17 / 20
■ルイス4年生■
【17】誕生日プレゼント
しおりを挟む
体育祭の練習の間にも、美術部員たちは、スキマ時間に自分の作品を描きに来ていた。
夏休みのヴィオラーノ国での絵画コンクールに参加するためだ。
そして体育祭が終わり、また部活通いの放課後が始まると、通常通りの部活が集まり、絵を描く日々がしばらく続く。
ルイスとエステルは体育祭後の数日、話題にされたり冷やかされたりした。
だがしばらくするとそれも収まった。
「ああ、そうだわ。夏休みの旅行ですけれど、私はお父様から許可を頂いたわ」
カンデラリアが、夏休みの話を始めた。
「私もです!!」
エステルが顔を輝かせた。
「ふふ、楽しみね。ルイスは?」
「大丈夫です。許可はとりました」
「はは、夏休みも皆と会えそうだね」
アート部長がのほほんとした笑顔で言った。
「わあ、楽しみです!!」
「でもその前にテストねえ」
「テストだねえ」
「テスト……だな」
「う……」
「ふふ、テスト期間がきたら、またしばらくつまらない毎日ね」
「そうだねぇ。……絵は学校にいる間に仕上がりそうかい?」
アート部長が、カンデラリアの絵を覗き込む。
「どうかしら。最悪、コンクールの締め切り直前まで描いているかもしれませんわたしかコンクールは未完で出しても良いのですよね?」
「うん、いいんだよ。コンクールといいつつ、お祭りも兼ねているからね。小さな子どもも一生懸命描いた絵を提出したりするしね」
「……」
ルイスは周囲の会話を聞きながら黙々と絵筆を動かしていた。
相変わらず彼が描いているのはエステルである。
「……ルイス先輩は、いま描いてるその絵を提出するんですか?」
エステルが遠慮がちに聞いてきた。
彼女的には、自分の絵がそんなお祭りで飾られるかと思うと、ちょっと恥ずかしいな、と思うところがあった。
「いや、オレはコンクールには提出しない」
「え、どうしてだい? そんなに魅力的な絵が描けるのに」
「単純に、コンクールに提出したいという欲求がないからですかね」
「あら、もったいない。そのエステルも可愛いのに」
「……」
エステルは無言で赤面した。
褒められたのは絵の自分なのに、どうにも気恥ずかしい。
「個人の絵ですので門外不出です」
ルイスはそう淡々と答えるのみだった。
以前、『私を描くのをやめればいいんじゃないですかね!?』と突っ込まれたこともあるし、やはり強引に彼女を描いている、という負い目はどこかあった。
そんな絵を提出できないと普通に思ったし、この絵のエステルは、そんな多くの人の目に触れるところには、ルイス自身も展示したくなかった。
******
帰宅時間になって、廊下に出てしばらく歩いていると、小走りに追ってきたエステルに呼び止められた。
「ルイス先輩」
――!?
な、なんだ!? 向こうから初めて声をかけられた気がするぞ!?
――苦情か!?
た、体育祭の時に密着しすぎたか!?
さっきまでそんな素振りは何もなかった気がするが!?
「なんだ」
ルイスが平静を装って振り返ると、エステルが、プレゼントのような包を差し出してきた。
「?」
「えっと。体育祭のあとぐらいに、ルイス先輩のお父様が、うちの父を訪ねていらっしゃったのですが。その時に、ルイス先輩が5月生まれって仰ってるのがたまたま聞こえて……。だからその。これ、誕生日プレゼントです。日付は存じ上げないので、もう終わっちゃったかもしれませんが」
……。
……え? 夢?
「……ルイス先輩?」
小動物(エステル)が首をかしげる。
「あ、いや……いいのか?」
「ええ。体育祭の時に助けて頂いて何かお礼をしたい、と思っていたところにちょうど誕生日とお伺いしたので……それともう一つ」
エステルは、今度は白い包を取り出して、それをルイスの目の前で開いた。
それは0号サイズの小さな油絵だった。
そこに、炎舞の時の衣装をまとったルイスが描かれていた。
「あの……あまり上手には描けなかったのですが、いつも私を描いてくださるので、私も描いてみました。……えっと、ご迷惑でしたら持って帰りますので」
迷惑なわけないだろ!?
炎舞の時の絵とか言われると、非常に恥ずかしいが……エステルが、オレのことを考えてオレの絵を描いただと!?
そんなもの、一生の宝に決まってるだろう!
夕日でごまかしが効いているが、ルイスの耳は今真っ赤である。
「いや、ありがとう。大切にする……だが、オレはこんな良い男じゃない。美化し過ぎだ」
以前、美術部に入った日に描いてもらったスケッチのルイスより断然良い男に見える。あれは木炭画だったから、また見え方が違うのかもしれないが。
「いえ、炎舞は本当にお見事で、麗しいお姿でしたよ! お礼のことを抜きにしても描きたいって思いましたもの。それを言うなら、ルイス先輩だって普段から描いてる私を美化しすぎですよ」
エステルが照れたように笑う。
「そうか……? オレはオレに描けるありのままを描いてるつもりなんだが」
「ふふ、でもありがとうございます。いつも可愛く描いてくださって。……では、また次の部活で……え」
「……馬車の停留所まで送る。カバン寄こせ。お礼だ。」
少し背伸びして紳士ぶってみる事にしたルイスは、エステルのカバンを持った。
「え、いえ、そんな先輩にカバンもって頂くなんて。お礼にお礼を返してもらうことになっちゃいますよ、って……」
ルイスは先に、スタスタ歩いていくので、エステルは早足になった。
「……お前の誕生日はいつだ?」
「え? あ! それはえっと……いや、それ誕生日プレゼント催促したみたいになってしまうので!」
ルイスは立ち止まって振り返った。
「……教えないつもりか?」
「あー……。そうですよね、それも失礼ですね。10月です。10月23日です」
「わかった。エステル、ありがとう」
ルイスが微笑むと、エステルもニコ、としてどういたしまして、と言ったのだった。
エステルもまた、耳が赤く染まってはいたのだが、廊下に差し込む夕日がそれを隠していた。
エステルを馬車まで送り届けて、また明日、と自分の馬車へ向かうルイス。
手にした小さな0号カンバスと、プレゼント包を手に、馬車に乗り込んだところでふと重要な事に気がついた。
しまった!
これは謝るチャンスだったのでは!?
エステルからの思わぬプレゼントに心が舞い上がってしまい、謝罪のチャンスをのがしてしまっていたルイスであった。
屋敷について、プレゼントのほうの包みを開けてみると、サファイヤのカフスボタンだった。
落としたくないし、傷をつけたら……と思ったが、身につける事にした。
身につけたほうが、エステルは喜んでくれるだろう、と思ったからだ
カフスボタンを手のひらにのせ、サファイヤを眺める。
エステルはこのサファイヤを眺めながら、何を思ったんだろう、などと考えてしまう。
「嬉しい……。そして早く……謝りたい」
そして、気が早い、と思いつつも、エステルの誕生日プレゼントをなんにしよう……と考えながら眠るのであった。
夏休みのヴィオラーノ国での絵画コンクールに参加するためだ。
そして体育祭が終わり、また部活通いの放課後が始まると、通常通りの部活が集まり、絵を描く日々がしばらく続く。
ルイスとエステルは体育祭後の数日、話題にされたり冷やかされたりした。
だがしばらくするとそれも収まった。
「ああ、そうだわ。夏休みの旅行ですけれど、私はお父様から許可を頂いたわ」
カンデラリアが、夏休みの話を始めた。
「私もです!!」
エステルが顔を輝かせた。
「ふふ、楽しみね。ルイスは?」
「大丈夫です。許可はとりました」
「はは、夏休みも皆と会えそうだね」
アート部長がのほほんとした笑顔で言った。
「わあ、楽しみです!!」
「でもその前にテストねえ」
「テストだねえ」
「テスト……だな」
「う……」
「ふふ、テスト期間がきたら、またしばらくつまらない毎日ね」
「そうだねぇ。……絵は学校にいる間に仕上がりそうかい?」
アート部長が、カンデラリアの絵を覗き込む。
「どうかしら。最悪、コンクールの締め切り直前まで描いているかもしれませんわたしかコンクールは未完で出しても良いのですよね?」
「うん、いいんだよ。コンクールといいつつ、お祭りも兼ねているからね。小さな子どもも一生懸命描いた絵を提出したりするしね」
「……」
ルイスは周囲の会話を聞きながら黙々と絵筆を動かしていた。
相変わらず彼が描いているのはエステルである。
「……ルイス先輩は、いま描いてるその絵を提出するんですか?」
エステルが遠慮がちに聞いてきた。
彼女的には、自分の絵がそんなお祭りで飾られるかと思うと、ちょっと恥ずかしいな、と思うところがあった。
「いや、オレはコンクールには提出しない」
「え、どうしてだい? そんなに魅力的な絵が描けるのに」
「単純に、コンクールに提出したいという欲求がないからですかね」
「あら、もったいない。そのエステルも可愛いのに」
「……」
エステルは無言で赤面した。
褒められたのは絵の自分なのに、どうにも気恥ずかしい。
「個人の絵ですので門外不出です」
ルイスはそう淡々と答えるのみだった。
以前、『私を描くのをやめればいいんじゃないですかね!?』と突っ込まれたこともあるし、やはり強引に彼女を描いている、という負い目はどこかあった。
そんな絵を提出できないと普通に思ったし、この絵のエステルは、そんな多くの人の目に触れるところには、ルイス自身も展示したくなかった。
******
帰宅時間になって、廊下に出てしばらく歩いていると、小走りに追ってきたエステルに呼び止められた。
「ルイス先輩」
――!?
な、なんだ!? 向こうから初めて声をかけられた気がするぞ!?
――苦情か!?
た、体育祭の時に密着しすぎたか!?
さっきまでそんな素振りは何もなかった気がするが!?
「なんだ」
ルイスが平静を装って振り返ると、エステルが、プレゼントのような包を差し出してきた。
「?」
「えっと。体育祭のあとぐらいに、ルイス先輩のお父様が、うちの父を訪ねていらっしゃったのですが。その時に、ルイス先輩が5月生まれって仰ってるのがたまたま聞こえて……。だからその。これ、誕生日プレゼントです。日付は存じ上げないので、もう終わっちゃったかもしれませんが」
……。
……え? 夢?
「……ルイス先輩?」
小動物(エステル)が首をかしげる。
「あ、いや……いいのか?」
「ええ。体育祭の時に助けて頂いて何かお礼をしたい、と思っていたところにちょうど誕生日とお伺いしたので……それともう一つ」
エステルは、今度は白い包を取り出して、それをルイスの目の前で開いた。
それは0号サイズの小さな油絵だった。
そこに、炎舞の時の衣装をまとったルイスが描かれていた。
「あの……あまり上手には描けなかったのですが、いつも私を描いてくださるので、私も描いてみました。……えっと、ご迷惑でしたら持って帰りますので」
迷惑なわけないだろ!?
炎舞の時の絵とか言われると、非常に恥ずかしいが……エステルが、オレのことを考えてオレの絵を描いただと!?
そんなもの、一生の宝に決まってるだろう!
夕日でごまかしが効いているが、ルイスの耳は今真っ赤である。
「いや、ありがとう。大切にする……だが、オレはこんな良い男じゃない。美化し過ぎだ」
以前、美術部に入った日に描いてもらったスケッチのルイスより断然良い男に見える。あれは木炭画だったから、また見え方が違うのかもしれないが。
「いえ、炎舞は本当にお見事で、麗しいお姿でしたよ! お礼のことを抜きにしても描きたいって思いましたもの。それを言うなら、ルイス先輩だって普段から描いてる私を美化しすぎですよ」
エステルが照れたように笑う。
「そうか……? オレはオレに描けるありのままを描いてるつもりなんだが」
「ふふ、でもありがとうございます。いつも可愛く描いてくださって。……では、また次の部活で……え」
「……馬車の停留所まで送る。カバン寄こせ。お礼だ。」
少し背伸びして紳士ぶってみる事にしたルイスは、エステルのカバンを持った。
「え、いえ、そんな先輩にカバンもって頂くなんて。お礼にお礼を返してもらうことになっちゃいますよ、って……」
ルイスは先に、スタスタ歩いていくので、エステルは早足になった。
「……お前の誕生日はいつだ?」
「え? あ! それはえっと……いや、それ誕生日プレゼント催促したみたいになってしまうので!」
ルイスは立ち止まって振り返った。
「……教えないつもりか?」
「あー……。そうですよね、それも失礼ですね。10月です。10月23日です」
「わかった。エステル、ありがとう」
ルイスが微笑むと、エステルもニコ、としてどういたしまして、と言ったのだった。
エステルもまた、耳が赤く染まってはいたのだが、廊下に差し込む夕日がそれを隠していた。
エステルを馬車まで送り届けて、また明日、と自分の馬車へ向かうルイス。
手にした小さな0号カンバスと、プレゼント包を手に、馬車に乗り込んだところでふと重要な事に気がついた。
しまった!
これは謝るチャンスだったのでは!?
エステルからの思わぬプレゼントに心が舞い上がってしまい、謝罪のチャンスをのがしてしまっていたルイスであった。
屋敷について、プレゼントのほうの包みを開けてみると、サファイヤのカフスボタンだった。
落としたくないし、傷をつけたら……と思ったが、身につける事にした。
身につけたほうが、エステルは喜んでくれるだろう、と思ったからだ
カフスボタンを手のひらにのせ、サファイヤを眺める。
エステルはこのサファイヤを眺めながら、何を思ったんだろう、などと考えてしまう。
「嬉しい……。そして早く……謝りたい」
そして、気が早い、と思いつつも、エステルの誕生日プレゼントをなんにしよう……と考えながら眠るのであった。
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説
わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの。
朝霧心惺
恋愛
「リリーシア・ソフィア・リーラー。冷酷卑劣な守銭奴女め、今この瞬間を持って俺は、貴様との婚約を破棄する!!」
テオドール・ライリッヒ・クロイツ侯爵令息に高らかと告げられた言葉に、リリーシアは純白の髪を靡かせ高圧的に微笑みながら首を傾げる。
「誰と誰の婚約ですって?」
「俺と!お前のだよ!!」
怒り心頭のテオドールに向け、リリーシアは真実を告げる。
「わたくし、残念ながらその書類にはサインしておりませんの」
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
旦那様は大変忙しいお方なのです
あねもね
恋愛
レオナルド・サルヴェール侯爵と政略結婚することになった私、リゼット・クレージュ。
しかし、その当人が結婚式に現れません。
侍従長が言うことには「旦那様は大変忙しいお方なのです」
呆気にとられたものの、こらえつつ、いざ侯爵家で生活することになっても、お目にかかれない。
相変わらず侍従長のお言葉は「旦那様は大変忙しいお方なのです」のみ。
我慢の限界が――来ました。
そちらがその気ならこちらにも考えがあります。
さあ。腕が鳴りますよ!
※視点がころころ変わります。
※※2021年10月1日、HOTランキング1位となりました。お読みいただいている皆様方、誠にありがとうございます。
この度、皆さんの予想通り婚約者候補から外れることになりました。ですが、すぐに結婚することになりました。
鶯埜 餡
恋愛
ある事件のせいでいろいろ言われながらも国王夫妻の働きかけで王太子の婚約者候補となったシャルロッテ。
しかし当の王太子ルドウィックはアリアナという男爵令嬢にべったり。噂好きな貴族たちはシャルロッテに婚約者候補から外れるのではないかと言っていたが
公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
愛のない貴方からの婚約破棄は受け入れますが、その不貞の代償は大きいですよ?
日々埋没。
恋愛
公爵令嬢アズールサは隣国の男爵令嬢による嘘のイジメ被害告発のせいで、婚約者の王太子から婚約破棄を告げられる。
「どうぞご自由に。私なら傲慢な殿下にも王太子妃の地位にも未練はございませんので」
しかし愛のない政略結婚でこれまで冷遇されてきたアズールサは二つ返事で了承し、晴れて邪魔な婚約者を男爵令嬢に押し付けることに成功する。
「――ああそうそう、殿下が入れ込んでいるそちらの彼女って実は〇〇ですよ? まあ独り言ですが」
嘘つき男爵令嬢に騙された王太子は取り返しのつかない最期を迎えることになり……。
※この作品は過去に公開したことのある作品に修正を加えたものです。
またこの作品とは別に、他サイトでも本作を元にしたリメイク作を別のペンネー厶で公開していますがそのことをあらかじめご了承ください。
記憶喪失の令嬢は無自覚のうちに周囲をタラシ込む。
ゆらゆらぎ
恋愛
王国の筆頭公爵家であるヴェルガム家の長女であるティアルーナは食事に混ぜられていた遅延性の毒に苦しめられ、生死を彷徨い…そして目覚めた時には何もかもをキレイさっぱり忘れていた。
毒によって記憶を失った令嬢が使用人や両親、婚約者や兄を無自覚のうちにタラシ込むお話です。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる