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第1章 僕の子供が神ってマジですか?
6話 対話する
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「き、急になんだよ?」
何とか絞り出すことが出来た言葉は、動揺が隠しきれない程だった。
「香菜ちゃんは、お前と居るより……蓮と居た方が幸せだって、言ってんだよ」
「香菜の幸せをお前らが語るなよ」
キザなセリフに自分自身がビックリしている。だが、翔はスルーしていた。
「蓮に言わされてるのか?」
「……いや、自分の意思だ。お前と居ても、香菜ちゃんは不幸になるだけだ」
「……っ!!」
図星を突かれたよう感覚だった。思い当たる節ならばある。朝の一件だってそうだ。
僕は、自分だけが幸せになれば良いと……自分勝手だったのか?
香菜の幸せを一番に考えるなら……彼女を好きな僕にできることなのではないか?
「蓮を……助けて欲しいんだ」
「……えっ?」
意味が分からなかった。僕が香菜と別れることで蓮は救われるのか?なんの関連もないと思うが……。
僕は少し呆気に取られていた。
「信じなくても良い……でも、昨日まではいつもの蓮だったんだ」
わかるよ。昨日見た蓮は確かにあんなんじゃ無かった。一体何が蓮を変えたんだ?
「塾から帰ってる時、急に独り言を言い始めたんだ。話を聞こうにも適当にはぐらかされた」
「何が言いたいの?」
「あいつも、香菜ちゃんを好きだったんだ。でも、お前が付き合ったって知って…友達だから応援するって……」
不覚にも目が潤んでしまった。蓮が香菜を好きだったのは分からなかった。
でも、だからと言って、蓮の前で付き合ったって言うなんて。
「あいつと話してくれ。お前らの判断に任せる。きっと、香菜ちゃんが関わってるはずなんだ」
最後の方は願うような感じさえあった。きっと、翔も蓮の事が分からないんだ。
だから、自分の中で完結しようとしてる。
「わかった。話してみるよ」
翔と蓮を救えるのは僕だけ……。そんな大層なものでは無いかもしれない。
「とりあえず教室に戻ろう。ここまで連れてきてごめんな?
「ううん。僕も自分の浅はかさが生んだ事態かもしれないと思うと、ね……」
少し長話が過ぎたみたいだ。ドアに付いてる窓越しに見た調理室の時計の針は、既に授業が始まるだいたい五分前を指していた。
「昼休み、話してみるか」
やはり、昨日まで普通に話していた友達だと急に喋らなくなるのは悲しいものがある。
蓮と仲直りができる良い機会を設けてもらったみたいだ。
僕は翔の背中を見ながら階段を上がって行った。
翔の足取りは少し重そうだった。僕もそれにつられて、ゆっくりと歩くようになっていった。
「翔、急ごうよ?もうそろそろ時間だからさ」
「えっ?あっ!わかったから!」
僕は翔の腕を引っ張り教室に向かった。
暗いままじゃダメだ。無理にでも明るくしないと……。
別のことに気を向けてないと、考えてしまう。
…………もしかしたら僕は、香菜に不釣り合いなんじゃないかって。
何とか絞り出すことが出来た言葉は、動揺が隠しきれない程だった。
「香菜ちゃんは、お前と居るより……蓮と居た方が幸せだって、言ってんだよ」
「香菜の幸せをお前らが語るなよ」
キザなセリフに自分自身がビックリしている。だが、翔はスルーしていた。
「蓮に言わされてるのか?」
「……いや、自分の意思だ。お前と居ても、香菜ちゃんは不幸になるだけだ」
「……っ!!」
図星を突かれたよう感覚だった。思い当たる節ならばある。朝の一件だってそうだ。
僕は、自分だけが幸せになれば良いと……自分勝手だったのか?
香菜の幸せを一番に考えるなら……彼女を好きな僕にできることなのではないか?
「蓮を……助けて欲しいんだ」
「……えっ?」
意味が分からなかった。僕が香菜と別れることで蓮は救われるのか?なんの関連もないと思うが……。
僕は少し呆気に取られていた。
「信じなくても良い……でも、昨日まではいつもの蓮だったんだ」
わかるよ。昨日見た蓮は確かにあんなんじゃ無かった。一体何が蓮を変えたんだ?
「塾から帰ってる時、急に独り言を言い始めたんだ。話を聞こうにも適当にはぐらかされた」
「何が言いたいの?」
「あいつも、香菜ちゃんを好きだったんだ。でも、お前が付き合ったって知って…友達だから応援するって……」
不覚にも目が潤んでしまった。蓮が香菜を好きだったのは分からなかった。
でも、だからと言って、蓮の前で付き合ったって言うなんて。
「あいつと話してくれ。お前らの判断に任せる。きっと、香菜ちゃんが関わってるはずなんだ」
最後の方は願うような感じさえあった。きっと、翔も蓮の事が分からないんだ。
だから、自分の中で完結しようとしてる。
「わかった。話してみるよ」
翔と蓮を救えるのは僕だけ……。そんな大層なものでは無いかもしれない。
「とりあえず教室に戻ろう。ここまで連れてきてごめんな?
「ううん。僕も自分の浅はかさが生んだ事態かもしれないと思うと、ね……」
少し長話が過ぎたみたいだ。ドアに付いてる窓越しに見た調理室の時計の針は、既に授業が始まるだいたい五分前を指していた。
「昼休み、話してみるか」
やはり、昨日まで普通に話していた友達だと急に喋らなくなるのは悲しいものがある。
蓮と仲直りができる良い機会を設けてもらったみたいだ。
僕は翔の背中を見ながら階段を上がって行った。
翔の足取りは少し重そうだった。僕もそれにつられて、ゆっくりと歩くようになっていった。
「翔、急ごうよ?もうそろそろ時間だからさ」
「えっ?あっ!わかったから!」
僕は翔の腕を引っ張り教室に向かった。
暗いままじゃダメだ。無理にでも明るくしないと……。
別のことに気を向けてないと、考えてしまう。
…………もしかしたら僕は、香菜に不釣り合いなんじゃないかって。
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