けど私は今のところ、肉弾戦がまったくできないんだけど、その部分を攻略対象が担うのだろうか。
そもそも魔王って倒す必要あるの? 魔王なんか悪いことしてるの?
……ん? ……あいつ。
ひょっとしてクソ神父が魔王なのかな?
その可能性はありそう。うわ、やだなぁ……。
ゲーム終盤で使うって言ってたけど、魔王を倒すために必要ってことなら、『絶対圏』に触れるのは私が生きてるうちにあと一度くらいかもしれない。
……でも、ブラウニーになにかあったら使っちゃうかも。
そのうち答えのでない無意味な思考の時間が長々と続いてる事に気がついた。
やめた、無意味はよくない。何か実のあることを。
そうだ、起きるまで祈ろう。
夢の中から大切な人たちに祝福を贈ろう。
――神様。
強い力を与えてくださってありがとうございます。
でもまだ、お願いします。
もう二度と大切な人たちが危険な目にあいませんように。
どうか、どうかお願いします。
ああ、早く目覚めてブラウニーに会いたい。
私は神父の心臓を視た。動いていない。終わった。
「………どうもすっきりしない…な。全く反撃してこなかった。……随分と一方的な暴力をふるっちまった」
ブラウニーがぼんやり神父を見ている。
「多分……反撃しないことで、またブラウニーに、いやがらせで罪悪感残そうとしたんじゃないかな」
「……ありえる、な」
ブラウニーの顔に疲労の色が見える。
早く休ませてあげたい。
瘴気を消すために散らした花々はいまだに繰り返し咲いており、私達は手をつないで神父の瘴気が消えていくのを、しばらくそのまま見ていた。
……が。
「……ってプラムやばい、これ見ろ!」
ブラウニーが神父だったものを指差した。
「えっ!? なに? まだ生きてたりす――」
ブラウニーに言われて神父の肉体だったものを改めて、見ると――
顔がわからないくらいにボコボコで、メガネをかけたオールバックの金髪のおじさんが、頭にショートソード差して、体中にダーツ刺さって死んでる。
「……だれ、だ……?」
「ぶ、ぶらうにーい!!!知らないおじさん(人間)が死んでるよぉおおおーーー!?」
「あんの野郎、『憑依』してやがったのか!」
「わあああああ!何それええええ、生き返れええええええええええええ!!!」
私は涙目必死で超超超超回復&蘇りを試みた。
なんという幸運かおじさんは、息を吹き替えした。
気絶したまんまだけど。
これは今の『絶対圏』とやらの力があるから幸い出来たんだろうな。
この世には『憑依』という術がある……と後日アドルフさんに教えてもらった。
まさにこのように、人間に乗り移ったりして、社会にとけこんだりするらしい。主に魔族とかが。
私、あれだけ色々視えてたのに、憑依してる事は見破れなかったんだな……。
アドルフさんが言うには、私が憑依を知識として知らなかった事や、あのクソ神父がそれをひた隠しして見破らせなかったとかが重なったんじゃないかって言ってた。
――そして。
やれる事をやりつくした後――私は力尽きるように……展開した全魔力を収めた。
ブラウニーの髪も、いつもの色に戻った。
「ハア……ッはあ……」
あれ? 私、肩で息してる。
「あ……」
力が抜けて、抱きついていたブラウニーに、そのままもたれかかるように倒れそうになった。
「……っと大丈夫か?」
ブラウニーがハッとして抱きかかえてくれた。
いつもの力強さだ。それがなんか嬉しい。
「ありがとう。ごめん、ブラウニーのほうが疲れてるのにね。急に、眠気が……」
「ね……ブラウニー、……もう大丈夫だよ。チビたちみんな助けたの君も視えたよね? もう、みんな大丈夫だから…」
「元気、だしてね……?」
その時の精一杯の笑顔を浮かべた。
ブラウニーがギュッと強く抱きしめてくれるのを感じた。
ああ、でも、なんだろう、こんなに眠いの初めて。抗えない。
ごめん、ちょっと……寝るね?
言葉で伝えられたかどうかわからないけど、私はそのまま眠ってしまった。
――その眠りの中。
夢に神父が現れた。
嗚呼、ご健在でお元気そうで反吐がでます。
『ひどいなぁ、プラム。僕を追い出すなんて』
『でもすごいね、成長したね。愛の力ってすごいね。お父さんは嬉しいよ?』
赤い瞳を光らせてクスクス笑ってる。
お父さんって一体どの口が言ってるの?
『まあ、いいや。……また会おうね。』
『愛してるよ……』
蔑んでいるのか、慈しんでいるのかわからない笑顔で――消えた。
もう二度と来ないでください。
クソ神父がいなくなった空間で私はしばらく立ち尽くしていたが、しばらく自分が目覚めることができないのを感じた。
……私はブラウニーを絶望から救えただろうか。
目覚めた時にやっぱりブラウニーが元気なかったらどうしよう。
あと『絶対圏』は正直行き過ぎな力だったと思う……怖い女だと思われて嫌われてたらどうしよう。
あの力は決して悪いことに使った訳じゃない、むしろ教会を救って、ブラウニーを助けた力。
でも、あの力が身体に溢れていた時、高揚感があったのは事実だ。
認めなきゃ……私はハイテンションだった。
相手があいつだったから、まだ自分が許せる気がするけれど、あんな暴力は……人間のすることじゃないよね。
まるで神様にでもなった気分だった。
あいつ、相手が攻略対象だったらもっとすごいって言ってたけど……そもそも何故私はこんな力を持ってるの?
私は物語からはずれてるルートを歩んでるっていってるけど、もしルート通り攻略対象と恋仲になったりすると、その先にこの力を使う何かがあるってことだよね。
あいつもゲーム終盤うんたら言ってたし。
ココリーネ嬢が言ってた魔王を倒しに行くのかな?
……私じゃないと倒せないとか言ってたから、つまりそれはあの『絶対圏』を使うってことだろう。
世間知らずの私も、さすがにあれを他に使える人がいるとは思えない。
……けど私は今のところ、肉弾戦がまったくできないんだけど、その部分を攻略対象が担うのだろうか。
そもそも魔王って倒す必要あるの? 魔王なんか悪いことしてるの?
……ん? ……あいつ。
ひょっとしてクソ神父が魔王なのかな?
その可能性はありそう。うわ、やだなぁ……。
ゲーム終盤で使うって言ってたけど、魔王を倒すために必要ってことなら、『絶対圏』に触れるのは私が生きてるうちにあと一度くらいかもしれない。
……でも、ブラウニーになにかあったら使っちゃうかも。
そのうち答えのでない無意味な思考の時間が長々と続いてる事に気がついた。
やめた、無意味はよくない。何か実のあることを。
そうだ、起きるまで祈ろう。
夢の中から大切な人たちに祝福を贈ろう。
――神様。
強い力を与えてくださってありがとうございます。
でもまだ、お願いします。
もう二度と大切な人たちが危険な目にあいませんように。
どうか、どうかお願いします。
ああ、早く目覚めてブラウニーに会いたい。
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